私がセクマイになった理由~①祖母からのトラウマ~
edit2016.02.10 1,719
『セクマイ』という言葉を聞いて、皆さんは何を想像するでしょうか?
最近では、耳にしたことがある人も多いと思いますが、実際のところ、『セクマイ』ってなによ?と思う方も多いかと思います。
『セクマイ』についての基礎知識―「知る」ことの大切さ
『セクマイ』とは、「セクシャルマイノリティ」の略語を意味しています。
「セクシャルマイノリティ」
=「性的少数派」
とも直訳できるとおり、
世間一般(大多数)では、「男性なら男性、女性なら女性らしく振る舞い、異性を対象に恋愛感情を持つ」ものですが、
『セクマイ』は、自分が生まれ持った性に違和感を持ったり、同性を恋愛対象として見たりするなど、「大多数の人とは異なる性意識を持っている人のこと」を指します。
つまり、世間をマジョリティ(大多数)として考えた場合、性的意識が異なる少数派に対して、マイノリティという言葉を使います。
学術書なんかでは、普通の環境で生まれ育っている限り、人間として生まれ持った「性」で生きようとするので、『セクマイ』になるには、何かしら理由があるとされています。
でも、ここで疑問点。
「普通の環境ってなに?」
「じゃあ、『セクマイ』である自分は普通ではないの?」
私には少なくとも、そういった疑念がありました。
そして、私の何が分かるんだ!と思いました。
でも、敵と戦うには知識が必要、と思い、自分なりに『セクマイ』について勉強し、理解したことについてお話ししますね。
まず、普通の環境の定義ですが、理想の家庭環境、とでも言い換えた方が良いかもしれません。
理想の家庭環境として、父親と母親どちらの親もそろっていて、一緒に暮し、しっかりと愛情を受けながら、安心してすくすく育つことのできる環境、とします。
ええ、私はまたここでつっこみます。
いやいや、そんな家庭あるのか!!??と。
どこの家庭でも、色々な事情や苦労はありますよね?
シングルでも、父親または母親が一人で頑張って育ててくれているところもありますよね?
一口に、「一般的な家庭」を定義しようとしても、ちょっと無理があるのが分かるかと思います。
ここで、私なりの考えになりますが、一般的な家庭、というのはあまり関係なく、要は成長過程に「同性または異性に対して何らかのトラウマ」、もしくは「性認識に影響を及ぼす出来事」があったかどうか、ということが関係あるように思います。
例えば、「母親が不倫して家を出ていってしまった」とか、「父親から暴力を受けいていた」など、
自分の性が嫌になったり異性が嫌になったりするような経験をしている方が、『セクマイ』の方の中に多くいることは事実です。
『セクマイ』の方の中で実際にそういった話をされている人は多いように思えます。
つまり、自分の意思とは関係なく、そういった環境で育ち、知らず知らずのうちに同性に惹かれる、自分の性は異なっていると感じる、ということがありえるわけです。
実際に『セクマイ』である自分を責め、周りから孤立してしまう場合も多いです。
『性同一性障害』であることを周りに言えずに、トイレに行くたびに自分の性自認の違いに気づかされ、悩んでしまう方。
同性の友達が好きになってしまい、拒否されることが怖くて、告白もできず、苦しんでしまう方。
ここで挙げてない例もたくさんあると思います。
そういう方にとって、自分の性認識は間違っていない!自分は正しい!と、なかなか割り切れるものではないですよね。
もちろん自分で選択して、同性を好きになることもできます。
近年では、メディアでも『セクマイ』が肯定的に描かれることも多くなりました。
でも、まだ苦しんでいる方が沢山いることは確かなのです。
『セクマイ』の方もそうでない方も、『セクマイ』になる背景が色々あることを認識しておくだけでも、心の変化があると思います。
『セクマイ』の方は、自分を否定的ではなく肯定的に知ること。
もし誰かが悩んでいたら、手を差し伸べることができること。
「知らない」よりは、「知った」方が得るものがたくさんあるでしょう。
それが自分でも他人でも。
これは、『セクマイ』に限ったことではなく、社会や人と関わるうえでも大切なことだと思います。
自分の世界を決して狭めることなく、自分の考えや見解を広げるためにも、「知る」ことから始めましょう。
このブログを読んで、少しでもそう感じてくれた方がいたらうれしいですね。
自分の体験を考える―祖母の言葉―
さて、「セクマイ」についての情報を得たのは良いのですが、また私には疑問が浮かびました。
「私はどうして女の子が好きなんだろう?」と。
私は三人きょうだいの末っ子で、両親ともにいる、五人家族です。
両親も仲が良かったですし、姉や兄とも仲良く五人で暮らしていました。
はたから見れば、普通の家族で、一般的な家庭だったと思います。
私自身、両親が頑張って育ててくれたことは理解していましたし、何よりも、母親が大好きだったので、自分が同性愛者だと分かったときには、何だか申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
周りには同性が好きという人もおらず、みんな恋愛話や好きな異性芸能人のことで盛り上がっている。
でも、私は女性アイドルが好きだったし、女の子がすきだった。
今考えれば後ろめたいことなど何もなかったのに、自分はおかしい人間だと、否定感ばかり募りました。
小学校、中学校、高校と上がっても同じ。
同じような考えを持っている人は周りにおらず、ただただ自分の中だけで抑え込むばかりでした。
高校生の時にはっきりと自覚してからも、関わる人間もすくなければ、知識も少なく、とりあえず自分は一生誰かと付き合うこともないんだろうなと思うばかりでした。
大学でジェンダーを学んで、知識を得たときに、初めて、祖母の言葉を思い出しました。
祖母は、
「男の子はしっかりと強くいなさい」
「女の子は女らしく可愛く愛嬌がある子になりなさい」
という考えを持っていました。
祖母とは、私は同居したことがないのですが、姉と兄は私が産まれるまでずっと祖父母の家の近くに住んでおり、姉は祖母にとって初孫ということもあったので、とても大事に、女の子らしく育てられました。
着る服も見に着けるものも、赤やピンクで、スカート。
祖母は着物も好きでしたから、姉や私に着物を着せるのが楽しみだと、花柄の着物をあつらえていました。
母はどちらかといえばシンプルでボーイッシュなものを好む傾向にあったのですが、祖母が父方の母であったため、遠慮もあったのか、祖母が好きなものを身に着けて育てられました。
一方、私は産まれたとき、もう祖母の近くに住んでいなかったため、母の趣味で育てられました。
三人目の子どもということもあり、姉は赤、兄は青、私は黄色、といったような色分けをされていて、髪の毛も短く、ズボンばかりはいていました。
女の子として、や、男の子として、ではなく、「私は私」として生まれ、育てられてきたので、傍から見れば「男の子のような女の子」のように映っていたのかもしれません。
でも、それが私でしたし、今でもその気持ちは変わりません。
ですが、物心ついたころから、祖母のところに行くときまって、「また男の子みたいな恰好をして」と言われるようになりました。
「もうちょっと女の子らしいものを着なさい」と服やさんにつれて行かれたこともあります。
「可愛いんだから、おしゃれしたら?」
「まったく…またなんで男の子みたいなことして…」
姉と私が対照的に思えたのかもしれません。
幼いながらも、祖母が悪意で言っているのではないと分かっていましたが、何だか自分を否定されたようで、悲しくて悲しくて仕方ありませんでした。
自分では気にしてなかったつもり。
でも、やっぱり心というものは正直です。
「女の子っぽくない自分」を否定されて、祖母に反発するかのように、どんどん服装や好みが男の子のようになりました。
「これが自分だ!」と必死で叫ぶように。
ちょっと乱暴な言葉を使ったり、半袖短パンで男友達と虫取りに行ったり(笑)
そのときにできる精いっぱいの手段で、私は「女の子であること」に反抗し、「男の子のような自分」を誇示していました。
そして、女の子であることを強要されたことがトラウマになっていることにようやく気付きました。
女の子が好きという気持ちは、もしかしたら、私がそうなれなかったことの憧れでもあるのかもしれません。
私はこうして自分が『セクマイ』であることを受け入れました。
まとめ~『セクマイ』で悩んでいる貴方へ~
祖母は今も健在ですが、祖母を決して恨んでいるわけではありません。
ですが、やっぱり心の中にある傷はそう癒えないものです。
同性の方を好きになり、男の子のようにふるまって過ごした過去を後悔したこともないですし、むしろそのおかげで今の自分があると思っていますが、過去に一人で苦しんだ記憶は消えずにあります。
だからこそ、悩んでいる方に、知ってほしいと思います。
自分を肯定することでも、否定することでも、ありません。
ただ、自分自身を知り、受け入れるための準備をすること。
それは、そう簡単なことではないでしょう。
ですが、「知る」ことで確実に、心に変化が訪れます。
「セクマイ」である自分をもう否定しなくていいんです。
誰かに後ろ指さされる必要もないんですよ。
貴方が次のステップに進むための道なんだと思います。
このブログが、貴方の次のステップへと続く鍵になりますように。
葉音
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