解離性同一性障害(多重人格)とは?障害との向き合い方と他者との関わり

 

解離性同一性障害、というと、あまりピンとこない方のほうが多いと思います。ですが、一方で多重人格という言葉はよく聞くと思います。

多重人格、というと、まずは何をイメージするでしょうか?

ジキルやハイドなどの二重人格のエピソードや、アニメや漫画の中で、何かのトラウマや言葉がスイッチとなり、基本人格(主に本人自身のことを指します)から別の人格に心が入れ替わり、さっきまで話していた人は別人のようになる…というような「キャラ設定」ではないでしょうか?

 

その「キャラ設定」はこちらからしてみれば分かりやすいものですが、当事者から考えると、全ての人格は「自分自身の一部」あるいは、「自分自身そのもの」であり、キャラも何もない!と考えている方も少なくないかと思います。

 

しかし、こういった当事者と当事者ではない方の認識のギャップがある理由は至ってシンプルで、情報が少ない、というところにあると思います。

アニメや小説の中では設定として取り込まれ、キャラ設定をされる。これは別に間違ったことではないのですが、解離性同一性障害という障害を知っていることとはまた別問題なのです。

ここで伝えたいことは、まずは入口。

 

「解離性同一性障害」ってなーに?を知ってもらうこと、です。

当事者目線ではありませんので、その点においてはご了承くださいませ。

◎「解離性同一性障害」の彼女と出会い

 

私が当事者である「解離性同一性障害」の彼女と出会ったのは、大学四年生の時でした。

当時、私は自分の『セクマイ』を自覚しており、うつ病を発症したことから、他人との関係を極端に避けていました。それでも寂しくなるもので、誰かに分かってもらいたい、一緒に歩んでいける人が欲しい、と思い、当時人気があったサイト(決して出会い系などの怪しいサイトではないですよ)の『セクマイ』専用掲示板で、彼女と出会いました。

 

家も近郊だったことから、最初はメールでのやり取りでしたが、実際に会ってみようとなり、彼女の一人暮らししている家の近くで待ち合わせをして、初めて顔を合わせました。

 

彼女が解離性同一性障害であることは知っていました。彼女もしきりにそのことを気にしていましたし、会う前に、びっくりさせないようにと、電話越しで違う人格と代わって、私を慣れさせてくれていました。

 

そのとき、彼女の中にいた人格は30人ほど。子どもから3,40歳くらいの大人までで、男女の割合は男7:女3くらいでした。男性が多いのは、本人が父親にトラウマを持っていたので、自分の中で「怖くない男の人像」を作っていたからだと思います。本人はかわいらしい女の声ですが、男の人格に代わると口調も強く、声も低くなります。

 

そのため、目の前で見ると私が驚いてしまうのではないかと考え、彼女は電話で他の人格(主に男性、幼児)と話をさせてくれていました。

 

ですが、出会ったときの感想を今正直に述べられるのであれば、私はこう答えます。

 

「分かっていても、覚悟していても、自分が経験したことのない世界に触れるということは、怖い」ということ。

 

出会ったときの彼女は普通の女の子でした。

私はメールや電話のやりとりをしていく中で、彼女の人柄に惹かれていっていったので、会って話をする分には、何も変わりない、至って普通の女の子に見えました。

 

彼女は「自分が変な風に見られるのは良いけれど、葉音が変な目で見られるのは嫌だから」という理由で、彼女の家に招き入れてくれて、初めて彼女の人格と対面しました。

 

彼女曰く、30人いるうちの主要な人格は5,6人ほどで後はよっぽどのことがないと、ほとんど出てこないということでした。

その日に会わせてくれたのは、彼女が解離をして一番初めからいる人格であり、自分の心の中の人格を管理してくれているというお兄ちゃん的な立場の男性二人と、お菓子をあげたときに出てきた陽気な男の子一人、幼児の女の子一人、だったと思います。(この辺はうろ覚えですが)

 

健常者同士の交流よりも、より慎重で、探り合いのような初日でした。

ですが、彼女は対面することで私の人柄をより知り、安心したのか、それからは順調にお付き合いを進めました。

彼女と付き合っていた期間は半年という短い間。

でも、その半年はとても濃く、長く、そして色んなことを勉強させてもらえる日々でした。

最終的には喧嘩別れのようになり、私も未熟で自分だけが立ち上がるのが精いっぱいで、彼女との縁は切れてしまったのですが、彼女にとっても、私にとっても、色んな経験となった濃密な半年だったと言えるのではないでしょうか。

 

でも、その半年で学んだことは、私の常識や知識を覆すような、そんな出来事の数々でした。

 

◎解離性同一性障害って難しい?一括りにはできないワケ

 

私は「解離性同一性障害」のことを考えるとき、必ずと言っていいほど、ある曲が浮かびます。

ボーカロイド曲の『十面相』という曲です。ご存知の方はいらっしゃるでしょうか?

この曲は、十人の人格が自分にはいて、同じ人に恋をし、最終的には人格を一つに統合する、という曲なのですが、この曲が私的には一番イメージしやすかったので、例に出させてもらおうと思います。

『十面相』という言葉の通り、十人の人格、そして、十人が歌っているという設定で、一番目の歌詞で、「解離性同一性障害」の特徴を歌っているのですが、そこに補足をいれながら、少しでも多くの人にこの障害について知ってもらいたいと思います。

 

①新しい人格作り上げ、私たちの感情は入れ替わる

 

解離性同一性障害の特徴として、基本的に自分(基本人格、主人格と呼ばれる、体の持ち主のこと)以外に、頭や心の中に違う人格が作られることで、自分の心が分離される、要は解離が起こるということになります。

それが、解離性同一性障害、という正式名称がついている所以でもあります。

この別人格というのはあまりイメージしづらいと思いますが、人格にも色んな役割や性格があり、自分なんだけど自分ではない人格が生まれていきます。

自分にとっても似ている人格。

自分がいつもおさえている感情から生まれる真逆の人格。

自分を守るための攻撃的な人格。

素直な感情が出てくる、幼い人格。

自分がこうなりたい、こんな家族が欲しかった、というような、理想、憧れの人格。

特に、幼い人格や攻撃的な人格が出てくる点から、心理学的にいうと、防衛機制、つまり自分を守るために知らず知らずのうちに、防御をしている、自己防衛に近いとも言えると思います。

それは、解離性同一性障害だけに限らず、私たちも知らず知らずのうちにしている部分もあります。

自分の失敗を他人のせいにしてしまう。

苦手な相手を避けてしまう。

ストレスが溜まったとき、暴飲暴食をしてしまう。

などなど、自分を守るために、自己防衛機能を私たちは持っていますが、それが限界に達したり、壊れてしまったりすると、病気や障害を持ってしまうと言えるでしょう。

 

② 受け入れたくない記憶を、閉ざす人格を作る

 

これも①で話した防衛機制から人格を生み出してしまう、という意味です。

失恋や誰かを失った悲しみ、自己否定、裏切り…色々な負の感情がたまっていくと、防衛機制が働き、いやな記憶を自分だけでは処理できない別人格として処理をする、ということです。

 

つまり、自分の中でたまってしまう感情を役割分担として、受け入れたくない記憶を別の人格が処理する役割とする、という、私たちの頭や心が普段自然と防衛していることが顕著に出る、のが解離性の特徴となります。

少しこの辺は難しいことですが、本来の自分を守る機能がいっぱいいっぱいになると、別の器に移すことで防御に入る、ということです。

そのあと、『他人事のようにふるまい、そうやって自分を守った』と歌詞が続くのですが、その歌詞にもあるように、人格を作り出す役割の一つとして、「自分を守る」ということが根底にあるようです。

 

③記憶の共有はされない?互いの存在も知らない?

 

人格同士は一度に同じ場所に人の姿として存在することはできません。だから、外部からは、一度に違う人格と話すことができないので、心の中までは分かりません。

 

では、本人、人格同士はどうなのか?

それには個人差があるようです。

私が付き合っていた彼女は、記憶もみんな共有していましたし、心の中でみんなと対話することができると言っていました。

でも、自分の中で知らない人格が暴れているときもあるし、何となく心の中にいるのは分るけれど、どこにいるのかわからない人格もいると言っていました。

 

しかし、彼女は比較的人格たちと対話し、記憶を共有できている方みたいで、個人差があるようです。

人によっては、別人格が出てきている間の記憶がない人もいますし、自分が解離性同一性障害だと自覚していない人もいます。

それが、この障害のネックであり、難しい点でもあると思います。

私たち外部の人間は、そのことが分からないので、理解できない人にとっては、理解しづらい点でもあり…障害を持っている方が苦労している点であります。

 

『障害』を知るということ

 

ここまで、当事者目線ではありませんが、色々書いてきましたが…

 

障害を持っている方、家族の方、周りの方…たくさんの関わる方にとってもまだまだ分からない部分もあり、どう向き合っていくか、難しい部分が多くあるのが現状です。

だからこそ、当事者じゃない人も含め、解離性同一性障害(多重人格)のことをもっと知り、考えていく必要があるのです。

 

ですから、このブログを読んで少しでも多くの方に知ってもらえたら幸いです。

 

 

以上、ライター・エディターチームの葉音でした。

 

 

 

 

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コメント一覧

全4件
  1. schedule2020.04.11

    匿名

    多重人格ってロボットかなにかかね
    直接カチンコで勝ち割っても
    つぶれると思う。平手打ち上空30cm
    で叩いて ガッってなったらカチンコで勝ち割って
    けばよいと思う。剣道、ちゃんばらやってたらずいぶんよくなた。
    解説玉かなかち割ったら 大破、大破っていちいち解説ついてる
    叩くと せきこんだり 鼻水が出る場所から叩いてけばよいと思う。
    外に出てると思ったら 必ず叩いてけばだいぶ収まってきた

  2. schedule2016.06.26

    どらら

    ヒロさん、初めまして、こんにちは。
    私は軽度の解離性同一性障害と思われる男性とお付き合いを始めて3ヶ月です。仮にK氏とさせて頂きます。K氏は知人から紹介頂いた楽器の先生です。

    出会って間も無く演奏会にお誘い頂きホールでご一緒したら、とても子どもっぽくて、レッスン時との余りの違いに「二重人格かしら!?」と驚きました。
    また、愛情のサインは互いに出していたと思いますが、日によって落差が大き過ぎて、かなり混乱していました。「好意を頂いた」と思っても、後から「あれはそういう意味じゃない」等々、信じた愛情が黒板消しで消すように何度も取り消され、私は地面を這いずり回るように苦しみました。

    それに耐えかねて「私に特別な気持ちが無いなら、レッスン以外はご一緒しません。お気持ちをお伝え下さい。」
    私を失いたく無いと思ったK氏の人格A(多分、副人格)が気持ちを告げ、結婚話と共にお付き合いが始まりました。「家族や勤務先もどうするか考えなければ」と。

    翌週、K氏に会うと「キチンと話をしなければならないから、俺が出てきた。」「ほとんどが俺なんだから、俺が駄目だと駄目だぞ。」先週末とはまるで違う、冷ややかなK氏。人格B(多分、主人格)。「ああ、やっぱり多重人格だったのね?24人のビリーミリガンなのね?」と気付きました。

    K氏自身は自覚は有るものの、認めたく無い様子。私が明確に把握している人格は3つ。他にも在りそうだけど。

    人格A(副)~誠実で優しくて素朴。私との結婚を望んでいる。

    人格B(主)~判断力が高く積極的。キッチリしてる分、他者の短所を許せない。自己中心的。私への愛着はあるが気に食わない点も多いらしい。他の人格でいる間の記憶がハッキリしない様子。

    人格C(副)~ワンダーチャイルド。私をとても気に入ってる。無理なレッスンの約束とか、私と過ごしたいと常識はずれな無理を通す時に、よく現れる。

    また人格Cは、「凄く楽しい気分になると出てくるらしい」と本人の自覚あり。
    演奏会の最後、思い掛けず全席スタンディングオベーションとなった時、ステージ上で現れる。お仲間がステージ袖まで背中を押して歩かせてた。長い付き合いだから承知しているのだと思う。この職業で無ければ、勤めは難しかったかもしれない。

    辛かったのは、K氏Aの愛情だと信じたことが、K氏Bによってオセロのように裏返されてしまうこと。
    Aから「直ぐに一緒に暮らしたい」と言われ、家族に伝える前に念押しすると、「愛情をこれから積み上げて行こう❤」・・・この期に及んで「これから」って何?そして「哀しい」と告げると、「俺はウジウジ暗いのは嫌いだ!折角、好きになりかけたのに!」「早く一緒に暮らしたいなら、俺にお前の事を早く好きにならせろ!俺へのポイントを稼げ!」と罵倒する。

    余りの事に茫然自失となり、別室で一人になった後、悲鳴を上げながら泣く。泣き叫びながら「もう耐えられないかも」と思う。深い絆と信じる相手から冷たく罵倒される。分かってても気が狂いそうになる。それでも生涯を共にすると誓う相手が、罵倒する人格の陰に実在するのだから、諦める訳には行かない。
    「もう一度だけ、K氏の全人格と関係を積み上げ直そう」と心に決める。

    翌日、何事もなかったように笑いながら過ごしつつも、人格Bはふとした言葉が冷たい。レッスン前に「眠い」と。
    今までもレッスン前に眠くなる事がよく有った。そしてレッスン後、別人のように優しいK氏。「眠気を訴えるのは、人格交代のためなんだ?」と気付く。私と過ごしたい人格Aが、Bを凌駕して出現してたのだと。

    その後、人格Bに会う。そして「自分はAだ。」と言う。でも、「直ぐに引っ越して来い!」と言った時の記憶が無かった。だから違う、と後から気付く。
    本人が別人格をよく承知して無いためなのか、「Aもお前を大して好きではない」と錯覚させようとしたのか、BもAと同様の愛情が欲しかったのか、分からない。

    顔を会わせても、AなのかBなのか他の何者かは分からない。会いたいAに会えない。会っていても分からない。Bの心も捉えなければ、一緒に暮らすことはできない。まるで織姫と彦星だ。
    メールしても、誰が読み、返信したのが誰かは分からない。

    鏡張りの迷路に迷い込んだ感覚を、言葉の例えでは無く肌で感じる。「まるで小説かドラマだ」と苦笑する時もある。
    また、辛さが増すのは、相手の社会的立場やプライバシーを考えると誰にも相談出来ないこと。

    手前勝手なことばかり書きました。済みません。だけど愛してる。会った直後、互いに何者なのか全く分からないうちから、強力な磁力に引摺り込まれるようでした。それなのに高いハードルに阻まれ、血まみれに傷付いてばかりなんです。

  3. schedule2016.04.29

    葉音

    >ヒロさん

    はじめまして、ヒロさん!
    コメントありがとうございます(*^^*)

    ヒロさんも色んな勉強をしてこられたのですね。
    解離性同一性障害について、そこまで知っている方にあまり会ったことがないので、私も驚きました!

    確かにとても認定が難しい病気だと思います。
    演技だと言われることも多いですし、診察によって当人であるかどうか分からない部分もあるので、治療が難しいからこそ、認定しづらいのでしょうね。

    悩んでいる方や大変な病気を抱えられている方にとって、少しでも役に立てれば、と思います。

    本当にコメントありがとうございました!

  4. schedule2016.04.27

    ヒロ

    はじめまして葉音さん、解離性同一性障害という言葉に少し驚き思わず書いてしまっています。

    自分は13年ほど前に少し講座に通い相談を受ける勉強をしていた際に、
    特別講師として解離性同一性障害を認定する第一人者?と言ってたと思いますが斉藤学という専門医の授業を受けたことがあり、色々話を聞いたのを思い出しました。

    斎藤学という講師が言った事は確か、日本では解離性同一性障害ときちんと認定される人は本当に数少ないらしく、確か色々条件はあって、名前、年齢、性別、性格、記憶の有無や共有、声変わり、他にも条件は確か言っていたと思いますが、複数回にわたり患者とのカウンセリングをくり返し行い、会話を全部記録し後で整合性が取れているか色々なものを精査しながら時間をかけ慎重に診断するとの事で、専門医でも誤診がよく有り、当人が解離性同一性障害なら尚更接するのが難しく治療に失敗することがよくあるという話は聞きました。

    斎藤学という講師が確かその当時言っていたことは解離性同一性障害の治療には、暗示や催眠療法を中心に深層意識に働きかけ、過去のトラウマを少しずつ取り除いていく治療をし続けることで回復させるという話は聞いたと思います。

    少しプロフィールを読ませていただきましたが、葉音さんも大変な思いをされている中治療が難しい方の相談も受けていられるんですね。
    最近ココトモという場所には本当に色々な人がいるんだなというのを感じます。

    久しぶりに前に勉強していた頃の話を思い出したので、思わず余計かも知れないことを書き込んでしまい失礼しました。

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