腎炎再び(SLE体験記③)

当時24歳の私は就職をせず、小説家orイラストレーターを目指して公募や出版社に持ち込みをし続ける生活を送っていました。小説家やイラストレーターは自分が好きなことで生活していける夢のような職業だと思っていましたが、現実は落選や出版社からは全く相手にしてくれず門前払いばかりされる結果が続いて、ストレスだけが増えていきました。

この年の始めの外来診察のときから尿に蛋白が含まれていました。その点は医師が発見して指摘してきたことで、私自身には自覚症状はありませんでした。蛋白尿はストレスや疲労などが原因だと誰でも起こりうる症状で、改善する可能性がある。また、服用している薬の副作用で蛋白尿が出ることもあるというように、蛋白尿が出る原因はいくつかあるということで、その後のSLEの病気に関する抗体と補体の動き。それから腎臓機能(血液検査)との関連性と照らし合わせて蛋白尿の推移を経過観察することになりました。

8月初旬の外来診察にて、医師から告げられた最終結果はこのようになりました。蛋白尿を減らすために活動量を減らして体力の負担やストレスを減らすなど私自身ができることは全て改善する努力を試みましたが、蛋白尿が全く改善されていませんでした。それに加えて、

「抗体の数値が増えて、補体の数値が減っている」

私がそれまで想像していた希望を潰すような最悪な現実を結果として告げられました。医師によると、3+という蛋白が尿に含まれていると腎臓の機能が低下している。つまり、腎臓に再燃の可能性があるので、入院することを命じられました。
私自身は、特に腎臓に関しての自覚症状はありませんでした。また、就職したり環境の変化があったりしたことはありませんでした。ただ、思い当たるのは上記に綴った公募活動に対するストレスぐらいでした。
*抗体とは…SLEの原因となっている(悪さをする)免疫
*補体とは…再燃を防ぐための役割をするもの

2010年8月6日 大学病院に3度目の入院をしました。

治療方針を決めるため、7年ぶりに2度目の腎臓組織検査を行いました。
検査の概要につきましては「青春の終わり SLE体験記①」を参照いただければ幸いです。

検査の結果、これまで、ステロイド服用のみでしたが、今回からは少量の免疫抑制剤を追加することになってしまいました。免疫抑制剤を追加するということは、免疫の活動が以前よりも強力になってきたからという意味を示しています。

*免疫抑制剤とは…全身の臓器を攻撃している原因となっている不良化した免疫組織の働きを抑えて再燃を抑えるというもの。

3週間入院しました。4年間かけて7ミリにまで減量したステロイドも35ミリにリバウンドしたことに心が折れて治療する気が失せていました。でも、実際に死ぬことは怖かったので、今回も医師に素直に従って治療を受けました。ステロイドは作用は速攻なのですが、副作用が多いので優先的に下げていきます。それを補うような形でステロイドよりは副作用の少ない免疫抑制剤を1ミリから始めて問題がなければ3ミリにまで増やしました。幸いなことに私の身体と薬の相性は良く、治療結果は良好で、徐々に回復していきました。

3週間後に退院しました。まだ9月に入ったばかりなので、残暑は厳しく、ほとんど家の中で過ごしていました。これ以上ストレスを溜めたくないので公募活動は辞めました。やりたいことを全て失いました。ステロイドの副作用も加わって無気力になっていた私は「世間を知らないまま一生ここで過ごすのだろうか」古い団地の3LDKの一室が牢獄のように思えて鬱々としていました。

次回、12月29日

【最大の命の危機】と題して、3度目の再燃症状についてお伝えします。

 

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