子どもの貧困~ただ愛されたい~
edit2015.07.23 1,442
子どもの貧困~夢のない子どもたち~
私は以前、塾で小学生から高校生までを教えていました。その時に衝撃を受けたことがあります。
進路の話になると、当たり前のように、「将来何になりたいの?」という話題が出てきますよね。私は将来の夢と言えば、もう一回の人生では足りないのではないかというくらい、あれがやってみたい、これがやってみたいと、学生時代は思ったものです。
しかし、聞いてみると、「将来の夢なんてない。だから、どの学校に行くとか、どうでもいい。どうせ自分はどこの場所に行っても落ちこぼれなんだ。」そういう返事が返ってきて、びっくりしてしまいました。
今、子供の貧困、教育格差が問題になっています。世の中には「有名国立大学」というものがありますね。国立大学は学費が私立に比べて安いので、学費面ではとても助かります。
しかし、ふたを開けてみると、「有名国立大学の入学生の多くが、富裕層の子どもである」ということが最近わかってきました。つまり、「学力がお金で買える」時代になってきた、ということかもしれません。
確かに、お金がないと、塾にも行けない、アルバイトなどでお小遣いを手に入れなくてはいけないので、その分、はい、とおこづかいを渡されるおうちとは、勉強できる時間に差が出てきます。
生活保護の家庭だと、パソコンなどの「生きていく上で必要ないであろう」というものの所持ができないそうで、学校に行けなくても、独学でWebデザインを勉強したりということができません。
今の時代に、大学に入って初めてパソコンを触るようでは、レポートを書くのにも、きっとタイピングだけで相当な努力が必要ですし、周りですごいスピードで打ち込んでいるお友達を見たりすると、レポートの内容以前に、それだけで「自分はできない」と思ってしまうのでしょう・・・
一方で小さい頃から本格的なパソコンを与えられて、プログラムを組めるようになった「天才少年」のような子も現れていて、子供の教育格差というものが、家庭の生活水準で大きく変わってくること、とても悲しい問題だと思っています。
現実を知りすぎた子どもたち
さて、ここからは少し、育児法、という観点で見てみようかと思います。
先日小学校一年生の姪っ子から電話がかかってきました。学校でクイズをやったので、私にもその問題を出してあげる、というようです。
「海の中でも、いつも傘をさしている生き物ってなーんだ?」
みなさん、答えわかりましたか?私はわかりませんでした(*_*)
「わからないなぁ、教えて!」というと、正解はクラゲ、だそうです。あ、とピンと来た方もいらっしゃるかもしれません。
「○○ちゃんは、わかったの?」と聞くと、わからなかったよ、海の中で傘させるのかなぁ?と言っていました。
傘というのはきっとクラゲの「カサ」のことなのですよね。ああ、そういう意味だったのかと分かったので、ここで「クラゲっていうのはね、うんぬん・・・」と辞典に書いてあるようなことを教えた方がいいのではといろいろ話したくなるかもしれません。だって、かしこくなってほしいと、きっと思うでしょう。
しかし、まだ、早いのです。
クラゲの広がっている部分を「カサ」と呼ぶ、という一つしかない正解を示すにはまだ早い。逆に、○○ちゃんが知らないうちに、海の中でクラゲさんが傘さしているのかもよ(*^_^*)何色の傘かな?と想像を膨らませてあげることが大事だと思います。
もしかしたら、そのうちに、海の中でクラゲが傘をさしている絵を描いてくれるかもしれないです☆
私は中学受験をしました。その頃、ちょうど中学受験の問題がとてつもないことになっていた時代でした。中学で学ぶ内容が、すでに入試の時点で出題されるのです。
まだ少子化もそこまで進んでいなかったので、学校側の「とにかく優秀な生徒を集めたい」という思いがエスカレートし、年々問題が難しくなっていました。
塾としては、やはり合格させなくてはいけないので、とにかく答えを書かせなくてはいけません。そこで登場してきたのが「公式」という甘い蜜です。
問題を読んで、理由はわからなくても、ここに書いてある数字を入れれば答えが出る。当然答えが合っているので、本人も喜ぶのですが、実際はなぜその答えが出てきたのかは知らない、「公式知りたい病?」がとにかく蔓延していました。
理科もそうです。クラゲが傘さしているなんて書いたら落ちてしまいます。早い子は4年生くらいから塾に行くので、その頃から、クラゲの部分の呼び方(もはや生物の授業)を習います。
私の両親は「動物園大好き~!」「ヘビ飼いたい」と今でも夢の中で生きているような感じで、また母が保育が専門だったため、その状況に危機感を感じたそうです。
私は塾をやめました。というより、やめさせられました。
そこで、あえて、「公式を使って解く子不合格」という学校を受験しました。公式を使わないと、いろいろと工夫をしなければいけませんよね。答えにたどり着くまでも時間がかかります。
でも今考えると、先生たちは、あまり「答えが合っているか」は見ていなかったのではと思います。解答用紙に書いてあるいろいろと試行錯誤している過程を重視していたのでは・・・
学校に入学してからは、とにかく「公式」ではなく自分の意見を持つこと、そしていろいろな科目で夢をみること、を大事にしなさいと言われました。私はぬいぐるみが好きだったので、(中学校一年生で・・・)カバンにお気に入りのぬいぐるみを入れて学校に通い、お友達とぬいぐるみで遊んだり、自分のキャラクターを作って、家庭科の課題に刺しゅうしたりしていました。
でも、先生は、「これはティッシュケースを作るのだから、見本通りに作りなさい」とは言わず、「このキャラクターはなんていうの?」と聞いてくれました。
また、生物の授業で、色が付いた水の中に植物を入れておくとどうなるか?という問題が出て、本来の正解は、水を吸い上げるので、植物にも色が付くということですが、当時の私は、根っこを切ってしまうということが、なんだかすごく可哀そうだと思いました。
そこで書いた答えは、「そのうちビーカーの水が蒸発して、植物が枯れてしまう」という全く見当はずれな答えを書きましたが、でもそれは実際そうなることなので、丸をもらえました!やったー!
そのような過程を経て今にいたるので、もう言っていることが夢なのか何なのか・・・ほぼ夢です。ああしたらもっと楽しくなるんじゃないか、ここをほじくると化石が出るんじゃないのか!?
子ども、特に小さい子は、たまにすごいことを言いますね。「犬が話した」ですとか、「今日ちょっとだけ飛べた」とか。しかし、そこで「犬が話すわけないでしょ」「人は飛べないの」と現実や正解を突き付けてしまうと、子どもは「きっと言ってもまた、そんなわけないって言われるんだ」と夢を口に出すことをしなくなってしまうと思うんです。
否定されると、誰だって悲しい
そんな子供時代を送ってくると、自分の発言に自信がなくなってきてしまいますよね。どうせまた否定されるんだ。夢を言ったって、あなたには無理でしょと言われるんだ・・・
そして、大学に入っても、とにかく否定されることは避けて、とにかく無難に、みんなのまねをすれば大丈夫、みんな同じことしているから否定されない、と行動するようになり、いざ就職となったところで、いきなり「将来の展望は」などと聞かれても、それまでみんなと同じことをしていれば大丈夫だったのに、「自分の意見」・・・思いつきません。思いついたとしても、変わったことを言って、また否定されてしまうのが怖く、人並みのことしか言えず・・・
人事の方も困りますよね。みんながみんな、同じような無難なことを言っていて、採用してもどこに配属すればよいものか・・・学部などから一応配属をしてみるものの、ミスマッチが多くてやめてしまう人が多い・・・
とにかく、今は個性といいながらも、「みんなと同じことをしなきゃいじめられちゃう、否定されちゃう」そんな思いで苦しんでいる人が多いなぁと感じます。
みんな愛されて産まれた
私は子供がいませんが、例の姪っ子が産まれてから、考え方がすごく変わったと思います。なんちゃって親の気持ちというか。だって産まれた時からずっと見てきているので、子供も同然です。歩けるようになったり、話せるようになったり。
「自分なんて産まれなければよかった」そんな相談があるととても悲しいです。事実、そう言う親もいるそうですが、産まれるときは、きっと、無事に産まれてくれれば、と思っていたはず。
私が姪っ子に対して思うのは、ただ健康に、夢をもって育ってほしいということ。英語がペラペラに話せるようになって欲しいとか、ピアニストになって欲しいとか、そんなこと、考えたこともありません。むしろ、自分でやりたいことを見つけて、応援してあげたいなと思います。
そんな中で驚くべきことも起こりました。一年前くらいに、ずっと付き合いのあった友達にやっと子供ができたということで、とても喜んだんです。二人で、名前決まったら教えてねとか、お散歩一緒にできるといいね、など話していて。しかし、産まれるちょっと前になって、逆子であることがわかって、大変だということになり、その子もどうしよう、と、私もわからないので、それ以外に異常はないのだから、絶対大丈夫だよ、と励ましたりしていました。
きっとその時の気持ちとしては、とにかく無事に、それだけを祈っていたと思います。
逆子事件も解決し、産まれてしばらくは育児の話(私は姪っ子のことなど)赤ちゃんあるあるで話していたのですが、ある程度順調に育ってくると、歩けることはわかった、話せることもわかった。人間というものは本当に上を見だすとキリがないもので、先日久しぶりに話をしたら、「自分は一人しか子供が産めないことはわかっているから、この子はインターナショナルスクールに入れることに決めた、留学もさせて、最低三か国語は話せるようにしないと。大学院まで行ってほしいし、そのためにはまず今から英語の歌を聞かせて・・・」
・・・ええ!変わりように、開いた口がふさがらないとはこういうこと?
まだ高校生の進路相談ならわかる気がします。留学ってさせたほうがいいのかな?大学院ってどうなのかな?それならば、私の周りの子に聞いてみたり、本人の意思もあるだろうから、一緒に話してみたりできますが、まだ一歳にもなっていないのに・・・留学!?だ、大学院・・・
そのお友達も悪気があるわけではなくて、子供に一番安全なルートをひいておいてあげよう、ということなのだと思います。きっと子供さんも、そのルートに従って学校に通うのでしょう。しかし、ある時に、絶対、「自分の意思」というものが出てきます。自分は大学院には行かないで、就職したいですとか。
また、ルートから外れてしまった時が一番怖いなと思います。お友達は誰を責めるのでしょう・・・ルートをひいた自分を責めるのかもしれません、もしかしたらお子さんを、留学までさせたのに、と責めるのかもしれません・・・
産まれてくるときは、ただ無事に産まれてきてほしいと、そう願っていたはず。産まれてきたときは純粋に愛されていたはず。それが、なぜこうなってしまうのか、不思議ですし、「愛」というもののあいまいさに、困惑しています。
子どもも、そして今の大人も「孤独」を抱えている
私がココトモの活動や塾の仕事などを通して感じたこと。それは、とにかく、自分の「本音」を聞いてほしいということ。
今はインターネットで遠くにいても簡単につながることのできる時代。一見仲間なんてすぐにできそうな様子です。SNSのコミュニティに入れば同じ趣味の人を見つけることもできます。しかし、前にも書いた通り、ほとんどの人が、「否定されること」をすごく怖いと思っているのです。
仲間にはなったものの、友達がみんな同じアイドルを応援していると、本当は自分は違うメンバーが好きなのだけれど、「え?あの子のどこがいいの?○○クンに比べたら全然カッコよくないじゃん!演技もヘタじゃない?」などと言われてしまうのが怖く、よくわからないけれど、同じ子を応援したり。
親が塾に行って○○大学に入る勉強をしろと言われたので来たのだけれど、実は本当は専門学校でバンドを組んで音楽をやってみたい、でもそれは言えないから、勉強するしかない。
仲間がいる、親が学費を出してくれる、一見孤独では無いようですが、本音が話せる人というのはなかなかいないようです。
ここまで「子どもの貧困」から始まって、いろいろなケースを書いてきました。書いているうちに、貧困というのは、経済的な面だけでなく、精神的に貧困な状態もまた問題、そんな気がしています。私は貧困を救うのだと運動する体力も、それだけの知識もないですし、どうやったら解決するのか、具体的な方法もわかりません。
でも何かがおかしいのかな?どこでこうなってしまったのかな?そんなことをぼーっと考えながら生活しています。
ひとつ、言えること。「夢は言わないと叶わない」
いくら心の中で空想にふけっていても、チャンスというものはなかなかあるものではないので、それまでに、「私は何がしたいんだ」といろいろな度に周りの人に言っておくこと、とても大切だと思います。もしかしたら、知り合いで今ちょうどやりたいという人を探しているよという声がかかるかもしれないです。
それから、「夢が叶ったかどうかは、自分が決めること」
例えば、歌手になりたいという夢があったとして、実際にライブなどに出る機会があるかもしれません。しかし、それが自分の歌いたい歌ではなかったら、夢は叶ったとはいえない気がします。逆に、裏方でも、歌手の人をサポートすることに生きがいを感じたら、夢は叶ったのではないでしょうか?
私は今までいろいろなお店で仕事をしてきました。パンもチョコも売ったし、お花屋さんになりたいと思った時もありました。
今の私は何屋さんになりたいか。夢を売るお店屋さんになりたいです。お店の中にたくさんの夢が並べてあって、この夢、いいですよ!おすすめです(^^)どんな夢をお探しですか?お取り寄せも可能です☆そんなお店を開きたいな。
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