那津の日記『ちょっと早起きしたから過去の面白い話』

先月の話。
帰る時、昇降口の階段を降りた先で、Cちゃんと一緒にA君を待っていた。部活終わりだ。
Cちゃんは寒いのに半袖。どうやら、部活で手を洗うときにジャージの袖を濡らしてしまったようだ。寒っ。見てるだけで寒い。
僕はCちゃんのジャージを奪い去った。さっきから横でバサバサと振って乾かそうとしているから、手伝ってやろうと思ったのだ。
「ちょっと那津ちゃん!?」
急にジャージを取られたことに驚いたのか、Cちゃんが大きな声を出した。僕は構わずにジャージを振る。バッサバサ。
だが、頭の中で考えていたほど簡単なことではなかったようだ。ジャージの襟元を掴んで振るだけのこと。それだけのことなのに、襟を掴むとジャージは重く、ジャージの裾が足に当たる始末。寒いから痛いのか、当たってるから痛いのかわからなくなってきた。
僕は痛む足を抑えながら、あることを思いついた。Cちゃんはノリが良いからやってくれるだろう。
「Cちゃん!」
僕はCちゃんを呼び、体の左脇にジャージをヒラヒラさせる。両手で持って。これ、闘牛の構え。
Cちゃんはすぐさま頭に指で2本の角を生やし、ジャージに突っ込んできた。僕はそれをジャージをひらっとさせて避ける。避けたあとだった。
「いや、なんで急に闘牛!?」
Cちゃんからツッコミが飛んできた。
それはそう。
頭は冷静だった。だけど、もうちょっとふざけたかった。この時間を楽しめるくらいには。
「ちょっとこれ持ってて。」
僕は持っていたミニ手提げバッグをCちゃんに預けた。そして、何が起こるかわかっていないCちゃんが持っている僕のミニ手提げバッグの上に、ジャージをかける。
「3・2・1?」
僕はその状態のまま、カウントダウンをかける。Cちゃんは
「え? え?」
と言っていたが、僕が数え終えるまでには手提げバッグを持った手ごと体の後ろに隠した。
「あら、なんということでしょう!」
僕はジャージを下ろす。そして、ミニ手提げバッグがCちゃんの体の後ろにあることを確認して大げさな声を出した。周りにはまだ十数人の人がそれぞれ帰ろうとしている。
那津  「もう一度被せると〜?」
Cちゃん「出てきちゃうんですねぇ。」
こんなやり取りを2,3回やった。校門のそばにいた男の先生に、
「何をしてるのかな、2人とも?」
と聞かれたので、真面目に
「闘牛ショーとマジックショーです!」
と答えた。真面目だったのに笑われた。解せぬ。僕とCちゃんは顔を見合わせて笑った。楽しかった。
そんなことをしているうち、A君が出てきた。
「遅いよ〜。」
「そっちこそ何してたのさ。」
文句を言ったら質問が返ってくる。別に何してたっていいだろっ!
僕達は3人揃って校門を出る。
「帰り道で闘牛ショーとマジックショーやらないでね〜。」
と言っている先生を後にして。僕達はまた顔を見合わせて笑った。だが、いま来たばかりのA君は、
「え? 闘牛? マジックショー? なにそれ。」
と当然の反応。帰り道はゆっくり歩きながらA君にそれを教えよう。ジャージをバッサバサとしている、Cちゃんと一緒に。

star今日よかったこと♪

・早起きできたぁっ!

favorite読んでくれた人へのメッセージ

朝早い投稿で、寝起きテンションもあると思うのですが僕の日記を読んでくれてありがとうございました。次回もお楽しみに。恐らく今日も面白いことがあると思うので、気が向いたらの投稿になりますが、是非! 小説家が夢なので、小説っぽくまとめています。
読んでくれた方の1日が、ちょっとでも楽しい時間に変わりますように。

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