フリューゲルの日記『人生の敗者』

地元に大きなコンデンサー工場がある
この世のすべての電子機器に使う部品であり、俺が生きている間は滅多なことがない限り潰れない大企業だ
そこでは24時間3交代で機械の面倒を見たり、顕微鏡で製品の検品をしたりする
目が見えて五体満足なら誰でもできる仕事だ
給与も高く福利厚生はバッチリ、社宅もあって衣食住すべてが揃っている
近くに住む外国人がそこでいっぱい働いていて、夜勤から帰ってくる人たちはみんなニコニコ、休日は高級外車を乗り回している
その工場で働けばおそらく一生何不自由ない生活が保障されている

なぜその人生を蹴るのか!!!!!!!!!!!
何が「自分にしかできないことがしたい」だ!!!!!!!!!!!!!!

表現者になりたいと思った瞬間、人生を捨てているのだ
芸術なんかこの現代では何の価値もない
俺が死んでも、何も残らないし誰も覚えてなんかいない、それが現代の芸術家の顛末だ
工場で何億と作られるコンデンサーのほうがよっぽど世の中の役に立っている
自分の価値観を世の中に合わせられないなら、社会に居場所なんてどこにもない
手前にしかできない事なんかありはしない

本当なら今すぐ家に火を放ち、命を絶ちたいところだが、家族が同居しているので(なんなら家は自分のものじゃないので)それができない

俺は今、猛烈に「怒っている」
怒りは「自分ではどうすることもできない無力さ」を悟ったとき現れる感情だ
約束された幸せを捨てて、非合理な価値観に縛られていることをわかっているにも関わらず、それを変えることができないやり場のない怒りだ
誰もこの怒りを消すことはできない
「バカは死ななきゃ治らない」とはよくぞ言ったものだ

俺は人生をどぶに捨てた
俺には翼なんてなかった

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