ブーの日記『詩『翼』』
visibility123 edit2023.11.19

自殺を知る度 思うんだ
僕はその都度考える
「この世に命(せい)を授(う)けた者。それは哀しい性(さが)なのか?」
死の呪縛に囚われし 憐れで微細な生命は
終点定まる電車の様に
レールに沿って 生きなさい
そうある様に教えられ
そうある事が正しいと
器を作られ 零れた僕は
どうやって生きれば良い?
「有りのままで、良いんだよ」
隣りに寄り添う君は言う
だけど それじゃあ無理なんだ
演じる僕が必要で
それが嫌で 耐えられない
分かった風な顔をして
安易な言葉を掛けるなよ!
僕は君とは違うんだ
優しいフリは止めてくれっ!
「……ううん、やっぱり一緒だよ」
肢体を包む布地を取り去り
魅惑な彼女にあるモノは
僕が刻んだ無数な痕と
同じで 馴染みが深い色
「……なんだ、君も“ハズレ”たの」
彼女の身体に刻まれた
レールを外したその刻印(あかし)
僕は静かにそっと撫で
彼女が差し出す手を握る
そして今――飛び立った!
ああ、なんと清々しい……
二人で創った翼を広げて
今日こそレールを越えるんだ!
「……うん!」
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