質問のポイント
相談者さんに安心して悩みを話していただくためには、質問がとても重要です。
質問で大切なことは、相手の話したいことを相手のペースで聞いてあげることです。
良い質問ができると相談者さんからお返事が届きやすくなります。
逆に、質問がない場合や質問が適切ではない場合は、相談者さんからお返事が届きづらくなります。
ここでは、適切な質問のポイントをお伝えします(*´`)
1. 質問が大切な理由
①質問は「あなたに関心があります」と伝える手段
質問は、相手の話を引き出すだけでなく、「あなたのことをもっと知りたい」「あなたの存在を大切にしている」という気持ちを伝える手段になります。
そのときどんな気持ちを感じたか聞いても良いですか?
もし良ければ〇〇についてもっと教えていただけませんか?
適切な質問は、相手の心に優しく触れ、相手への関心を伝えることができます。
ココトモでは、第一に「相談者さんに関心を持つこと」を大切にしている(*)ため、ぜひ積極的に質問をしてあげてください。それが、相談者さんと友達になる第一歩です(*´`)
②質問は「語っても大丈夫」という安心を生む
相談者さんの多くは「自分の話を聞いてもらうの申し訳ないな…」「ちゃんと受け止めてもらえるかな…」など、さまざまな不安を抱えています。
とてもつらかったですよね…。
話せる範囲で構わないので〇〇についてお聞きしたいです。
親にそんなことを言われたら私だったら〇〇って感じてしまうかもです…。
△△さんはどんなふうに感じたのかな?と気になりました。
こうした柔らかい問いかけをすることで、相談者さんに「語っても大丈夫」という安心が生まれ、少しずつ心を開いてもらうことができます(*´`)
③受け身すぎると「興味なさそう」に見えてしまう
傾聴のつもりで「うんうん」「そうだよね」「〇〇だったんだね」とだけ返していると、人間味が感じられなかったり、「この人、本当に話を聞いてるのかな?」と不安に感じさせたりしてしまいます。
質問は、語れなかった想いを語らせてあげるための能動的な手段になるため、ぜひこちらから質問をしてあげてください(*´`)
2. 適切な質問のポイント
適切な質問とは、相手の話したいことを相手のペースで聞いてあげることです。
そのような質問は、共通して以下5つのポイントをすべて満たしています。
- ◆5つのポイント
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- 相談内容にある悩みをきちんと拾う
- 事柄ではなく気持ちを聞く
- 必ず共感とセットで聞く
- なぜ、どうして、は使い方に気を付ける
- 相手のペースに合わせて聞く
①相談内容にある悩みをきちんと拾う
ココトモでは相談者さんが相談内容を記載してくれた状態からやり取りがスタートします。
相談内容を読み、相談者さんが抱えている悩みや気持ちを想像し、特につらいと感じているであろう悩みについて質問を投げかけることが大切です。
こちらから質問してあげることで、相談者さんは相談内容に書ききれなかった悩みや気持ちを安心してお話することができます。
- ◆ワンポイントアドバイス
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はじめは相談内容に書かれている言葉をそのまま拾い、質問すると良いでしょう。
※具体例は後述する参考動画を参照ください
慣れてきたら、相談者さんの気持ちを想像して自分なりに感じたことをベースに質問してみてください。
②事柄ではなく気持ちを聞く
気持ちは、吐き出すことで軽くなります。
事柄や状況について聞けば聞くほど、答える側は気持ちを吐き出すのではなく説明をするだけの返答になってしまいます。
- ◆事柄や状況についての質問例(特に初回では注意)
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- それはいつのことですか?
- 普段は何をして過ごしていますか?
- スクールカウンセラーには相談しましたか?
このような質問では、相談者さんが気持ちを吐き出すことができません。
相談者さんが語れなかった気持ちを語れるように、基本的には気持ちを聞いてあげることが好ましいです。
- ◆参考情報:深刻な相談の場合は例外
-
深刻な相談の場合、相談者さんが気持ちに直面できる状態ではないことがあるため、気持ちを聞きすぎないことも大切です。
(例:トラウマを抱えている方に当時の気持ちを語らせてしまうと再体験のリスクがある)
そういったケースでは、あえて答えやすい事柄から聞いてみたり、やや漠然とした気持ちの聞き方(例:「相談内容を書かれてみて、どんな気持ちが沸きましたか?」)をしてみたりするのも良いです。
③必ず共感とセットで聞く
相談者さんは「つらい…」「誰かに聞いてほしい…」と思って、相談を寄せてくれています。
その気持ちに寄り添うことなく質問を急いでしまうと、相談者さんは気持ちを置き去りにされたように感じてしまいます。
質問をする際には必ず、まずは相手の気持ちを受け止め、そして共感の言葉を添えてあげてください。
〇〇だったんですね。(受け止める)
それはすごくつらかったですよね…。(共感の言葉を届ける)
もし無理がなければ、そのときどんな気持ちだったか聞かせてもらえると嬉しいです。
共感の言葉があることで、「気持ちをわかろうとしてくれてる」「自分の味方だ」と感じてもらいやすくなります。
④なぜ、どうして、は使い方に気を付ける
相手の悩みの背景が気になると「なぜ」「どうして」という言葉を使ってしまうことがありますが、これらの言葉は相手を責めている印象を与えてしまいやすいです。
たとえば学校に行けなくて悩んでいる方にたいして。
なぜ学校に行けなくなったのですか?
このように聞いてしまうと、他意が無くても相手を傷つけてしまうかもしれません。
学校に行けなくなったとき、どんな不安や気持ちが沸いたか聞いても良いですか?
あくまで一例ですが、このように柔らかい言葉に言い換えるだけで受け取り側の印象は変わります。
なぜやどうしてという質問の意図は「相手の気持ちや背景を知りたい」なので、意図そのものは大切にしたまま、相談者さんの受け取りやすい言葉に変えてあげると安心してもらえます。
⑤相手のペースで聞く
ココトモに訪れる相談者さんは、悩みの解決だけではなく、友達という繋がりを求めて相談してくれていることが多いです。
そのため、こちらのペースで解決を急いだり聞きたいことを聞いたりするのではなく、相手のペースや要望に合わせてお話を聞く姿勢を大切にしてあげてください。
- ◆相手のペースで聞くポイント!
-
1.相手の要望に合わせた質問を意識する
例:要望が「提案はしっかり話を聞いてから」の場合、ゆっくり深堀りしていく
2.相手の文章量をふまえ、負担にならない範囲の質問内容にする
例:文章が短い相手ならオープンクエスチョンは一度に1つまでにする
3.回答は無理ない範囲で良いことを伝える
例:「答えられるものだけ答えていただければ大丈夫です」と添える
無理に心を開こうとするのではなく「関わりの中で気づいたら自然と心が開いていた」と感じるようなペースで質問ができると、相談者さんは安心して色々なことをお話してくれるようになります。
3. 参考動画
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- 相談マニュアル参考文献
-
- 孤独の本質 つながりの力
- 技法以前
- 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら
- ふつうの相談
- 聞く技術 聞いてもらう技術
- 居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書
- 当事者主動サービスで学ぶピアサポート
- 精神障がいピアサポーター
- ピアスタッフとして働くヒント
- 人を助けるということ
- 臨床心理学の倫理を学ぶ
- カウンセラー 専門家としての条件
- 精神分析における境界侵犯 臨床家が守るべき一線
- 傾聴の基本
- ケアする人の対話スキルABCD
- 「死にたい」に現場で向き合う 自殺予防の最前線
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- インターネットは自殺を防げるか ウェブコミュニティの臨床心理学とその実践
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