相談者と友達になる心構え

相談員と相談者は最初は友達ではありません。
信頼関係もできていないうちに友達のように接した場合、逆に相談者を不快にしたり傷つけたりしてしまうことが多くあります。

そのため、まずは相談者と友達になる必要があります。
ここでは相談者と友達になるための5つの心構えをお伝えします。

①関心を持つ

大前提となる心構えは、相手に関心を持つことです。

人は自分に向けられる感情を簡単に察します。
相手が本当に自分のことを心から気にかけているのか、それとも、面倒なやつだなと思いながら優しい言葉をかけているだけなのか、などは言葉の節々や返信頻度から簡単に察してしまうものです。

「この相談員は自分のことを心から気にかけてくれていない」と相談者が感じた瞬間、それ以上心を開いてくれなくなり、心のケアは失敗します。

相談員がまずはじめに身につけないといけないのはテクニックではなく、相談者にたいして自然で誠実な関心を持つことです。

②丁寧に聞く

相談者は、自分の感情を否定されないか不安があったり、混乱していたり、本当は何に悩んでいるのか自分でも気づいていなかったり、さまざまな理由から悩みのすべてを相談内容に書けていないことが多いです。

つまり最初の相談内容は、悩みの表面的な一部にしか過ぎません。
その表面だけを見て分かったつもりになって助言をしたところで、的外れであるか、あるいは、浅い部分だけをケアして終わってしまいます。
(実際、すぐに助言した場合は相談者からの返答率が低いことが分かっています)

助言よりも質問をすること。
質問をすることで相談者のことを深く理解できるだけでなく、相談者が安心して気持ちを吐き出せたり、気にかけてもらえていることを感じて孤独が癒えたりします。

ゆっくり1つずつ話を聞いていくこと。
一気に相手のすべてを知ろうとするのではなく、時間を共にしながらゆっくり1つずつ丁寧に話を聞いていくことで相手も無理なく心を開けることが多いです。

相手の物語を理解しようと心がけること。
相談者の悩みの背景にある人生の物語を聞くという視点を持って接してみると、自然とたくさん聞きたいことが出てくるのではないでしょうか(*´`)

このような姿勢で話を聞いていくと、相談者への理解が深まり、相談者と友達に近づくことができます。

③主観的に共感する

共感とは、相手の立場になって相手の気持ちを理解しようとすることです。

心は一人ひとり違います。
いつまでも変わらない相談者を見て「もっと頑張ったらいいのに…」などと思うことがあるかもしれませんが、相談者からすれば自分なりに精一杯頑張ってそれでも変われない今があるので、まずは相談者の立場になって気持ちを理解しようとすることが大切です。

共感がなければ相手は心を開いてくれません。

相談者と友達になるために必ず共感を心がけてください(*´`)

ココトモが大切にしている共感

共感には種類があり、カウンセラーの共感と友達の共感は異なります。

カウンセラーの共感が「客観的な共感」であるのにたいして、友達の共感は「主観的な共感」だといえます。

ココトモが大切にしているのは主観的な共感です。

分かりやすい例でいうと、相談者が泣いているときに友達であれば相手の気持ちを想像して一緒に泣いてしまうことがありますが、カウンセラーは一緒に泣くことはありません。

なぜかというと、カウンセラーは共感することと同時に客観的に相談者の心理状態を捉えることも大切にしているからです。また、相談者の感情に巻き込まれないために境界線を大切にしている側面もあります。

それにたいして、友達というのは客観性や境界線を考えながら接するのではなく主観的に接するのが自然なので、ココトモでは相談者と一緒に涙してしまうような主観的な共感を大切にしています。

どちらの共感が良い悪いという話ではなく、ココトモは主観的な共感を大切にしているという話です(*´`)

※友達は主観的ゆえに感情に巻き込まれすぎてしまうデメリットがあるため、ココトモではデメリットを補うためのサポート体制を整えています

ケアにおける共感の土台は、病いをかかえた人たちの現実を自分事としてリアリティをもって想像し、痛むことのできる力の大切さである。
当事者の現実から距離をとることではなく、むしろその中に降りていき、つらい現実にともにたたずみ、ともに「弱くなる」ことなのである。

向谷地 生良『技法以前』より

④自己開示をする

友達とは、対等かつ双方向の繋がりです。
そのためココトモでは相談員も必要に応じて自己開示することを大切にしています。

お互いの共通項が見つかることで仲も深まります(*´`)

とはいえ相談者の気持ちが塞がっている状態から関わりがスタートするため、まずは相談と関係のない話や自慢と受け取られる可能性がある話は避け、相談者の悩みに共感するための自己開示から心がけましょう。

たとえば「私も過去にそういうことあったよ。本当つらいよね。。。」などのように相手の相談と重なる経験を伝えてあげると、相談者の安心に繋がるだけでなく仲も深まります。

尚、相談者の中には孤独や寂しさから話し相手を求めている方もいます。
そういったニーズが分かった後であれば、相談と関係ない内容でも自由にお互いのことを話していただいて大丈夫です(*´`)

⑤相手の意思を尊重する

友達という対等な関係性を築くためには、自分の考えや意見を押し付けるのではなく、必ず相手の意思を尊重することが大切です。

相談者の意思を尊重すると「相談者との間に信頼関係が生まれる」「相談者が自分の問題に主体的に取り組むようになる」などの良い効果が生まれることが分かっています。

意見を伝えるときには、あくまで参考情報の1つとして伝えましょう。
提案をするときには、1つではなく複数の選択肢を伝えてあげるとより良いです。

もし自分の意見や提案が受け入れられなかったとしても、友達として相手の決定を応援してあげましょう(*´`)

相談マニュアル参考文献
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