マサの日記『夢日記』

大阪府甲内市。
国道を抜けて高速道路へと差しかかる手前、甲内市12-7の一角に、忘れ去られた地下鉄跡の入り口がある。地図には載っていない。だが、確かにそこに存在している。

廃墟へ向かう途中、鉄道橋の上に放置された電車が目に入った。
10両ほど連結された在来線が、錆びついた鉄の骨格を晒しながら、橋の上で風に吹かれていた。
車体は色を失い、窓は割れ、内部には草が生えている。
まるで時間が止まったかのような光景だった。

なぜこの鉄道が廃墟となったのか。
それは、かつて甲内市が「交通をさらに便利に」というスローガンのもと、民衆大移動プロジェクトに乗り出した時代に遡る。
地下鉄鉄道橋は、街を縦横に貫く未来の象徴として建設された。
甲内市は一時期、鉄道橋が張り巡らされたミセズレイニアスな都市として名を馳せた。

だが、技術はさらに進化し、都市は別の方向へと変貌した。
鉄道橋は時代に取り残され、解体には莫大な費用がかかるため放置され、景観を損なうだけの存在となった。
今では、誰も近づかない廃墟として、静かに朽ちている。

繁華街を抜け、鉄道橋の下にある地下ホームへと向かう。
入口は鉄柵で封鎖されていたが、鍵は壊れていた。
立ち入りは自己責任。
じいちゃんとばあちゃんに頼み込み、車で連れて行ってもらった。

到着すると、すでに先客がいた。
廃墟巡りのベテランらしきおじさんだった。
「ここ、来るの初めて?」と声をかけられ、初めてだと答える。
「この廃墟鉄道、どこまで続いてるんですか?」と尋ねると、
「端の山まで地下で繋がってるよ」とおじさんは言った。

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが弾けた。
興奮と恐怖が混ざり合い、心臓が早鐘のように打ち始める。
廃墟に潜る準備を始める。

ライトは持った。靴下は脱いで、濡れてもいいように長靴を履く。
背中のリュックには水と非常食。
だが、何よりも必要なのは、好奇心と覚悟だった。

地下へと続く階段は、苔に覆われ、湿った空気が漂っていた。
一歩踏み出すたびに、過去の残響が足元から立ち上る。
誰もいないはずの空間で、誰かの気配がする。

いよいよ、廃墟の中へと足を踏み入れる。

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