がんサバイバー会・患者会完全ガイド|種類・探し方・乳がん/血液がん/小児がんの代表的団体と活動内容

がんサバイバー会・患者会完全ガイド|種類・探し方・乳がん/血液がん/小児がんの代表的団体と活動内容

「乳がんの手術が終わり、家族には心配かけたくなくて、同じ経験をした人と話したい」
「血液がんの治療が長引き、自分だけが取り残されている気がする」
「子どものがん治療を終えて10年、今になって『あの時のこと』を話せる場が欲しい」

がんは、国立がん研究センターのデータによると、日本人の生涯で2人に1人が罹患する病気です。5年相対生存率は全がん平均でおよそ66%(国立がん研究センター2014〜15年診断例)にまで改善し、いまや「治る病気」「長く付き合う病気」へと姿を変えつつあります。そのなかで生まれてきたのが、「がんサバイバー」という言葉と、同じがんを経験した人どうしが集まる患者会・サバイバー会です。

医師や看護師には伝わりきらない「治療後の倦怠感」「術後のボディイメージ」「再発の不安」「家計と仕事の両立」——そんな声を、同じ経験をしてきた仲間どうしで分かち合える場が、全国に数えきれないほど存在しています。乳がんの「あけぼの会」、血液がんの「グループ・ネクサス・ジャパン」、AYA世代を支える「CSRプロジェクト」など、長年にわたり患者の声を社会に届けてきた団体も少なくありません。

この記事では、ココトモが医療系ボランティアや遺族支援の現場で出会ってきたサバイバーの方々の声をもとに、患者会の歴史・がん種別の代表団体・参加のステップ・選び方の注意点まで、公的情報をベースに丁寧にまとめました。「治療法を勧められる場ではないか」「宗教やビジネスに誘われないか」といった不安にもしっかり向き合っています。

📌 この記事でわかること

  • がん患者会・サバイバー会とは何か——個別のピアサポートとの違い(集団による継続支援)
  • 1980年代の患者運動から現在の第4期がん対策推進基本計画(2023〜2028年度)に至る日本の患者会の歴史
  • がん種別の代表的団体6つ——日本対がん協会/あけぼの会(乳がん)/グループ・ネクサス・ジャパン(血液がん)/小児がん経験者の会/CSRプロジェクト(AYA世代)/がん遺族の会
  • 患者会の主な活動5タイプと、参加の5ステップ(情報収集→見学→初参加→継続→運営側へ)
  • AYA世代(15〜39歳)がん患者会の独自性と、サバイバーシップ・ケアという考え方
  • 患者会選び5つのポイントと、避けるべき5つの失敗(治療法推奨・自己責任論・宗教勧誘など)

がん患者会・サバイバー会とは|ピアサポートとの違い

がん患者会・サバイバー会とは、同じがんを経験した本人・家族・遺族が、継続的に集まって交流・情報交換・社会発信を行う集団のことです。1人対1人のピアサポート(個別支援)とは別の役割を持ち、「グループとしての場の力」を活かす点が特徴です。

個別ピアサポートと集団としての患者会の違い

どちらも「同じ経験をした仲間どうしの支え合い」という根は共通ですが、活動の形が異なります。下表は両者の違いを整理したものです。

項目 個別ピアサポート 患者会・サバイバー会(集団)
関わり方 1対1(電話・面談・オンライン) 集団(交流会・例会・合宿)
主な目的 不安への即応・診断直後の伴走 継続的なつながり・社会発信・政策提言
運営主体 病院・がん相談支援センター・NPO 当事者・家族・遺族が中心の会
頻度の目安 必要なときに単発・短期 月1回〜数か月に1回・継続
合う人の例 診断直後で具体的な不安が強い人 治療後・経過観察期に「長く話せる場」を求める人

どちらが上ということではなく、「時期や状況によって使い分ける」ものです。診断直後はピアサポートで個別に話を聴いてもらい、治療が落ち着いてきたら患者会で同じ立場の仲間と継続的につながる——という流れが、現場ではよく見られます。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センター」公開情報/厚生労働省「第4期がん対策推進基本計画」(2023年度〜2028年度)

日本のがん患者会の歴史|1980年代の患者運動から現在まで

日本のがん患者会の流れは、おおむね4つの時期に分けて捉えると見通しやすくなります。

第1期(1970年代後半〜1980年代)|本人による声あげの始まり

日本で「がん」という言葉を本人に告知しない時代から、患者会の歴史は静かに始まっています。1978年に乳がん体験者を中心に設立された「あけぼの会」は、その代表例です。「自分のがんを語ること自体がタブー」だった時代に、本人が顔と名前を出して発信を始めたことが、現在の患者運動の起点になりました。

第2期(1990年代)|がん種別団体の広がりと告知の浸透

1990年代に入ると、血液がん・大腸がん・前立腺がん・卵巣がんなど、がん種別の団体が次々と立ち上がります。同時期にインフォームド・コンセント(説明と同意)の考え方が広まり、「本人にきちんと告知する」ことが一般化するにつれて、当事者どうしのつながりへのニーズが急速に高まりました。

第3期(2007年〜)|がん対策基本法と政策参加

2006年にがん対策基本法が成立し、2007年から施行されました。この法律で「がん患者の意見を施策に反映する」ことが明記されたことで、患者会は単なる交流の場から、医療政策に意見を届ける主体へと位置づけが大きく変わりました。各都道府県のがん対策推進協議会には、患者・家族・遺族の委員が参画する仕組みが整っていきます。

第4期(2023年〜)|第4期がん対策推進基本計画とサバイバーシップ

現在進行中の「第4期がん対策推進基本計画」(2023年度〜2028年度)では、「誰一人取り残さないがん対策」を旗印に、AYA世代・働く世代・小児がん・希少がん・難治がんへの支援強化、就労支援、サバイバーシップ・ケアの推進が打ち出されています。この流れと連動して、AYA世代や難治がんの患者会、オンライン中心のサバイバーコミュニティが急速に育っています。

出典:厚生労働省「がん対策基本法」(2006年成立/2007年施行)/同「第4期がん対策推進基本計画」(2023年3月閣議決定)/日本対がん協会・あけぼの会 公開資料

がん種別の代表的団体6つ|活動内容と特徴

日本には100以上のがん患者団体が存在するとされ、全体像を一度に把握するのは困難です。ここでは、活動歴・規模・社会的認知のいずれの観点でも代表的な6団体を紹介します。最新の連絡先や行事は各団体公式サイトでご確認ください

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① 公益財団法人 日本対がん協会

1958年設立。患者会そのものではないが、患者団体への助成・がん相談ホットライン・がん経験者によるピア相談・社会啓発を担う日本のがん啓発の中心団体。患者会の入り口情報の集約地として機能

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② あけぼの会(乳がん)

1978年設立、日本最古級の乳がん患者団体。「乳がんを語る」文化を切り拓いてきた先駆者。全国に支部があり、術後の心身ケア・ボディイメージ・家族関係まで幅広く扱う

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③ グループ・ネクサス・ジャパン(血液がん)

悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫など血液がん患者・家族の全国組織。長期治療・造血幹細胞移植を含む経過の長さに特化したサポートと、医療提言で知られる

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④ 小児がん経験者の会

小児期に治療を終えた本人による経験者の会が全国に複数存在。長期フォローアップ・晩期合併症・就学就労・きょうだい児の支援など、小児がん特有の課題に取り組む

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⑤ CSRプロジェクト(AYA世代)

15〜39歳で発症するAYA世代を対象に、就労・恋愛・結婚・妊孕性(妊娠する力)・学業など同世代特有の課題に焦点を当てる若いサバイバーコミュニティ。SNS・オンラインイベント中心

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⑥ がん遺族の会

家族をがんで亡くした遺族どうしが、悲嘆(グリーフ)を分かち合う場。病院・ホスピス・地域のNPO・宗教団体系など運営主体は多様。詳しくは遺族会・グリーフケアを参照

上記のほかにも、大腸がん・前立腺がん・卵巣がん・肺がん・膵がん・脳腫瘍・希少がんなど、各がん種に特化した団体が存在します。国立がん研究センターの「がん情報サービス」には患者団体検索ページがあり、まずはここで地域・がん種別に絞り込んで一覧を眺めるのが定石です。

出典:日本対がん協会/あけぼの会/グループ・ネクサス・ジャパン/CSRプロジェクト 各公式サイト/国立がん研究センター「がん情報サービス」患者団体検索

患者会の主な活動5タイプ|何をしている集まりか

一口に「患者会」といっても、その活動は団体によって大きく異なります。多くの会は、以下の5タイプを組み合わせて運営されています。

① 交流会・おしゃべり会

最も基本となる活動。月1〜数か月に1回、お茶を飲みながら近況や悩みを語り合う。テーマを決めず自由に話す会、初回参加者の自己紹介を歓迎する会、少人数で深く語る会など、運営スタイルはさまざま

📚

② 情報交換・学習会

医師・看護師・薬剤師・社会保険労務士などを招いた勉強会。最新の治療・副作用ケア・高額療養費制度・就労支援・年金など、自分のがんに関する知識を当事者目線で更新する場

🤝

③ 患者支援・電話相談

経験者が同じ立場の患者・家族の電話相談・面談に応じる。病院のがん相談支援センターと連携してピア相談員を派遣する団体もある。詳しくはがんピアサポートを参照

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④ 医療政策への提言

がん対策推進協議会への委員参画、厚労省・自治体への要望提出、保険適用拡大の働きかけなど。当事者の声を政策に反映させる活動。複数団体が連携する全国がん患者団体連合会のような場もある

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⑤ 社会啓発・広報活動

ピンクリボン(乳がん)・オレンジリボン(小児がん)・ゴールドリボン(血液がん)など、シンボル運動を通じた検診促進・偏見軽減・寄付集めの活動。10月・2月など月単位でキャンペーンが集中する

どの活動に重きを置くかは団体ごとに違います。初参加の際は「この会は交流中心か、提言中心か」を見極めると、自分に合う居場所が見つかりやすくなります。

患者会への参加5ステップ|情報収集から運営側まで

「行ってみたいけれど、いきなり知らない人の輪に入るのは怖い」——これは多くの方が抱える感覚です。次の5ステップで、無理のないペースで関わっていきましょう。

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    ① 情報収集——病院のがん相談支援センターから

    まずは治療を受けている病院(または近隣のがん診療連携拠点病院)にある「がん相談支援センター」に相談を。地域とがん種に合った患者会の一覧、連絡先、開催予定を教えてくれます。国立がん研究センター「がん情報サービス」の患者団体検索も併用すると見落としが減ります。

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    ② 見学・体験参加

    気になる会が見つかったら、いきなり正会員にならず「見学だけ」「初回体験」の参加が可能か問い合わせます。多くの会は初回無料・体験歓迎の運営です。話さなくてOK、途中退席OKという会も多いので、メールや電話で事前に確認しておくと安心です。

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    ③ 初参加——「聴くだけ」から始める

    初回は自己紹介で詰まっても大丈夫です。「初めて来ました」「いまは聴くだけにさせてください」と一言伝えれば、ほとんどの会は受け入れてくれます。話の内容を外に漏らさない(守秘)が会の基本ルール。安全に話せる場かどうかは、参加してみてはじめて分かります。

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    ④ 継続参加——半年〜1年単位で

    合うと感じたら、半年〜1年を一区切りに継続してみます。同じメンバーと何度も会ううちに、安心して話せる関係ができます。一方、合わないと感じたら無理に続けないのも大切です。複数の会を比較してから一つに絞る方も少なくありません。

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    ⑤ 運営側へ——受付・記録から少しずつ

    数年続けると「自分も誰かを支えたい」という気持ちが芽生える方が多くいます。最初は受付・会計・記録・広報など、裏方の役割から関わるのが自然です。ピア相談員になるには別途研修が必要な場合もあります。詳しくはヘルパー・セラピー効果も参照。

AYA世代(15〜39歳)がん患者会の独自性

🌈 AYA世代とは

AYA(アヤ)世代とは「Adolescent and Young Adult」の略で、思春期・若年成人=おおむね15〜39歳のがん患者を指す国際的な概念です。日本では2018年の厚労省「がん対策推進基本計画(第3期)」で初めて明記され、現行の第4期計画でも引き続き重点領域に位置づけられています。

AYA世代特有の課題

  • 就学・就労への影響——進学、就職活動、初任給で住宅ローン、結婚直後の妊娠計画など、人生設計の「ど真ん中」で発症する
  • 妊孕性(にんようせい)の問題——治療によって妊娠する力が失われる可能性があり、治療開始前の卵子・精子・卵巣組織の凍結保存が選択肢になる
  • 恋愛・パートナー関係——同世代の友人が結婚・出産・キャリアを進めるなかでの孤立感が大きい
  • 同世代患者の少なさ——病棟・外来で同年代に会う機会が少なく、高齢の患者会に行っても話題が合わない
  • 晩期合併症のリスク——治療終了後、10年・20年・30年先に副作用が現れる可能性があり、長期フォローアップが不可欠

オンライン中心の若いコミュニティ

AYA世代の患者会は、地域開催型よりもオンライン(Zoom・SNS・Discord等)中心で発展しているのが特徴です。仕事・学校との両立、地理的制約、体調の波などを考えると、オンラインのほうが圧倒的に参加しやすいためです。CSRプロジェクトをはじめ、複数のNPO・任意団体が活発に活動しており、Instagram・XなどのSNSでも当事者発信が広がっています。

出典:厚生労働省「第4期がん対策推進基本計画」AYA世代対策/国立がん研究センター 中央病院「AYAサポートチーム」公開資料

サバイバーシップ・ケアの考え方|治療後の長い人生を支える

サバイバーシップとは、米国で1985年に当事者運動から生まれた概念で、「がんと診断された時から始まり、人生の終わりまで続く、一人ひとりの生き方そのもの」と定義されます。日本でも2010年代以降に広がり、第4期がん対策推進基本計画では「サバイバーシップ支援」が明記されています。

サバイバーシップが扱う領域

  • 身体面——再発・転移の不安、晩期合併症、二次がん、リンパ浮腫、性機能、骨粗鬆症など
  • 心理面——治療後の喪失感、うつ・不安、再発恐怖、自己像の変化、外見の変化
  • 社会面——就労継続・復職、収入、住宅ローン・生命保険、進学、結婚、出産
  • 家族面——夫婦関係、子どもへの影響、きょうだい児、介護役割の逆転
  • 実存的領域——「これからどう生きるか」という人生観の見直し

長期フォローアップの重要性

治療が終わっても、定期的な検査(フォローアップ)は5年・10年と続きます。とくに小児がん経験者は、30年以上にわたる長期フォローアップが推奨され、晩期合併症の早期発見と対応が極めて重要です。患者会は、「医療の隙間で当事者が抱える長い時間」に寄り添う社会的インフラとして、サバイバーシップ・ケアの中心的な役割を担っています。

患者会の社会的役割|医療政策への影響

患者会は単に「集まって話す場」にとどまらず、医療政策の変革を担うアクターとして、日本のがん医療を動かしてきた歴史があります。

政策に届いた主な成果

  • がん対策基本法の成立(2006年)——患者団体・遺族団体が国会へ働きかけ、法律の成立を後押し
  • がん診療連携拠点病院制度——全国どこでも一定水準のがん医療を受けられる体制の整備に、患者の声が反映
  • がん相談支援センターの全国設置——相談機能の整備に当事者ニーズが反映
  • 就労支援の充実——両立支援コーディネーター、両立支援助成金など、働く世代向け制度の拡充
  • AYA世代・小児がんの妊孕性温存療法への保険・助成——若い世代の声が制度を動かした例

こうした成果はすべて、「当事者にしか語れないこと」を社会に届け続けた結果です。患者会に参加することは、一人ひとりが声を届けるネットワークに連なることでもあります。

出典:厚生労働省「がん対策基本法」(2006年成立)/全国がん患者団体連合会 公開情報

体験談|3人のサバイバーの物語

💬 乳がん術後の喪失感を、患者会で取り戻した(42歳・女性)

「30代後半で乳がんが見つかり、全摘手術を受けました。退院後は家族の前では『元気そう』に振る舞っていましたが、夜になると涙が止まらない日が続きました。がん相談支援センターで紹介された乳がん患者会のおしゃべり会に勇気を出して参加し、同じ手術を経験した先輩から『3年経つと笑える日が増えるよ』と言われた一言で救われました。今は5年目、今度は私が初参加の方の隣に座っています」(200字)

💬 血液がん長期治療の孤独を、オンライン患者会が変えた(55歳・男性)

「悪性リンパ腫の治療が2年近く続き、入退院を繰り返すなかで会社の同僚との会話も減り、孤独感が深まっていました。グループ・ネクサス・ジャパンの存在を主治医から教えてもらい、オンライン交流会に参加。同じ病名・同じ薬を使う方の経験談を聞けたことで、副作用への向き合い方も変わりました。『治療の長さ』を分かち合える場は、家族にも医師にも代われない場所だと実感しています」(200字)

💬 AYA世代として、SNSで仲間と出会った(28歳・女性)

「大学院在学中に卵巣がんが見つかり、就職活動と治療が同時進行する形になりました。地域の患者会に行ってみたものの平均年齢が60代で話題が合わず、しばらく落ち込んでいました。X(旧Twitter)でAYA世代のハッシュタグを見つけ、同世代の発信に救われ、CSRプロジェクトのオンラインイベントに参加。妊孕性・恋愛・就活など、同じ世代の悩みを話せる場の大切さを心から感じています」(200字)

患者会選びの5つのポイント|安心して参加するために

患者会の質は団体によって大きく異なります。なかには医療的・経済的に問題のある運営も存在するため、参加前に次の5点をチェックしておくと、トラブルを避けられます。

  • 運営の透明性——代表者の氏名・連絡先、会計報告、年間活動報告が公開されているか。NPO法人格の有無は必須ではないが、定款・規約が確認できることが望ましい
  • 特定の治療法を推奨していないか——「この健康食品でがんが消えた」「標準治療を否定するセミナー」などを案内する会は要注意。標準治療と補完代替医療を混同する場は避けるのが安全
  • 会の規模と雰囲気——大規模で社会発信中心の会、小規模で深く語る会、どちらが自分に合うか。初回見学で雰囲気を確かめる
  • 宗教色・政治色がないか——特定宗教団体や政党と密接な会もある。それ自体が悪いわけではないが、入会前に明示されているか、自分が違和感なく参加できるかを確認
  • 情報の更新頻度——ウェブサイト・SNS・会報誌が定期的に更新されているか。数年放置されている団体は実質休眠中の可能性がある

オンラインがんコミュニティ|SNSと専用プラットフォーム

対面の患者会と並んで、いま急速に存在感を増しているのがオンラインがんコミュニティです。地理的・身体的・時間的な制約を超えて、同じ病気の仲間とつながれることが最大のメリットです。

オンラインの主な選択肢

  • 既存患者会のオンライン化——コロナ禍を機に、ほぼすべての主要患者会がZoom等での交流会・学習会を開催
  • SNSのハッシュタグ・グループ——X・Instagram・FacebookグループなどでAYA世代・がん種別の発信が活発化
  • 専用プラットフォーム——海外発の「PatientsLikeMe」型のような、患者どうしが症状・治療データを共有するサービスも徐々に広がっている
  • オンラインピアサポート——病院や認定NPOが運営する、専門研修を受けたピア相談員によるオンライン相談

オンラインならではの注意点

便利な反面、運営者の素性が見えにくい・誤情報が拡散しやすい・治療法を勧める投稿が混ざるといった注意点もあります。SNSの個人発信は「経験談」として参考にする一方、治療判断は必ず主治医・がん相談支援センターと相談する原則を守ることが大切です。

ありがちな失敗5選|参加者として避けたいこと

患者会は安心安全な場である一方、参加する側のふるまいによってその場の雰囲気が壊れることもあります。がんピアサポートと共通する原則を、患者会の集団場面に当てはめると次のようになります。

  • ① 個人の治療体験で他者にアドバイスする——「私はこの薬で良くなったから、あなたも使ったら?」は厳禁。治療判断は本人と主治医の領域であり、経験者は「自分はこうだった」と語るだけで十分
  • ② 経験を比較・序列化する——「私のほうが大変だった」「あなたのステージならまだまし」など、つらさを比べる発言は信頼関係を壊す。それぞれの経験は比較できない固有のもの
  • ③ 自己責任論を持ち込む——「生活習慣が悪かったから」「ストレスが原因」など、本人の責任に帰す発言は避ける。がんの原因は多因子で、特定の生活が直接原因とは言えないことが多い
  • ④ 標準治療以外を強く勧める——健康食品・代替医療・自費治療などを会のなかで紹介・販売することは原則NG。経済的トラブルや信頼関係の破綻につながる
  • ⑤ 会で聞いた個人情報を外部に話す——名前・病名・職場・家族構成などの個人情報は会の外に持ち出さないのが鉄則。SNS投稿・職場での話題化も控える

よくある質問|がん患者会Q&A 10問

Q1. 患者会には誰でも参加できますか?

多くの患者会は本人・家族・遺族に開かれています。一部の会は本人限定(家族の同伴は別席)の場合もあるため、初回問い合わせ時に確認してください。会員資格・年会費の有無は団体ごとに異なります。

Q2. 費用はどのくらいかかりますか?

年会費は無料〜数千円程度が大半です。交流会の参加費は会場費・お茶代として500〜1,500円程度のことが多く、学習会で講師を招く場合は別途資料代がかかる場合もあります。初回見学は無料の会が多数派です。

Q3. 個別ピアサポートと患者会、どちらを選ぶべき?

診断直後・治療開始前の不安が強い時期は個別ピアサポート、治療が一段落して「同じ立場の仲間と継続的につながりたい」と感じてきたら患者会がおすすめです。両方を併用する方も多くいます。詳しくはがんピアサポートガイドと本記事の比較表をご覧ください。

Q4. 治療中で体力に自信がありません。参加できますか?

オンライン交流会なら自宅から横になりながら参加できます。対面参加でも、途中退席・遅参・早退OKの会が大半です。「体調が悪い日はキャンセル可」を方針に掲げる団体が多く、無理せず関われます。

Q5. 家族・遺族として参加してもいい?

本人の患者会のなかには家族向けセッションを併設する会もあり、また家族会・遺族会という独立した会も存在します。家族・遺族の悲しみや葛藤は本人とは別の重さがあり、独立した場で語ることが回復につながります。詳しくは遺族会・グリーフケアを参照。

Q6. AYA世代ですが、同世代だけの会はありますか?

はい、CSRプロジェクトなどAYA世代に特化した団体が複数あります。SNSのハッシュタグ検索(#AYA世代がん、#若年性がん等)からも仲間とつながれます。地域の患者会に同世代がいない場合は、オンライン中心の若いコミュニティを併用するのがおすすめです。

Q7. 「この治療をやめなさい」と言われたら?

標準治療を否定する発言が会のなかで強く出る場合は、その会への参加を見直したほうが安全です。経験者が「自分はこうだった」と語るのと「あなたも同じにすべき」と勧めるのはまったく違います。治療判断は必ず主治医と相談するのが原則です。

Q8. 患者会の情報はどこで探せばいいですか?

まずは治療を受けている病院(またはがん診療連携拠点病院)の「がん相談支援センター」へ。次に、国立がん研究センター「がん情報サービス」の患者団体検索、日本対がん協会の患者団体支援ページが入り口になります。地域の社会福祉協議会でも紹介してもらえる場合があります。

Q9. 患者会のなかで治療法を聞かれたら、答えていいですか?

「自分はこう治療した」と自分の体験を語ることは問題ありません。一方で「あなたもこうしたら?」と相手に勧める言い方は避けます。同じ病名でも病期・体質・併存疾患で適切な治療は人それぞれ。判断は主治医に委ねるのが原則です。

Q10. 自分が運営側になりたい場合は?

まず2〜3年は参加者として継続し、会の運営を肌で理解するのがおすすめです。そのうえで受付・会計・記録などの裏方から始め、ピア相談員になる場合は所定の研修(日本対がん協会・各団体・自治体主催)を受講します。新しい会を立ち上げる場合は、既存団体への加入や、NPO法人化のサポートを受けられる中間支援組織への相談も有効です。

あわせて読みたい|さらに深く知るために

参照元:厚生労働省「がん対策基本法・第4期がん対策推進基本計画」(2023年3月閣議決定、計画期間2023〜2028年度)/国立がん研究センター「がん情報サービス」患者団体検索・がん相談支援センター案内/公益財団法人 日本対がん協会あけぼの会(乳がん患者の会)/NPO法人 グループ・ネクサス・ジャパン(血液がん)/一般社団法人 CSRプロジェクト(AYA世代)/全国がん患者団体連合会 公開情報を参照(いずれも2026年5月時点。患者団体・連絡先・行事は変更されることがあるため、最新情報は各団体公式サイトでご確認ください)

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