認知症サポーター養成講座と活動ガイド|認知症カフェ・若年性支援・チームオレンジ
edit2026.04.24 visibility21
「祖父母が認知症になり、何かできないかと思った」
「会社のSDGs研修で『認知症サポーター』という言葉を初めて聞いた」
「母が若年性認知症と診断されたが、同じ立場の人とどうつながればいいのか分からない」
認知症は、もはや一部の家庭だけの出来事ではありません。厚生労働省の推計では、日本の65歳以上のうち認知症と軽度認知障害(MCI)を合わせるとおおむね4人に1人前後が該当するとされ、家族・職場・地域のいずれかで認知症のある方と接する機会は、すでにごく身近なものになっています。
そんななかで、国が2005年から続けている取り組みが「認知症サポーター養成講座」です。90分の講座を1回受けるだけで、誰もが「認知症の人と家族を支える応援者」として活動できる——そんな仕組みが日本全国で動いており、累計受講者は2024年度時点で2,000万人を超えたとされています(年度・集計時点により数字に差があります)。
この記事では、ココトモが就労支援・地域活動の現場で出会ってきたサポーターさんたちの声をもとに、養成講座の中身から、認知症カフェ・チームオレンジ・若年性認知症支援まで、「受講したあと、どう一歩を踏み出すか」を丁寧にまとめました。資格ではなく応援者として、ご自分のペースで関わる方法が見えてくるはずです。
📌 この記事でわかること
- 2005年にスタートした認知症サポーター養成講座の歴史と、累計2,000万人超の広がり(年度差あり)
- オレンジリングから「ロバ隊長」缶バッジへ変更された経緯と、資格ではなく「応援者」という位置づけ
- 講座で学ぶ認知症の種類・中核症状とBPSD・本人視点、地域と家族の接し方の基本
- 受講後に広がる6つの次のステップ——ステップアップ講座/チームオレンジ/認知症カフェ/若年性支援/見守りSOS/企業内講師補助
- 若年性認知症(18〜64歳発症)特有の課題(就労・子育て・家計)とボランティアにできること
- 現場で迷いやすい接し方10のコツと失敗パターン5選、よくある質問10問までを網羅
認知症サポーターとは|オレンジリングから始まる日本の仕組み
認知症サポーターとは、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、自分にできる範囲で手助けする「応援者」のことです。国家資格でも民間資格でもなく、「特別なことをする人」ではなく「まちの一員として認知症を知っている人」という位置づけが、日本独自の大きな特徴です。
2005年、厚生労働省の「キャンペーン」から始まった
この仕組みは、2005年に厚生労働省が打ち出した「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」キャンペーンの中核事業としてスタートしました。当時は「痴呆」から「認知症」へと呼称が変わった直後で、言葉の置き換えと同時に、社会全体で支える文化をつくるという狙いがありました。
運営は全国キャラバン・メイト連絡協議会(全国社会福祉協議会内に事務局)が担い、市町村・都道府県・企業・学校が実施主体となって、地域ごとにキャラバン・メイト(講師役)を養成し、そのメイトが一般市民向けに90分の養成講座を開く——この仕組みが全国に広がっていきました。
2024年度、累計受講者は2,000万人超へ
全国キャラバン・メイト連絡協議会の公開情報によると、認知症サポーターの累計受講者数は2024年度の集計時点で2,000万人を超えたとされています。これは日本の人口のおよそ6〜7人に1人にあたる規模で、世界でもトップクラスの広がりです。
ただし、この数字は年度・集計時点によって増減がありますので、本記事では「2024年時点でおおむね2,000万人台」という幅のある表記にとどめます。最新の数字は全国キャラバン・メイト連絡協議会のサイトで確認するのが確実です。
オレンジリングから「ロバ隊長」缶バッジへ
受講修了者のしるしとして、長く使われてきたのがオレンジ色のゴムリングでした。「オレンジ色は認知症支援のシンボル」という考えから、講座修了時に手首に着けて持ち帰るスタイルが広まり、サポーター=オレンジリングというイメージが定着しました。
しかし、近年は環境・衛生面の配慮、子どもが誤飲する恐れ、ゴムアレルギーなど複数の理由から、全国キャラバン・メイト連絡協議会はリングの配布を段階的に終了し、シンボルキャラクター「ロバ隊長」の缶バッジ・ステッカー・カードホルダーなどへと切り替わっています。自治体によってはオリジナルグッズを用意しているところもあり、「何を渡すか」は地域ごとに異なるのが現状です。
「資格」ではなく「応援者」——だからこそ続けやすい
ここが非常に大切なところですが、認知症サポーターは資格ではなく「応援者」です。合格・不合格はなく、登録料も更新料もありません。受講したから何かの義務を負うわけでもなく、講座を受けたうえで「自分にできる範囲で関わる」ことが前提です。
この「ゆるさ」こそが、2,000万人に広がった最大の理由と言えます。医療・介護の専門職だけでは支えきれない認知症の課題を、市民全員で少しずつ分担する——そのための共通言語が認知症サポーターという肩書きなのです。
出典:厚生労働省「認知症施策推進大綱」/全国キャラバン・メイト連絡協議会 公開情報/認知症介護研究・研修大府センター 公開資料
認知症サポーター養成講座の受け方|4つのルートと所要時間
認知症サポーター養成講座は、地域・職場・学校・オンラインなど、生活シーンに応じて複数のルートで受講できます。以下の流れで、ご自分にいちばん合う入り口を探してみてください。
-
1
① 市町村・自治体の認知症施策推進窓口を探す
もっとも一般的なルート。市区町村のウェブサイトで「認知症サポーター養成講座」「認知症施策」と検索すると、年間の開催日程が掲載されています。地域包括支援センター・社会福祉協議会・公民館が開催することも多く、先着順・無料で受講できます。
-
2
② 職場・学校での集合講座を申し込む
企業・学校・団体単位で、キャラバン・メイトを招いて開催するスタイル。10名以上から出張開催してくれる自治体が多く、「社員研修の一コマ」「修学旅行の事前学習」「PTA研修」として取り入れる企業・学校が増えています。CSR・SDGs(SDGs目標3・11・17と親和性が高い)の活動としても定番化しています。
-
3
③ オンライン講座の拡大を活用
新型コロナをきっかけに、オンライン開催の自治体・企業が一気に増えました。Zoomなどで全国どこからでも受講可能で、地方に住んでいる人や介護中で外出しづらい家族でも参加しやすくなりました。オンライン受講の場合も、修了グッズは郵送されるのが一般的です。
-
4
④ 講師役「キャラバン・メイト」の養成講座を受ける
さらに一歩踏み込みたい人は、講師役であるキャラバン・メイトの養成研修を受ける道もあります。医療・介護・福祉の経験者や、地域で継続的に活動する意欲のある人が対象で、1〜2日間の研修を修了すると、自分でサポーター養成講座を開くことができます。
-
5
⑤ 所要時間は約90分、費用は無料
1回の養成講座はおおむね90分、費用は原則無料です(教材費として実費負担が発生する場合あり)。講義スタイル+DVD視聴+簡単なロールプレイが基本構成で、予習は不要。小学生から高齢者まで、同じ教材をベースに受講できる設計になっています。
養成講座で学ぶ内容|90分で伝えたい「本人視点」
養成講座の教材は全国で共通の基本構成がありますが、キャラバン・メイトが地域事情に合わせてアレンジします。90分のなかで押さえる中心テーマは、大きく次の4つです。
- 認知症の種類を知る——アルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型の4大タイプ。それぞれ原因・症状・進行の仕方が違い、ひとくくりに「認知症」とは語れません。
- 中核症状とBPSD(行動・心理症状)の違い——記憶障害・見当識障害・理解判断力の低下などは「中核症状」、不安・焦燥・抑うつ・徘徊・妄想などは「BPSD」。BPSDは環境や接し方で軽減する余地が大きいことを知るのが重要です。
- 本人視点のエピソード——「記憶や能力が一気に失われていく」ではなく、「できなくなる順番があり、長い時間をかけて変化していく」という理解に置き換えます。ご本人が書かれた本や講演映像を紹介する講座も増えています。
- 地域・家族の接し方の基本3原則——①驚かせない、②急がせない、③自尊心を傷つけない。これは厚生労働省の教材でも一貫して示されてきた、もっとも大切な合い言葉です。
- 制度の入り口を知る——地域包括支援センター・介護保険・かかりつけ医・若年性認知症コールセンターなど、困ったときにまずどこへ相談すればいいかの地図を共有します。
- 身近な事例でロールプレイ——「コンビニでお金を何度も出そうとしている方」「同じ質問を繰り返す近所の方」など、具体的な場面でどう声をかけるかを一緒に考えます。
ポイントは、「症状を覚える」ことではなく「本人の気持ちを想像する」ことを中心に据えている点です。医学知識としての認知症ではなく、一人の生活者として認知症のある方と出会うための90分、と捉えると講座の姿勢が見えてきます。
サポーターになった後の次のステップ|6つの活動の入り口
講座を受け終えた瞬間、多くの人が感じるのが「で、次は何をすればいいの?」という戸惑いです。結論として、「必ず何かをしなければならない」というルールはありません。ただ、もう一歩踏み出したいという方のために、無理のない入り口を整理しました。
📘
① ステップアップ講座
自治体が主催する、サポーター受講済みの人向けの中級講座。接し方の応用・BPSDの背景・家族の心理・地域での声かけ演習など、より実践的なテーマを扱う。2〜4時間×数回の連続講座が多い
🤝
② チームオレンジへの参加
2024年度から本格展開が始まった、サポーター同士が本人・家族の困りごとに具体的な支援でつながる仕組み。市町村ごとに立ち上げが進み、散歩の同行・ゴミ出し見守り・買い物支援など「顔の見える支援」を担う
☕
③ 認知症カフェの運営ボランティア
本人・家族・地域住民・専門職が集う「オレンジカフェ」の運営スタッフ。受付・飲み物準備・話し相手・レクリエーション・片づけまで、無理のない役割で関わる。月1〜2回のペースが中心
🔎
⑤ 見守りSOSネットワーク
徘徊により行方不明となった認知症の方を、地域の力で早期発見する仕組み。メール配信の受信協力、見守り声かけ訓練への参加、警察・消防と連携した模擬捜索まで。地域防犯と親和性が高い
🏢
⑥ 企業内の講師補助
金融機関・交通機関・小売など、認知症のある方と接する機会が多い業種で、社内サポーター養成のアシスタントを担う。キャラバン・メイトの補助としてロールプレイ役や受付を担当する
認知症カフェ(オレンジカフェ)の現場|月1回、顔なじみの場
☕ 認知症カフェとは?
認知症カフェは、認知症のある本人・家族・地域住民・専門職(医療・介護・福祉)が、立場を越えて同じテーブルを囲む場です。2012年の厚生労働省「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を機に全国で広がり、2024年時点で全国におおむね8,000か所前後が常設・不定期に開催されているとされています(数字は年度・集計により差あり)。
名称は「オレンジカフェ」「みんなのカフェ」「ほっこりカフェ」など地域によって多彩で、統一されたブランドがあるわけではありません。
開催頻度は月1回、運営主体はさまざま
開催頻度は月1回・2時間前後が中心で、運営主体は地域包括支援センター・社会福祉協議会・NPO・介護事業所・医療機関・一般の有志グループと幅広いです。会場はカフェ・集会所・寺社・空き店舗・ショッピングモールの一角など、「ふらっと立ち寄れる場所」が重視されます。
本人・家族にとっては「同じ立場の人に会える場」、地域住民にとっては「認知症の人と自然に出会える場」、専門職にとっては「制度外で本音が聞ける場」という三方向の意味を持ちます。
ボランティアの具体的な役割
- 受付・名札づくり——初めて来た方への案内、常連さんとの再会を支える
- 喫茶の準備——コーヒー・紅茶・お菓子の用意、席への配膳、片づけ
- レクリエーション——歌・体操・手芸・回想法の素材づくり・写真の整理
- 話し相手——ご家族の愚痴や不安を聴く、ご本人とゆっくりお茶を飲む
- 記録・広報——当日の様子をまとめる、チラシづくり、地域回覧
いずれも「医療・介護の仕事」ではないことが重要です。専門職のサブとして振る舞うのではなく、「近所の顔なじみ」としてそこにいる——この立ち位置が、認知症カフェのボランティアの本質です。
参加費の相場と注意点
参加費は100〜500円程度が中心で、飲み物・お菓子代を兼ねている場合が多いです。完全無料の会もあります。ボランティア自身の飲食費は、運営側が用意する会もあれば自腹の会もあり、初回に問い合わせて確認するのが確実です。
写真撮影・SNS投稿は本人・家族の同意が取りにくく、原則として撮らない・上げないを徹底している会が多数派です。広報用に写真が必要な場合は、必ず事前に書面で同意を取る運用になっています。
若年性認知症(18〜64歳発症)の支援|働く世代ならではの課題
⚠️ 若年性認知症は高齢者認知症とまったく違う悩みを抱える
若年性認知症は18〜64歳で発症する認知症の総称で、日本国内の推計患者数は3〜4万人台とされています(推計年度により差あり)。高齢者認知症と根本的に違うのは、「働き盛り・子育て中・ローン支払い中」という生活ステージで発症する点です。
高齢者認知症とは違うポイント
- 就労継続の問題——診断後に仕事を続けられるか、辞めるか、配置転換か。会社側も対応マニュアルを持っていないことが多い
- 家計の直撃——住宅ローン・教育費・生命保険の見直しと、傷病手当金・障害年金・特定医療費制度などの申請が同時進行
- 子育て中の葛藤——「子どもに親の変化をどう伝えるか」「思春期の子が家で感じるストレス」は、高齢者認知症とは別の重みを持つ
- 本人・家族会の少なさ——高齢者向けと比べて同世代の集まりが少なく、孤立しやすい
- 介護保険の壁——40歳未満は介護保険の対象外。40〜64歳は特定疾病として対象となるが、対象外期間に制度の隙間に落ちる家族が多い
若年性認知症コールセンターを活用する
全国どこからでもフリーダイヤルで相談できる「若年性認知症コールセンター」を、認知症介護研究・研修大府センターが運営しています。平日の日中に専門相談員が対応し、就労継続・診断後の手続き・家族の葛藤まで、本人・家族のどちらからでも電話・メール相談が可能です。
また、各都道府県には「若年性認知症支援コーディネーター」が配置されており、就労支援・医療・介護・福祉・年金の多領域を横断的につなぐ役割を担っています。認知症サポーターとしては、「この制度があるよ」と本人・家族に橋をかけることが最大の貢献です。
ボランティアが果たせる役割
若年性認知症の支援ボランティアは、高齢者分野と比べてまだ人材が足りていません。具体的にできることは次のような活動です。
- 働く世代の本人・家族会の運営サポート(会場設営・託児・受付)
- 就労継続支援B型・A型事業所との連携イベントの広報・当日運営
- 子育て世代の家族向けイベント(親の認知症を子に伝える学び会)
- 「本人ミーティング」の記録・広報・SNS発信(本人の同意前提)
- 講演会・映画上映会の設営・受付・資料作成
社会人として働きながら関わりたい方は、社会人のボランティア入門と合わせてお読みください。平日夜・土日に月1〜2回から無理なく関われる設計が、いま全国で広がりつつあります。
接し方・声かけ10のコツ|明日から現場で使える
認知症のある方と接する際の基本は、厚生労働省の教材が長年伝えてきた「驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない」の3原則に尽きます。そのうえで、具体的に現場で役立つ10のコツを挙げます。
- 後ろから声をかけない——視界の外から急に話しかけると、驚きや恐怖につながります。正面から、目線を合わせるのが第一歩です。
- 短い文・具体的な言葉で——「あちら」「それ」などの指示代名詞は避け、「玄関のドア」「青いマグカップ」と具体名で伝えます。
- 訂正しない——「昨日会ったばかりでしょう」と正すのではなく、事実より感情を受け止めます。「そうでしたね」と一度受け止めるのが関係を守ります。
- 失敗を笑わない——コンビニで小銭を探すのに時間がかかっていても、笑顔で待ちます。プライドが傷つくと、外出そのものが怖くなります。
- 無理に思い出させない——クイズのように記憶を試すのは逆効果です。忘れていても同じ話題を共有するだけで、安心感は十分に届きます。
- プライドを守る——ご本人ができていた仕事・役割を尊重し、「私がやります」と取り上げず、一緒にやる姿勢をとります。
- 同じ話を何度聞いても初めてのように——ご本人にとっては毎回「初めての話」です。「さっきも聞きました」は、関係を一気に壊します。
- 驚いても態度に出さない——「あれ、こんなこともできなくなった?」という表情は、ご本人に直接伝わります。無理に明るくする必要はなく、落ち着いてそばにいることが支えになります。
- 徘徊中の方へは見守りを優先——突然「交番に行きましょう」と連れて行くのは避けます。まずは落ち着いた声で「どちらへ?」「暑いですね」と横に並び、必要に応じて110番/家族・地域包括支援センターに連絡します。
- 家族の疲労にも配慮——支援の矢印はご本人だけに向けがちですが、介護家族は24時間365日の当事者です。「お疲れさまです」「甘いものどうぞ」の一言が、何よりの支援になることがあります。
認知症サポーター活動の始め方|5ステップ
「何から始めればいいか分からない」という方のために、ゼロからのスタート手順を5つに整理しました。多くの方が1〜2か月以内に「最初の現場」にたどり着けます。
-
1
① お住まいの自治体の養成講座情報を探す
市区町村のウェブサイトで「認知症サポーター養成講座」と検索。年間スケジュールが公開されています。見つからない場合は、地域包括支援センターか高齢福祉課に電話で問い合わせを。次回開催日と申込方法を丁寧に教えてくれます。
-
2
② 90分の養成講座を受講
無料で、予習不要。服装も自由。家族介護中の方、中高生、企業勤務の方、どの立場でも同じ教材で学びます。終了後、ロバ隊長の缶バッジなど修了グッズが配布されます。
-
3
③ 地域包括支援センター/社協に相談
受講後、「地域で活動したい」と地域包括支援センターか社会福祉協議会に伝えると、認知症カフェ・チームオレンジ・見守りSOSなど、いま地域で動いている活動を紹介してもらえます。ボランティアの始め方の総論と合わせて読むと流れがつかめます。
-
4
④ 認知症カフェに見学・参加
最初は「運営側」ではなく、来場者として見学するのがおすすめ。本人・家族の雰囲気、スタッフの動き、自分がどこにいられそうかが肌感でわかります。2〜3回通ってから「手伝えることありますか?」と声をかけると自然です。
-
5
⑤ 継続参加→チームオレンジに登録
月1回のペースで半年ほど継続すると、顔なじみができます。その段階で自治体のチームオレンジや見守りSOSに登録しておくと、いざというとき地域の力として稼働できます。焦らず、無理のない頻度で続けることが何より大切です。
やってはいけない失敗パターン5選
善意のつもりでも、結果的にご本人や家族を深く傷つけてしまう行動があります。現場で起きがちな代表例を5つ挙げますので、講座修了直後にぜひ目を通しておいてください。
❌ ① 「おばあちゃん」「おじいちゃん」と呼び続ける
親しみやすいつもりでも、ご本人にとっては長年築いてきた名前とアイデンティティがあります。必ずお名前で呼ぶ(「○○さん」)が原則です。若年性認知症の方に対しては特に厳禁で、「まだ若いのに」という含意が伝わり自尊心を大きく傷つけます。
❌ ② 本人抜きで家族とだけ話す
「本人には分からないから」と家族とだけ打ち合わせる行動は、ご本人の人格を透明人間扱いすることと同義です。たとえ意思表示が難しくなっていても、まずご本人に話しかけ、それから家族に確認する——この順番は絶対に守ります。
❌ ③ 写真をSNSに投稿する
認知症カフェや地域行事の写真をSNSに載せてしまう事例が後を絶ちません。本人・家族の書面同意がない限り、顔・名前・場所が特定できる投稿は避けます。「いい活動を広めたい」という善意が、本人・家族を追い詰めることがあります。
❌ ④ 行方不明者を見つけて独自対応する
徘徊中の方を発見した際、車に乗せて自宅に送る・自宅まで徒歩で同行する等の独自対応は、別人と勘違いされるリスク・交通事故のリスク・家族との行き違いリスクがあり推奨されません。落ち着いた声で一緒にそばにいながら、110番/家族/地域包括支援センターへ連絡するのが原則です。
❌ ⑤ 金銭管理や服薬に手を出す
「困っているから」とお金の管理を代行したり、薬の飲み方を指示するのは、サポーターの役割を大きく超えます。金銭は成年後見制度・日常生活自立支援事業、服薬はかかりつけ医・訪問看護・薬剤師が担う領域です。トラブルを防ぐためにも、境界線を守ることが自分自身を守ることにもつながります。
体験談|二人のサポーターの物語
💬 祖母の在宅介護をきっかけに、認知症カフェの運営に(50代・女性)
「祖母のアルツハイマー型認知症を5年在宅で看取ったあと、長い喪失感のなかで地元の養成講座を受けました。その帰り道、社協のチラシで月1回のオレンジカフェを知り、見学のつもりで3回通ったら『受付、やってみません?』と声をかけられ、気づけば5年目。ご本人と家族が笑える時間が、私の祖母との時間とそっと重なります」(120字)
💬 若年性認知症の父を支える社員と、会社が始めた「ワーキングサポーター」(38歳・男性)
「58歳の父が前頭側頭型認知症と診断され、母が仕事を辞めて介護する流れになりました。上司に相談したところ、社内でキャラバン・メイトを招いた講座が開かれ、同僚の半数が認知症サポーターに。就業時間中に父の通院へ同行できる制度も整い、『一人で抱えない』働き方に変わりました」(120字)
よくある質問|認知症サポーターQ&A 10問
Q1. 1回の講座だけで、本当にサポートできるようになりますか? ▼
90分の講座で「完璧な支援者」になるわけではありません。目指しているのは、「認知症を知っている市民を地域にたくさん増やす」ことです。講座で学んだ3原則(驚かせない・急がせない・自尊心を傷つけない)を街で意識するだけで、社会の空気は確実に変わります。もう一歩踏み込みたければ、ステップアップ講座・認知症カフェ見学から始めましょう。
Q2. 資格はあるの?更新は必要? ▼
認知症サポーターは資格ではなく「応援者」です。合格・不合格はなく、更新料も登録料もありません。一度受講すれば生涯有効ですが、教材の改訂やチームオレンジなど新しい仕組みが加わることがあるため、数年おきに再受講する方もいます。
Q3. 学校での集合講座は何歳から受けられますか? ▼
教材の工夫により小学校低学年から高校生まで幅広く受講されています。特に小学校4年生〜中学生の授業で取り入れられることが多く、「キッズサポーター」という呼称で紹介される地域もあります。内容は年齢に合わせて表現を変えていますが、基本3原則は共通です。
Q4. 認知症カフェは、本人でなくても行けますか? ▼
はい、本人・家族だけでなく、地域住民・学生・ボランティア誰でも参加可能です。むしろ「多様な人が一緒にいる」ことがカフェの本質なので、「関心がある」というだけで大歓迎されます。事前予約が必要な会もあるので、初回は運営に確認してから訪問しましょう。
Q5. 家族会と認知症カフェの違いは? ▼
家族会は介護家族どうしが本音で情報交換する場で、参加者は基本的に家族に限定されます。一方、認知症カフェは本人・家族・地域住民・専門職が同じテーブルに座る開かれた場です。両者は役割が違うので、家族会にも認知症カフェにも重ねて通う人が多くいます。
Q6. 徘徊している人を見つけたら、どう動くのが正解ですか? ▼
まず落ち着いて、正面から声をかけ、「どちらへ行かれますか?」「暑いですね」と横に並びます。驚かせない・急がせないが鉄則です。そのうえで、ご本人の様子に不安があれば110番へ、連絡先が分かる場合は家族・地域包括支援センターへつなぎます。独断で車に乗せる・家まで送るなどの対応は避けてください。
Q7. チームオレンジってどこで登録できますか? ▼
お住まいの市区町村の認知症施策担当課または地域包括支援センターが窓口です。2024年度から全国で本格展開が進み、多くの自治体が専用窓口や申込フォームを設けています。まだ立ち上がっていない地域もあり、その場合はサポーター同士のゆるやかな連絡網から始まることが多いです。
Q8. 自分も親が認知症。傷が開きそうで怖い——受講していいのでしょうか? ▼
ご自身の経験と向き合うことが前提になるため、無理は禁物です。講座で取り上げられる事例がご自分の家族と重なり、涙が止まらなくなる方もいます。途中退席・後日の再受講は問題ありません。どうしても不安な場合は、先に家族会や心療内科・カウンセラーに相談してから受講を検討するルートもあります。
Q9. 企業が全員サポーターになる意味はどこにある? ▼
銀行・鉄道・バス・小売・自治体窓口など、認知症の方と最前線で接する業種ほど効果が大きいです。窓口対応の質が上がるのはもちろん、社員自身の家族介護への備えにもなり、離職予防・ダイバーシティ推進・SDGs報告にもつながります。中小企業でも10名以上いれば出張講座が受けられるため、導入の敷居は想像より低いです。
Q10. 海外にもこの仕組みはあるの? ▼
日本の認知症サポーター制度は、国際アルツハイマー病協会(ADI)からも先進的な市民参加型モデルとして注目されています。英国の「Dementia Friends」や韓国・台湾など、同様の市民向け啓発講座を持つ国は増えていますが、累計2,000万人規模の広がりを持つ国は世界的にも珍しい事例です。
あわせて読みたい|次の一歩のヒント
📘
ボランティアとは?完全解説
意味・4原則・種類・始め方を体系的にまとめたピラーページ。認知症分野も位置づけて全体像を俯瞰したい方へ
♿
福祉ボランティア完全ガイド
高齢者・障害者・子ども別の活動を対象別に整理。認知症支援を含む地域福祉の全体像を押さえたい方へ
👂
傾聴ボランティアガイド
認知症カフェで最も活きる「話を聴く力」の育て方。研修・倫理・自己ケアまで
🏥
医療ボランティア完全ガイド
病院・献血・ホスピスなど医療を支える活動。認知症支援と地続きの領域を知りたい方へ
💼
社会人のボランティア入門
仕事と両立して月1〜2回から。若年性認知症支援にも直結する時間設計の基本
🚶
ボランティアの始め方
最初の一歩を踏み出すための実践ガイド。応募先の探し方・保険・申し込みまで
参照元:厚生労働省「認知症施策推進大綱」/全国キャラバン・メイト連絡協議会 公開情報/認知症介護研究・研修大府センター(若年性認知症コールセンター運営)/公益社団法人 認知症の人と家族の会/国際アルツハイマー病協会(ADI:Alzheimer’s Disease International)公開資料/地域包括支援センター・全国社会福祉協議会 公開情報を参照(いずれも2026年4月時点。累計受講者数・カフェ箇所数・若年性認知症推計患者数は年度・集計時点により差があります)
- 「友達として相談にのる」無料相談サイトのボランティアメンバー募集中!
-
年間10,000件以上の相談が寄せられる当サイト「ココトモ」で『相談ボランティア』をしてみませんか?
ボランティア募集の詳細はこちら
年齢・性別・資格&経験は一切不問。webサイト内の活動なので全国どこにお住まいの方でもOK。自宅から活動可能です。
