保護犬・保護猫の里親になるガイド|譲渡条件・トライアル・先住ペットとの相性・費用と手続き

保護犬・保護猫の里親になるガイド|譲渡条件・トライアル・先住ペットとの相性・費用と手続き

「ペットを家族に迎えたいけれど、ペットショップで買うのには少し抵抗がある」
「保護犬・保護猫に興味はあるが、譲渡条件が厳しいと聞いて尻込みしている」
「子育てが一段落して時間ができた。シニア世代でも里親になれるのだろうか」

日本国内では、毎年たくさんの犬と猫が、迷子・飼育放棄・多頭飼育崩壊などの理由で行政の保健所や動物愛護センターに収容されています。環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容並びに処分の状況」によると、犬と猫の合計引取り数は2004年度の約42万頭から2022年度には約5万頭台まで大きく減少し、殺処分数も年間1万頭台前半まで縮小してきました(年度・集計時点により数字に差があります)。

この変化を支えてきたのが、行政・民間譲渡団体・ボランティア・そして「家族として迎える」という選択をした里親さんたちです。ペットショップで購入する以外に、譲渡会・保健所・愛護センター・登録譲渡団体から迎えるという選択肢が、今は当たり前のものになりつつあります。

この記事では、ココトモが動物ボランティアの取材で出会ってきた里親さん・譲渡団体スタッフの声をもとに、里親になる5ステップ、譲渡条件のリアル、トライアル期間で必ずチェックしたいポイント、先住ペットとの段階的な顔合わせ計画、シニア世代・単身者・共働き世帯が「条件NG」と言われたときの回避策まで、丁寧にまとめました。読み終えたとき、最初の一歩がきっと小さく見えてくるはずです。

📌 この記事でわかること

  • 保護犬・保護猫を迎える3つのルート(保健所/動物愛護センター/民間譲渡団体)の違いと選び方
  • 環境省データで見る殺処分数の推移と現状——2004年度から大幅に減少した一次データ
  • 里親になる5ステップ——情報収集/譲渡会参加/申込/トライアル/正式譲渡までの全行程
  • 団体ごとに違う譲渡条件のリアルと、トライアル期間に必ず確認したい5つのポイント
  • 初期費用・継続費用・必要物品の具体的な金額目安と、ワクチン・避妊去勢・マイクロチップの実費
  • 先住ペットとの相性を確認するための「段階的な顔合わせ3週間プラン」
  • 高齢者・単身者・共働きの方が直面する「条件NG」の壁と、後見人・複数人申請・見守り契約などの回避策
  • シニア犬・シニア猫を迎えるという選択肢——介護費用・看取りまで含めた現実

保護犬・保護猫とは|保健所・愛護センター・民間団体の3ルート

「保護犬・保護猫」とは、飼い主の都合や事情で飼育を続けられなくなった、迷子や遺棄により行き場をなくした、繁殖引退や災害で家を失った——こうした事情で新しい家族を待っている犬・猫の総称です。出会えるルートは大きく次の3つに分かれます。それぞれの特徴を理解しておくと、自分に合った迎え方が見えてきます。

① 保健所(行政施設)からの直接譲渡

保健所は各市区町村・保健所設置市が運営する行政施設です。狂犬病予防法・動物愛護管理法に基づき、迷子・遺棄・引取り依頼で連れてこられた犬猫を一時収容し、新しい飼い主を探します。譲渡費用は基本的に無料か少額の実費のみですが、ワクチン・避妊去勢・マイクロチップは譲渡後に飼い主側で実施することが多いです。
保健所によっては譲渡前講習会の受講が必須で、複数回通う必要があります。地域の動物愛護ボランティアや登録譲渡団体に橋渡しされ、そこから譲渡されるケースも増えています。

② 動物愛護センター(行政施設・規模が大きい)

動物愛護センターは、保健所機能に加えて動物愛護啓発・譲渡推進・しつけ教室・人材育成などを担う、より大規模な行政施設です。都道府県・政令市が運営することが多く、譲渡前の健康チェック・社会化トレーニング・性格評価が比較的整っているのが特徴です。
定期的に譲渡会・お見合い会を開催し、事前申込制で見学・面会から始まる流れが一般的です。譲渡費用は無料または1〜数千円程度の実費負担にとどまります。

③ 民間譲渡団体・保護団体(NPO・任意団体)

民間譲渡団体は、行政から引き出した犬猫や、繁殖引退犬・多頭飼育崩壊現場から救出した犬猫を個人宅・シェルター・預かりボランティア宅で世話し、新しい家族を探します。代表的な団体にピースワンコ・ジャパン(広島)/日本動物福祉協会(東京)/東京キャットガーディアン(東京)/ねこけんアダプションパーク(東京)などがあります(ほか地域密着の団体多数)。
民間団体の特徴は、性格・健康状態・社会化レベルを把握したスタッフが間に入ってくれること。譲渡前のカウンセリング・トライアル・アフターフォローが手厚い反面、ワクチン・避妊去勢・マイクロチップ実費の負担金として3〜8万円前後を求められるのが一般的です(団体・個体により幅あり)。

💡 どのルートを選べばいい?

初めて犬猫を迎える方・迷っている方は、民間譲渡団体からのスタートがおすすめです。性格や健康状態を把握したスタッフが間に入り、トライアル制度で「合わなかったら戻せる」設計になっているためです。すでに飼育経験があり自分で判断できる方は、保健所・動物愛護センターから直接譲渡を受けるとより多くの命を救う選択になります。両方の譲渡会に足を運んで、肌で雰囲気を比べてみるのが何より確実です。

出典:環境省「動物愛護管理基本指針」/環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容並びに処分の状況」/自治体動物愛護センター 公開情報

殺処分数の推移と現状|環境省データで見る20年の変化

日本国内の犬・猫の殺処分数は、この20年で劇的に減少してきました。環境省が毎年公開している「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容並びに処分の状況」をもとに、おおまかな推移を見てみましょう。

年度 引取り数(犬+猫の合計) 殺処分数(犬+猫の合計) 主な背景
2004年度 約42万頭 約39万頭 動物愛護管理法改正前。引取り依頼が多く、譲渡基盤も限定的
2014年度 約16万頭 約10万頭 2012年法改正でセンター譲渡推進・終生飼養努力義務が明記
2018年度 約9万頭 約3.8万頭 民間譲渡団体・TNR活動・SNS譲渡広報の急速な広がり
2022年度 約5万頭台 約1万頭台 マイクロチップ装着義務化(販売業者)が2022年6月から開始

数字は環境省の年度集計時点での概数で、年度・集計区分により差があります。注目したいのは、2004年度から2022年度のあいだで殺処分数がおよそ40分の1まで減ったこと。これは行政・民間団体・ボランティア・里親さんという市民参加型の支援が積み重なった成果です。
一方で、引取り犬猫のなかには高齢・持病・社会化未経験などの理由で里親が決まりにくい個体がまだ多く残っています。「殺処分ゼロ」を本当に達成するために必要なのは、シニア犬・シニア猫・障がいのある犬猫を含めた「迎えにくい子」を選んで迎える里親さんの存在です。

出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容並びに処分の状況」(2004〜2022年度を概観。年度・集計時点により数字に差があります)

里親になる5ステップ|情報収集から正式譲渡まで

保護犬・保護猫の里親になるまでの流れは、団体やルートによって細部は異なりますが、5つのステップに大きく整理できます。問い合わせから正式譲渡まで、トライアルを含めておおむね1〜3か月が目安です。

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    ① 情報収集と自分の生活の棚卸し

    まずは住居・家族構成・勤務形態・経済状況・既に飼っているペット・将来の見通し(引っ越し・出産・転職予定)を整理します。「終生飼養」が前提なので、犬なら15年前後、猫なら15〜20年の時間軸で考えます。サイト・書籍・YouTubeで品種・年齢別の特性も学んでおくと、譲渡会で迷いません。

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    ② 譲渡会・シェルターに足を運ぶ

    いきなり申込ではなく、まずは見学・参加から。各団体・愛護センターの譲渡会は土日に開催されることが多く、事前予約制が中心です。実際に犬猫の様子・スタッフの説明・他の里親候補者の表情を見ることで、自分が無理なく続けられそうな団体かどうか肌でわかります。複数回・複数団体を比べるのが理想です。

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    ③ 譲渡申込書の提出と面談

    気になる子が見つかったら、譲渡申込書を提出します。家族構成・住居形態(持ち家/賃貸)・年収・勤務時間・先住ペットの有無・飼育予定の部屋などを記入。身分証明書の提示や家族全員の同意確認が求められることもあります。団体によってはスタッフが自宅訪問してケージや脱走対策を確認します。

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    ④ トライアル期間(1〜4週間)

    正式譲渡の前に、1〜4週間のお試し同居期間が設けられます。この間は所有権がまだ団体側にあり、合わないと感じたら無理せず返せます。先住ペットとの相性・住環境・家族のライフスタイルとの相性を実生活で確認する重要な期間。スタッフと頻繁に連絡を取り合い、写真・動画で様子を共有します。

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    ⑤ 正式譲渡契約と継続フォロー

    トライアルを経て双方が「家族になれる」と判断できたら、譲渡契約書に署名し、医療実費・諸経費を団体に支払います。マイクロチップの飼い主登録変更、犬の場合は自治体への登録、保険の加入も同時に進めます。多くの団体は譲渡後も定期的な近況報告・しつけ相談を受け付けており、長く続く関係になります。

譲渡条件のリアル|団体共通の項目とその意味

民間譲渡団体や愛護センターの譲渡条件は団体ごとに細部が違いますが、多くの団体で共通する代表的な項目を以下にまとめました。「条件が多くて諦めかけた」という方も、なぜその条件があるのかを知ると見方が変わります。

✅ よくある譲渡条件チェックリスト

  • 20歳以上で、定職または継続収入があること——飼育費用の継続的な負担能力を確認するため。学生は保護者の同意・連帯保証が求められることが多いです。
  • 家族全員が飼育に同意していること——同居家族のうち1人でも反対していると、家庭内のストレス・飼育放棄リスクが高くなります。書面で同意を確認する団体も。
  • ペット飼育可の住居であること——賃貸の場合は大家・管理会社の許可書面が必要なケースが多数。退去時のトラブル防止のためです。
  • 先住ペットの避妊去勢・ワクチン接種が済んでいること——多頭飼育崩壊の予防と、感染症リスク低減のため。健康診断記録の提示を求められます。
  • 身分証明書の提示と本人確認——免許証・健康保険証などで本人確認。代理申込やSNS匿名アカウントからの申込はほぼ受け付けません。
  • 長時間の留守番をさせない環境——犬の場合は1日8時間以上の留守番が続く環境は条件NGになることが多いです。猫は環境次第で柔軟。
  • 完全室内飼育(猫は特に厳格)——交通事故・感染症・近隣トラブルを避けるため、猫は外出禁止・脱走対策必須が標準です。
  • 譲渡後の定期報告に応じること——半年・1年単位で写真と近況の共有を求められる場合があります。「家族になった証」の確認のため。
  • 転居・連絡先変更時の通知義務——飼育環境が大きく変わるタイミングは行方不明・遺棄リスクが上がるため、必ず連絡する取り決めになります。
  • 万一のときの後見人を1名指定——飼い主が病気・事故・死亡した際に犬猫を引き取れる方を、契約時に指定します。

これらは「ふるい落とすための条件」ではなく、犬猫が再び不幸な目に遭わないためのセーフティネットです。条件を満たせない部分があっても、団体に正直に相談すれば代替手段(連帯保証人を立てる・後見契約を結ぶ・条件付き譲渡にする)を提案してくれることが少なくありません。諦める前に問い合わせるのが鉄則です。

トライアル期間で確認する5つのポイント

1〜4週間のトライアル期間は、犬猫にとっても人にとっても「家族になれるかどうか」を見極めるための大切な時間です。期間中はスタッフと密に連絡を取り、迷いがあれば率直に共有しましょう。次の5つの観点で日々の様子を観察すると、冷静に判断できます。

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① 住環境への慣れ

食欲・排泄・睡眠が安定するまでの日数を観察。最初の1週間は警戒・隠れる・夜鳴きが見られて当然。2週目以降にリラックス姿勢(伸び・あくび・お腹を見せる)が出てくるかが分岐点

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② 先住ペットとの距離感

威嚇・うなり声・無視・追いかけ回しの頻度を毎日メモ。ケージ越し→部屋越し→同室の段階を踏み、無理な対面はしない。3週間経過しても緊張が続く場合は配置替えを検討

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③ 家族全員との関係

特定の家族にだけ懐く・特定の家族を避けるなど、関係性の偏りを観察。子どもがいる家庭では特に「過剰な接触で逃げ場がなくなっていないか」を要確認

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④ 健康状態の変化

食欲不振・下痢・嘔吐・くしゃみ・目やにが続く場合は早めに動物病院へ。トライアル中の医療費は団体側が負担する取り決めが多いので、必ず事前に確認しておく

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⑤ 自分の心と体の余裕

睡眠不足・想定外の出費・しつけのストレスで自分が疲弊していないか。「迎える側が無理をしていない」が継続の絶対条件。違和感を感じたら遠慮なく団体に相談を

必要な費用と物品|初期費用と継続費用の目安

保護犬・保護猫を迎える際にかかる費用は、ペットショップで購入する場合と比べると初期費用は抑えられますが、医療実費・必要物品・継続的な飼育費は確実に発生します。事前に総額を把握し、無理のない範囲で迎えることが何より大切です。

初期費用の目安

項目 金額目安 備考
譲渡時負担金(民間団体) 3〜8万円程度 ワクチン・避妊去勢・マイクロチップ・検査費用の実費分。保健所は無料〜数千円
ケージ・キャリー 5,000〜20,000円 体格に合わせたサイズ。中古品の流用も可。猫はキャットタワー追加で+1〜3万円
食器・トイレ・ベッド 5,000〜15,000円 陶器の食器・固まる猫砂用トイレ・洗えるベッドが定番
初回フード・おやつ 3,000〜8,000円 団体が与えていたフードを最初は継続。徐々に切り替え
首輪・リード・迷子札(犬) 3,000〜8,000円 マイクロチップに加え、目視で連絡先がわかる迷子札も推奨
初回健康診断・追加ワクチン 5,000〜15,000円 譲渡後すぐかかりつけ動物病院を決めて受診
犬の登録・狂犬病予防注射(犬のみ) 6,000〜7,000円 自治体への登録3,000円+狂犬病予防注射3,500円前後
初期費用合計の目安 5〜15万円 犬は登録・首輪関連で猫より少し高め

継続費用の目安(年間)

項目 犬(中型) 猫(成猫)
フード・おやつ 5〜10万円 3〜6万円
消耗品(猫砂・ペットシーツ等) 2〜4万円 2〜5万円
ワクチン・健康診断 2〜3万円 1〜3万円
狂犬病予防・フィラリア予防(犬) 1〜2万円
ノミダニ予防 1〜2万円 0.5〜1.5万円
ペット保険(任意) 3〜6万円 2〜4万円
トリミング(犬)/爪切り 3〜8万円 0〜1万円
年間合計目安 17〜35万円 9〜20万円

上記に加え、シニア期に入ると医療費が一気に増えるのが現実です。腎臓病・心臓病・関節症・腫瘍などの治療費は、年間20〜50万円規模になることも珍しくありません。ペット保険への加入と、貯金の確保を計画段階で済ませておくと、いざというとき本人も犬猫も守られます。

先住ペットとの相性|段階的な顔合わせ3週間プラン

多頭飼いで一番難しいのが、先住ペットと新入りの関係づくりです。「初日から仲良くなって欲しい」と焦るのは禁物。犬同士でも猫同士でも、犬と猫でも、3週間ほどかけて段階的に距離を縮めるのが定石です。以下のプランは譲渡団体が共通して推奨する標準的な流れです。

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    第1週|完全隔離・においの交換

    新入りは別室にケージごと配置し、視覚的・物理的に隔離します。タオル・毛布を双方の寝床にこすりつけ、互いのにおいだけ交換。トイレ・食事も完全別空間。「相手の存在を音とにおいだけで意識する」段階で、警戒のピークを早めにやり過ごします。

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    第2週|ケージ越し・ドア越しの対面

    ケージ越し、または閉めたドアの隙間から短時間(5〜10分)の対面を1日数回。威嚇・うなり声がない瞬間を見計らっておやつを与え、「相手がいると良いことが起きる」と学ばせます。緊張が抜けない場合は1週目に戻して問題ありません。

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    第3週|同室・短時間の同居

    大人の監視下で同室に入れ、最初は5〜10分から。先住ペットの逃げ場(高い場所・別室への退避路)を必ず確保。新入りに先住ペットの食器・寝床・トイレを使わせないのは絶対のルールです。摩擦が起きそうな瞬間は人が間に入って距離を取ります。

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    第4週以降|留守番中の同居判定

    同室で穏やかに過ごせるようになったら、短時間(30分→1時間→半日)から留守番中の同居を試します。留守中にケンカが起きないことが多頭飼いの最終ゴール。難しい場合は留守中だけ別室に分ける運用に切り替え、無理な統合はしません。

⚠️ 3週間でもうまくいかない場合は

段階的な顔合わせをしても、個体同士の相性が根本的に合わないケースはあります。その場合は無理に同室にせず、生活エリアを物理的に分ける「半分の家を共有する」運用に切り替えましょう。それでも先住ペットが食欲不振・脱毛・粗相などストレス症状を出す場合は、トライアル期間中であれば団体に率直に相談し、譲渡を見送る選択も含めて検討を。これは「失敗」ではなく、双方の動物を守る正しい判断です。

高齢者・単身者・共働きの「条件NG」と回避策

「60歳以上は譲渡対象外」「単身者は不可」「日中8時間以上の留守番は不可」——この壁にぶつかって諦めかける方は本当に多いです。ですが、近年は団体側も柔軟に対応するケースが増えています。条件NGに見えても、次のような工夫で道が開けることがあります。

高齢者の場合の回避策

  • 後見人(次の飼い主)を契約時に明確化——子どもや親戚で「万一の時は引き取る」と書面で同意してくれる方を1名指定
  • シニア犬・シニア猫を選ぶ——飼育期間が10〜15年ではなく5〜8年になるため、団体側の懸念が下がる
  • ペット信託・ペット後見契約の活用——専門の行政書士・司法書士に依頼して、飼い主の死後の生活費・引き取り先を法的に手当て
  • 定期的な見守りサービス・近隣ネットワーク——高齢者見守り訪問・近所のペット仲間との連絡網を整備

単身者の場合の回避策

  • 緊急時の預け先(ペットシッター・友人・実家)の事前確保——入院・出張時に困らない体制を契約時に説明
  • 在宅勤務の比率を具体的に提示——週に何日、何時間家にいるかを正直に共有すると、留守番懸念が下がる
  • 2匹同時譲渡(猫の場合)——猫は同居の遊び相手がいると単身者でも安心。同腹の兄弟譲渡は団体にとっても歓迎されることが多い

共働き世帯の場合の回避策

  • ペットカメラ・自動給餌器・自動トイレで留守中の生活を支える——技術で穴を埋める提案を具体的に
  • ドッグウォーカー・お散歩代行を週数回利用する計画を提示——犬の場合に有効
  • 有給を使った最初のトライアル週は完全在宅——導入期に寄り添う姿勢が伝わると、団体の安心感が大きく変わる

どの条件NGも、「なぜその条件があるのか」を理解し、その懸念を別の手段で埋める提案ができれば、道は開けます。最初から諦めず、団体に率直に相談してみましょう。

シニア犬・シニア猫を迎える選択肢|短くても深い関係

保護犬・保護猫のなかで一番里親が決まりにくいのが、10歳以上のシニア期に入った子たちです。「人懐っこくて手のかからない子」が多いのに、年齢だけで敬遠されてしまう現実があります。シニア犬・シニア猫を迎えるという選択は、限られた時間を全力で家族として過ごすという、特別な意味を持ちます。

シニアならではの良さ

  • 性格がほぼ確定している——子犬・子猫のように「成長後どうなるかわからない」という不確定要素が少なく、迎えた時点の性格でほぼ決まる
  • しつけ・トイレが完了している子が多い——人と暮らした経験のある子なら、迎えてすぐ落ち着いて過ごせるケースが多数
  • 運動量が控えめ——若い犬のような長時間散歩は不要。家でのんびり過ごす時間を共有できる
  • 留守番に強い——若い頃に留守番経験を積んでいる子は、共働き世帯にも適応しやすい

覚悟しておきたい現実

  • 医療費が確実に増える——腎臓病・心臓病・関節症・腫瘍など、若い時期にはなかった疾患が出てくる。年間20〜50万円の医療費を見込む
  • 看取りの時間が早く来る——迎えてから数年で別れが訪れる可能性がある。短い時間にどれだけ濃く過ごせるかが問われる
  • 介護が必要になる時期がある——歩行補助・食事介助・排泄ケアなど、最後の数か月〜1年は手厚いサポートが必要になる場合も

シニア犬・シニア猫の譲渡費用は、団体によっては無料または減額になることがあります。医療費を団体が一部負担し続けてくれる「シニアサポート譲渡」制度を持つ団体もあるので、興味があれば各団体に問い合わせてみてください。「短くても深く家族として過ごせた」という声を、ココトモが取材した里親さんから何度も聞いてきました。

体験談|3組の家族の物語

💬 保護犬の場合|元繁殖犬の小型犬を迎えて2年(40代・夫婦)

「ペットショップに通っていた時期もありましたが、SNSで繁殖引退犬の譲渡情報を見て初めて譲渡会へ。最初に出会ったのは怯えてケージの隅にいた7歳のトイプードル。トライアル2週間は夜泣きと食欲不振でハラハラしましたが、3週目に初めて尻尾を振ってくれた瞬間、夫婦で号泣しました。今は朝の散歩で5メートル先の猫にも吠える元気いっぱいの子に。迎えてよかったと毎日思います」

💬 保護猫の場合|単身在宅勤務で2匹同時譲渡(30代・女性)

「単身者は条件NGと聞いていましたが、団体に在宅勤務の状況と緊急時の預け先(実家)を具体的に伝えたところ、『2匹同時なら寂しくないので歓迎』と言われ、同腹の兄妹猫を迎えました。トライアル中は2匹で押し入れに籠もりっぱなしでしたが、2週間で出てきてゴロゴロ。今は仕事中も足元で寝ていて、孤独だった毎日が180度変わりました」

💬 多頭飼いの場合|先住犬と保護猫の3週間プラン(50代・主婦)

「先住の柴犬11歳がいる家に、3歳の保護猫を迎えました。団体のスタッフから3週間プランを丁寧に教えてもらい、最初の週はにおいの交換だけ。2週目に格子越しの対面、3週目に同室。柴犬は最初『なんでこんなのが来た』という顔でしたが、いまは並んで昼寝する仲に。焦らず段階を踏んで本当によかったです」

ありがちな失敗5選|善意が裏目に出るパターン

迎える側に悪気はないのに、結果として犬猫を傷つけてしまう失敗があります。譲渡団体スタッフがよく目にしてきた代表例を5つにまとめました。「やってはいけないこと」を先に知っておくと、トライアル期間の事故を大きく減らせます。

❌ ありがちな失敗5選

  • ① 初日からスキンシップを取りすぎる——抱っこ・撫でる・写真撮影を初日から繰り返すと、警戒心の強い子は心を閉ざします。最初の3日は「同じ空間で別のことをする」くらいの距離感が正解。
  • ② 先住ペットと初日から対面させる——「早く仲良くなって欲しい」と急ぐと、双方にトラウマが残ります。必ず段階的な顔合わせ3週間プランに従ってください。
  • ③ 脱走対策を後回しにする——玄関の二重扉・窓の網戸ロック・ベランダ柵を最初の1週間で整備。慣れてきた頃の脱走事故が一番多いことを忘れずに。
  • ④ フードを急に切り替える——団体が与えていたフードから別のものに急に切り替えると、消化不良・下痢・食欲不振の原因に。1〜2週間かけて徐々に混ぜながら移行します。
  • ⑤ 不安を団体に相談しない——「迷惑かな」「自分が悪い気がする」と1人で抱え込むのが一番危険。トライアル中の不調・違和感は、すぐに団体スタッフに連絡するのが正解です。

関連する公的窓口・団体|情報源と相談先

保護犬・保護猫について、信頼できる一次情報を提供している主な公的窓口・団体を整理しました。各サイトで譲渡会情報・相談窓口・統計データが公開されています。

  • 環境省 自然環境局 動物愛護管理室——「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容並びに処分の状況」を毎年公開。法令・基本指針も同サイト。
  • 各自治体 動物愛護センター・保健所——お住まいの都道府県・市区町村のセンターが譲渡会・譲渡前講習を開催。「○○県 動物愛護センター」で検索。
  • 公益社団法人 日本動物福祉協会(JAWS)——動物福祉の啓発・調査・譲渡事業を行う老舗団体。動物虐待相談窓口も運営。
  • ピースワンコ・ジャパン——広島県を拠点に殺処分ゼロ活動を展開する大規模団体。全国に譲渡センターを持ち、情報発信も活発。
  • 東京キャットガーディアン——東京を中心に「猫付きシェアハウス」「保護猫カフェ」など独自の譲渡モデルを展開する団体。
  • 公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva——杉本彩氏が代表。動物愛護法改正の働きかけ・啓発活動を継続。
  • ペットのおうち/OMUSUBI/ハグー など譲渡情報サイト——全国の保護犬猫情報を集約したマッチングプラットフォーム。地域・年齢・性格で検索可能。

よくある質問|里親になるQ&A 10問

Q1. 里親になるにはどのくらいの費用がかかりますか?

民間譲渡団体からの譲渡時負担金が3〜8万円、これに加えてケージ・トイレ・フードなどの初期物品で2〜5万円、初回健康診断で5,000〜15,000円合計で5〜15万円程度が目安です。保健所からの直接譲渡なら譲渡費は無料〜数千円ですが、ワクチン・避妊去勢を譲渡後に飼い主負担で行うため、結果的に総額は同じくらいになることも多いです。

Q2. 一人暮らしや共働きでも里親になれますか?

団体や個体ごとに条件は異なりますが、近年は柔軟に対応する団体が増えています。在宅勤務の比率・緊急時の預け先・ペットシッター利用計画・2匹同時譲渡(猫)など、留守番リスクを別の手段で補う具体的な提案ができれば、道が開けるケースが多いです。最初から諦めず、団体に率直に相談してみましょう。

Q3. シニア(60代以上)でも里親になれますか?

若い犬猫の譲渡は難しい団体もありますが、シニア犬・シニア猫の譲渡なら歓迎されるケースが多いです。重要なのは、万一のときに引き取れる後見人を1名指定すること、ペット信託・ペット後見契約などの法的な手当てをしておくこと。これらが整っていれば年齢で一律に断られることは減ってきています。

Q4. トライアル期間中に「合わない」と感じたら返してもいいのですか?

はい。トライアル期間は「合わなかったら戻せる」設計であり、それが目的の期間です。返却は失敗ではなく、犬猫と人の双方を守る正しい判断とされています。気まずさを感じる必要はなく、率直に団体スタッフに相談してください。むしろ無理に飼い続けて関係が崩れるほうが、犬猫にとっても辛い結末になります。

Q5. 譲渡会と保健所は何が違いますか?

譲渡会は民間団体や愛護センターが定期的に開催する「お見合いの場」で、複数の犬猫と一度に出会えます。保健所は行政施設で、収容された犬猫を直接見学・譲渡可能ですが、開催日や見学時間が限定的なことが多いです。譲渡費用は保健所のほうが安い反面、医療面の整備は民間団体のほうが手厚い傾向にあります。

Q6. 賃貸住宅でも里親になれますか?

「ペット飼育可」と明記された物件で、大家・管理会社の許可書面があれば多くの団体で譲渡対象になります。許可なし・グレーゾーンでの飼育は、譲渡条件で原則NGです。退去時のトラブル防止のためにも、必ず書面で許可を取得してから申込みましょう。

Q7. 子どもがいる家庭でも保護犬猫を迎えられますか?

多くの団体で子どもの年齢・性格・接し方の指導とセットで譲渡されます。乳幼児がいる場合は警戒される傾向があり、子どもが小学生以上で「動物の気持ちを尊重する」教育ができていれば歓迎されます。子どもが先住ペットを追いかけ回さない、抱き上げない、寝ているときは起こさないというルールを徹底できることが鍵です。

Q8. ペット保険には入ったほうがいいですか?

強くおすすめします。シニア期に入ると年間20〜50万円規模の医療費が発生することがあり、保険があるかないかで治療の選択肢が大きく変わります。月額3,000〜6,000円程度の保険料で、手術・入院費の50〜70%がカバーされる商品が一般的です。譲渡直後の若いうちに加入したほうが保険料が安く、加入条件も緩いです。

Q9. 里親と「個人売買」「ジモティー譲渡」は何が違いますか?

個人売買やフリマ系プラットフォームでの譲渡は、健康状態・性格・生育環境の確認、譲渡後のフォロー、トライアル制度がないことが大半で、迎えてみたら病気だった・性格が違ったというトラブルが起きやすいです。一方、団体や愛護センター経由の譲渡は事前カウンセリング・トライアル・アフターサポートが整っており、初めての方には安全度が桁違いに高いと言えます。

Q10. 里親希望者として何を準備しておけばよいですか?

身分証明書(運転免許証・健康保険証など)/賃貸の場合はペット飼育可の証明書/家族全員の同意確認/緊急時の預け先・後見人の連絡先/月次の収支表(飼育費用の確保を示すため)を揃えておくと、譲渡会・面談で話がスムーズに進みます。先住ペットがいる場合はワクチン接種証明書・健康診断結果も持参しましょう。

あわせて読みたい|次の一歩のヒント

参照元:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容並びに処分の状況」(2004〜2022年度)/環境省「動物愛護管理基本指針」「動物の愛護及び管理に関する法律」/公益社団法人 日本動物福祉協会(JAWS)公開情報/ピースワンコ・ジャパン 公開情報/東京キャットガーディアン 公開情報/公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva 公開情報/各自治体動物愛護センター 公開情報を参照(いずれも2026年4月時点。引取り数・殺処分数・譲渡費用・必要経費は年度・団体・個体により差があります)

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