桜の日記『おばけが初めて「ありがとう」と言われた日』

あるところに、いたずら好きのおばけがいました。
そのいたずらに、人々は頭を抱えていました。
それを見据えた神様は、おばけに言いました。

「おばけ。お前はいつも悪さばかりする。町の人も、皆頭を抱えておる」

そう言われたとき、おばけは驚きました。
おばけがしていたのは、ちょっとした「いたずら」。
悪さだとは思っていなかったのです。

「おばけ。今日から一週間以内に、「ありがとう」と言わないと、悲しい目に遭わすぞ!」

そう言って、神様は帰っていきました。

「アリガトウ?」

おばけにとっては、初めて聞く外国の言葉のようでした。
ありがとうの意味も、どうすれば言ってもらえるのかも、到底知っていませんでした。
でも、「悲しい目」が辛いことなのはおばけも知っています。
だから、なにがなんでも「アリガトウ」と言われなければいけなかったのです。

まず、おばけはよく盗みをはたらいた民家に行きました。
そしてそこで、「盗みをはたらいてごめんなさい。」と謝ることにしたのです。
おばけは「アリガトウ」を謝ったら言ってくれると思ったのです。

でも、思い通りには行きませんでした。
民家に行くなり、酷い扱いを受けてしまいました。

その次に、自分が「アリガトウ」を言ってみることにしました。
おばけは、「アリガトウ」を挨拶だと思ったのです。

「アリガトウ」

道を歩いていた人に言いました。
でも、その人は無視をして、スタスタと歩いて言ってしまいました。
おばけは悲しくなりました。

今度は、おばけはパン屋さんに行きました。
そのパン屋さんは、美味しい匂いがするので、よく行くから知っていました。
そのパン屋さんには、目が見えないおばあちゃんが来るのです。

パン屋さんに行くと、やっぱりおばあちゃんはいました。
でも、おばけは衝撃的なものを見ます。
点字ブロックの上に、三台、自転車が停まっています。
このままでは、おばあちゃんが転んでしまいます。

自転車をなんとかどけようとしていると、その持ち主らしき人が来ました。
そして、言いました。

「悪さをするおばけだ!人の自転車を盗もうとするなんて、本当に悪さをするんだな!」

そのまま、その人達は去っていきました。
おばけはすごく悲しくなりました。

それから、三日ほど経ちました。もう少しで、一週間が経とうとしています。
おばけは、一度も「アリガトウ」と言われていません。
このままでは、悲しい目に遭わされてしまいます。
でもどうしたらいいのかわかりませんでした。
失敗ばかりしているおばけに、希望などありませんでした。

その時。誰かがおばけの方に歩いてきました。
よくパン屋さんにいるおばあちゃんでした。
おばあちゃんはおばけの横に座って、言いました。

「昨日は、ありがとうね。あのままじゃ転んでいたわ。」

それは、「アリガトウ」でした。
その瞬間、おばけの心はすごく熱くなりました。

「おばけ。よくやったな。」

そう、神様も言いました。
すると、町の人が集まってきました。

『ありがとう』

みんなが言います。
おばけは、知らない間に、「ありがとう」と言われることをしていたのです。
おばけは、なんだか照れくさそうに、笑顔で人々の輪に入っていきました。

「ありがとう」

star今日よかったこと♪

・日記投稿!偉い!

favorite読んでくれた人へのメッセージ

みなさんこんばんは、桜です。

今回は七尾さんアイデア「おばけが初めて『ありがとう』と言われた日」を制作させていただきました。
いかがだったでしょうか?
七尾さんが、おばけが悲しい目に遭うのも見たい!とのことでしたので、もしかしたら出すかも知れないです。
みなさんも、アイデアお願いします!

それでは、明日の皆さんに、桜のような暖かさがありますように。

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