桜の日記『おばけが初めて「ありがとう」と言われた日』
visibility115 edit2023.11.06
あるところに、いたずら好きのおばけがいました。
そのいたずらに、人々は頭を抱えていました。
それを見据えた神様は、おばけに言いました。
「おばけ。お前はいつも悪さばかりする。町の人も、皆頭を抱えておる」
そう言われたとき、おばけは驚きました。
おばけがしていたのは、ちょっとした「いたずら」。
悪さだとは思っていなかったのです。
「おばけ。今日から一週間以内に、「ありがとう」と言わないと、悲しい目に遭わすぞ!」
そう言って、神様は帰っていきました。
「アリガトウ?」
おばけにとっては、初めて聞く外国の言葉のようでした。
ありがとうの意味も、どうすれば言ってもらえるのかも、到底知っていませんでした。
でも、「悲しい目」が辛いことなのはおばけも知っています。
だから、なにがなんでも「アリガトウ」と言われなければいけなかったのです。
まず、おばけはよく盗みをはたらいた民家に行きました。
そしてそこで、「盗みをはたらいてごめんなさい。」と謝ることにしたのです。
おばけは「アリガトウ」を謝ったら言ってくれると思ったのです。
でも、思い通りには行きませんでした。
民家に行くなり、酷い扱いを受けてしまいました。
その次に、自分が「アリガトウ」を言ってみることにしました。
おばけは、「アリガトウ」を挨拶だと思ったのです。
「アリガトウ」
道を歩いていた人に言いました。
でも、その人は無視をして、スタスタと歩いて言ってしまいました。
おばけは悲しくなりました。
今度は、おばけはパン屋さんに行きました。
そのパン屋さんは、美味しい匂いがするので、よく行くから知っていました。
そのパン屋さんには、目が見えないおばあちゃんが来るのです。
パン屋さんに行くと、やっぱりおばあちゃんはいました。
でも、おばけは衝撃的なものを見ます。
点字ブロックの上に、三台、自転車が停まっています。
このままでは、おばあちゃんが転んでしまいます。
自転車をなんとかどけようとしていると、その持ち主らしき人が来ました。
そして、言いました。
「悪さをするおばけだ!人の自転車を盗もうとするなんて、本当に悪さをするんだな!」
そのまま、その人達は去っていきました。
おばけはすごく悲しくなりました。
それから、三日ほど経ちました。もう少しで、一週間が経とうとしています。
おばけは、一度も「アリガトウ」と言われていません。
このままでは、悲しい目に遭わされてしまいます。
でもどうしたらいいのかわかりませんでした。
失敗ばかりしているおばけに、希望などありませんでした。
その時。誰かがおばけの方に歩いてきました。
よくパン屋さんにいるおばあちゃんでした。
おばあちゃんはおばけの横に座って、言いました。
「昨日は、ありがとうね。あのままじゃ転んでいたわ。」
それは、「アリガトウ」でした。
その瞬間、おばけの心はすごく熱くなりました。
「おばけ。よくやったな。」
そう、神様も言いました。
すると、町の人が集まってきました。
『ありがとう』
みんなが言います。
おばけは、知らない間に、「ありがとう」と言われることをしていたのです。
おばけは、なんだか照れくさそうに、笑顔で人々の輪に入っていきました。
「ありがとう」
今日よかったこと♪
・日記投稿!偉い!
読んでくれた人へのメッセージ
みなさんこんばんは、桜です。
今回は七尾さんアイデア「おばけが初めて『ありがとう』と言われた日」を制作させていただきました。
いかがだったでしょうか?
七尾さんが、おばけが悲しい目に遭うのも見たい!とのことでしたので、もしかしたら出すかも知れないです。
みなさんも、アイデアお願いします!
それでは、明日の皆さんに、桜のような暖かさがありますように。
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