テケトの日記『時は一定かしら?』
visibility364 edit2023.12.19
これは今日あった出来事ですの。
でもこれからわたくしが語ることを信じるのであれば、何かの扉を開けてしまうかもしれませんわ。
御覚悟はよろしくって?
午後1時23分。
わたくしは歯医者の看板の前で時刻を確かめましたわ。
歯医者の診療は午前の部が午後1時半まで。
先日、予約を忘れてしまって約束をすっぽかしてしまったからその謝罪と再度の予約を取りに歯医者に来てましたの。
時間はギリギリ。
ですけれど、時間も時間ですし院内はとても静かで他に患者さんの姿も無く、予約の取り直しだけですのですんなりと病院での用事は済みましたの。
そして次の目的地へ。
途中、最近開店したばかりの喫茶店の青いシャッターと何処か無機質なお店の唯一の装飾品とも言える飾られたトルコランプが眼に映りましたわ。
店の中を横目でのぞくと喫茶店の女性マスターがお客さんの居ない店内でぽつりと立っております。
先日はじめて訪ねた時の、親しげな内に気丈さで不安を隠しているようなマスターの表情と珈琲の美味しかった記憶が浮かびましたの。
喫茶店を通り過ぎるほんの僅かな時間、目に映ったマスターの姿がどうも儚げで。
方向転換をしてお店の中へ応援しに飛び込んで行こうかとも思いましたの。
でも。
やることを先にしようかという考えと、お財布に入った僅かな金額の心配を、家を出る前に飲んだ珈琲でかさ増ししてしまいましたのね。
喫茶店に寄るのは止めて先を急ぐことにしましたわ。
でも後ろ髪を引かれるような思いになったわたくしは、帰り道に寄ろうと考えましたの。瞳に薄っすらと浮かんだ涙を拭いながら。
その後、歯医者から50分弱かけて目的地に到着して10分程度の軽い用事を済ませましたの。
そのついでにスーパーが近くにありますのでそこで買い物をしていましたのよ。一昨日、フラフラになったあのお店ですわ。
一昨日も行っただけあってそんなに買う物がある訳ではありませんの。
買い物かごに使い切ってしまっていた調味料を入れて、空いているレジを眺めていると違和感に気付きましたわ。
外が何だか暗い?
ガラス窓越しに見える景色がまるでもう日が落ちそうな薄暗さ。
自然と掛けられた時計に視線が向いて針の位置を確かめます。
午後4時20分?
時計が電池切れとかで故障中なのかしら?と思ってスマートフォンを取り出して時間を確認しましたの。針の示す位置は正確でしたわ。
わたくし、ハッとしましたのよ。
時間が1時間とんでいる??
勿論、最初の時刻の見間違えだとか他の可能性も考えましたわ。
そうやって解釈する方が馴染み深いですわよね。
でも、間違えていなかったとしたら?
帰り道、喫茶店はもう閉まっていましたわ。
それを残念に思いながら帰宅した訳ですけれども、ふと思い付きましたの。
「もし喫茶店に寄って1時間を過ごしたとしても、帰りの時間という結果は変わらなかったのではないかしら?」
そう。
やる気のあることを先にやっていたら、結果的にはやる気の出ないことを優先するよりも時間を多く使えたのかもしれませんわ。
本当に時間は一定なのかしら?
歳を重ねると時間の進む早さが早くなると言いますわ。
これって時間はとても親切で、でも深刻な事実を突きつけているようにも感じないかしら?
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