銀ノ月の日記『鏡花水月#079.50』

今回も『Interlude』回でございます(第3回/全4回)

≪インドネシアに伝わる、とあるお話🌙≫

キリップは孤児でした。
親が残してくれた土地を耕して何とか過ごす毎日。

「もっといろんな世界を見てみたい」

そんな思いが心の中を巡る時は、歌って気分を紛らわせていました。

ある晩、いつものように歌っていると、眩しい光とともに夜空から1人の女性が。

「貴方の美しい歌声を聴いて、月の世界に攻めてきた魔物が逃げていきました。私は月の王女です。お礼に貴方の望みを叶えさせてください」

キリップは喜んで言いました。

「僕はここから離れたことがありません。ほかの世界をこの目で見てみたいのです」

月の王女は大きな鳥となって、キリップを乗せて大空へと飛び立ちました。

美しく流れる大河。その周りで暮らす村の人々。どこまでも続く気高い山々。初めて見る景色に圧倒されたキリップには、また別の思いが芽生え始めました。

そして家に戻った彼は、心に誓ったのです。

『もっとこの土地を大切にしよう。もっとこの場所を好きになれるはずだから』

star今日よかったこと♪

『なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない。』
(作家 ジョージ・エリオット)

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