Kikiの日記『私の雛人形と深読みあれこれ』
visibility85 edit2025.03.03

遠い実家に眠る、ずいぶん立派な私のお人形たち。
小さな内裏雛を買おうと思っていた両親の言い分を退け、父方の祖母がこれを買うと言い張ったらしい。
見栄っ張りなおばあちゃんらしいな、と思っていたけれど、色々思い返しているうちに、考えが変わった。
父と母は長男長女で、その間に生まれた私は、両家にとっての初孫だった。
私が生まれた年、父方の祖父が病気で亡くなったと聞いている。
もちろん覚えているわけもないけれど、私は祖父に抱っこしてもらえた唯一の孫らしい。
同じ年、実家が完成した。
新しい夢の家で、祖父とのこれからの人生を思い描いていたであろう祖母。
それなのに、50歳にして夫を失った。
(あと10年もしないうちに、夫に先立たれるなんて、考えるだけで耐えられない…。)
その喪失感ははかりしれない。
心の隙間を埋めるものが必要だったのかもしれない。
悲しみに包まれた一家に生まれた、新しい命(=私)。
どれだけ希望だっただろうかと想像する。
まるで他人事みたいに「生まれてきてくれてありがとうね」と思う。
孫娘の健やかな成長を祈る、華やかな雛人形。
夫と一緒に過ごすはずだった新居の空間を埋めるには、ちょうどよかったのかもしれない。
だから父も母も、祖母の願いを聞き入れたのかもしれない。
飾るのも片づけるのも大変な、立派すぎる雛人形。
愛だな、と思う。
26歳で親になり、実父を失った父。
つらかったに違いないけれど、孫を見せられたのは良かったと思っているかもしれない。
何で生まれてきたのかなんてわからない。
でも私が生きているだけで、祖母も父も母も「この子のためにがんばろう」と思えた瞬間があったのかもしれない。
全て憶測だけれど。
なんか、それだけで意味があったのかもと思える。
生まれてきて良かったよ。
別に何も成し遂げていないし、大した人生じゃない。
でも、十分だ。
今度帰ったら、そんな話も両親とできたら良いな。
3年前の3月3日、祖母は亡くなった。
今日は命日。
明るくておしゃべりで料理上手なおばあちゃん。
そっちはどう?
( 心のBGM:『花束を君に』/ 宇多田ヒカル )
今日できたこと♪
・祖母のことを思い出した。
・父と母の優しさに気づいた。
・生まれてきて良かった。
読んでくれた人へのメッセージ
女の子のみなさん、元女の子のみなさん、ひな祭りおめでとうございます🎎
「女の子で良かった」「女って大変」どっちの瞬間もあるけれど、どうぞ健やかに、みなさまに幸あれ🌸
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