Kikiの日記『私の雛人形と深読みあれこれ』

遠い実家に眠る、ずいぶん立派な私のお人形たち。

小さな内裏雛を買おうと思っていた両親の言い分を退け、父方の祖母がこれを買うと言い張ったらしい。

見栄っ張りなおばあちゃんらしいな、と思っていたけれど、色々思い返しているうちに、考えが変わった。

父と母は長男長女で、その間に生まれた私は、両家にとっての初孫だった。

私が生まれた年、父方の祖父が病気で亡くなったと聞いている。

もちろん覚えているわけもないけれど、私は祖父に抱っこしてもらえた唯一の孫らしい。

同じ年、実家が完成した。

新しい夢の家で、祖父とのこれからの人生を思い描いていたであろう祖母。

それなのに、50歳にして夫を失った。
(あと10年もしないうちに、夫に先立たれるなんて、考えるだけで耐えられない…。)

その喪失感ははかりしれない。

心の隙間を埋めるものが必要だったのかもしれない。

悲しみに包まれた一家に生まれた、新しい命(=私)。

どれだけ希望だっただろうかと想像する。

まるで他人事みたいに「生まれてきてくれてありがとうね」と思う。

孫娘の健やかな成長を祈る、華やかな雛人形。

夫と一緒に過ごすはずだった新居の空間を埋めるには、ちょうどよかったのかもしれない。

だから父も母も、祖母の願いを聞き入れたのかもしれない。

飾るのも片づけるのも大変な、立派すぎる雛人形。

愛だな、と思う。

26歳で親になり、実父を失った父。

つらかったに違いないけれど、孫を見せられたのは良かったと思っているかもしれない。

何で生まれてきたのかなんてわからない。

でも私が生きているだけで、祖母も父も母も「この子のためにがんばろう」と思えた瞬間があったのかもしれない。

全て憶測だけれど。

なんか、それだけで意味があったのかもと思える。

生まれてきて良かったよ。

別に何も成し遂げていないし、大した人生じゃない。

でも、十分だ。

今度帰ったら、そんな話も両親とできたら良いな。

3年前の3月3日、祖母は亡くなった。

今日は命日。

明るくておしゃべりで料理上手なおばあちゃん。

そっちはどう?

( 心のBGM:『花束を君に』/ 宇多田ヒカル )

star今日できたこと♪

・祖母のことを思い出した。

・父と母の優しさに気づいた。

・生まれてきて良かった。

favorite読んでくれた人へのメッセージ

女の子のみなさん、元女の子のみなさん、ひな祭りおめでとうございます🎎
「女の子で良かった」「女って大変」どっちの瞬間もあるけれど、どうぞ健やかに、みなさまに幸あれ🌸

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