きぽの日記

東方project という世界がある。
もともとはある同人から発売された、世界観を共有する一連の弾幕シューティングゲーム群を指してそう呼んだ。
その製作者であるZUN氏が東方の二次創作を公に許可したことから、その世界観はメディアや文化の垣根を越えて新たな発展を遂げ、ついにはネットの一大文化となり得た。
インターネットの大海原には無数の有志たちの二次創作が溢れ、毎日のように通りがかった誰かがそれを拾い上げては、また新たなファンが誕生した。
幼き日の私も、そのうちの一人だった。
東方projectの世界の、その片鱗に触れて、私は身動き一つとれなかった。
それはあまりに広大で、深遠で、象徴的で、そう、「幻想的」だった。
まだ青かった私にはそれに触れた時の感覚を表現する術はなかったが、とにかく完全に魅了されたのを覚えている。
東方に出会って、知らなかった景色をたくさん知った。
私にとってそれらは原風景なのだ。
どんなに新しいことを知っても、絶対に忘れたりしないで心のどこかに留めてある。
少しずつ大人に近づく。社会を知る。友達だった人が離れていく。明日が怖くて掲示板に書き込んだり、人生に疲れて無意味なスクロールをしたりする。
でも、それでも忘れられない世界がある。
「幻想郷」がそこにある。
だから私は、前を向ける。
そんな忘れかけていた当たり前のことを、ふと思い出した一日でした。
東方project、そして神主であるZUN氏に最大の感謝を。
私の「幻想郷」を作ってくれて、ありがとう。

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