読み聞かせ・朗読ボランティア完全ガイド|小学校・図書館・福祉施設での始め方と練習法

読み聞かせ・朗読ボランティア完全ガイド|小学校・図書館・福祉施設での始め方と練習法

「子どもが小さい頃、毎晩絵本を読んだ。あの時間がもう一度、誰かのために使えたら」
「元保育士。退職しても、子どもたちに本を読む時間がいちばん好きだった」
「視覚に障害のある方に、新刊小説を音で届けるボランティアがあると聞いた」

声で物語を届ける——読み聞かせ・朗読・音訳のボランティアは、子どもからお年寄りまで、視覚に障害のある方から入院中の小さな患者さんまで、年齢も場所もこえて広がる「やさしい架け橋」です。文部科学省「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」でも、地域・家庭・学校での読書活動の中心的な担い手として、ボランティアの役割が明確に位置づけられています。

一方で現場の声を聞くと、多くの小学校で「朝の読み聞かせの担い手が3年連続で減っている」「コロナ禍以降、ボランティアの新規登録が戻っていない」という共通の悩みが聞こえてきます。図書館のおはなし会も、視覚障害者向けの音訳サークルも、平均年齢が60代後半〜70代に上がり、次の担い手を待っている状況です。

この記事では、ココトモが地域活動の現場で出会ってきた読み聞かせ・朗読ボランティアさんたちの声をもとに、活動の全体像から練習方法・絵本の選び方・音訳デイジー図書の世界・養成講座まで、「声で誰かの一日を温める」第一歩を丁寧にまとめました。子育てが一段落した方、退職後の時間を活かしたい方、声や演劇の経験を社会に還元したい方に、ぜひ読んでいただきたい一本です。

📌 この記事でわかること

  • 小学校・図書館・保育園・高齢者施設・視覚障害者向け音訳・病院など主な活動場面6タイプの違いと特徴
  • 混同されがちな「読み聞かせ・朗読・音訳」3つの言葉の違いと、それぞれに必要なスキル
  • ゼロから始める5ステップ——研修受講→所属団体探し→絵本選定→練習→現場参加
  • 明日から使える練習法と年齢別の絵本選び、3-4歳から小学校中高学年まで定番作品の傾向
  • 視覚障害者向け音訳・デイジー図書・サピエ図書館の世界と、3〜5年かけて育つ専門スキル
  • 全国読み聞かせサークル協議会・日本朗読協同組合・日本ライトハウス情報文化センターなど主な養成講座と団体
  • 現場で起こりがちなNG 5選・失敗5選・FAQ 10問まで、読んだその日に動けるレベルで網羅

読み聞かせ・朗読ボランティアとは|広がる活動領域

読み聞かせ・朗読ボランティアとは、絵本・物語・新聞・小説などを声に出して、聞き手のために届ける活動の総称です。聞き手は乳幼児から小学生、思春期の中高生、高齢者、視覚に障害のある方、長期入院中の患者さんまで多岐にわたり、現場ごとに求められる声の使い方・本の選び方・進行のしかたが大きく変わります。

「本を読んでもらう」体験は、子どもの言語発達と高齢者のQOLに効く

文部科学省・国立教育政策研究所などの長年の調査では、幼児期からの読み聞かせ経験は語彙力・読解力・想像力・共感性の発達と相関することが繰り返し示されています。乳幼児が「親以外の大人の声」で物語を聞く体験は、家庭内では得にくい刺激として注目されています。
一方、高齢者領域では、朗読を聴く・自分で朗読することは認知機能の維持・回想法・うつ予防に有効という研究があり、デイサービス・特別養護老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅など、施設内のレクリエーションとして読み聞かせ・朗読を採り入れるところが増えています。

読書バリアフリー法(2019年)が音訳活動を後押し

視覚に障害のある方・上肢に障害のある方・ディスレクシア(読字障害)のある方など、「読書に困難を抱える方々」に読書環境を整えることを国の責務とした法律が、2019年に施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)です。
これを受けて、音訳ボランティア・デイジー図書製作・サピエ図書館などの活動が法的にも明確に位置づけられ、市町村立図書館・点字図書館・ボランティア団体の連携が全国で進んでいます。「声を届ける」ことが、福祉と教育の両方にまたがる社会インフラになっているのが、いまの読み聞かせ・朗読ボランティアの姿です。

出典:文部科学省「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」/文部科学省・厚生労働省「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法、2019年)/国立教育政策研究所 公開資料

主な活動場面6タイプ|あなたに合うのはどこ?

読み聞かせ・朗読ボランティアには代表的な6つのフィールドがあります。それぞれ求められる時間帯・準備・声の使い方が違いますので、ご自身の生活リズムや得意分野に合わせて選ぶのがおすすめです。

🏫

① 小学校 朝の読み聞かせ

始業前の10〜15分、各教室で絵本を1〜2冊読む活動。PTA・地域ボランティア・元教員が中心。低学年〜中学年が多く、年間8〜12回のローテーションで担当する形が定番。早朝に動ける主婦・シニア向き

📚

② 公立図書館 おはなし会

図書館の児童室で土日を中心に開催される乳幼児・幼児向けの定例会。絵本・わらべうた・パネルシアター・手遊びを組み合わせ、30分前後で構成。図書館登録ボランティア団体に所属する形が一般的

🍼

③ 保育園・幼稚園

保育の合間や行事の特別企画として読み聞かせを行う。0〜2歳と3〜5歳ではまったく違うアプローチが必要。保育士の補助という位置づけで、定期訪問する地域ボランティアや絵本サークルが活動

👵

④ 高齢者施設での朗読

デイサービス・特養・サ高住で、昔話・童謡・新聞コラム・短編小説を朗読。回想法を兼ねるため、聞き手世代が子どもの頃に親しんだ作品が中心。月1回30分程度から始められる

⑤ 視覚障害者向け 音訳

小説・実用書・新聞・大学テキストなどを録音し、デイジー図書として製作。録音技術・原本どおりの正確性・図表の音声化など、習得に3〜5年かかる専門領域。点字図書館・サピエ図書館と連携

🏥

⑥ 病院・小児病棟

長期入院中の子ども・高齢者のベッドサイドや、プレイルームで読み聞かせを行う。医療面・感染症対策のルールが厳格で、病院ボランティアコーディネーター経由での活動が前提。月2回程度

読み聞かせ vs 朗読 vs 音訳|似て非なる3つの世界

現場でよく混同される3つの言葉ですが、求められるスキル・対象・倫理観がそれぞれ異なります。最初の入り口を選ぶうえでも、整理しておきたいところです。

項目 読み聞かせ 朗読 音訳
主な対象 乳幼児〜小学生 中高生〜高齢者 視覚障害者・読字障害のある方
主な素材 絵本・紙芝居 小説・詩・随筆 小説・新聞・実用書・教科書
声の使い方 感情豊かに、表情・動きも添えて 抑揚と「間」を活かし、聞き手の想像を邪魔しない 原本に忠実、感情を入れすぎない
視覚要素 絵を見せる前提 視覚要素なし(声のみ) 視覚要素なし(声のみ・録音)
習得期間の目安 3〜6か月で現場デビュー可 1〜2年で持ち場を持てる 3〜5年の養成期間が標準
活動の中心 学校・図書館・幼稚園 高齢者施設・公民館・カフェ 点字図書館・サピエ図書館・自宅録音

ポイントは、音訳は「自分の表現を加えない」のが原則という点です。視覚障害のある読者が「もし自分で読んでいたら」と同じ体験ができるように、淡々と正確に読み上げます。一方、読み聞かせ・朗読は表現を加えて聞き手の感情に寄り添う性格が強いため、3つはまったく別の訓練が必要だと理解しておくと、入口で迷いにくくなります。

始め方5ステップ|ゼロから現場デビューまで

「やってみたい」と思ってから現場デビューまでの標準ルートを5ステップで整理しました。多くの方が3〜6か月で最初の現場に立てます。

  1. 1

    ① 養成講座・研修を受ける

    公立図書館・社会福祉協議会・読み聞かせサークル・点字図書館などが主催する養成講座(2〜10回シリーズ)を受講します。費用は無料〜5,000円程度が中心。読み聞かせと朗読は3〜6か月、音訳は1〜2年の連続講座が標準です。市区町村の図書館・社協のウェブサイトで「読み聞かせ 講座」「音訳 養成」と検索を。

  2. 2

    ② 所属団体・サークルを決める

    講座修了後、地域の読み聞かせサークル・PTA読み聞かせの会・図書館登録ボランティア・点字図書館の音訳サークルなどに登録します。個人で学校・施設に直接持ち込むのではなく、団体経由で打診するのが定石です。団体が会場との窓口・スケジュール調整・トラブル対応を担います。

  3. 3

    ③ 絵本・読む本を選定する

    対象年齢・季節・所要時間・聞き手の人数で本を選びます。先輩ボランティアや図書館司書に相談すると、定番作品と「初心者向きで失敗しにくい一冊」を教えてもらえます。学校では事前に担任に書名と作者を共有するのがマナー。著作権上、絵本のコピーや改変は厳禁です。

  4. 4

    ④ 自宅で繰り返し練習する

    本番前に最低5〜10回は声に出して読みます。録音して聞き返すと、早口・棒読み・かみどころが客観的にわかります。鏡の前で表情・絵本の持ち方を確認し、絵本を見せながら読むためのページめくりタイミングも体に入れておきます。10分の絵本に2時間の練習は珍しくありません。

  5. 5

    ⑤ 現場デビュー→振り返り

    最初は先輩ボランティアの読み聞かせを見学・補助役からスタートし、2〜3回目で自分が読みます。終わったあと「子どもたちの反応はどうだったか」「ページめくりは早すぎなかったか」を必ず振り返ります。先輩からのフィードバックを素直に受け止め、半年〜1年で「ひとり立ち」していくのが標準的なペースです。

ある小学校 朝の読み聞かせの1日|7:50〜8:25のリアル

実際の現場はどんな空気感なのか。地方都市の公立小学校で、地域ボランティアとして月1回読み聞かせをしている50代女性の朝のスケジュールをご紹介します。

  1. 1

    7:50 学校到着・職員室で受付

    門で警備員さんに会釈し、職員室で受付名簿に氏名・担当クラス・到着時刻を記入。事前に共有していた絵本2冊を持参。校長先生・担当教諭にあいさつし、来訪者用の名札(外部支援者バッジ)を首にかけます。

  2. 2

    7:55 担当教室の前で待機

    担当の3年2組の前で待機。8時の朝の会前に教室に入り、担任の先生の合図で前に立ちます。子どもたちは「あ、絵本の○○さんだ!」と顔を覚えてくれていることが多く、月1回でも継続することの意味を実感する瞬間です。

  3. 3

    8:00 1冊目の絵本を読む(5分)

    短めの絵本から入ります。タイトル・作者を最初にゆっくり告げ、表紙を全員に見せてから本文へ。子どもの視線を時々確認し、よく見える位置に絵本を構えます。途中で「えっ」と声が出ることもあり、それも含めて楽しみます。

  4. 4

    8:08 2冊目の絵本を読む(7分)

    少し長めの物語絵本へ。前の本との「世界観の落差」を作りすぎないよう配慮し、季節感・テーマがゆるやかにつながる本を組み合わせます。最後のページはゆっくり閉じ、3秒の余韻を置いてから「おしまい」と一言。

  5. 5

    8:15 担任に引き継ぎ・退室

    担任の先生に「ありがとうございました」と言葉をいただき、子どもたちにあいさつして退室。この時、感想を求めたり質問タイムを設けるのは禁物。あくまで「絵本の余韻」を子どもの中に残して去るのがプロの読み聞かせです。

  6. 6

    8:25 職員室で退出記録・帰宅

    職員室で退出時刻を記入し、名札を返却。帰宅後はサークルの連絡ノートに「読んだ本・反応・気づき」を簡潔に記録し、次回の担当者に共有します。所要時間は移動含めて約1時間半。月1回でも、年8〜10回続ければ確かな関わりになります。

練習方法|声・間・抑揚・視線の4つを磨く

読み聞かせと朗読の練習は、「うまく読む」ことではなく「聞き手の世界を邪魔しない」ことを目指します。具体的に意識したい技術を整理しました。

✅ 練習で意識したい10のポイント

  • 声の高さは「いつもより半音低く」——緊張で高くなりがちな声を、意識的に落ち着かせます。低めの声は子どもにも高齢者にも届きやすく、聞き疲れしません。
  • 滑舌は「母音」をはっきり——あいうえおの口の形を意識するだけで、明らかに聞き取りやすくなります。早口言葉ではなく、母音強調の音読がおすすめ。
  • 「間」を恐れない——文と文のあいだ、ページをめくる前後に1〜2秒の間を置くだけで、聞き手の想像が広がります。沈黙は失敗ではなく演出です。
  • 抑揚は控えめに——読み聞かせでも、過剰な感情表現は逆効果。聞き手が物語に入る邪魔をしない、ニュートラルな抑揚が基本です。
  • セリフと地の文を声色で分けすぎない——アニメ声優のような演じ分けは、絵本の世界を狭めます。表紙の世界観に合う一定のトーンが理想。
  • 録音して聞き返す——自分の声を録音して聞くと、棒読み・早口・かみどころ・「えー」「あのー」といった癖が一目瞭然です。週1回録音セッションを習慣に。
  • 絵を「指さない」——絵本の絵を指でさすのは、子どもの想像を限定してしまいます。絵は見せるだけ、感想や指し示しはしません。
  • 聞き手の目を時々見る——本ばかり見ていると、聞き手とつながれません。3〜5行に1回、顔を上げて子どもたちの様子を確かめます。
  • ページめくりは「読み終えてから」——文を読み終わる前にページをめくると、絵と言葉のリズムが崩れます。最後の一音まで読み切ってから、静かにめくります。
  • 本番前は10回以上の音読——黙読ではなく必ず声に出して。10分の絵本でも、合計2時間以上の練習が普通です。

絵本の選び方|年齢別・季節・テーマの定石

年齢に合わない本は、子どもの集中を一気に失わせます。聞き手の年齢に応じた基本的な選書ガイドを表で整理しました。具体的な書名は司書・先輩ボランティアに相談しながら、まずは「傾向」をつかんでください。

対象 推奨される時間 本の傾向 選書のポイント
3-4歳 3〜5分/冊 繰り返しのリズム・身近な動物や食べ物 絵が大きく、ページ数が少ない。文字が少ない絵本。歌うように読めるリズミカルな本
5-6歳 5〜8分/冊 昔話・物語性のある絵本・ユーモア 「お話を聞く」体験ができる長さ。少し怖い場面・笑える場面のある起伏ある本
小学校低学年(1-2年) 5〜8分/冊 友情・冒険・季節行事・科学絵本 絵と文のバランスが良く、子どもの社会経験に近いテーマ。学校行事と関連した本も歓迎
小学校中学年(3-4年) 7〜12分/冊 少し複雑な物語・伝記絵本・歴史・社会テーマ 文字量が増えても集中できる年齢。「短い物語1冊」または「絵本2冊」の組み合わせが定番
小学校高学年(5-6年) 10〜15分/冊 戦争・命・多様性・古典・短編小説 絵本だけでなく短編小説・詩集・ノンフィクションも視野に。子どもの「考える力」を信じた選書を
高齢者施設 15〜30分/回 昔話・童謡・新聞コラム・思い出の歌詞 聞き手世代が子どもの頃に親しんだ作品。回想法を兼ね、地域の方言や季節感を大切に

季節・行事を意識する

春は入学・桜・たんぽぽ、夏は海・スイカ・お祭り、秋は紅葉・お月見・くり、冬は雪・お正月——日本の四季と行事に寄り添った選書は、聞き手の暮らしと地続きの体験になります。本番の2〜4週間前から「季節を先取り」して選ぶのが定石。雪の絵本は1月下旬よりも12月〜1月初旬がベストです。

やってはいけないNG 5選

善意のつもりが、子どもや聞き手の体験を損なってしまうことがあります。読み聞かせ・朗読の現場で特に注意したい5つのNG行動をまとめました。

❌ 現場で避けたい5つのNG

  • ① 読みながら教訓を語る——「だからね、お友達には優しくしないとダメだよ」と物語の最後に解説する行為は、聞き手の想像力を奪います。物語は読みっぱなしで完結させ、解釈は子どもにゆだねます。
  • ② 読み終わったあとに質問タイムを設ける——「どこが面白かった?」「○○ちゃんはどう思う?」と感想を求めるのは、絵本の余韻を壊します。読み終えたら静かに本を閉じ、3秒の余韻を残して退場するのが本道です。
  • ③ 絵本の絵を指でさす——「ほら見て、ここに犬がいるよ」と絵を指す行為は、子どもの目線をコントロールしすぎます。絵は提示するだけで、見方は子どもにまかせます。
  • ④ 過剰な声色・演技で読む——アニメ声優のように人物ごとに声色を変えすぎると、絵本の世界観が崩れます。読み聞かせは「役者の独演会」ではなく、絵本そのものを聞き手に届ける媒介役と心得ます。
  • ⑤ 本を改変・コピー・撮影する——著作権法違反になる行為です。絵本のページをコピーして配る、改変して別の言葉に変える、SNSに本の中身を撮影してアップする——いずれも厳禁。読み聞かせは原本のまま行うのが原則です。

音訳ボランティアの世界|デイジー図書とサピエ図書館

♿ 音訳ボランティアとは?

音訳ボランティアは、視覚に障害のある方・上肢障害のある方・ディスレクシアのある方など、印刷物を読むことが困難な方々のために、書籍・新聞・雑誌・教科書を音声化する活動です。読み聞かせや朗読とは異なり、原本に忠実な音声化が大原則で、感情を込めすぎない、淡々とした正確な読み上げが求められます。

デイジー図書(DAISY)とは

デイジー(DAISY:Digital Accessible Information SYstem)は、音声・テキスト・画像を統合した、視覚障害者向けの国際標準デジタル図書フォーマットです。専用プレーヤーやスマートフォンアプリで再生でき、章・節・ページ単位で頭出しができるなど、紙の本に近い使い勝手を実現しています。
国内では、日本ライトハウス情報文化センター・日本点字図書館・全国の点字図書館が、ボランティア音訳者と協力してデイジー図書を製作しています。1冊を完成させるのに30〜100時間以上かかることも珍しくなく、長期的な関わりが必要な活動です。

サピエ図書館

サピエ図書館は、視覚障害者をはじめ視覚による表現の認識に障害のある方々に対し、点字・録音図書(デイジー)等を提供する全国ネットワークです。日本点字図書館がシステムを管理し、全国の点字図書館・公共図書館が参加しています。利用者は自宅のパソコン・スマホから、書籍・新聞・雑誌をダウンロードして利用できます。
音訳ボランティアが製作したデイジー図書は、サピエ図書館を通じて全国の視覚障害者・読書困難者に届けられます。「自分の声が、会ったことのない誰かの読書時間を支える」——音訳の醍醐味は、まさにここにあります。

音訳の養成期間と特徴

  • 養成講座は1〜2年の連続講座——基礎・録音技術・調査の方法・図表の処理など段階的に学ぶ
  • 原本どおりが原則——感情を込めすぎず、書名・著者名・目次・ページ番号まで正確に
  • 調査スキルが必須——固有名詞の読み方・専門用語・外国語表記を辞典で調べて確認
  • 図表・写真・地図の音声化——視覚情報を言葉でどう伝えるかが大きな技術
  • 校正者とのチームワーク——音訳者の音声を校正者が原本と照合し、修正を重ねる
  • 3〜5年で1冊を独力で完成できる水準に——時間はかかるが、社会インフラを担う実感が大きい

主な養成講座・団体|全国で学べる窓口

読み聞かせ・朗読・音訳のスキルを学べる代表的な団体・講座を整理しました。お住まいの地域に近い窓口から探すのがおすすめです。

📚 主な養成・研修の窓口

  • 市区町村立図書館の読み聞かせ講座——年1〜2回開催される入門〜中級講座。図書館登録ボランティア団体への加入が前提となることが多く、最も身近な入り口
  • 社会福祉協議会の朗読・音訳養成講座——高齢者施設での朗読、視覚障害者向け音訳の入口として、市町村・都道府県社協が継続開催
  • 日本ライトハウス情報文化センター(大阪)——音訳ボランティア養成の代表的拠点。基礎・専門・録音技術など段階的なカリキュラムを提供
  • 日本点字図書館(東京)——音訳・対面朗読のボランティア養成と、サピエ図書館の運営を担う中核機関
  • 全国読み聞かせサークル協議会——全国の読み聞かせサークルが情報交換するネットワーク。地域サークルへの橋渡し役
  • 日本朗読協同組合——朗読技術の研鑽・発表機会・指導者養成を担う団体。朗読を本格的に学びたい方向け
  • 絵本専門士養成講座(独立行政法人国立青少年教育振興機構)——絵本に関する高度な知識・技能を備えた専門人材の養成。年1回募集の本格講座
  • 各地の点字図書館——全国に約70館。音訳・点訳のボランティア養成を継続的に実施

出典:日本ライトハウス情報文化センター 公開情報/日本点字図書館・サピエ図書館 公開情報/全国読み聞かせサークル協議会/日本朗読協同組合/国立青少年教育振興機構 公開情報(いずれも2026年4月時点)

体験談|3人のボランティアの物語

💬 子どもの卒業を機に、PTA読み聞かせで小学校に残り続けて10年(46歳・女性)

「上の子が小学校1年生のとき、PTAの呼びかけで朝の読み聞かせに参加したのが最初。子どもが卒業しても『地域ボランティア』として続けてほしいと先生に言われ、気づけば10年。最初は震えるほど緊張しましたが、月1回の練習を10年続けたら、絵本の選び方も読み方もまるで違うものになりました。担任が代わっても、子どもたちが『あ、絵本のおばさんだ』と覚えてくれるのが何より嬉しい時間です」(122字)

💬 退職後に始めた音訳。1冊50時間の小説を仕上げた達成感(68歳・男性)

「定年退職後、地元の点字図書館の音訳養成講座に2年通いました。最初は『正確に読む』ことの難しさに何度もくじけかけましたが、3年目にようやく1冊を独力で完成。手元に届いた利用者からの感想カードに『読みたかった本がやっと読めた』と一言。あの瞬間、自分の余生に確かな意味が宿りました。月10時間の自宅録音作業ですが、これからも続けます」(123字)

💬 元保育士、デイサービスでの月1朗読が私の生きがいに(72歳・女性)

「保育士を退職した翌年、地域の高齢者デイサービスから『童謡や昔話を読む人を探している』と声がかかりました。最初は60代の利用者さんに対して『私が朗読していいのかしら』と戸惑いましたが、3年続けるうちに皆さんが私の声を待ってくれるように。子守唄を歌うと一緒に口ずさんでくださる90歳の方の笑顔が、私の月1回の宝物です」(124字)

ありがちな失敗5選|先輩たちが通った道

現場でよく聞く失敗パターンを5つ整理しました。先に知っておけば、同じ落とし穴を避けられます。

⚠️ 初心者が陥りやすい5つの失敗

  • ① 自分が読みたい本ばかり選んでしまう——「私が好きな名作を子どもにも」という気持ちは大切ですが、対象年齢と合っていないと聞き手は退屈します。聞き手の発達段階を最優先に。
  • ② 練習不足で本番に臨む——「絵本くらい大丈夫」と高をくくって本番で詰まる、ページめくりがぎこちない、文字を間違える——プロでも本番前に10回以上音読します。
  • ③ 子どもたちにいい子の感想を求めてしまう——「面白かった人ー?」「○○ちゃんはどう思った?」と聞きたくなる気持ちはわかりますが、絵本の余韻を壊す代表的なNG。読みっぱなしが正解。
  • ④ 個人で学校・施設に直接持ち込もうとする——「私、読み聞かせができますので」と個人で売り込みに行くのはNG。学校・施設は団体経由でしか受け入れない仕組みになっています。サークル・図書館経由で。
  • ⑤ 著作権の意識が低い——絵本のページをコピーして大画面で映す、SNSで本の中身を撮影してアップする、台本化して配る——いずれも著作権法違反です。原本のまま、撮影なしが鉄則。

よくある質問|読み聞かせ・朗読Q&A 10問

Q1. 声に自信がないのですが、それでも始められますか?

まったく問題ありません。読み聞かせ・朗読で求められるのは「美しい声」ではなく「聞き手のために整えた声」です。明瞭さ・落ち着き・適度な抑揚があれば十分で、これらは練習で身につきます。アナウンサーや声優のような声でなければ務まらないということは、まったくありません。

Q2. 子育て経験がない・子どもと接した経験がない人でも、読み聞かせはできますか?

可能です。実際に独身の方・子どものいない方が、図書館おはなし会や小学校朝読みで活躍しています。最初は子どもの集中の続かなさ・独特の反応に戸惑いますが、養成講座と先輩ボランティアの同行で、3〜6か月で慣れます。「子どもを愛おしく感じる気持ち」があれば、経験は後からついてきます。

Q3. シニアでも始められますか?年齢制限はありますか?

むしろシニア世代が活動の中心です。図書館おはなし会・小学校朝読み・高齢者施設朗読・音訳——いずれも50〜70代の方が主力です。体力・声量・記憶力に大きな問題がなければ、80代でも現役の方が多くいらっしゃいます。「人生経験のある声」は、若い世代にはない深みを聞き手に届けます。

Q4. 月にどれくらいの時間が必要ですか?

活動領域によって異なります。小学校朝の読み聞かせは月1回×30分〜1時間図書館おはなし会は月1〜2回×半日高齢者施設の朗読は月1〜2回×1時間音訳は週5〜10時間の自宅録音が目安。練習時間を含めても、月3〜10時間の範囲で続けられる活動が中心です。

Q5. 個人で小学校に「読み聞かせをやらせてください」と申し込めますか?

原則としてNGです。学校は地域のPTA読み聞かせの会・図書館登録ボランティア団体と連携しているため、個人での持ち込みは断られることがほとんどです。まず地域の読み聞かせサークルや市民活動センターに相談し、団体の一員として学校に入る形が標準ルートです。

Q6. 著作権が心配です。絵本を読むこと自体は問題ないのでしょうか?

非営利・無料・無報酬で、原本そのままを口頭で読み上げる範囲であれば、著作権法第38条1項により認められています。一方、絵本のコピー配布・改変・録画・録音公開・SNS投稿はすべて著作権侵害になります。音訳活動は別途、視覚障害者向けに著作権法第37条で例外規定があり、所定の手続きを経て行います。

Q7. 音訳と朗読、どちらから始めるのがおすすめですか?

初心者には朗読・読み聞かせからのスタートがおすすめです。音訳は「原本に忠実な録音技術」が求められ、養成期間も1〜2年と長く、図表処理など専門スキルも必要です。まず読み聞かせ・朗読で「声で届ける」感覚をつかみ、関心が深まれば音訳の養成講座へというルートが自然です。

Q8. 病院や小児病棟で読み聞かせをしたいのですが、どうやって始めますか?

病院ボランティアは各病院のボランティアコーディネーター・医療ソーシャルワーカー経由での申し込みが必須です。感染症対策・個人情報保護・医療安全のルールが厳格で、独自の研修を修了する必要があります。事前に「子ども・本・図書館」関連のNPO(例:日本国際児童図書評議会など)が病院連携プログラムを持っていますので、そこからの応募が現実的です。

Q9. 高齢者施設で読み聞かせをするとき、何に気をつければいいですか?

聞き手世代が子どもの頃に親しんだ作品を中心に選び、声は子ども向けより少しゆっくり・低めに。難聴の方への配慮として、はっきり・正面から読みます。童謡・昔話・新聞コラム・短編小説が定番。回想法を兼ねるため、地域の方言や季節の話題を盛り込むと喜ばれます。長くても30分程度に収めます。

Q10. 男性でも読み聞かせはできますか?女性ばかりというイメージがあります。

もちろんできます。実際にPTA・地域ボランティア・退職後シニア男性の参加は年々増えています。低音の落ち着いた男性の声は、子どもにも高齢者にも安心感を届けます。とくに小学校中高学年・高齢男性の集まる施設では、男性ボランティアを歓迎する声が多く聞かれます。性別を理由にためらう必要はまったくありません。

あわせて読みたい|次の一歩のヒント

参照元:文部科学省「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」/文部科学省・厚生労働省「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法、2019年)/公益社団法人 日本図書館協会 公開情報/社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター 公開情報/社会福祉法人 日本点字図書館・サピエ図書館 公開情報/全国読み聞かせサークル協議会/日本朗読協同組合/独立行政法人 国立青少年教育振興機構「絵本専門士」公開情報/国立教育政策研究所 公開資料を参照(いずれも2026年4月時点。養成講座の頻度・カリキュラムは年度・地域により差があります)

「友達として相談にのる」無料相談サイトのボランティアメンバー募集中!
相談ボランティア募集

年間10,000件以上の相談が寄せられる当サイト「ココトモ」で『相談ボランティア』をしてみませんか?
年齢・性別・資格&経験は一切不問。webサイト内の活動なので全国どこにお住まいの方でもOK。自宅から活動可能です。

ボランティア募集の詳細はこちら
keyboard_arrow_up