就労移行支援中の生活費はどうする?使える給付金・手当を全網羅

就労移行支援中の生活費はどうする?使える給付金・手当を全網羅

📌 この記事でわかること

  • 就労移行支援中の主な収入源6つと、自分が使える可能性が高い制度の見分け方
  • 障害年金を受給しながら通所できる仕組みと、認定への影響の有無
  • 失業給付(雇用保険)受給中の通所の可否と、就職活動扱いになる条件
  • 休職中に使える傷病手当金(最長1年6ヶ月)と移行支援の併用
  • 自立支援医療で通院費を1割に抑える方法と、移行支援費との関係
  • 住居確保給付金・生活福祉資金など住宅費の援助制度
  • 家族の扶養に入る場合の年収130万円の壁と社会保険の取扱い
  • 市町村独自の通所交通費補助・昼食補助など見落としがちな支援
  • 単身/実家/配偶者ありのモデルケース3パターンの家計シミュレーション
  • 2年で就職できなかった場合のセーフティネット設計

「就労移行支援に通いたいけど、2年間も収入なしで生活できない」
「障害年金や失業手当をもらいながら通っていいのか、誰に聞けばいいかわからない」
「家賃や食費はどうすれば?貯金が尽きる前に知っておきたい」

就労移行支援は原則として工賃や給与が出ないサービスです。だからこそ、通所中の生活費をどう確保するかは始めるかどうかを左右する最重要テーマになります。

この記事では、移行支援中に使える主な収入源6つを早見表で整理したうえで、障害年金・失業給付・傷病手当金・自立支援医療・住居確保給付金・家族扶養の5+1制度を一つひとつ深堀りします。 モデルケース3パターンの家計シミュレーションと、2年で就職できなかった場合の生活設計まで含め、「お金の不安を理由に通所を諦めなくていい」ための情報をココトモが現場視点で整理しました。

※本記事の制度内容・金額は2026年4月時点の情報です。自治体・所得状況・障害等級・加入保険により取扱いが異なります。具体的な可否や金額は、必ずお住まいの市区町村窓口・年金事務所・ハローワーク・健康保険組合にご確認ください。

結論:移行支援中に使える収入源6つの早見表

就労移行支援は原則として給与・工賃が支給されません(※事業所から実習等で発生する数百円〜数千円の謝礼を除く)。 そのため通所中の生活費は、制度・公的給付・家族支援の組み合わせで確保するのが基本になります。まずは全体像を一枚の表で押さえましょう。

収入源 金額の目安
(月)
主な対象 移行支援との
併用
① 障害年金
(基礎/厚生)
2級 約 6.6万円
1級 約 8.3万円
+厚生分
初診日から1年6ヶ月以上経過し、所定の障害状態にある方 原則OK
② 失業給付
(雇用保険・基本手当)
離職前賃金の
約 50〜80%
離職前2年に12ヶ月以上の被保険者期間がある方 原則OK
※要事前相談
③ 傷病手当金
(健康保険)
標準報酬日額の
約 2/3
協会けんぽ・健保組合の被保険者で連続3日休業の方 要確認
※療養専念義務との関係
④ 自立支援医療
(精神通院)
通院費を1割
+月額上限
精神疾患で継続通院が必要な方 併用OK
⑤ 生活保護 地域・世帯による
(最低生活費)
収入・資産が最低生活費を下回る世帯 条件付OK
⑥ 家族の扶養/支援 仕送り・食費等 家族と同居/別居で経済支援を受けられる方 併用OK

出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp)/日本年金機構・ハローワーク・全国健康保険協会の公開情報を基に作成。金額は2026年4月時点の概算で、年度改定・等級・賃金・自治体により異なります。

💡 まず確認すべき「自分の優先順位」

  • 初診日から1年6ヶ月以上経っている → 障害年金の請求を最優先で検討
  • 離職してから1年以内(受給期間内) → 失業給付(基本手当)を最優先
  • 会社員のまま休職中 → 傷病手当金が最優先(最長1年6ヶ月)
  • 精神科に通院中 → 自立支援医療は誰でもまず申請を検討

移行支援の利用料自体は9割以上の方が0円(住民税非課税世帯)。お金の不安は「利用料」より「通所中2年間の生活費」が本丸です。

関連記事:制度全体の費用構造は 就労支援の費用と利用料の仕組み 、就労移行支援そのもののサービス内容は 就労移行支援とは?2年間の中身を解説 もあわせてご覧ください。

① 障害年金との併給|移行支援中も受給OK・認定への影響は基本ナシ

移行支援中の最大の収入源になり得るのが障害年金です。 精神障害(うつ病・統合失調症・双極性障害・発達障害ほか)・身体障害・難病など幅広い疾患が対象になり、初診日から原則1年6ヶ月経過した時点で請求できます。

障害年金の基本|金額と等級の目安

区分等級年額(2025年度・概算)月額換算
障害基礎年金1級約 1,020,000円約 85,000円
障害基礎年金2級約 815,000円約 67,900円
障害厚生年金1〜3級報酬比例(人により大きく差)+α(数万円〜)
子の加算1人目・2人目 各 約 234,800円+約 19,500円/人

出典:金額は日本年金機構公表の年度額(2025年度)を概算で表記。実際の支給額は年度改定・加入歴・等級・扶養家族の有無により異なります。詳細は年金事務所または街角の年金相談センターにお問い合わせください。

「働き始めたら年金が止まる」はホント?

結論から言うと、就労移行支援への通所だけで障害年金が止まることは原則ありません。 就労移行支援は雇用契約のない訓練サービスで、給与所得が発生しないため、所得制限・収入認定の対象になる「働き方」とは扱われないのが一般的です。

ただし、次のような場面では更新時の認定に影響する可能性があります。

  • 「日常生活・労働能力」の診断書欄に、移行支援への通所状況が反映される
  • 長時間・週5日通所が記載されることで、「就労できる状態」と判断されるリスク
  • 2級から3級へ等級が下がる、もしくは支給停止となるケース(特に精神の年金)

⚠️ 更新時の診断書は主治医と必ずすり合わせを

移行支援に通所していること自体は問題ありませんが、診断書に「就労に制限なし」「週5日問題なく通所」など過度に良好な記載がされると、更新時の等級が下がるケースがあります。 通所できている日も、通所できなかった日・体調不良日・必要な配慮も主治医に正確に伝えることが大切です。 支援員にも「年金更新があるので、通所記録のコピーをいただけますか」と相談しておきましょう。

請求の入り口|まずやることリスト

  1. 1

    初診日を確定する

    病院を転院していても、最初に同じ症状で受診した医療機関が「初診」。受診状況等証明書を最初の病院に依頼します。

  2. 2

    年金事務所で加入歴・納付状況を確認

    基礎年金番号またはマイナンバーで照会。納付要件を満たしているかを最初に確認します。

  3. 3

    主治医に診断書を依頼

    障害年金専用の診断書様式があり、傷病ごとに分かれています。事前に「就労状況」「日常生活能力」の項目を確認しておくとスムーズ。

  4. 4

    病歴・就労状況等申立書を作成

    本人が記入する重要書類。発症から現在までの生活・就労の困難を時系列で記述。社労士に依頼するケースも増えています。

詳しい仕組みと請求のコツは 就労支援と障害年金の併給ガイド でも別途まとめています。

② 失業給付との併給|受給中の通所OK、就職活動扱いになるケース

会社員として雇用保険に入っていた方が退職した場合、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受けながら移行支援に通うことができます。 「働く準備をする=就職活動の一環」と整理できれば、就職活動実績として認められるケースもあります。

受給金額・期間の目安

項目内容
1日あたりの基本手当日額離職前6ヶ月の賃金日額の約50〜80%(賃金が低いほど率が高い)
給付日数(自己都合)被保険者期間により90日〜150日
給付日数(会社都合・特定理由離職者)90日〜330日
就職困難者扱い障害者手帳所持者などは給付日数が大幅優遇(最長360日)
受給期間原則離職日翌日から1年以内(傷病で働けない場合は最長4年まで延長申請可)

出典:ハローワーク(厚生労働省)公表の基本手当制度概要を基に作成。具体的な日額・日数は離職理由・年齢・賃金により異なります。お住まいの管轄ハローワークで確認してください。

「就職困難者」扱いを使い倒す

障害者手帳・指定難病受給者証などをお持ちの方は、ハローワークの「就職困難者」として登録すると、給付日数が大幅に増える・3ヶ月の給付制限が短縮されるなど大きなメリットがあります。 手帳取得のタイミングは離職前後どちらでもOKですが、離職票提出時に必ず手帳を持参して窓口に申告しましょう。

🙋 移行支援の通所は「就職活動」になる?

職業相談・職業訓練・求職活動などが認定対象です。就労移行支援への通所そのものは、ハローワークによって扱いが異なります。 「就職に向けた職業訓練」として実績を認めてくれるハローワークもあれば、別途求人応募実績が必要なケースも。 受給開始時に必ず管轄のハローワーク窓口で「就労移行支援に通う予定」を申告し、認定方法を相談してください。

受給期間延長申請を忘れずに

病気で「すぐには働けない」状態の方は、受給期間の延長申請(最長4年まで)が可能です。 「離職→療養期間→症状が落ち着いてから移行支援→就職活動」という順序が踏める制度設計になっています。 離職から30日経過後すみやかに申請が必要なので、退職時に主治医・ハローワークに相談しましょう。

③ 傷病手当金との併給|休職中の通所、最長1年6ヶ月

会社員として在籍しながら休職中の方が活用できるのが、健康保険の傷病手当金です。 「在職中だけど業務に就けない」期間の生活を支える制度で、最長1年6ヶ月支給されます(同一傷病で通算)。

支給要件と金額

項目内容
対象協会けんぽ・健保組合・共済組合の被保険者(国民健康保険は対象外)
金額支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均÷30 × 2/3
期間支給開始日から通算で最長1年6ヶ月
条件① 業務外の傷病で療養中/② 労務不能/③ 連続3日の待期期間後の4日目以降/④ 給与が支払われていない(または傷病手当金より少ない)

出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)公表の傷病手当金制度の概要を基に作成。健保組合により独自の付加給付がある場合があります。詳細は加入の保険者にお問い合わせください。

休職中に移行支援に通えるか?

傷病手当金は「労務不能であること」が支給要件のため、「療養に専念せずフルタイムで通所している」と判断されると支給停止のリスクがあります。 一方で、主治医がリハビリ・リワーク的な意味合いで通所を認めているケースでは併用できる場合もあります。

⚠️ 必ず「主治医・会社・保険者」の三者に確認

移行支援はあくまで「就職に向けた訓練」であり、復職を前提としたリワークプログラムとは性質が異なります。 休職中に併用したい場合は、主治医意見書会社の就業規則(休職中の通所制限)保険者(健保組合等)の運用の3つを必ず事前確認しましょう。 「復職せずそのまま退職→失業給付+移行支援」に切り替える設計のほうがクリーンなケースも多々あります。

退職後も継続受給できる?

一定の条件(被保険者期間1年以上+退職時に受給中/受給可能な状態)を満たせば、退職後も残期間まで継続して受給可能です。 「退職→国保+傷病手当金(残期間)→移行支援に通所」というパターンを取る方も少なくありません。詳細は退職前に協会けんぽ・健保組合に必ず確認してください。

④ 自立支援医療|精神通院の自己負担を1割に

自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患の継続通院が必要な方の医療費自己負担を原則1割に軽減する制度です。 所得に応じた月額上限も設定され、通院・服薬・デイケアなどにかかる医療費の負担を大きく抑えられます。

軽減される費用・負担上限

所得区分月額負担上限
生活保護世帯0円
市町村民税非課税世帯(本人収入80万円以下)2,500円
市町村民税非課税世帯(本人収入80万円超)5,000円
市町村民税課税世帯(所得割3.3万円未満)医療保険の自己負担限度額
※「重度かつ継続」の場合 5,000円
市町村民税課税世帯(所得割3.3万〜23.5万円未満)同上
※「重度かつ継続」の場合 10,000円

出典:自立支援医療(精神通院医療)の制度概要に基づき作成。具体的な認定区分・「重度かつ継続」の対象は自治体・主治医の判断となります。お住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。

移行支援費用とは「別物」

よく混同されますが、自立支援医療医療機関での精神科通院費を軽減する制度。 一方、就労移行支援の利用料は障害福祉サービスの利用者負担で、これも世帯所得により9割以上の方が0円です(住民税非課税世帯は0円)。 両者は別の制度なので、両方とも申請しておくのが基本です。

出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp

⑤ 住宅費の援助|住居確保給付金・生活福祉資金

一人暮らしや独立世帯で通所する場合、家賃の負担は最も重い固定費になります。 家計が苦しくなった時に活用できる代表的な制度が、住居確保給付金生活福祉資金貸付制度です。

住居確保給付金|家賃相当額の支給(原則3ヶ月・最長9ヶ月)

項目内容
対象離職・廃業後2年以内、または休業等で収入が減少し、住居を失うおそれがある方
支給内容原則3ヶ月(延長で最長9ヶ月)家賃相当額を自治体から賃貸人に直接支給
収入要件世帯収入が市町村民税の非課税相当の収入基準+家賃額以下
資産要件世帯預貯金が一定額以下(自治体ごとに異なる)
就職活動要件ハローワークでの月複数回の求職活動が必要

出典:住居確保給付金は厚生労働省所管・自治体運営。具体的な支給上限額・要件は自治体により異なります。お住まいの自立相談支援機関または市区町村の生活困窮者支援窓口にお問い合わせください。

生活福祉資金貸付制度|社会福祉協議会の低利・無利子貸付

都道府県・市区町村の社会福祉協議会が窓口となる貸付制度で、低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯などが対象です。 緊急小口資金(最大10万円・無利子)、総合支援資金(生活支援費 月15万円以内など)、教育支援資金、住宅入居費(最大40万円)など、目的別に複数のメニューがあります。 貸付=返済義務がある制度なので、利用前に必ず返済計画を相談員と一緒に組みましょう。

💡 公営住宅・グループホームという選択肢

家賃負担を構造的に下げる方法として、公営住宅(市営・県営)は障害者世帯の優先枠があるケースが多く、家賃も収入に応じた低額設定です。 また障害者グループホーム(共同生活援助)は、家賃補助(特定障害者特別給付費 上限10,000円/月)の対象にもなり、移行支援との併用利用が一般的です。 「家賃を構造的に下げてから移行支援に集中する」という長期戦略も検討の価値あり。

⑥ 家族の扶養に入る選択|130万円の壁と健康保険

親・配偶者・きょうだいなど家族の被扶養者になることで、健康保険料・国民年金保険料の負担を抑えられます。 移行支援中は給与収入がない(≒年130万円未満)状態が続きやすいので、扶養に入る・入り直すタイミングとして適している時期です。

2つの「扶養」を区別する

税法上の扶養
(所得税・住民税)
社会保険上の扶養
(健康保険・年金)
所得の壁年収103万円
(給与収入の場合)
年収130万円
(障害者は180万円)
メリット扶養者の所得税・住民税が軽減健康保険料・国民年金保険料が0円
判定対象暦年(1〜12月)の所得今後の見込み年収(過去ではない)
障害年金の扱い非課税(含まない)含む(年130万/180万の判定対象)

出典:所得税法・健康保険法に基づく一般的な取扱いを記載。健康保険組合により被扶養者認定基準が異なる場合があります。具体的な判定は加入予定の健康保険組合・税務署にご確認ください。

「障害者は180万円の壁」の存在

社会保険上の被扶養者認定では、障害厚生年金を受けられる程度の障害がある場合、年収判定の上限が180万円に拡大されます。 障害年金(基礎2級 年約81.5万円)を受給しながら扶養に入っても、180万円の枠内に収まれば被扶養者を継続できるケースが多いです。 詳細は加入する健康保険組合の規約を必ず確認してください(組合により別途要件あり)。

🙋 親と同居 vs 別居の家族扶養

別居家族の扶養に入るには「仕送り額が本人収入を上回る」など追加要件があります(健康保険組合により異なる)。 実家から送金してもらう形で扶養に入る場合は、振込記録を毎月残すことを心がけましょう。「現金手渡し」だと認定されないケースがあります。

⑦ 市町村独自の支援制度|通所交通費・昼食補助も

国の制度のほかに、市区町村が独自で実施している支援を見逃さないことも重要です。 自治体ごとに有無・金額・要件が大きく異なりますが、代表的なものを挙げると次のとおり。

🚃

通所交通費補助

自治体が定める上限内で、移行支援への通所交通費を月単位で助成。事業所経由で申請するパターンが多い

🍱

昼食補助・食事提供加算

事業所が「食事提供加算」を算定している場合、低所得者は1食あたり数百円の補助を受けられる

💊

重度心身障害者医療費助成

障害者手帳1〜2級などの方の医療費を助成。市町村により対象等級・上限が異なる

🏠

家賃補助・家賃減額

市営住宅の家賃減額、独自の家賃助成制度(一部自治体)など。住宅課に確認

🚌

福祉タクシー券・交通費助成

障害者手帳所持者向けに、月数千円分のタクシー券・バス回数券などを支給

📱

日常生活用具給付

障害者総合支援法に基づく給付。情報通信機器・点字機器・特殊寝具など、対象品目は自治体差あり

💡 「自治体独自の支援」を見つける3ステップ

  1. 市区町村HPで「障害者 福祉ガイド」「障害者のしおり」を検索→PDFが出てくる自治体が多い
  2. 市区町村の障害福祉窓口で「通所中に使える助成があるか教えてください」と直接聞く
  3. 移行支援事業所の支援員に「この自治体の利用者がよく使う制度を教えて」と聞く

事業所ごとに把握している地域情報の濃さが違います。事業所選びの段階で「お金まわりの相談に乗ってくれそうか」も判断軸に入れましょう。

モデルケース3パターン|単身/実家/配偶者あり

実際に通所する方の家計をイメージしやすいよう、よくある3パターンの月収・支出をシミュレーションしました。 ※金額はあくまで参考例。お住まいの地域・障害等級・加入保険により大きく変動します。

🏠

ケース①:単身一人暮らし
(30代・うつ病・前職アリ)

収入
・障害基礎年金2級:約 67,900円
・失業給付(残期間):約 90,000円
・自治体通所交通費:約 5,000円
月 約 162,900円

支出
・家賃:60,000円
・食費:35,000円
・光熱通信:18,000円
・医療費(自立支援医療適用):2,500円
・移行支援利用料:0円
・その他:30,000円
月 約 145,500円

結論:失業給付が切れる前に住居確保給付金や副収入の検討。年金+仕送りor貯金切崩しで2年継続可能なライン。

👨‍👩‍👧

ケース②:実家暮らし
(20代・ASD・新卒退職後)

収入
・障害基礎年金2級:約 67,900円
・親からの援助(食費・家賃込み):実物支給
・自治体通所交通費:約 4,000円
現金収入 月 約 71,900円

支出
・家への入金:20,000円
・食費(昼・休日):12,000円
・通信:6,000円
・医療費:2,500円
・移行支援利用料:0円
・その他:15,000円
月 約 55,500円

結論:親の社会保険の被扶養者になり、健康保険料0円。月1万円台の貯蓄も可能で、最も安定したパターン。

💑

ケース③:配偶者あり
(40代・休職→退職、配偶者は会社員)

収入
・配偶者の給与:約 280,000円(手取り)
・本人の傷病手当金(残期間):約 130,000円
・自立支援医療適用後 医療費:5,000円程度
世帯 月 約 410,000円

支出
・家賃:90,000円
・食費:60,000円
・光熱通信:22,000円
・医療費:5,000円
・配偶者の保険・年金:35,000円
・その他生活費:80,000円
月 約 292,000円

結論:傷病手当金切れ後は配偶者の被扶養者へ移行+障害年金請求準備。世帯収入で支えやすい構図。

モデルケースは典型的な制度組合せの試算例で、実際の金額は離職時賃金・障害等級・自治体・健保組合により大きく異なります。家計設計は移行支援事業所の支援員・社会福祉協議会の相談員と一緒に立てるのが安全です。

2年で就職できなかった場合の生活設計

就労移行支援は原則2年で利用終了。終わった時点で就職できていない場合に備え、セーフティネットを並行して準備しておくのが現実的です。

選択肢① 期間延長申請(最長3年)

必要性が認められれば、市町村審査会の判断を経て最長1年の延長が可能です。 「もう少しで就職できる見込み」「長期の体調回復が必要」など、延長を必要とする具体的な理由が要件。 支援員と早めに相談し、計画書を整えて申請しましょう。

選択肢② 就労継続支援A型/B型へ移行

一般就労がまだ難しい場合、雇用契約のあるA型(給与月平均約8.6万円)またはB型(工賃月平均約2.2万円)に移行する選択肢があります。 A型は最低賃金以上の給与+雇用保険・社会保険、B型は体調最優先で週1日から通えるなど、それぞれ特徴が違います。 詳しくは 就労支援と生活保護・福祉制度の関係 や、就労支援事業所の全体ガイド を参照ください。

選択肢③ 生活保護の申請

収入・資産・親族からの支援すべてで最低生活費を下回る場合、生活保護の申請が選択肢に入ります。 「働ける状態だが、就職活動中で収入が途絶えている」期間も、自立支援プログラムの一環として受給できるケースがあります。 申請をためらう必要はなく、福祉事務所で相談員と一緒に状況を整理しましょう。

選択肢④ 家族・住居・支出の構造的見直し

実家への一時帰省・公営住宅への引越し・グループホーム入居など、固定費(特に家賃)を構造的に下げる判断も重要です。 「就活を急いで体調を崩す」よりも、「生活のベースを整えて長期戦に備える」ほうが、結果的に良い就職先につながるケースは少なくありません。

✅ 終了前にやっておくべきこと

  • 支援員と「卒業後プラン」を半年前から作成
  • 障害年金未請求なら更新も含めて準備
  • A型・B型の見学・体験を並行
  • 住宅費の見直し(実家・公営・GH)
  • 就労定着支援への移行を確認

⚠️ 避けたいパターン

  • 2年終了直前まで「卒業後どうするか」未着手
  • 収入断絶を恐れて無理な就職→早期離職
  • 制度を1つも申請しないまま貯金が尽きる
  • 家族との金銭関係を相談せず孤立

よくある質問

就労移行支援に通うと工賃や給与はもらえますか?

原則として工賃・給与は出ません。就労移行支援は雇用契約のない訓練型サービスのためです。ただし、企業実習中に企業から数千円程度の謝礼が出るケースや、事業所独自の交通費補助・昼食補助があるケースはあります。

障害年金をもらいながら移行支援に通っても、年金は止まりませんか?

移行支援への通所だけで年金が止まることは原則ありません。ただし更新時の診断書で「就労に制限なし」「週5日通所」など極端に良好な記述があると、等級が下がる・支給停止になるケースがあります。主治医に通所状況を正確に伝え、必要な配慮の記載も依頼しましょう。

失業給付(雇用保険)の受給中でも通所できますか?

受給中の通所は基本的に可能です。「就労移行支援が就職活動実績として認められるか」はハローワークによって扱いが異なるため、受給開始時に必ず管轄ハローワーク窓口で「移行支援に通う予定」を申告し、認定方法を相談してください。手帳所持者は「就職困難者」扱いで給付日数が大幅に増える場合があります。

傷病手当金を受給中、休職のままで移行支援に通えますか?

「療養に専念せずフルタイム通所」と判断されると支給停止のリスクがあります。主治医意見書・会社の就業規則・健保組合の運用の3つを必ず事前確認してください。退職して「失業給付+移行支援」に切り替えるパターンも一般的です。

自立支援医療と移行支援の利用料は別ですか?

別の制度です。自立支援医療は「精神科の通院医療費」を1割に軽減する制度。移行支援の利用料は「障害福祉サービス」の自己負担で、住民税非課税世帯は0円・課税世帯でも上限9,300円です(厚労省「障害者の利用者負担」より)。両方とも申請しておくのが基本です。

家族の扶養に入っていても移行支援は使えますか?

使えます。むしろ移行支援中は給与収入がない状態が続くので、社会保険上の被扶養者になりやすい時期です。障害厚生年金を受けられる程度の障害があれば、被扶養者認定の年収判定が180万円まで拡大される場合があります。詳細は加入する健康保険組合にご確認ください。

2年通っても就職できなかった場合、まずどうすればいいですか?

(1) 期間延長申請(最長1年)の検討、(2) A型・B型への移行検討、(3) 生活保護の相談、(4) 家賃を下げるための住居見直し──の4つを並行で考えるのが現実的です。終了の半年前から支援員と「卒業後プラン」の作成を始めておくと安心です。

家賃が高くて生活が苦しい場合、まず何の制度を使えますか?

離職後2年以内なら「住居確保給付金」(家賃相当額を最長9ヶ月支給)の申請を最優先で検討してください。並行して、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付、公営住宅への申込み、障害者グループホームの体験利用なども相談を。お住まいの「自立相談支援機関」がワンストップ窓口になります。

まとめ:「お金の不安」で諦める前に、制度を組み合わせて使い倒す

就労移行支援は原則2年・無給のサービスですが、生活費を支える制度は複数存在します。 一つひとつの金額は小さくても、障害年金+自立支援医療+家族扶養+自治体補助のように組み合わせれば、現実的に2年間を乗り切る家計設計は可能です。

📋 通所前に押さえておきたい7つのこと

  • 収入源の主な選択肢は6つ(障害年金/失業給付/傷病手当金/自立支援医療/生活保護/家族扶養)
  • 初診日から1年6ヶ月経っているなら、障害年金の請求を最優先で検討
  • 離職して間もないなら、失業給付+手帳での就職困難者扱いを活用
  • 休職中なら、傷病手当金と移行支援の併用可否を主治医・保険者に確認
  • 精神通院があれば、自立支援医療はまず申請(移行支援費とは別制度)
  • 家賃負担が重ければ、住居確保給付金・公営住宅・グループホームの3択を検討
  • 2年で就職できない可能性も計画前提で織り込む──A型・B型・生活保護も選択肢

本記事の内容は2026年4月時点の制度に基づくものです。自治体・所得状況・障害等級・加入保険により取扱いが大きく変わるため、具体的な金額・可否の判断は必ず市区町村窓口・年金事務所・ハローワーク・健康保険組合・社会福祉協議会などの公的機関に直接ご確認ください。 また、移行支援の事業所選びの段階で「お金まわりの相談に乗ってくれそうか」も判断軸に入れることを強くおすすめします。

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