うさの日記『遠い日の記憶』

ナイジェリア人の彼女との出逢いは、バス停。
バス待ちの立ち話に始まり、次に会った時は
バス停から歩いて10分くらいの彼女の自宅に
誘われ腹ペコの私に、思いがけず
彼女は手料理をごちそうしてくれた。

白いお皿の真ん中にどーんと乗った肉の塊
(何のお肉か聞けず仕舞い)全体的に茶色く
濃厚でスパイスの効いたシチュー。
溶けずに残った野菜たちが肉にまとわりつき、
エキゾチックな味。スプーンで探り探り頬張った。

身も心も満たされた私に、彼女は居間で
“ビデオ”(の時代です w)をみせてくれた。
クリスチャンの聖書の教えが詰まった内容?
画像は粗く、素人らしき出演者の一本調子な
やり取りが続く…。退屈した私を彼女は、
自分の部屋に案内してくれた。

陽当りの良い角部屋。彼女は清掃の仕事をしながら、
親戚夫婦とルームシェアしている。
壁全体は鮮やかなピンク。落ち着かない。

彼女はそこで、私の髪をアレンジしてくれた。
初めてのブレイズヘアー。編み込み5本ぐらいが、
頭のてっぺんから枝分かれし垂れ下がった髪型。
真面目な黒髪日本人は頭だけファンキースタイル。

彼女は唇が分厚く、広角が上がっている。
目はぱっちりしていて、肌の色は深い茶色。
そしてメリハリのあるボディ。私とは違う。

彼女がこっそり見せてくれた。
フィアンセにもらったシルクの真っ白な
下着セット。とても愛おしそうに箱から
取り出し見せてくれた。射し込む
陽射しをバックに、無邪気な笑顔。

ふと気になった、袋に入った沢山の“木の枝”。
かたいその枝は、“チューイングスティック”と言って、
歯ブラシの代わりになるらしく、お土産に数本くれた。
それからいつもポーチに忍ばせていた小枝。
おじさんご愛用の携帯爪楊枝みたいに。 

ある日集会所にも連れてってくれた。
称賛の声を浴びる神父、高揚し歌い出す信者。
異文化の奥地に迷い込むも、強引な勧誘もなく、
ずっと気の良い友人のまま、私は帰国した。

そう、彼女の名はPrecious。
その名の通り、私にとっては唯一無二の
貴重なナイジェリア人の友達だ。
後で知ったがナイジェリアでは
よくある名前らしい。

ロンドン留学中に、ナイジェリアの
友に出逢えた奇跡。彼女の故郷
ナイジェリアは、かつて
イギリスの植民地だった。

ナイジェリアの独立後も、各国から
イギリスへの移民・難民は増え続け、
成功した人もそうでない人も。今や
労働力としても欠かせない存在。

これまで多くの移民・難民を
受け入れてきた国々の課題は山積み。
母国、日本だって例外ではない。

ナイジェリアとアルジェリアの違いも、
それらがどこに位置し、どこの植民地
だったのかも、恥ずかしながら、
当時の私は何も知らなかった。

でもきっと、学ぶのに
遅すぎると言う事はない。

It’s never too late to learn.

学生の頃世界史の授業はすごく退屈で、
分厚い参考書はどれも小難しく感じた。

知りたい!という衝動に
かられた時の学びは、尊く重い。

きっと人生は長いようで短い。
やりたい事は先延ばしにしない。

Every single day is precious.

star今日よかったこと♪

忘れかけてた記憶を、アウトプットできた。
過去の記憶を紐解き、歴史を学べた。
全ての出逢いに感謝。

favorite読んでくれた人へのメッセージ

過ぎ去りし日の事をくよくよ思い悩むことありますか?
起こってもない嫌な未来を考えて心病んだことはありますか?
今じゃない、ココではないどこか他の居場所を探し求めたり・・・

心は果てしなく自由で、心のもちようで
見える世界も変わってくるかもしれない。

そんな事を、一人考えました。

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