就労継続支援A型とは?仕事内容・給与・利用条件と「本当に知りたいこと」をすべて解説
edit2026.04.23 visibility52
📌 この記事でわかること
- 就労継続支援A型の仕組みと、B型・就労移行支援との本質的な違い(雇用契約の有無)
- 全国平均86,752円・都道府県別ランキングでわかる給与の実態と生活費の現実
- 1日のスケジュール例・仕事内容10種類以上・週何日から通えるかの具体イメージ
- 障害者手帳がなくても使える条件・18〜65歳未満の年齢要件・申請の全5ステップ
- 2024年に329事業所が閉鎖、約5,000人が解雇された「A型2024年問題」の全貌
- WAMNETでスコア105点以上を確認する具体的な操作手順と安全な事業所の見分け方
- 「クビになる?」「体調悪い日は?」など本音のFAQ 10問に現場視点で回答
「働きたい気持ちはある。でも、普通の就職はまだ怖い」
「障害や病気があっても、ちゃんと給与をもらいながら働けるの?」
「A型って聞いたけど、自分に合うのかわからない」
就労継続支援A型について調べ始めたとき、こういった不安や疑問を抱える方はとても多いです。2024年にはA型事業所の大量閉鎖というニュースもあり、「今から利用しても大丈夫?」という声も増えています。
この記事では、制度の基本から給与の実態、1日の過ごし方、申請手続き、事業所選びの注意点、そして多くの人が気になっているけれど公式サイトには書いていない「本音のリアル」まで、就労支援の現場で日々支援に携わる視点から余すことなく解説します。2026年4月時点の最新情報に基づき、令和6年度報酬改定・令和5年度工賃実績・2025年10月施行の就労選択支援もふまえた、検索1位レベルの決定版ガイドです。
就労継続支援A型とは?一言でいうと「雇用契約ありで給与をもらえる福祉サービス」
就労継続支援A型とは、障害や難病のある方が事業所と雇用契約を結んで働ける、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。「就労系障害福祉サービス」のひとつで、一般企業への就職が現時点では難しい方でも、最低賃金以上の給与を受け取りながら、支援員のサポートを得て働き続けることができます。
厚生労働省の集計によると、2024年3月時点で全国に約3,922か所のA型事業所があり(就労継続支援B型は約13,828か所)、精神障害・発達障害・身体障害・知的障害・難病など、さまざまな背景を持つ方が利用しています。就労系障害福祉サービス全体では約45万人が利用しており、A型はその中で「給与をもらいながら安定して働く」という位置づけを担う中心的サービスです。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/「社会保障審議会(障害者部会)」公開資料(mhlw.go.jp)を基に作成
💡 A型の一番の特徴は「雇用契約があること」
- 労働基準法が適用される:労働時間の上限・休憩時間・有給休暇などが法律で保障される
- 最低賃金以上の給与:B型の「工賃(作業の対価)」と異なり、都道府県の最低賃金以上の「給与」として支払われる
- 社会保険・雇用保険の対象:週20時間以上の勤務などの条件を満たすと健康保険・厚生年金・雇用保険に加入できる
- 支援員が常駐:就労支援員・職業指導員・生活支援員が日々の働き方をサポート
「雇用契約がある」ことの本当の意味
A型が他の就労系サービスと決定的に違うのは、「福祉サービス」でありながら「労働者」としての権利が守られている点です。単に「給与が出る」というだけではなく、以下のような具体的な権利が発生します。
| 保障される権利・制度 | 内容 |
|---|---|
| 最低賃金の保障 | 各都道府県の最低賃金以上(例:2025年10月〜東京1,226円/全国加重平均1,121円)での時給支払いが義務 |
| 労働基準法の適用 | 労働時間・休憩・休日・残業・解雇予告など、一般企業の従業員と同じ法的保護を受ける |
| 有給休暇 | 継続6か月・出勤率8割以上で年10日の年次有給休暇が付与される(パート時間に応じ比例付与) |
| 社会保険 | 週所定労働時間・月収・従業員数などの条件で健康保険・厚生年金に加入できる(本人負担あり) |
| 雇用保険 | 週20時間以上・31日以上の雇用見込みで加入。離職時に失業給付(基本手当)の対象になる |
| 労災保険 | 業務中・通勤中のけがや疾病に対して治療費・休業補償が給付される |
B型では雇用契約がないため、これらの権利はありません。「働けなくなったら即終了」ではなく、労働者として法律に守られながら働けるのがA型の最大の価値です。
利用者の障害種別:精神障害が最多の4割超
「自分みたいな人でもA型を使えるのかな?」という疑問はよく聞かれます。厚生労働省の調査による実際の利用者属性を見てみましょう。
| 障害種別 | 割合 | 主な診断名 |
|---|---|---|
| 精神障害(発達障害含む) | 約42% | うつ病/統合失調症/双極性障害/ASD/ADHD/不安障害 等 |
| 知的障害 | 約34% | 軽度〜中度知的障害、特別支援学校卒業後の利用が多い |
| 身体障害 | 約19% | 肢体不自由/視覚障害/聴覚障害/内部障害 等 |
| 難病等 | 約5% | 指定難病受給者証で利用するケース |
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)掲載データを基に作成
精神障害のある方が最多を占めており、うつ病・統合失調症・双極性障害・発達障害(ASD・ADHD)など、見た目にはわかりにくい障害を持つ方が多く利用しているのが実態です。「自分だけ浮くのでは」と心配する必要はまったくありません。
誰が利用できる?対象者と利用条件を詳しく解説
A型は「働きたい意思のある障害・難病のある方」を広く受け入れるサービスですが、いくつかの条件があります。下の表で一覧を確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 18歳以上〜原則65歳未満 ※65歳到達前5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた方は、65歳以降も継続利用可 |
| 対象となる障害・病気 | 身体障害・知的障害・精神障害・発達障害(ASD・ADHD・LD)・難病 等 |
| 障害者手帳 | 必須ではない(医師の診断書で利用できるケースあり) |
| 就労状況の要件 | 一般企業等への就職・就労が現時点で困難であること |
| 利用料(自己負担) | 原則無料〜月額9,300円(世帯収入による。通所系サービスは課税世帯でも上限9,300円) |
| 利用期間 | 制限なし(継続して利用可能) |
| 併用できない主なサービス | 同時期に就労移行支援やB型との併用は原則不可(切り替えは可能) |
出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp)/利用料は通所系サービスの負担上限額
🙋 障害者手帳がなくても使えるの?
結論:多くの自治体で利用可能です。 精神科・心療内科の医師の診断書(「障害福祉サービス利用のため」と明記依頼)があれば、障害者手帳がなくても利用できるケースが多くあります。 うつ病・適応障害・双極性障害・ASD・ADHDなど、手帳を取得していない方も実際に多く利用しています。 ただし判断は自治体によって異なるため、最初の相談先はお住まいの市区町村の障害福祉窓口が確実です。
🙋 就労移行支援を使い切った後でもA型に入れる?
就労移行支援は原則2年間(最長3年)の期限がありますが、期間終了後にA型やB型に移行することは可能です。「就労移行支援を卒業したが一般就職に至らなかった」という方が、A型で給与を得ながら次のステップを模索するケースは珍しくありません。
仕事内容は?A型事業所で実際にやっている仕事10種類以上
A型事業所の仕事内容は、事業所ごとに大きく異なります。「自分の体力・特性・興味に合った仕事を選べる」ことが大きな特徴で、PC作業中心の事務系から農業・カフェ運営・IT系まで幅広い選択肢があります。
💻
PCデータ入力・事務
文書作成・Excel・スキャン・データ整理など。デスクワーク中心で体への負担が少ない
📦
軽作業・梱包
仕分け・封入・ラベル貼り・検品など。シンプルな繰り返し作業が多い
☕
カフェ・接客・販売
カフェ運営・レジ・接客補助など。コミュニケーションを少しずつ練習できる
🎨
クリエイティブ・デザイン
グラフィックデザイン・動画編集・イラスト・印刷物制作など。作品が形になる
🖥️
IT・プログラミング
WEB制作・コーディング・動作テスト・データ分析など。スキルが身につき一般就労にも活かせる
🌿
農業・園芸
野菜の種まき・収穫・販売。自然の中での作業が好きな方に向いている
🥐
食品加工・製パン
パン・お菓子・弁当などの製造・包装。手順が明確で段取りを覚えやすい
🧹
清掃・ビルメンテ
施設・ビルの清掃・除草作業など。人との接触が少なく黙々と取り組める
🏭
製造・組み立て
部品の組み立て・加工・製造補助など。手作業が得意な方に向いている
📞
コールセンター・受付
電話対応・予約受付など。マニュアルがあり、落ち着いた環境で取り組める
🚚
物流・倉庫内作業
ピッキング・棚入れ・出荷準備など。体を動かしながら働きたい方に
🖱️
テレワーク・在宅
PCさえあれば自宅で作業できる事業所が増加中。通所負担を減らせる
1日のスケジュール例:3パターン
「1日の流れってどんな感じ?」は見学前に必ず気になるポイントです。事業所のタイプによって違うので、代表的な3パターンを紹介します。
📅 パターンA:オフィス系(9時始業・週5日・1日6時間)
- 8:50 出勤・タイムカード打刻
- 9:00〜9:15 朝礼・体調確認・当日の作業説明
- 9:15〜12:00 午前の作業(データ入力・書類チェックなど)
- 12:00〜13:00 昼休憩(事業所内の食堂・休憩室で過ごす方が多い)
- 13:00〜15:30 午後の作業(途中で15分休憩)
- 15:30〜16:00 終礼・日報記入・片付け・退勤
📅 パターンB:短時間型(10時始業・週4日・1日4時間)
- 10:00〜10:10 出勤・朝礼
- 10:10〜12:00 午前の作業
- 12:00〜13:00 昼休憩
- 13:00〜14:30 午後の作業
- 14:30 退勤
精神障害や発達障害の方で、体調の波がある場合に選ばれやすいパターン。慣れてきたら週5日・5時間に増やすなど、段階的に調整できます。
📅 パターンC:製造・カフェ系(早番/遅番のシフト制)
- 早番例 7:30〜12:30(開店準備・ランチ対応)
- 遅番例 11:30〜16:30(ランチ・カフェタイム対応・片付け)
カフェ・食品加工・製造系はシフト制の事業所もあります。朝が苦手な方は遅番、夕方の予定がある方は早番など、自分の生活リズムに合わせて選べるのが特徴です。
勤務時間は事業所・契約内容によって異なりますが、多くの場合週20〜30時間・1日4〜6時間程度が目安です。最初から週5日フルタイムで通う必要はなく、週2〜3日・短時間から始めて、体調を見ながら増やしていくのが一般的です。
給与の実態:全国平均86,752円と都道府県別ランキング
「A型って実際どれくらい稼げるの?」という疑問は、検討中の方が最も知りたい情報です。厚生労働省が公表している最新データで見ていきましょう。
A型 給与の全国平均(令和5年度)
月額 86,752円
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(mhlw.go.jp)
都道府県によって給与は月3万円以上差がつく
全国平均は86,752円ですが、各都道府県の最低賃金に連動するため、住む地域によって月3万円以上の差が生じます。都道府県別ランキングで見ると、最高の東京都と最低の宮崎県では月額で約3.2万円もの差があります。
| 順位 | 都道府県 | 平均月給(令和5年度) | 全国平均との差 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 東京都 | 106,498円 | +19,746円 |
| 2位 | 島根県 | 103,724円 | +16,972円 |
| 3位 | 広島県 | 102,410円 | +15,658円 |
| 4位 | 大阪府 | 98,200円前後 | +11,400円前後 |
| 5位 | 神奈川県 | 96,800円前後 | +10,000円前後 |
| ― | 全国平均 | 86,752円 | ― |
| 45位 | 鹿児島県 | 77,200円前後 | −9,500円前後 |
| 46位 | 沖縄県 | 76,100円前後 | −10,600円前後 |
| 47位(最低) | 宮崎県 | 74,967円 | −11,785円 |
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)/4位以下は同省統計および厚生労働省が公表する都道府県別データを基に概算・整理。年度により順位・金額は変動します。
🙋 なぜ島根が2位?地域別賃金の読み方
「最低賃金が高い大都市ほど給与も高いはず」と思われがちですが、A型の場合は事業所が確保できる生産活動収益と、勤務時間の長さも大きく影響します。島根県や広島県は、地場産業との連携や安定した受注のある事業所が多く、結果として平均給与が押し上げられていると考えられます。住む地域=給与の高さとは一概に言えず、事業所ごとの特色が結果を左右する点は覚えておきましょう。
A型の給与だけで生活できる?率直な答え
正直に言うと、A型の給与だけで一人暮らしをするのは、多くの地域で難しいのが現実です。全国平均の86,752円では、家賃・食費・光熱費・通信費などをすべて賄うのは困難です。ただし、以下の制度を組み合わせれば、生活設計はしっかり立てられます。
✅ 給与に「上乗せ」できる制度
- 障害年金:A型給与との併用が原則可能(障害基礎年金2級 月約6.8万円/1級 月約8.5万円)
- 生活保護:世帯状況により一部受給の可能性。収入申告が必要
- グループホーム:住居費を抑えながら支援を受けて生活できる(家賃助成1万円あり)
- 特別障害者手当:重度障害の場合、月額約28,840円(2026年4月時点の目安)
- 家族のサポート:実家から通うことで家賃・食費を抑えられるケースも多い
⚠️ 生活設計で注意したい点
- 障害年金等級更新時に、給与収入が判断材料に加わるケースがある
- 健康保険の扶養(年130万円)を超えると、親の扶養から外れる可能性
- A型の給与は年末調整や確定申告の対象になる
- 生活保護受給中は収入申告が必須(黙って働くと過払い返還になる)
- 社会保険加入により手取りが額面より減る(月5〜10%程度が目安)
💡 給与以外の支援制度もうまく活用しよう
A型の給与は「働く場」と「収入の一部」として考え、障害年金・住居支援(グループホーム)・生活保護などと組み合わせて生活設計するのが現実的です。どの制度が自分に使えるかは、市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に聞くのが一番確実。相談は無料で、何度でも受けられます。
A型・B型・就労移行支援の違いを徹底比較
「A型とB型、どっちがいいの?」「就労移行支援とはどう違う?」という疑問に答えるため、主要3サービスの違いを1つの表で整理します。
| 就労継続支援 A型 |
就労継続支援 B型 |
就労移行支援 | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 給与をもらいながら 働き続ける |
工賃をもらいながら 自分のペースで働く |
一般就職を 目指す訓練 |
| 雇用契約 | あり | なし | なし |
| 報酬 | 給与 (最低賃金以上) 全国平均 約86,752円/月 |
工賃 全国平均 約22,649円/月 |
なし (訓練中) |
| 利用期間 | 制限なし | 制限なし | 原則2年以内 (最長3年) |
| 利用対象 | 一般就労が 困難な方 |
A型も困難な 程度の方 |
就職を 目指せる方 |
| 年齢 | 18〜65歳未満 | 18歳以上 (上限なし) |
18〜65歳未満 |
| 社会保険 | 加入対象 (条件あり) |
対象外 | 対象外 |
| 有給休暇 | あり | なし | なし |
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)/令和5年度のB型工賃は令和6年度報酬改定により計算方法が見直されています。
🙋 どれを選べばいい?判断フロー
- いずれは一般就職したい・スキルを積みたい → 就労移行支援
- 給与をもらいながら長く無理なく働き続けたい → A型
- 体調が不安定で「まず通う習慣をつけたい」段階 → B型
- どれが合うか自分で判断しづらい → 就労選択支援(2025年10月〜運用開始)でアセスメントを受ける
就労継続支援A型のメリットとデメリット
A型は「良いことづくめ」のサービスではありません。メリットとデメリットを正直に並べた上で、自分に合うかを判断しましょう。
✅ A型のメリット
- 最低賃金以上の給与が法律で保障される
- 雇用保険・社会保険に加入できる(週20時間以上等の条件)
- 有給休暇が取れる(労働基準法の適用)
- 支援員がいるので一人で抱え込まなくていい
- 週2〜3日・短時間から始められる事業所が多い
- 働く習慣・社会性・スキルが身につく
- 利用期間に制限がなく長く続けられる
- 利用料は多くの方が無料(世帯収入による)
- 在宅・テレワーク対応の事業所も増加中
❌ A型のデメリット・注意点
- 月給は一般就労より低く、生活費の単独負担は難しい
- 雇用契約があるため欠勤が多いと契約解除になる可能性
- 一般就職向けの訓練ではない(転職力は上がりにくい)
- 事業所ごとに仕事内容・支援の質・雰囲気の差が大きい
- 定員があり、希望の事業所にすぐ入れないこともある
- 経営不振の事業所が閉鎖するリスク(2024年問題)
- 体調が不安定だと契約条件を満たすのが辛いケースも
「A型ってどんな感じ?」相談でよく聞かれる本音の疑問
就労支援の相談現場で繰り返し聞かれる、公式サイトには書いていない「本音の疑問」に正直に答えます。ここを読むことで、A型利用のリアルな姿がわかります。
「体調が悪い日はどうなるの?クビになる?」
A型は雇用契約があるため、欠勤が多すぎると契約解除になる可能性はゼロではありません。ただし、多くの事業所は障害・病気の特性を踏まえた対応をしており、いきなり「一度休んだら即クビ」ということはまずありません。大切なのは「事前に伝えること」と「相談する姿勢」です。
- 体調不良・通院日の欠勤は、事前に伝えれば柔軟に対応してくれる事業所が多い
- 「波がある」ことを前提に利用計画を立てる支援員がほとんど
- 週2〜3日から始めて、徐々に増やしていける事業所を選ぶことが大切
- 見学・体験時に「体調が悪い日の対応ルール」を必ず確認しよう
- 契約書の解雇条項は事前に読み、不明点はその場で質問する
「職場の人間関係が不安…」
利用者同士・スタッフとの関係が心配な方は多いです。これは実際に体験して確かめるしかない部分もありますが、複数の事業所を見学・体験してから選ぶことで、自分に合う雰囲気の場所を見つけやすくなります。
⚠️ こんな事業所には注意
一部には「作業ノルマが厳しすぎる」「欠勤に極端に厳しい」「スタッフの態度が支配的」といった事業所も存在します。見学時の空気感・スタッフの接し方・利用者の表情をよく観察することが重要です。合わないと感じたら転所することも正当な権利です。無理に我慢しないでください。
「就労移行支援と迷っている。どっちが自分に向いてる?」
シンプルな基準は「2年以内に一般就職を目指せる状態か」です。体調が安定していてスキルを積んで就職したい方は就労移行支援が向いています。「まずは働く場所を確保したい」「給与をもらいながらゆっくり慣れたい」という方はA型が向いています。どちらが正解・不正解ということはありません。迷ったときは2025年10月から始まった就労選択支援でアセスメントを受けて決めるのも一つの方法です。
「A型に通いながら、もっと良い仕事を探すのはあり?」
問題ありません。A型は「ゴール」ではなく「ステップ」として使っている方も多いです。A型で働きながら一般就労・障害者雇用を目指すことも、長くA型で安定して働き続けることも、どちらも本人の意思次第です。事業所によっては、一般就労への移行をサポートしてくれるところもあります。
「A型だけで老後まで暮らせる?」
正直に言うと、A型の給与だけで老後の生活設計をするのは現実的ではありません。ただし、A型+障害年金+グループホーム+親族の支援などを組み合わせれば、安定した生活は可能です。また、65歳以降は介護保険サービスへの切り替えが基本となるため、相談支援専門員と早めに将来設計を話し合っておくと安心です。
利用開始までの流れ:申請の5ステップ
A型を利用するには、役所で「障害福祉サービス受給者証」を取得する必要があります。相談から通所開始までの流れを押さえておきましょう。
-
1
相談・情報収集(所要:即日〜数日)
まずは市区町村の障害福祉窓口、または地域の相談支援事業所に連絡します。「就労継続支援A型を使いたい」と伝えれば、手続きの案内と地域の事業所情報をもらえます。ネット検索(「就労継続支援A型 ○○市」)で直接事業所を探す方法も有効です。
-
2
事業所の見学・体験利用(所要:1〜4週間)
気になる事業所を最低2〜3か所見学・体験します。体験は無料でできる事業所がほとんど。見学だけで決めず、数時間〜数日過ごしてみて雰囲気を確かめましょう。「合わないかも」と思ったら遠慮なく別の事業所を探して大丈夫です。
-
3
受給者証の申請(所要:1〜2か月)
市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」を申請します。必要書類は自治体によりますが、一般的には申請書・医師の診断書または障害者手帳・マイナンバー・身分証など。審査期間は1〜2か月ほどかかります。相談支援専門員がいれば一緒に進めてもらえるので、事前に決めておくとスムーズです。
-
4
サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が「サービス等利用計画」を作成します。自分で作成する「セルフプラン」も可能ですが、初めての方は専門員に依頼するのがおすすめ。どのサービスをどのくらいの頻度で利用するかを計画書にまとめます。
-
5
契約・通所スタート
事業所と利用契約・雇用契約の2つを結び、通所開始です。最初から週5日フルタイムで通う必要はありません。週2〜3日・短時間から慣らしていくのが一般的です。体調に合わせて徐々に日数・時間を増やしましょう。
💡 2025年10月から「就労選択支援」も使える
2025年10月以降、「就労選択支援」という新制度が運用されています。これは就労移行支援・A型・B型などを利用する前に、自分に合ったサービスを専門家と一緒にアセスメントして検討できる仕組みです。「どのサービスを使えばいいかわからない」という方にとって、申請の一歩前に活用する価値のある選択肢です。
出典:厚生労働省「就労選択支援について」(mhlw.go.jp)
知っておきたい「2024年問題」:A型事業所の大量閉鎖とは
⚠️ 2024年に起きたこと
2024年3〜9月の間に、全国で329か所のA型事業所が閉鎖し、約5,000人の利用者が解雇・退職を余儀なくされました(うち約4割がB型事業所へ転換)。背景には2024年4月の障害福祉サービス等報酬改定(スコア方式の見直し)があり、生産活動収益が利用者への賃金総額を下回る事業所の経営が立ち行かなくなったことが主因です。
出典:閉鎖事業所数・解雇者数は厚生労働省 国会答弁・各種報道(共同通信2024年10月/福祉新聞 等)/報酬改定の詳細は厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)を参照
なぜ閉鎖が相次いだのか?構造的な背景
A型事業所の収益は「訓練等給付費(国からの報酬)」と「生産活動収益(事業所の売上)」の2本柱で成り立っています。ところが、全国のA型事業所の半数超で、生産活動収益が利用者への賃金総額を下回っているという構造的な問題がありました。国の報酬でなんとか人件費をまかなっていたのです。
2024年4月の報酬改定では、生産活動収益が賃金を下回る事業所のスコアが大幅減点され、基本報酬が減額される仕組みに変わりました。結果、経営体力のない事業所が一気に立ち行かなくなり、閉鎖・B型転換が相次いだというのが実態です。裏を返せば、この改定で「質の低い事業所」がふるいにかけられたとも言えます。
利用している事業所が閉鎖したらどうなる?
💡 万が一、通所先が閉鎖した場合の対応
- 事業所から事前に閉鎖の告知がある(突然の閉鎖はほぼない)
- 相談支援専門員・市区町村の障害福祉窓口に速やかに相談する
- 別のA型・B型・就労移行支援への移行手続きを支援してもらえる
- 雇用契約があるため、解雇の場合は雇用保険(失業給付)が使えるケースも
- B型への転換事業所の場合、そのまま同じ場所で働き続けられることも多い
WAMNETで安定事業所を見分ける具体的な方法
A型事業所の経営安定性を事前に確認する最強のツールが、独立行政法人福祉医療機構が運営する「WAMNET(ワムネット)」です。事業所の情報公表データを誰でも無料で閲覧できます。
🔍 WAMNETでスコアを確認する5ステップ
- Googleで「WAMNET 障害福祉サービス」と検索し、WAMNETの障害福祉サービス事業所検索ページを開く
- サービス種別で「就労継続支援A型」を選択
- 都道府県・市区町村を絞り込んで事業所を検索
- 気になる事業所の詳細ページで「情報公表」または「運営状況」タブを開く
- スコア表(評価点の合計)を確認。105点以上が基本報酬維持の目安、120点以上であればより安定していると考えられる
安定しているA型事業所の特徴
- 病院・医療法人・上場企業・大手福祉法人が運営している
- 外部企業からの安定した受注がある(仕事を自前で確保している)
- WAMNETのスコアが105点以上(理想は120点以上)
- HP・SNSを定期的に更新していて、活動が活発
- 利用者の在籍期間が長く、定着率が高い
- 生産活動収益が賃金総額を上回っている(決算資料等で確認)
- スタッフの入れ替わりが激しくない
後悔しないA型事業所の選び方:7つのチェックポイント
A型事業所は全国に約3,900か所あります。同じ「A型」でも、仕事の質・支援の丁寧さ・雰囲気・経営の安定性は事業所によって大きく異なります。以下のポイントを確認してから選びましょう。
-
1
WAMNETでスコアを事前に確認する
A型事業所は厚生労働省の基準に基づき200点満点のスコアで評価され、105点以上でないと基本報酬が下がる仕組みです。WAMNETで誰でも無料で確認できます。低スコアの事業所は経営悪化・閉鎖のリスクがあるため、事前確認が有効です。
-
2
運営母体の安定性を調べる
病院・医療法人・大手福祉法人・上場企業などが運営する事業所は比較的経営が安定する傾向があります。小規模で独立した法人の場合は、経営状況をより慎重に確認しましょう。
-
3
見学・体験利用は複数の事業所で行う
最低でも2〜3か所は見学してください。「最初の1か所で決める」のは早計です。事業所ごとに雰囲気・作業内容・スタッフの対応は全く異なります。
-
4
見学中に「この質問」を必ずする
「体調不良や欠勤のときの対応は?」「利用者が辞める・転所する場合の手続きは?」「現在の定員と在籍人数は?」「給与はどのように決まりますか?」「過去1年で何人が一般就労しましたか?」これらへの答え方でスタッフの姿勢と事業所の文化が見えます。
-
5
利用者の表情・雰囲気を観察する
見学中、実際に働いている利用者の様子を見てください。笑顔・会話・落ち着いた作業の様子があるか。スタッフとの関係性が自然か。これは資料やHPでは絶対にわからない情報です。
-
6
HP・SNSの更新状況を確認
定期的にHPやSNSを更新している事業所は、活動が活発で経営が安定している傾向があります。逆に情報発信が止まっている・HPが古い事業所は慎重に。
-
7
相談支援専門員に第三者目線で聞く
相談支援専門員は地域のさまざまな事業所を把握しています。「〇〇事業所についてどう思いますか?」と率直に聞いてみましょう。営業トークではないリアルな評価が得られることがあります。
障害・病気の種類別:A型検討時に押さえるポイント
精神障害(うつ病・統合失調症・双極性障害)
A型利用者の最多層(約42%)です。体調の波があることを前提に、週2〜3日・1日4時間など少ない日数から始められる事業所を選ぶことが特に重要です。「週5日フルで通えないと入れない」という事業所には慎重になりましょう。雇用契約のプレッシャーが体調悪化につながる方は、まずB型から始めるのも正しい選択です。
発達障害(ASD・ADHD・LD)
自分の特性(感覚過敏・コミュニケーションの苦手さ・集中のしかたなど)を事前に事業所に伝え、特性に合わせた仕事・環境が用意できるかを見学時に確認しましょう。黙々と取り組めるPC作業・清掃・農業で力を発揮する方、IT・クリエイティブ系で高パフォーマンスを出す方、どちらもいます。「合理的配慮」を積極的に実践しているかがポイントです。
知的障害
軽度の方はA型、中度〜重度の方はB型を選ぶことが多い傾向です。特別支援学校卒業後の進路としてA型に入る方も少なくありません。2025年10月以降は、就労選択支援でアセスメントを受けてからA型かB型を選ぶルートが広がりつつあります。
身体障害
バリアフリー環境・通勤手段・休憩スペースなど物理的な環境の確認が欠かせません。テレワーク対応の事業所は通勤負担が少なく、選択肢として有効です。車いす使用者・視覚障害・聴覚障害など障害の種類によって対応できる事業所が限られるため、早めに情報収集を始めましょう。
難病・高次脳機能障害など
障害者手帳がなくても、指定難病受給者証や医師の診断書で利用できるケースが多いです。症状の変動が大きい疾患は、体調に合わせた柔軟な勤務ができる事業所を選びましょう。医療との連携が取りやすい医療法人系の事業所も選択肢になります。
よくある質問
障害者手帳がなくても利用できますか? ▼
医師の診断書があれば、障害者手帳がなくても利用できるケースが多いです。ただし自治体によって判断が異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください。うつ病・適応障害・ASD・ADHDなど、手帳なしで利用している方は実際に多くいます。
利用料はかかりますか? ▼
原則として世帯収入に応じて月額0〜9,300円の自己負担が発生しますが、生活保護受給世帯は0円、住民税非課税世帯も0円です。通所系サービスは課税世帯でも上限9,300円までで、実際には利用者の9割以上が無料で利用しています。
週何日・何時間から通えますか? ▼
事業所によりますが、週2〜3日・1日4〜6時間程度から始められるケースが多いです。雇用契約の内容は事業所との相談で決めるため、「週3日・1日5時間」のように自分のペースに合わせた契約を結べます。最初から週5日フルタイムである必要はありません。体調や慣れに応じて徐々に増やしていくのが一般的です。
体調が悪くて休んだらクビになりますか? ▼
一度や二度の欠勤で即解雇になることはまずありません。A型は雇用契約があるため解雇には正当な理由が必要で、労働基準法の保護があります。ただし長期的に出勤率が著しく低い場合、契約条件の見直しや契約解除の話が出ることはあり得ます。大切なのは事前連絡と相談の姿勢で、多くの事業所は障害特性を踏まえて柔軟に対応してくれます。
給与と障害年金は同時にもらえますか? ▼
はい、原則として障害年金とA型の給与は併用できます。ただし、障害年金の等級更新時には収入状況が判断材料になることがあり、年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金)や等級によって扱いが異なります。具体的な状況は年金事務所や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
A型を辞めたい・転所したい場合はどうすれば? ▼
雇用契約があるため、基本的には退職の意思表示から2週間〜1か月程度で退職できます(契約内容による)。転所の場合は相談支援専門員や市区町村窓口に相談すれば、スムーズに手続きを進められます。合わないと感じたときに転所するのは正当な権利で、遠慮する必要はありません。
在宅(テレワーク)で利用できる事業所はありますか? ▼
はい、近年テレワーク対応のA型事業所が増えています。「就労継続支援A型 在宅 ○○県」などで検索すると見つかります。ただし完全在宅対応の事業所はまだ少なく、週1〜2日は事業所へ通う「ハイブリッド型」が主流です。通勤が難しい方は在宅対応事業所を中心に探すと良いでしょう。
A型の事業所が閉鎖したら、突然仕事を失うのでは? ▼
突然の閉鎖はほぼなく、事前に告知があるのが一般的です。万が一の場合も、相談支援専門員・市区町村窓口に相談すれば、別の事業所への移行手続きをサポートしてもらえます。雇用契約があるため、解雇の場合は失業給付(雇用保険)が利用できることもあります。WAMNETでスコアを確認するなど、経営が安定した事業所を選ぶことが最大の予防策です。
A型からB型や就労移行支援に変えることはできますか? ▼
はい、可能です。状況の変化に応じてサービスを変更できます。「A型を試してみたが体調的にB型が合っている」「やっぱり一般就職を目指したくなった」など、状況が変わったときは相談支援専門員に相談して手続きを進めましょう。サービス変更には受給者証の変更申請が必要です。
2024年のA型大量閉鎖を見て不安です。今からA型を使うのは危険ですか? ▼
経営体力のない事業所は淘汰が進みましたが、安定した事業所は変わらず運営を続けています。WAMNETでスコアを確認し、運営母体が信頼できる事業所を選べば、過度に恐れる必要はありません。むしろ報酬改定により「質の低い事業所」がふるいにかけられ、残った事業所の質は相対的に上がっているとも言えます。事業所選びを慎重に行えば、A型は今も安心して利用できる大切な福祉サービスです。
まとめ:A型は「給与をもらいながら長く働く」を叶える場所
就労継続支援A型は、障害や病気があっても給与をもらいながら安心して働き続けられる、とても重要な福祉サービスです。雇用契約・最低賃金・有給休暇・社会保険という労働者としての権利が守られながら、支援員のサポートを受けて自分のペースで働ける。これはB型にも就労移行支援にもない、A型ならではの大きな価値です。
一方で、2024年問題で見えたとおり、事業所の質には大きなばらつきがあります。見学・体験を複数回行い、WAMNETでスコアを確認し、運営母体と支援の姿勢を見極めることが、後悔しない選択の絶対条件です。
📋 A型を選ぶ前に押さえておきたい6つのこと
- 雇用契約ありで最低賃金以上の給与が保障される(全国平均 月約86,752円)
- 東京10.6万円〜宮崎7.5万円まで都道府県別に月3万円超の差がある
- 給与だけで生活費を賄うのは難しい→障害年金・グループホームとの組み合わせが現実的
- 2024年に329事業所が閉鎖。WAMNETのスコア105点以上で事業所の安定性を事前確認
- 見学・体験は複数の事業所で。体調不良時の対応を必ず聞く
- A型は「ゴール」ではなく「ステップ」。自分のペースで長く続けることが最も大切
「どこから相談すればいいかわからない」「自分に合うかどうか話を聞いてほしい」「手帳がない場合どうなるのか」そんな疑問を抱えている方は、一人で抱え込まず、まずは市区町村の障害福祉窓口に電話してみてください。相談は無料で、何度でも受けられます。A型利用の一歩は、「調べる」と「話す」から始まります。
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