B型からA型へステップアップするには?判断基準・移行タイミング・成功のコツ

B型からA型へステップアップするには?判断基準・移行タイミング・成功のコツ

📌 この記事でわかること

  • B型からA型へステップアップしている人の実態と割合(全員が移れるわけではない前提)
  • 「A型に行けるか」を自己判断するための6つのチェック項目(週5通所/作業時間/指示理解 等)
  • B型とA型の決定的な違い(雇用契約・最低賃金・勤怠管理)と心構え
  • 早すぎる移行/遅すぎる移行、どちらも失敗しやすいタイミングの見極め方
  • 2025年10月開始の就労選択支援を挟む新ルートを含む、3つの移行パターン比較
  • ステップアップを成功させる5つのコツと、陥りがちな3つの失敗パターン
  • A型移行後に合わなかったら、もう一度B型へ戻れるかどうか
  • 工賃・受給者証・面接・扶養などを網羅したFAQ 8問

「B型に通い始めて1〜2年、だいぶ安定してきたから次はA型?」
「支援員さんに『そろそろA型どう?』と言われたけど、自信がない」
「でもA型って雇用契約だし、落ちたら恥ずかしい…」

B型からA型へのステップアップは、制度上は誰でも挑戦できる一方で、全員がスムーズに移れるわけではありません。体調の安定、週5日の通所、指示理解、対人、報連相――A型では最低賃金と引き換えに、労働者としての一定の水準が求められます。焦って進めて体調を崩すケースも、逆に準備万端になりすぎて機会を逃すケースも、どちらも現場ではよくあります。

この記事では、「B型利用中の方がA型へ進む」という1点に絞り、判断基準・移行タイミング・3つの移行パターン・成功のコツ・失敗パターンまで、2026年4月時点の制度(令和6年度報酬改定/令和5年度工賃実績/2025年10月開始の就労選択支援)を踏まえて現場視点で解説します。「A型=ゴール」と決めつけず、あなた自身のペースに合うステップアップの形を一緒に探していきましょう。

💡 最初に知っておいてほしい前提

本記事はB型利用者の方がA型へ進む動き方に特化しています。A型とB型の制度的な違い(雇用契約・賃金水準・対象年齢など)そのものを比較したい方は、先に 就労継続支援A型とB型の違い を読んでおくと理解がスムーズです。また、A型に進まず一般就労を目指す選択肢は 就労支援事業所とは で全体像を確認できます。

B型からA型へのよくある経路|5段階のステップで整理

B型からA型へのステップアップは、ある日突然「明日からA型」と切り替わるものではありません。通所習慣 → 体力 → 作業能力 → アセスメント → 見学・契約という5段階を踏んで進むのが一般的です。以下は、支援現場でよく見られる典型的な流れです。

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    通所習慣の定着(B型で半年〜1年以上)

    まずは「決まった曜日・時間にB型へ通う」リズムを作ります。週2〜3日から始めて、欠席の連絡を自分で入れられるようになる段階。A型の前にこの習慣を崩さず続けられるかが、後のすべての土台になります。

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    体力・集中力の向上

    B型の通所日数を週4〜5日に増やし、1日の滞在時間も4〜6時間に伸ばしていきます。帰宅後にぐったりしない、翌日も通える、という状態が続くかを確認する時期です。

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    作業能力・対人スキルの向上

    作業量や難易度を上げ、納期を意識した作業複数人での共同作業を経験します。B型の支援員と面談で「A型でやっていけそうか」を具体的に話し合う段階。

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    就労選択支援/アセスメント

    2025年10月に新設された就労選択支援を利用し、専門家のアセスメントで「A型が本当に合うか」を客観的に確認する方が増えています。B型で独自に「移行準備プログラム」を用意している事業所もあります。詳しくは 就労選択支援とは を参照。

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    A型事業所の見学・体験・面接 → 雇用契約

    候補のA型を2〜3か所見学し、体験利用で雰囲気と仕事内容を確認。面接を経て雇用契約を締結し、B型の利用契約を終了します。同時に受給者証のサービス変更申請が必要です。

🙋 「この順番通り」でなくてOK

実際には、ステップ2と3を並行して進める方、ステップ4を飛ばして直接A型に応募する方など、ルートは人それぞれです。ここで示したのは標準的な流れであって、順番や所要期間は個別事情・B型事業所の支援方針・主治医の意見で大きく変わります。

「A型に行ける」を見極める6つの判断基準

「そろそろA型?」と言われても、自分では判断しにくいもの。ここでは、現場の支援員が実際にチェックしている6つの判断基準を、自己点検できるチェックリスト形式で紹介します。4〜5項目以上YESなら、A型挑戦の準備段階と言えるでしょう。

✅ A型ステップアップ 自己診断 6項目

  • ①週5日の通所が維持できているか:直近3か月、体調不良での欠席が月2日以内に収まっているか。風邪や通院以外での急な休みが減っているか。
  • ②1日4〜6時間の作業に耐えられるか:昼食を挟んだ通し作業で、終盤も集中が続くか。帰宅後に翌日動けないほど消耗していないか。
  • ③指示の理解・復唱ができるか:「これを10時までに3件やってください」といった具体的な指示を、聞き返しや確認を交えながらでも実行できるか。
  • ④最低限の対人コミュニケーションが取れるか:挨拶・返事・わからないときの質問・トラブル時の相談。雑談や仲良しである必要はない。
  • ⑤報・連・相ができるか:ミスをしたとき、体調が悪いとき、作業が終わったときに、自分から声をかけて伝えられるか。
  • ⑥雇用契約を結び、労働者として責任を持てる心構えがあるか:遅刻・欠席の連絡ルール、服装、就業規則など、「守るべきもの」があることを受け入れられるか。

このチェックで0〜2項目しか当てはまらない場合は、まだB型で力を蓄える時期です。焦って進めず、支援員と「どの項目を次の3か月で伸ばすか」を決めるほうが、結果的にA型で長く続けられる可能性が高まります。3項目なら準備期、4〜5項目ならアセスメント(就労選択支援)を挟む時期、6項目すべてYESなら見学・面接のフェーズという目安を持っておくと、ステップを飛ばさずに進められます。

⚠️ 自己判断だけで決めないで

この6項目はあくまで目安であり、実際の可否は主治医・B型支援員・相談支援専門員の意見、そしてA型事業所側の受け入れ基準で総合的に決まります。主観では「大丈夫」と思っていても、周囲から見ると無理をしているケースは珍しくありません。必ず第三者の目を入れて判断しましょう。

B型とA型の決定的な違い|「通う場所」から「働く場所」への変化

ステップアップ後に「こんなはずじゃなかった」と感じる方の多くは、B型とA型の構造的な違いを十分にイメージできていません。ここでは制度面ではなく、移行時に心構えを変えるべきポイントに絞って整理します。

観点 B型(現在) A型(移行後)
契約の性質 利用契約(福祉サービス) 雇用契約(労働者として)
対価 工賃(平均月額22,649円/令和5年度) 給与(平均月額86,752円/令和5年度/最低賃金以上)
勤怠管理 体調優先、欠席OK、時間もゆるやか タイムカード/遅刻・欠席は連絡必須/頻発は指導対象
作業のプレッシャー できる範囲でOK/ノルマ原則なし 納期・品質を求められる/緩やかなノルマあり
労働基準法の適用 なし(福祉的就労) あり(最低賃金・労働時間規制・有給休暇)
社会保険・雇用保険 原則なし 週20時間以上などの要件で加入
位置づけ(気持ちの上で) 通う場所・作業を通じた社会参加 働く場所・労働者としての責任

出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)/「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)を基に作成。B型工賃は令和6年度報酬改定による計算方法変更後の修正値です。

特に大きな変化は「勤怠管理」と「作業のプレッシャー」の2点。B型では「今日はしんどいからお休み」で済んでいたものが、A型では「前日までに連絡を」「連続欠勤になる前に主治医の診断書を」といった段取りが求められます。制度としての詳細は 就労継続支援A型とは就労継続支援B型とは に譲りますが、移行前の段階から「雇用契約の下で働くとはどういうことか」を具体的にイメージしておくことが、定着の成否を分けます。

移行タイミングの見極め方|早すぎ・遅すぎ、どちらも失敗のもと

ステップアップには適切なタイミングがあります。早すぎても体調を崩し、遅すぎても「今さら」と気後れしてしまう。ここでは典型的な「早すぎる例」と「遅すぎる例」を挙げて、見極めのヒントにしてもらえればと思います。

⏱️ 早すぎる移行の例

  • B型通所が半年未満で、まだ週3日の通所が安定していない
  • 直近3か月で体調不良の欠席が月3日以上ある
  • 支援員から「あと少し様子を見よう」と言われたのに、自分の焦りだけで進める
  • 主治医に移行の相談をしていない/止められたのに強行する
  • 「親・家族に早く働く姿を見せたい」という外発的な動機だけで決める
  • A型の仕事内容や通所日数をイメージできていない

🕰️ 遅すぎる移行の例

  • B型で2〜3年以上、週5日・1日6時間が安定しているのに挑戦できない
  • 「失敗したらどうしよう」の不安が大きくなり、見学にすら行けない
  • B型の環境に慣れすぎて、「変化したくない」気持ちが強い
  • 支援員から何度もA型を提案されているのに、考えないふりをしている
  • 体力も作業能力も十分あるのに、工賃で満足してしまっている
  • 主治医や家族から「そろそろ次のステップを」と言われているが、踏み出せない

💡 「適切なタイミング」は数字だけでは決められない

B型利用期間は短い方で半年、長い方で5年以上と個別差が極めて大きいのが実情です。「○年経ったから」ではなく、「6つの判断基準のうち何項目YESか」と、「本人のやってみたい気持ち」の掛け算で決めるのが現実的。焦らず、しかし機会を逃さず、というバランスが大切です。

就労選択支援(2025年10月開始)を挟む新ルート

2025年10月から全国で本格運用が始まった就労選択支援は、B型からA型へのステップアップを検討する方にとって大きな追い風になるサービスです。従来は「自分とB型支援員の判断だけで進むか決める」しかなかった場面で、専門機関による客観的なアセスメントを挟めるようになりました。

就労選択支援を使うメリット

就労選択支援は、原則2週間〜1か月程度のアセスメント期間に、作業体験・面談・検査などを通じて、「どのサービスが本人に合うか」を多角的に評価してくれます。B型利用者がA型への移行を検討するとき、以下のような不安を整理しやすくなります。

  • 「自分にA型が合うかどうか、客観的に見てほしい」
  • 「A型で本当に続けられるか不安。まず他の選択肢(移行支援・一般就労)も知りたい」
  • 「B型支援員は勧めてくれるけど、本当に今なのか第三者の意見が欲しい」
  • 「面接に向けて、自分の強み・弱みを整理しておきたい」

アセスメント結果はA型事業所側にも参考資料として共有できるため、面接時の「自分をどう伝えるか」のヒントにもなります。詳細は 就労選択支援とはA型の選考・アセスメント で解説しています。

出典:厚生労働省「就労選択支援について」(mhlw.go.jp)/「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp

🙋 全員が就労選択支援を使う必要はない

B型支援員と主治医の意見が明確で、自分でも「今しかない」と感じているなら、直接A型の面接を受けるで問題ありません。就労選択支援は「判断に迷っている」「第三者のアセスメントで自信をつけたい」方にとって有効なオプション、と捉えておきましょう。地域によってはまだ実施事業所が少ない場合もあるので、まずは市区町村窓口に相談を。

B型からA型へ進む3つのパターン|あなたに合うのはどれ?

B型からA型へのステップアップには、実は3つのパターンがあります。それぞれに向き・不向きがあるので、自分の状況に合わせて選べるように比較表にまとめました。

観点 ① 直接移行 ② 就労選択支援経由 ③ 一度退所→新規
流れ B型在籍中にA型を探し、契約日を合わせて切替 B型→就労選択支援(1か月程度)→A型 B型を先に退所して一度フリー、後日A型へ
期間の目安 見学〜雇用契約まで1〜2か月 アセスメント+見学〜契約で2〜3か月 退所後の空白期間次第(長引くリスク)
メリット 空白期間ゼロ/B型支援員のサポートを継続活用できる 客観的なアセスメントで自信を持って挑める/A型側にも情報共有可 B型との関係をきれいに整理してから新たに挑戦できる
デメリット タイミング調整が難しい/契約直前の体調管理が大変 期間が長め/地域によって実施事業所が限られる 空白期間が長引くと生活リズムが崩れやすい/工賃収入もゼロに
向いている人 判断基準6項目中5〜6項目YESで、迷いがない人 判断に迷いがある/面接に自信がない/家族も含めて慎重に進めたい人 B型での人間関係が合わず、環境を完全リセットしたい人

多くの支援現場でおすすめされるのは①直接移行②就労選択支援経由です。③の一度退所→新規は、生活リズムが乱れやすく工賃収入もゼロになるため、どうしても環境を切り替えたい事情がある場合以外は避けるのが無難です。退所してから「次が決まらない」と長引くほど、次のステップへの腰も重くなります。

⚠️ 「辞めてから探す」は避けたい選択

A型は定員制・面接制のため、必ずしもすぐに決まるとは限りません。特に人気のある事業所は待機が発生していることも。B型に所属したまま並行して探すほうが、生活リズムと収入を維持しつつ落ち着いて選べます。

A型を勧められたけど不安…そんなときの受け止め方

B型支援員から「そろそろA型はどう?」と言われたとき、素直に喜べる人もいれば、プレッシャーに感じる人もいます。「自分はまだそんな段階じゃない」「背中を押されるのが怖い」――どちらの気持ちも自然なものです。

なぜ不安に感じるのか、整理してみる

不安の正体は、多くの場合「知らないこと」「想像できないこと」です。A型の雰囲気、1日の過ごし方、面接の内容、落ちたときの気持ち――これらが具体的にイメージできていない状態では、誰でも怖くなります。逆に言えば、情報を集めて具体化するほど、不安は小さくなっていきます

不安を「行動」に変える4つの方法

  1. 1

    見学だけでも行ってみる(契約ではない)

    見学は「行ったら契約しないといけない」わけではありません。雰囲気だけ見て帰ってOK。足を運ぶだけで「想像できなかったもの」が具体化します。

  2. 2

    体験利用で1日過ごしてみる

    多くのA型事業所が1〜5日の体験を受け入れています。実際に昼食を挟んで1日過ごすと、「続けられそう/きつそう」の感触がつかめます。

  3. 3

    「今は見送る」という選択肢も持っておく

    見学・体験の結果「まだ早いかも」と感じたら、その気持ちを支援員に正直に伝えてOK。半年後に再検討する、という結論も立派な答えです。

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    主治医・家族にも一度相談する

    支援員の視点、医療の視点、家族の視点は補い合うもの。特に主治医の意見書はA型の面接時に大きな情報源になるため、早めの相談が有効です。

ステップアップを成功させる5つのコツ

B型からA型へ移った方のうち、「移行してよかった」と感じている方には共通するコツがあります。ここでは現場から見えてくる成功のポイントを5つに絞って紹介します。

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① 焦らない・比べない

「同期がA型に進んだ」「年下の利用者が先に」などの比較は禁物。自分のペースで準備が整ってから進むのが、結果的に長く続けるコツ。

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② 2〜3か所は必ず比較

1か所目が最初に見つかっても即決しない。仕事内容・賃金・通所しやすさ・スタッフの雰囲気は事業所ごとに差が大きい

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③ 主治医との連携を保つ

移行時期・労働時間・配慮事項は主治医に相談。「意見書」は面接時の強力な味方になる。通院頻度も崩さない。

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④ 相談支援専門員を巻き込む

受給者証の変更申請・サービス等利用計画の見直しは相談支援専門員が要。早めに連絡して段取りを共有しておく。

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⑤ 入職後3か月の生活設計を作る

A型入職直後は疲れやすい時期。休日の予定・通院日・家事の配分を先に決めておくと、慣れるまでの負荷を分散できる。

特に⑤の「入職後3か月の生活設計」は見落とされがち。B型と同じペースで家事や予定を入れていると、A型の通所日数・時間の増加に対応できず、1〜2か月で体調を崩すケースがあります。平日の夜の予定を減らす、週末の1日は完全に休む、といった「守りの生活設計」が、長く働き続ける下支えになります。

よくある3つの失敗パターン

逆に、ステップアップ後にうまくいかなかった方に共通するパターンも現場では見えています。よくある3つを挙げておきますので、自分の状況と照らし合わせてチェックしてみてください。

失敗パターン①|早すぎる移行で体調を崩す

B型で週3日が安定しただけの段階で「もう大丈夫」と判断し、A型に移った結果、1〜2か月で欠勤が増えて退職するケース。特に精神疾患の方は、環境変化の影響が出るまで2〜3週間のタイムラグがあるため、初月はなんとか乗り切っても2か月目で崩れる、という流れが多く見られます。「週5日通えている」実績を3か月は積んでからが現実的な目安です。

失敗パターン②|事業所選びが雑

1か所目のA型で「なんとなく良さそう」と即決し、実際に通い始めてから仕事内容・人間関係・通所距離が合わないと気づくケース。WAMNETでのスコア確認、見学時の質問リスト準備、2〜3か所の比較は最低限のリスク回避策です。2024年のA型大量閉鎖もあり、経営状況の健全性を事前に確認する習慣が自分を守ります。

失敗パターン③|体調のサインを見落とす

A型移行後、収入や「働いている実感」が嬉しくて頑張りすぎ、初期のSOSサイン(睡眠・食欲・気力の変化)を無視してしまうケース。「有休を使うのが申し訳ない」と無理を重ね、ある日出勤できなくなる――これは支援員から見てもっとも避けたいパターンです。A型は労基法で有給休暇が保障されているので、取得は当然の権利。週1回でも支援員との振り返り面談を続けるのが、早期発見の一番の手立てです。

💡 失敗しても「戻る」選択肢は残されている

どのパターンで躓いても、再びB型に戻ることは制度上可能です(次の章で詳述)。「失敗=終わり」ではなく、「次の一手を考え直す機会」と捉えられるだけで、挑戦のハードルはぐっと下がります。A型はゴールではなく、あくまで働き方の1つの形と理解しておきましょう。

移行後に合わなかったら、B型に戻れる?

これは最も多く聞かれる質問の1つです。結論から言うと、B型への再利用は制度上可能です。ただし手順・注意点があるので、事前に知っておくと「戻る」決断もしやすくなります。

B型へ戻る一般的な流れ

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    A型事業所・相談支援専門員に相談

    体調・仕事内容・人間関係など、合わなかった理由を率直に共有。引き留められても、自分の体調を最優先に。

  2. 2

    A型の退職手続き

    雇用契約のため、退職届・有給消化・離職票の発行・社会保険の切替が必要。相談支援専門員と段取りを確認。

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    B型事業所の見学・体験

    以前通っていたB型に戻るケースも、新しいB型を選ぶケースもあり。生活圏に合う事業所を再検討する機会に。

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    受給者証のサービス変更申請

    市区町村に申請し、受給者証のサービス内容を「B型」に戻す。1〜2か月の手続き期間を見込む。

🙋 「戻る」のも立派な前進

B型へ戻ることは、「一度挑戦した経験が加算されたB型」を選び直すことです。一度でもA型を経験していれば、雇用契約の下で働く感覚、通勤のリズム、チームで動く感覚がしっかり身についています。再挑戦の際も、以前より確実にスムーズに進められるはずです。

実際、B型→A型→B型→A型と、行き来しながら自分に合う働き方を見つけていく方は少なくありません。「一直線にステップアップ」が理想像のように語られがちですが、現場では「らせん状に上がっていく」のが普通の姿。焦らず、自分の体調とペースに合わせて選び直す柔軟さを、持っていてください。

大切な考え方

A型 = ゴール ではない

A型はあくまで選択肢の1つ。B型で長く通う、一般就労を目指す、就労移行支援を挟む――あなたに合う道は1つではありません

よくある質問

B型からA型に移ると、工賃から給与になって手取りは確実に上がりますか?

多くのケースで手取りは上がります。B型の平均工賃月額が22,649円(令和5年度)に対し、A型の平均賃金月額は86,752円(同)。ただしA型は社会保険料・雇用保険料が控除されるため、額面と手取りの差が生まれます。また、扶養から外れる場合の健康保険料、年収103万円超での所得税なども考慮が必要です。金額面だけでなく、年間収支の試算を事前にしておくと安心です。

受給者証はどう変わりますか?新しく取り直しが必要?

取り直しではなく、受給者証の「サービス内容変更」手続きで対応できます。市区町村の障害福祉窓口に申請し、サービス等利用計画を相談支援専門員が更新します。期間は概ね1〜2か月。A型の契約開始日と受給者証の更新日を合わせる段取りが重要なので、早めに相談支援専門員と連絡を取りましょう。

A型との雇用契約書、どこを確認すればいいですか?

最低限、以下の項目は必ず確認してください。①雇用期間(有期/無期)、②所定労働時間・日数、③賃金(時給・月給の計算方法)、④就業場所、⑤試用期間の有無、⑥社会保険・雇用保険の加入有無、⑦休日・有給休暇、⑧退職時のルール。疑問点はその場で質問し、持ち帰って主治医や家族にも見てもらってから署名しましょう。契約書のコピーを必ず受け取ることも忘れずに。

面接では何を聞かれますか?B型での様子は評価されますか?

聞かれるのは主に、①志望動機、②現在の体調・通院状況、③B型での通所頻度・作業内容、④できること/苦手なこと、⑤配慮してほしいこと、の5点が中心です。B型での通所状況は大きな評価材料となるため、「週4〜5日通えている」「特定の作業を任されている」などの具体的なエピソードを準備しておくと強力です。主治医の意見書があればさらに信頼度が高まります。

A型に移ったら親の扶養から外れますか?

健康保険の被扶養者認定は、原則年収130万円未満(障害がある場合は180万円未満の健保組合もあり)が目安です。A型で月11万円以上の給与を得ると扶養を外れる可能性があります。外れると本人が国民健康保険や社会保険に加入するため、保険料負担が発生します。家族の健保組合の基準を事前に確認し、年収の見通しと合わせて検討しましょう。

障害年金を受給中ですが、A型に移ると止まりますか?

A型は雇用契約による就労のため、次回の等級更新時に「労働能力あり」と判断される可能性は、B型より高まる傾向にあります。ただし即座に停止するわけではなく、診断書・病状・勤務状況を総合的に見て判断されます。移行前に年金事務所で相談し、主治医にも状況を共有しておくのが安心です。

B型でのブランクが長くても、A型に挑戦できますか?

はい、B型利用歴が長くてもA型への挑戦は可能です。A型事業所が見るのは「現在の働ける状態」であり、利用歴の長さそのものは不利になりません。むしろ「長く通所を継続できている」という事実は継続力の証明として評価されます。「長すぎるから移れない」と自分で判断せず、まずは見学から始めてみましょう。

A型への移行と、就労移行支援を経て一般就労するのとでは、どちらがよいですか?

どちらが良いかは本人の目標と体調次第です。「一般企業で働くのを目指したい/体調が2年以上安定している」なら就労移行支援、「安定した収入と雇用契約の枠組みで、当面は働き続けたい」ならA型、というのが大まかな分かれ目。両方を同時に比較検討するなら、就労選択支援で専門家にアセスメントしてもらうのが最も確実です。就労支援事業所とはで全体像を押さえたうえで選んでみてください。

まとめ:B型からA型へ、焦らず・見極めて・戻れる余白を持って

B型からA型へのステップアップは、「できる/できない」の二択ではなく、「どう準備して、どう進めるか」の設計の問題です。週5日の通所、1日4〜6時間の作業、指示理解、対人、報連相、雇用契約を受け入れる心構え――6つの判断基準を第三者と一緒に点検し、適切なタイミングを見極めましょう。

直接移行・就労選択支援経由・一度退所→新規の3パターンから、自分の状況に合うルートを選び、必ず2〜3か所の事業所を比較してから決める。主治医・相談支援専門員・家族を巻き込み、入職後3か月の生活設計まで準備しておけば、「移行してよかった」と感じられる確率はぐっと上がります。

そして最後に大切なのは、「A型=ゴール」ではないという視点。合わなかったらB型に戻ることも、就労移行支援や一般就労へさらに進むこともできます。ステップアップは一直線ではなく、らせん状に少しずつ上がっていくのが現実の姿。自分のペースで、選び直しの余白を持って進んでいきましょう。

📋 B型からA型へのステップアップ|押さえる7つのこと

  • B→Aは5段階のステップ(通所習慣→体力→作業能力→アセスメント→見学・契約)で進むのが標準
  • 判断基準は6項目(週5通所/1日4〜6時間/指示理解/対人/報連相/雇用契約の心構え)
  • 早すぎる移行と遅すぎる移行、どちらも失敗のもと。第三者の目で見極める
  • 2025年10月開始の就労選択支援を挟む新ルートは、判断に迷う人に有効
  • 移行パターンは直接移行/就労選択支援経由/退所→新規の3種。退所→新規は避けたい選択
  • 成功のコツは焦らない・比較する・主治医連携・相談支援専門員活用・入職後3か月の生活設計
  • A型=ゴールではない。合わなければB型への再利用も可能、らせん状に進む姿勢で

「A型に進む準備が整っているか」は、自分ひとりの判断より、支援員・主治医・相談支援専門員・家族の視点を合わせてみてはじめて見えてくるもの。迷うなら、まずは気になるA型事業所に見学の申し込みを1件入れてみる、あるいはB型支援員に「A型について話をしたい」と伝えるところから始めてください。一歩踏み出すことで、次の地図がはっきりと見えてきます。

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