就労継続支援B型とは?工賃・仕事内容・1日の流れ・A型との違いを徹底解説

就労継続支援B型とは?工賃・仕事内容・1日の流れ・A型との違いを徹底解説

📌 この記事でわかること

  • 就労継続支援B型の制度の基本(雇用契約なし・工賃制・年齢上限なし・利用期限なし)
  • 令和5年度の平均工賃は月額22,649円。都道府県別・事業所タイプ別の工賃差と「高い事業所」の見分け方
  • 仕事内容の20種類以上のカタログ(軽作業・食品・農業・清掃・ハンドメイド・カフェ・PC系など)
  • 短時間利用者/フルタイム利用者別の1日のスケジュール例と、週1日2時間から通える事業所の話
  • 50歳以上・障害基礎年金1級の特例で、就労移行支援を経ずに使える条件
  • A型・就労移行支援との違い・申請5ステップ・障害年金や生活保護との併用ルールまで

「働きたいけど、毎日フルタイムは体力的に難しい」
「就労継続支援B型って、結局どれくらい稼げるの?」
「A型とB型の違いがわからない。B型って働く場所としてどうなの?」

就労継続支援B型(B型作業所)は、雇用契約を結ばずに自分のペースで働ける福祉サービスです。 最大の特徴は「体調の波に合わせて柔軟に働ける」こと。週1日・1日2時間から通える事業所もあり、 障害や難病で一般就労が難しい方・A型で長く働けなかった方・特別支援学校卒業後の進路としても選ばれています。

この記事では、2026年4月時点の最新データ(令和5年度の平均工賃22,649円・令和6年度報酬改定)を踏まえて、 B型の仕組み・工賃・仕事内容・1日の流れ・A型との違い・申請方法までをまとめて解説します。 公式資料には書かれていない「工賃だけで生活できるの?」「A型からB型に下がるのは後退?」といった 本音の疑問にも、支援員視点で正直に答えていきます。

就労継続支援B型とは?一言で言うと「雇用契約なしで自分のペースで働く場」

就労継続支援B型は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つで、 一般企業や就労継続支援A型事業所での就労が難しい方に対して、雇用契約を結ばずに生産活動の機会を提供する通所型のサービスです。 働いた対価として「給与」ではなく「工賃」が支払われ、作業内容・勤務日数・勤務時間を体調や希望に合わせて柔軟に設定できるのが最大の特徴です。

厚生労働省の資料によると、B型事業所は全国に約13,828か所(2024年3月時点)あり、 就労系障害福祉サービスの中で最も事業所数が多いサービスです。うつ病・統合失調症・双極性障害などの精神障害、 ASD・ADHD・LDなどの発達障害、知的障害、身体障害、難病等、幅広い方が利用しています。

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)を基に作成

B型の3つの大きな特徴

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雇用契約なし

事業所と雇用契約を結ばないため、最低賃金の縛りがなく、体調に合わせた柔軟な働き方ができる。労働基準法の適用外。

💴

工賃制(給与ではない)

作業成果に応じた「工賃」が支払われる。全国平均は月22,649円(令和5年度修正後)。事業所による差が大きい。

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年齢上限・利用期限なし

18歳以上であれば年齢上限なく利用可能。利用期間の制限もないため、長く通い続けられる。

💡 「B型」は正式名称ではない?

「B型」は略称で、正式には「就労継続支援B型」と言います。 法律上は障害者総合支援法第5条第14項に規定される「就労継続支援」の一類型(非雇用型)で、 A型(雇用型)と対比して語られることが多いです。現場では「B型作業所」「B型事業所」などと呼ばれます。 なお、2006年の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の施行以前は「授産施設」「小規模作業所」と呼ばれていたものの多くが、制度再編の過程でB型へと移行してきた経緯があります。

B型が生まれた経緯:なぜ「雇用契約なし」のサービスが必要とされたのか

障害のある方の働き方には、長く「一般就労」か「授産」かという二択しかありませんでした。 しかし、一般就労は難しいけれど「授産」ほど作業が限定的ではない中間層への支援が不足していたため、 2006年の障害者自立支援法施行とともに、雇用型のA型と非雇用型のB型という枠組みが整理されました。 「体調の波を前提に働ける場」「一般就労の前後を支える場」として、 B型は精神障害者の急増や高齢障害者の就労ニーズに応える役割を担っています。 2024年3月時点で事業所数は全国約13,828か所、就労系サービスの中で最も多く、 各地域の就労を下支えする重要なインフラとなっています。

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp

工賃はいくら?令和5年度の全国平均と都道府県別・事業所タイプ別の差

B型を検討するとき、多くの方がもっとも気になるのが「工賃はいくらもらえるのか?」という点です。 ここでは厚生労働省が公表した令和5年度の最新実績をもとに、全国平均・都道府県別・事業所タイプ別の工賃を整理しました。

B型の平均工賃月額(令和5年度・修正後)

月額 22,649円

時間額換算:平均243円/時間(令和5年度)

厚生労働省は令和5年度の平均工賃月額について、当初23,053円と公表していましたが、その後計算方法の見直しにより22,649円(−404円)に修正されました。 それでも令和4年度(19,922円)と比べると大幅に増加しており、背景には令和6年度報酬改定で計算方法が見直されたことや、 新型コロナウイルスによる生産活動の落ち込みからの回復が影響しています。

出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(mhlw.go.jp)/令和5年度実績

都道府県別の工賃差:地域によって2倍以上の違いがある

「全国平均22,649円」は全国を均した数字で、実際は都道府県によって大きな差があります。上位県と下位県では2倍近い開きがあるのが実態です。 一般的な傾向として、下請け型の単純作業に依存している地域より、自主製品・農業・食品加工・受注の多様性を持つ地域のほうが工賃は高くなります。

分類特徴工賃の傾向
工賃が高い傾向の地域 徳島・岐阜・福井・愛知・三重など 月3万円前後〜。製造業受注や自主製品の売上が多い
全国平均レベルの地域 東京・神奈川・大阪・愛知(都市圏) 月2万〜2.3万円前後。事業所数は多いが平均は中程度
工賃が低い傾向の地域 一部の政令指定都市・離島を含む地域 月1.5万円以下の地域も。下請け中心の事業所が多い

都道府県別の具体数値は年度ごとに入れ替わるため、最新は厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(mhlw.go.jp)に掲載の都道府県別一覧を参照してください。

事業所タイプ別の工賃差:仕事内容で月2万円以上変わることも

同じB型でも、仕事の内容によって工賃水準はかなり変わります。自前の売上を持つ「生産活動主体型」の事業所と、 受け取り単価の低い下請け作業に依存する「内職型」の事業所では、月2万円以上の差が出ることも珍しくありません。

事業所タイプ主な仕事内容工賃水準の目安
生産活動主体型 食品製造・農業・自主製品販売 月3〜5万円(高い事業所は6万円以上)
サービス提供型 カフェ運営・清掃請負・配達 月2.5〜4万円
軽作業・下請け型 袋詰め・シール貼り・検品 月1〜2万円
ITスキル特化型 データ入力・Web制作・動画編集 月3〜7万円(スキルにより上下大)

🙋 工賃が高ければ良い事業所?

工賃の高さは選ぶ基準の一つに過ぎません。「高工賃ノルマ」で体調を崩す方もいるのが現実です。 大切なのは、工賃額と労働負荷のバランスが自分に合っているか、支援員との相性、作業内容への興味、通いやすさなどの総合点。 工賃重視なら生産活動主体型、体調優先なら軽作業型、スキル習得を目指すならIT特化型、という形で目的に応じて選びましょう。

令和6年度報酬改定でB型の工賃はどう変わった?

2024年4月施行の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、B型の基本報酬体系も見直されました。 これまでは「平均工賃月額」に応じて基本報酬が段階的に決まる仕組みでしたが、改定後は平均工賃月額の段階区分が細分化され、 工賃向上に取り組む事業所がより評価される方向に舵が切られました。 また、一般就労への移行実績を評価する加算(就労移行支援体制加算)も強化されており、 B型からA型・就労移行・一般就労への移行を後押しする設計になっています。

利用者側のメリットとしては、工賃向上に真剣に取り組む事業所が増えることが期待されます。 ただし一方で、「工賃を上げるために利用者に過度なノルマを課す」動きが一部で懸念されているのも事実。 事業所選びのときは「工賃の額」だけでなく「どうやって工賃を出しているか(自主製品・受注の多様性・スキル評価)」も確認すると安心です。

出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp

誰が使える?B型の利用条件を整理

B型は、ただ「働きたい人」であれば誰でも利用できるわけではありません。 障害者総合支援法の定めにより、一定の利用条件が設けられています。 とはいえ、条件は大きく分けて3つのルートがあり、実態として多くの方が該当します。

B型を利用できる3つの条件(いずれか1つに該当すればOK)

  1. 就労経験があり、年齢・体力面で一般就労が困難な方

    過去に一般企業で働いた経験がある方が、加齢や体調悪化などで一般就労の継続が難しくなった場合に該当します。 年齢は問いません(18歳以上であれば、60代・70代の方でも利用可能です)。

  2. 就労移行支援で就職に至らず、B型が適切と判断された方

    就労移行支援を利用したけれど就職に結びつかなかったケースや、 アセスメント(事業所見学・体験)で「まずはB型で作業の継続ができるようになるほうが良い」と判断された場合に該当します。

  3. 50歳以上または障害基礎年金1級受給者(特例)

    50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方は、 就労移行支援やA型を経ずに直接B型を利用できる特例が認められています。 申請時に年齢または年金証書で確認されます。

💡 2025年10月からは「就労選択支援」を経由するルートが主流に

2025年10月から新設された就労選択支援は、B型を含む就労系サービスを利用する前のアセスメントを担うサービスです。 特別支援学校の卒業後にB型を選ぶケースや、初めて就労系サービスを利用する方は、 2026年以降、まず就労選択支援で1〜2か月のアセスメントを受けてからB型に進むルートが広がっています。

出典:厚生労働省「就労選択支援について」(mhlw.go.jp

障害者手帳は必須ではない

意外に知られていませんが、障害者手帳がなくてもB型を利用できるケースは多いです。 うつ病・適応障害・双極性障害・ASD・ADHDなど、医師の診断書で障害福祉サービス受給者証が交付される自治体がほとんどです。 手帳取得の心理的ハードルが高い方も、まずは主治医や市区町村の障害福祉窓口に相談してみてください。 なお、自立支援医療受給者証を持っている方は、「障害者福祉サービスを受けるために」と主治医に意見書を依頼することで、手続きがスムーズになりやすいです。

B型利用者の背景:実際にどんな人が通っているのか

「自分のような人でも通えるのか」と不安に思う方は少なくありません。実際のB型利用者の背景を支援現場で見ると、以下のような傾向があります。

背景・状況実際のパターン例
精神障害(最多層) うつ病・統合失調症・双極性障害で一般就労を離れた方。休職・退職からの再スタートが多い
発達障害 ASD・ADHD・LDで一般就労の対人関係に苦しみ、体調を整えるためにB型を選んだ方
知的障害(特別支援学校卒) 特別支援学校卒業後、実習で合った事業所にそのまま進んだ方が多い
身体障害・難病 進行性の疾患、加齢による体力低下で一般就労が難しくなった方
高次脳機能障害 事故・病気の後遺症で働き方を切り替えざるを得なくなった方
A型からの移行組 A型で週20時間の勤務が負担になり、B型に移った方(2024年の閉鎖問題で急増)

B型の仕事内容20選|軽作業から専門職まで幅広い

B型の仕事内容は非常に幅広く、事業所ごとに特色があります。ここでは代表的な20種類の作業を8つのカテゴリーに分けて紹介します。 自分の興味・体力・特性に合う仕事内容が見つかれば、楽しみながら通い続けられるはずです。

カテゴリ1:軽作業(もっとも数が多いタイプ)

📦

袋詰め・梱包

商品を袋に詰めたり段ボールに入れたりする作業。手元に集中しやすく、初心者でも始めやすい。

🏷️

シール貼り・ラベリング

商品にシールを貼る作業。量をこなすとリズムが掴みやすく、黙々と取り組める。

🔍

検品・検査

部品や商品の不良を確認する作業。細部への注意が強みになる人に向いている。

カテゴリ2:食品製造・カフェ

🍞

パン・焼き菓子製造

パン・クッキー・ケーキなどを焼いて販売。自主製品の代表格で、工賃も比較的高め。

🍱

お弁当・惣菜製造

企業や学校向けにお弁当を調理・配達。チームで分業しながら進める。

カフェ運営

接客・調理・清掃を経験できる。人と話すのが好きな方、接客を練習したい方に人気。

カテゴリ3:農業・園芸

🌱

野菜栽培・収穫

ハウス・畑で野菜を育てる。土と触れる時間が多く、季節を感じる仕事。

🌸

花き栽培・園芸

花や観葉植物の手入れ・出荷。繊細な作業が得意な方に向いている。

🐓

畜産・養鶏

動物の世話・卵の集荷など。動物好きな方にはやりがい大。

カテゴリ4:清掃・リサイクル

🧹

オフィス・施設清掃

企業や公共施設の清掃を受注。手順が明確で、達成感が得やすい。

♻️

リサイクル・分別作業

古紙・ペットボトルなどの分別。環境に貢献している実感が持てる。

カテゴリ5:ハンドメイド・クラフト

🧵

裁縫・手芸品製作

布小物・アクセサリーなどを製作して販売。創作活動としての側面もある。

🎨

陶芸・木工

器や木工品を作って販売。自分の作品が売れる体験が自信につながる。

🧼

石けん・キャンドル製作

手作りの生活雑貨を製作・販売。香りや色を楽しみながら取り組める。

カテゴリ6:PC・デジタル系

⌨️

データ入力

企業から受注したデータをExcelに入力。在宅併用を認める事業所もある。

🎞️

動画編集・画像加工

YouTube用動画やSNS素材の編集。スキルが身につき就職にもつながる。

🌐

Web制作・コーディング

HP・LPの制作補助。IT企業への就労ステップアップを狙える。

カテゴリ7:内職・軽製造

📮

封入・宛名貼り

DM発送作業。短時間で完結しやすく、集中しやすい作業。

🔧

部品組立・ねじ締め

機械部品の組立。手順を覚えると早くなっていく達成感がある。

カテゴリ8:サービス・配達・その他

🚚

お弁当配達・軽配送

近隣企業へのお弁当配送など。体を動かす仕事が好きな方向け。

🛒

売店・販売サポート

自主製品の販売店で接客。お客さんとのやり取りで社会性を磨ける。

🐶

動物のお世話・ペットケア

トリミングサロン補助・保護犬猫の世話など。動物が好きな方に人気の作業。

💡 「自分に合う作業」がわからないときは?

最初から「これがやりたい」と決めにくいのは普通です。複数の事業所を体験することで、 「何が苦じゃないか」「何をしているときに集中できるか」が見えてきます。 苦痛でない作業は長く続けやすく、結果的に通所のリズムも安定します。 「やりがい」より「無理がない」を優先するのが、B型での仕事選びのコツです。

B型の1日はどう過ごす?スケジュール例と通所頻度

「B型って実際どんな感じで過ごすの?」という質問は、見学前の方がもっとも知りたい点の一つです。 事業所や利用者の体調によって違いはありますが、代表的な2パターンを紹介します。

パターン1:フルタイム利用者の1日(週5日/9時〜15時)

時間内容
8:45通所・検温・朝の挨拶
9:00朝礼(体調確認・1日の予定共有)
9:15午前の作業開始(例:袋詰め・シール貼り)
10:30休憩(10〜15分)
10:45午前の作業続き
12:00昼食・自由時間(60分)
13:00午後の作業開始(例:清掃・組立)
14:30休憩(10〜15分)
14:45後片付け・掃除
15:00終礼・退所

パターン2:短時間利用者の1日(週3日/10時〜13時)

時間内容
9:45通所・体調確認
10:00作業開始(例:データ入力)
11:15休憩(10分)
11:25作業続き
12:30終礼・退所

🙋 週何日・何時間から通える?

事業所によっては週1日・1日2時間から通えるケースもあります。 特に精神障害や体調の波がある方には、「朝は起きるのがつらいので、10時から2時間だけ」「疲れやすいので、週2日から」といったスタートが一般的。 通所日数は利用開始後も見直せます。「最初は週2日、慣れたら週3日、最終的に週5日」というペースで増やしていく方が多いです。

在宅利用(テレワーク型B型)という選択肢

最近は、コロナ禍をきっかけに「在宅で取り組めるB型」を提供する事業所も増えています。 特にデータ入力・動画編集・Web制作・文字起こしなど、PCで完結する作業は在宅化しやすく、 通所が体力的・精神的に難しい方にとって新しい選択肢になっています。 ただし、完全在宅は事業所側の支援体制(オンラインでの体調確認・面談・作業指示)が整っている必要があるため、 対応可能な事業所はまだ限定的です。週1〜2日通所+残りは在宅というハイブリッド型が主流。 通所負担が大きい方は、見学時に在宅対応の可否を必ず確認しましょう。

B型に通う流れの一般的な変化

  1. 1

    最初の1か月:慣れの期間

    週2〜3日、2〜3時間から。通所リズムを作るのが最優先。作業は簡単なものから始める。

  2. 2

    2〜6か月:通所頻度の増加

    体調が安定してきたら週3〜5日、3〜5時間へ。新しい作業にも挑戦し始める。

  3. 3

    半年以降:自分のペースで継続

    週4〜5日、5〜6時間の利用者が多数派。工賃額も伸びやすく、生活のリズムが安定する。

A型・就労移行支援との違いを比較表で整理

B型を検討するとき、必ず比較候補に上がるのが就労継続支援A型就労移行支援です。 この3つは名前が似ていますが、目的・対象・給与・利用期間が大きく異なります。

就労継続支援B型 就労継続支援A型 就労移行支援
目的 自分のペースで
働く場の提供
雇用契約で
働き続ける
一般就職のための
訓練
雇用契約 なし あり なし
報酬 工賃
月約2.3万円
給与
月約8.7万円
なし(訓練)
最低賃金の適用 適用外 適用 該当なし
労働基準法 適用外 適用 適用外
対象年齢 18歳以上
(上限なし)
18〜65歳未満 18〜65歳未満
利用期間 制限なし 制限なし 原則2年
(最長3年)
社会保険 対象外 条件により加入 対象外
こんな人向け 体調の波が大きい/
短時間から働きたい
給与が欲しい/
フルタイムで働ける
2年以内に就職
したい

出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)/厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp

💡 「A型の方が上」ではない

A型は最低賃金が保障されるため給与水準は高いですが、週20時間以上の勤務・休みにくさ・生産ノルマなど、心身の負担も大きくなります。 「A型についていけなかったからB型は失敗」ではなく、自分の体力と体調の波に合った場所を選ぶことが正解です。 「B型で安定してから、将来A型や一般就労を目指す」というステップアップも、「ずっとB型で長く働く」という選択も、どちらも正しい選び方です。

B型を選ぶメリット・デメリット

✅ B型のメリット

  • 体調優先で働ける:週1日・2時間からでもOK
  • 年齢上限なし:60代・70代でも通所できる
  • 利用期限なし:長く安心して通える
  • 雇用契約のプレッシャーがない
  • 多様な作業から自分に合うものを選べる
  • 支援員が生活面もサポートしてくれる
  • 人間関係を無理なく築ける
  • 障害年金や生活保護と併用しやすい

⚠️ B型のデメリット

  • 工賃が低い:平均月2.3万円では生活費には足りない
  • 最低賃金・労働基準法の保護がない
  • 社会保険の対象外(雇用保険・厚生年金なし)
  • 有給休暇はない(欠勤扱い)
  • キャリアアップのルートが限定的
  • 事業所の作業内容に偏りがある場合も
  • 「B型利用」という経歴が就職時に誤解されることも

「工賃だけで生活するのは難しい」という前提で制度を組み立てる

B型の平均工賃は月2.3万円で、これだけで一人暮らしをするのは現実的ではありません。 ただし、B型利用者の多くは障害年金・生活保護・家族同居・グループホームなどの生活基盤を持ったうえで、 「社会参加」「収入の補填」「生きがい」として通所しています。 つまりB型の工賃は給与の代わりではなく、生活費の一部を補うものと考えるのが現実的です。

「工賃だけで自立したい」という気持ちが強い方は、まずA型や就労移行支援の利用を検討するほうが現実的です。 一方で、A型の最低賃金以上の勤務に体調が追いつかない、就労移行の2年で結果を出せるか不安という方にとって、 B型は「働くことを諦めず、社会との接点を持ち続けるための場所」として大きな価値があります。 年金や家族のサポート、生活保護といった生活基盤+B型の工賃+ココトモのような居場所という組み合わせで、 無理のない暮らしを成立させている方が多いです。

工賃が高いB型事業所の特徴と見分け方

工賃は同じB型でも事業所によって大きく異なります。全国平均が月2.3万円の一方、月5万円以上出す事業所もあります。 高工賃の事業所には共通する特徴があるため、見学時にチェックしてみましょう。

工賃が高い事業所に共通する特徴

  • 自主製品の売上比率が高い(パン・弁当・農産物・工芸品など)
  • 下請け受注の単価交渉を定期的に行っている
  • 販路(ECサイト・マルシェ・卸先)が複数確保されている
  • スタッフの経営意識が高く、営業活動を行っている
  • ITスキル・動画編集など単価の高い作業を導入
  • 自治体・大手企業との継続契約がある
  • 利用者の作業スキルに応じた工賃アップ制度がある
  • 経営母体が安定している(医療法人・社会福祉法人など)

見学時に聞くべき工賃関連の質問リスト

  1. Q1

    「事業所の平均工賃月額はいくらですか?」

    全国平均と比べて高いか・低いかの位置づけがわかります。答えを濁す事業所は要注意。

  2. Q2

    「工賃の計算方法を教えてください(時給制?出来高制?)」

    時給制・日額制・出来高制など、計算方法によって利用者の印象が変わります。

  3. Q3

    「工賃アップ制度(スキル評価)はありますか?」

    成果を評価する仕組みがあると、モチベーションを保ちやすい。

  4. Q4

    「最も工賃が高い利用者の月額はいくらですか?」

    上限の伸びしろが見える質問。平均と上限の両方を確認するのがコツ。

B型を利用するまでの申請5ステップ

B型を利用するには、役所での手続き(受給者証の申請)が必要です。 手続きは少し複雑に感じますが、相談支援専門員や事業所スタッフがサポートしてくれるので心配はいりません。

  1. 1

    市区町村の障害福祉窓口に相談(所要:即日〜1週間)

    「B型を使いたい」と伝えれば、地域の相談支援事業所や事業所一覧を紹介されます。 手帳がない場合も、医師の診断書で申請できるか相談できます。

  2. 2

    事業所の見学・体験利用(所要:2〜4週間)

    必ず複数(最低2〜3か所)の事業所を見学しましょう。多くの事業所で 無料の体験利用(半日〜数日)ができます。雰囲気・作業内容・スタッフとの相性を確認してから決定を。

  3. 3

    受給者証の申請(所要:1〜2か月)

    市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」を申請します。必要書類は申請書・診断書または手帳・マイナンバー・身分証など。 その後、市区町村職員による認定調査が行われます。

  4. 4

    サービス等利用計画の作成

    相談支援専門員がどのサービスをどの頻度で使うかの「サービス等利用計画」を作成します。 セルフプラン(自分で作成)も可能ですが、初めての方は専門員に依頼するのが安心です。

  5. 5

    事業所と契約・通所開始

    受給者証が手元に届いたら、希望する事業所と利用契約を結び通所開始。 最初は週2〜3日・短時間からで十分です。無理なく慣らしていきましょう。

⚠️ 申請期間中の注意点

受給者証の発行には1〜2か月かかります。「今日見学して、来週から通いたい」というスピード感では間に合いません。 特に引越しや退職と重なる場合は、早めに市区町村窓口に相談しましょう。 自治体によっては、暫定支給決定の形で受給者証の発行前から通所できる場合もあります。

費用・障害年金・生活保護との併用ルール

利用料は世帯収入で決まる(多くの人が無料)

B型の利用料(自己負担)は世帯収入に応じて月額上限が決まっていますが、利用者の約9割は無料です。 住民税非課税世帯・生活保護受給世帯は0円。それ以外の世帯でも上限は月9,300〜37,200円で、実費負担は多くの場合発生しません。

所得区分月額負担上限
生活保護受給世帯0円
住民税非課税世帯0円
住民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
上記以外37,200円

出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp

障害年金との併用は可能(注意点あり)

B型の工賃は給与ではなく「訓練等給付費に基づく収入」のため、障害年金と併用できるケースがほとんどです。 ただし、等級更新時には就労の有無・形態が判断材料の一つになる場合があります。 特に障害基礎年金2級の方は、「働けるなら等級を見直す」という判断が入る可能性もあるため、 年金事務所での事前相談をおすすめします。

💡 障害年金とB型の組み合わせ(試算例)

  • 障害基礎年金2級:月約6.8万円
  • B型工賃(週5日通所):月約2.5万円
  • 合計:月約9.3万円

これにグループホームの家賃補助や生活保護を組み合わせて、暮らしを成立させている方が多くいます。 「B型の工賃だけで暮らす」のではなく、制度を組み合わせて暮らすという視点が重要です。

生活保護との併用ルール

生活保護を受給しながらB型に通うことも可能です。ただし工賃は「収入」として申告する必要があります。 月額8,000円程度の基礎控除があり、それを超える部分は保護費から差し引かれますが、 「勤労控除」「就労自立給付金」など、働いた人が手元に多く残る仕組みが制度化されています。 収入申告を怠ると不正受給扱いになるため、必ずケースワーカーに報告しましょう。

そのほか併用しやすい制度

B型を利用するときには、以下の制度との組み合わせも検討するとよいでしょう。 支援員や相談支援専門員に相談すれば、自分に使える制度を整理してもらえます。

制度内容B型との関係
自立支援医療(精神通院) 精神科通院の医療費が原則1割負担に B型利用者の多くが併用
重度心身障害者医療費助成 医療費の自己負担を軽減 自治体ごとに条件あり
グループホーム(共同生活援助) 支援員のサポートを受けながら共同生活 B型と組み合わせる利用者が増加
移動支援・行動援護 外出・通所時の付き添い支援 通所が一人では難しい方の支援に
地域活動支援センター 居場所・交流の場の提供 B型に通わない日の社会参加先として

失敗しないB型事業所選び|8つのチェックポイント

B型は長く通うことが多いサービスなので、事業所選びが通所継続の鍵になります。 見学時に以下のポイントを確認すれば、大きな失敗は避けられます。

  1. 1

    作業内容が自分の興味・体力に合うか

    見学時に実際の作業風景を見て、「これなら楽しそう」と思えるかを確認しましょう。

  2. 2

    通所のしやすさ(通勤時間・送迎の有無)

    毎日の通所が負担にならない距離か。送迎付きの事業所も増えています。

  3. 3

    工賃水準と計算方法の透明性

    「平均工賃は〇円で、時給換算は△円」と明確に答えられる事業所は信頼できます。

  4. 4

    体調不良時の休み対応

    「体調が悪いときは連絡なしで休めますか?」と率直に聞きましょう。柔軟な対応ができるかが重要。

  5. 5

    利用者の表情・雰囲気

    見学時に利用者が自然な表情で作業しているか。資料では絶対にわからない情報です。

  6. 6

    支援員との相性

    長く通う場所です。支援員と信頼関係を築けそうか、直感的に判断しましょう。

  7. 7

    昼食や休憩環境

    給食・お弁当の有無、休憩スペースの快適さも長く通うなら気になるポイント。

  8. 8

    ステップアップ支援の有無

    「B型からA型・一般就労に進みたい」と思ったときに、事業所がサポートしてくれる体制があるか。

避けたほうが安全な事業所のサイン

残念ながら、B型のなかには利用者の福祉よりも給付金収入を優先しているとされる事業所もあります。 以下のようなサインが見えたら、別の事業所を検討するのが安心です。

⚠️ 注意したほうが良い事業所の特徴

  • 見学・体験を渋る、あるいは「すぐ契約してほしい」と急かす
  • 平均工賃を聞いても具体的な数字を答えてくれない
  • 作業内容が単一(袋詰めだけ/シール貼りだけ)で偏っている
  • 利用者がうつむいて表情が固い、スタッフとの会話がない
  • 建物の清掃が行き届いていない・休憩スペースが極端に狭い
  • 「他の事業所より絶対うちのほうが良い」と他社批判をする
  • 支援計画の中身を質問しても曖昧な答えしか返ってこない

よくある質問

B型の工賃だけで生活できますか?

全国平均の工賃月額は22,649円(令和5年度)で、これだけで一人暮らしをするのは現実的に難しいです。多くのB型利用者は、障害年金・生活保護・家族同居・グループホームなど、ほかの生活基盤と組み合わせて暮らしています。B型の工賃は「生活費の補填」「社会参加の対価」として位置づけるのが現実的です。

A型からB型に移るのは「後退」になりますか?

後退ではありません。A型は雇用契約があるため、週20時間以上の勤務や継続的な出勤が求められ、体調の波がある方には負担が大きい場合があります。無理して勤務して体調を崩すより、B型で安定した通所リズムを取り戻すほうが、長期的に見て良い結果になるケースも多いです。「ステップダウン」ではなく「自分に合う働き方の選び直し」と考えましょう。

B型に年齢制限はありますか?

18歳以上であれば上限はありません。60代・70代の方も利用しています。A型・就労移行支援は原則65歳未満という条件がありますが、B型はこの制限がないため、長期的に通い続けられる福祉サービスです。

B型を使えるのは何年までですか?

利用期限はありません。1年でも10年でも、必要な限り通い続けられます。受給者証は通常1年ごとに更新(継続)しますが、更新を重ねながら長期間利用している方も珍しくありません。

障害者手帳を持っていなくても利用できますか?

多くの自治体で、医師の診断書があれば障害者手帳がなくても利用できます。うつ病・適応障害・ASD・ADHDなど、手帳の申請をしていない方も実際に多く通っています。ただし自治体によって運用が異なるため、お住まいの市区町村の障害福祉窓口で確認するのが確実です。

障害年金と併用すると等級が下がりますか?

B型の工賃程度であれば、すぐに等級が下がるケースは稀です。ただし更新診断書には「就労状況」を記入する欄があり、主治医が「就労可能」と判断すると、特に障害基礎年金2級の方では等級見直しの対象になることもあります。不安な場合は、年金事務所や障害年金に詳しい社会保険労務士に相談するのが安心です。

週1日・1日2時間から通える事業所は本当にありますか?

あります。特に精神障害の方を多く受け入れているB型事業所は、週1日・1日2時間のスタートを積極的に認めるところが増えています。ただし事業所によっては「週3日以上」などの通所条件を設けているところもあるため、見学時に必ず確認しましょう。

B型からA型や一般就労にステップアップできますか?

できます。B型で体調と通所リズムが安定したあと、就労移行支援を経て一般就労に進む方や、B型からA型へ移る方も少なくありません。令和6年度報酬改定では、B型から就労移行支援・A型・一般就労への移行実績を評価する加算も整備されています。「ずっとB型に閉じ込められる」という心配は不要です。

B型を途中で辞めたり、別の事業所に変えたりできますか?

できます。雇用契約ではないため、退所の自由度は高いです。「合わないと感じた」「別の仕事をやってみたい」と思ったら、相談支援専門員や市区町村窓口に相談すれば手続きをサポートしてもらえます。合わない事業所に無理に通い続ける必要はありません。

まとめ:B型は「自分のペースで長く働ける」場所

就労継続支援B型は、障害や難病によって一般就労が難しい方が、雇用契約のプレッシャーなく、 自分のペースで「働くこと」「社会とつながること」を続けられる場所です。 工賃は月22,649円と給与水準は低いものの、年齢上限も利用期限もなく、体調に合わせて柔軟に通えるという他にない強みがあります。

📋 B型を選ぶ前に押さえておきたい6つのこと

  • 雇用契約なし・工賃制:平均月額22,649円(令和5年度修正後)。生活費の補填と社会参加が主な目的
  • 年齢上限なし・利用期限なし:長く通いたい方、60代以降の方にも適する
  • 週1日・2時間から:体調の波があっても無理なく始められる事業所が増加
  • 仕事内容は多彩:軽作業・食品・農業・カフェ・PC系まで自分に合う作業を選べる
  • 工賃は事業所で2倍以上の差:見学時に「平均工賃・計算方法」を必ず確認
  • 障害年金・生活保護と併用可:制度を組み合わせて暮らしを成立させる

「いきなり窓口に行くのは気が重い」「自分に合うサービスかまだ判断できない」――そんな方は、 まずはA型とB型の違い事業所の選び方の記事から読んでみてください。 B型は「ゆっくり働きたい自分」を肯定してくれるサービスです。無理をせず、自分のペースで一歩ずつ進んでいきましょう。

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💡 ココトモから一言

ココトモでは、就労継続支援B型をはじめとした就労支援サービスについて、ご本人・ご家族の不安に寄り添う相談を大切にしています。 「自分に合うサービスがわからない」「見学に行く前に話を聞いてみたい」という方も、お気軽にご相談ください。 「働くことに自信がない」状態から、自分のペースで一歩を踏み出すことを、現場のスタッフ全員で応援しています。

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