就労支援と障害年金は併用できる?収入・等級・更新への影響を完全解説
edit2026.04.23 visibility42
📌 この記事でわかること
- 結論:就労支援と障害年金は併用できる。ただし更新時の等級判定に影響する場合あり、サービス種別で影響度が違う
- 就労移行支援・B型・A型・一般就労の「年金影響度マトリクス」で一目で把握
- 1級/2級/3級(厚生年金)の等級判定基準と「就労状況」の見られ方
- A型給与86,752円が更新時にどう判断されるか(精神/知的/身体で違う)
- B型工賃22,649円が基本的に等級判定に影響しない理由
- 更新申請の準備:「就労状況証明」の依頼・診断書記載の工夫
- 等級が下がった場合の対応(審査請求/再審査請求)と、20歳前障害基礎年金の取扱い差
- A型+年金2級/B型+年金2級/移行+年金3級のモデルケース3パターン
「就労支援に通いたいけれど、障害年金が止められたら生活できない」
「A型で給与をもらうと、等級が下がるって本当?」
「B型なら年金に影響しないと聞いたけど、根拠は?」
就労支援と障害年金の併用は、制度上は問題なく可能です。実際に、A型・B型・就労移行支援を利用しながら障害年金を受給している方は数十万人規模で存在します。
一方で、更新申請(再認定)時の等級判定では、「就労しているかどうか」「どの程度働けているか」が判断材料になるのも事実です。とくに精神障害・知的障害の方では「就労の有無」が等級審査に大きく影響するケースがあります。
この記事では、2026年4月時点の制度に基づいて、サービス種別ごとの年金影響度・等級判定の基準・更新申請の準備・等級が下がった場合の対応・モデルケースまでを、現場の支援員視点で整理します。
なお、障害年金の判定は個別事情(病名・症状・日常生活能力・就労状況・診断書記載内容など)に強く依存します。最終判断は必ず年金事務所・社会保険労務士(社労士)に相談してください。本記事は一般論としての全体像を掴むためのガイドです。
結論:就労支援と障害年金の併用ルールの全体像
まず最初に、もっとも気になる結論から整理します。
就労支援と障害年金の併用
原則 併用 OK
ただし更新時の等級判定で「就労状況」が考慮される場合あり。サービス種別・障害種別で影響度が大きく異なる
3つの大原則
-
1
就労支援を利用しても、年金は止まらない
就労継続支援A型・B型、就労移行支援、就労定着支援、就労選択支援はいずれも障害福祉サービスであり、利用そのものを理由に障害年金が支給停止になることはありません。年金と就労支援の利用は制度上完全に切り離されていると理解してOKです。
-
2
「収入額」そのもので等級が決まるわけではない(原則)
障害年金(とくに障害基礎年金・障害厚生年金の通常パターン)は、「いくら稼いでいるか」ではなく「日常生活・労働にどの程度の制限があるか」で等級を判断します。A型で月10万円稼いだから即2級から3級に下がる、という単純な仕組みではありません。
※20歳前傷病による障害基礎年金は所得制限あり(後述)。 -
3
ただし「就労できている」ことは等級判定の重要な参考情報
特に精神・知的障害の場合、診断書の「日常生活能力の判定」「労働能力」欄に就労状況が記載されます。更新時に「症状が改善した」と評価される可能性はゼロではありません。サービス種別によって「働けている度合い」の見られ方が違うため、後述のマトリクスで整理します。
出典:日本年金機構「障害年金」(nenkin.go.jp)/厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」を基に作成
⚠️ 「年金が止まる/下がる」誤解の正体
ネットでよく見る「A型で働くと年金が止まる」という情報は、正確には「更新時に等級が下がる可能性がある」「20歳前障害基礎年金は所得制限の対象になる」という2つの話が混ざったものです。多くの方が誤解していますが、A型に通った瞬間に年金が打ち切られる仕組みではありません。
サービス種別 × 年金影響度マトリクス
就労支援には複数のサービスがあり、年金等級判定への影響度は大きく異なります。「A型もB型も同じ」ではありません。以下のマトリクスで全体像を掴んでください。
| サービス種別 | 雇用契約 | 収入の名目/月額目安 | 年金影響度 | 更新時の見られ方 |
|---|---|---|---|---|
| 就労移行支援 | なし | 収入なし(訓練) | 影響極小 | 「訓練段階」と評価される。等級は基本的に維持されやすい |
| 就労継続支援B型 | なし | 工賃 / 約 22,649円 | ほぼ影響なし | 「労働能力に著しい制限あり」と評価されやすく、等級維持の事例が多い |
| 就労継続支援A型 | あり | 給与 / 約 86,752円 | 等級により影響あり、要注意 | 「雇用契約あり・給与あり」が記録される。とくに精神2級・3級の境界線で注意 |
| 就労定着支援(一般就労後) | 本体は一般就労 | 就職先の給与による | 大きく影響しうる | 一般就労の継続・賃金水準・職場での配慮内容が判定材料に |
| 一般就労(フル/パート) | あり | 給与 / 10万円〜 | 大きく影響 | 「労働能力あり」と判断されやすい。とくに3級は支給停止の可能性も |
出典:日本年金機構「障害年金」(nenkin.go.jp)/A型平均賃金86,752円・B型平均工賃22,649円は厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)。影響度評価は当法人の現場事例・社労士監修の一般論として整理。
💡 マトリクスの読み方
上から下にいくほど「働けている度合い」が高く、年金等級の引き下げリスクが上がります。とくにA型は「雇用契約あり+給与あり」が外形上はっきりしているため、診断書だけで「労働能力なし」とは書きにくくなる、という点に留意してください。
ただしA型でも、週20時間未満の短時間勤務・体調により欠勤が多い・就労支援員のフォローが手厚い、といった実態を診断書・就労状況申立書に正確に記載できれば、等級維持となるケースは多数あります。
各サービスとの関連記事
- 就労継続支援A型の詳細はこちら(雇用契約・給与・社会保険など)
- 就労継続支援B型の詳細はこちら(雇用契約なし・工賃・利用条件)
- 就労移行支援の詳細はこちら(2年間の訓練・就職支援)
- 就労支援の費用と公的給付の関係(自己負担・各種制度との併用)
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障害年金の等級判定基準(1級・2級・3級)
そもそも、障害年金の「等級」とはどう決まるのでしょうか。就労支援との影響を理解する前に、基準を押さえておきましょう。
| 等級 | 状態のイメージ | 就労との関係 | 対象年金 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 他人の介助なしには日常生活がほとんど不可能。長期入院・常時臥床が多いレベル | 就労はほぼ困難。B型でも常時付添いが必要なケース | 障害基礎年金 / 障害厚生年金 |
| 2級 | 必ずしも他人の助けは要らないが、日常生活が著しい制限を受ける | 労働により収入を得ることが困難。B型・短時間A型・移行支援の利用者に多い | 障害基礎年金 / 障害厚生年金 |
| 3級 | 労働が著しい制限を受ける、または制限を加えることを必要とする | 軽易な労働は可能。A型・配慮ある一般就労の利用者に多い | 障害厚生年金のみ(基礎年金にはなし) |
| 障害手当金 | 3級より軽い障害が残った場合の一時金 | 軽易な労働に支障あり程度 | 障害厚生年金のみ(一時金) |
出典:日本年金機構「障害年金」(nenkin.go.jp)/厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」を基に作成
等級判定で見られるポイント(精神・知的の場合)
精神障害・知的障害の場合、診断書の「日常生活能力の判定」7項目と「日常生活能力の程度」5段階、そして「就労状況」欄が等級判定の中心になります。
日常生活能力の判定 7項目(精神・知的)
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
各項目を「できる/自発的にできるが援助が必要/自発的にできない/助言・指導があってもできない」の4段階で評価します。「就労していること」自体が直接スコアになるわけではありませんが、「働けるなら社会性・対人関係も保たれているはず」と推認される傾向はあります。
⚠️ 身体障害・知的障害・精神障害で「就労」の重みが違う
- 身体障害:障害そのものは固定・進行性で評価されることが多く、就労有無が等級判定に直接影響しにくい(手足の欠損・視力等級など客観指標が中心)
- 知的障害:IQ・日常生活能力が中心。就労継続支援B型・A型での就労は等級維持の方向に働くこともある(保護的環境での就労は障害がある証拠と見なされる場合あり)
- 精神障害:症状の波・社会機能で評価。「働けている」事実が「症状改善」と判断されやすいのが3障害の中で最も顕著
A型給与86,752円が等級判定に与える影響
就労継続支援A型の全国平均賃金は、令和5年度実績で月額86,752円です。この金額が、更新申請時にどう見られるかは多くの方が気にする論点です。
就労継続支援A型 平均賃金(令和5年度)
月額 86,752円
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)
障害種別ごとの「A型就労」の見られ方
| 障害種別 | A型就労の評価傾向 | 等級維持のしやすさ |
|---|---|---|
| 精神障害 | 「就労できている=症状が一定改善」と評価されやすい。とくに2級維持は要注意 | ★★(要対策) |
| 知的障害 | 「保護的環境での就労」と認識されることが多く、急な等級変更は少ない | ★★★★(比較的維持) |
| 身体障害 | 身体機能の客観指標が中心のため、A型就労は等級判定に影響しにくい | ★★★★★(影響小) |
| 発達障害 | 精神障害と同枠で評価。社会性・対人能力の改善が見られると2級→3級の可能性 | ★★(要対策) |
診断書記載のリアル:A型就労はどう書かれるか
医師が診断書を書く際、A型就労中の方については以下のような記載になることが多いです。
✅ 等級維持につながりやすい記載
- 「就労継続支援A型を利用中。週20時間未満の短時間勤務」
- 「支援員の声かけ・配慮があってはじめて作業継続が可能」
- 「体調により欠勤が月◯日あり、安定就労困難」
- 「対人関係の困難により、職場では一人作業に限定」
- 「服薬調整中で、副作用による集中力低下が継続」
⚠️ 等級引き下げにつながりやすい記載
- 「就労継続支援A型でフルタイム勤務、安定して通所」
- 「症状は寛解傾向にあり、職場での適応も良好」
- 「対人関係も改善、リーダー的役割も担う」
- 「服薬は維持量、副作用なし」
- 「家事・身辺自立にも特段の支障なし」
記載例は当法人の支援現場での経験および社労士監修記事を参考にした一般論です。実際の診断書記載は主治医の判断によります。
B型工賃22,649円が基本的に等級判定に影響しない理由
一方、就労継続支援B型の平均工賃は月額22,649円(令和5年度・修正後)です。B型利用は、年金等級判定にほぼ影響しないのが一般的です。
就労継続支援B型 平均工賃(令和5年度・修正後)
月額 22,649円
令和6年度報酬改定で計算方法変更により旧来比で増。出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」
影響しない3つの理由
-
1
雇用契約がない=労働者ではない
B型は事業所と雇用契約を結びません。労働基準法・最低賃金法の適用外で、「就労」というよりは「生産活動」「訓練的就労」と整理されます。診断書上も「労働能力に著しい制限あり、保護的就労を利用中」と書かれることが一般的です。
-
2
工賃額が生活を維持できる水準ではない
月22,649円では生活費の基本的な部分すら賄えません。日本年金機構・社会保険審査会の判断でも、「B型工賃のみで自活している」と判断されることはまずありません。年金併給を前提とする生活設計が制度上も想定されています。
-
3
通所自体が「日常生活上の援助」を要する
B型では支援員が常駐し、作業内容の調整・休憩・体調管理まで支援します。これは「支援なしには生活上の活動ができない」状態の証左ともなり、結果的に2級維持の方向に働きます。
🙋 「B型なら絶対安心」とまでは言わない方がいい
B型でも、週5日フルタイム通所・工賃が極端に高い・職場で指導的立場にあるといった場合、医師や審査側から「労働能力ありそう」と推認される可能性はゼロではありません。「B型だから何しても安心」ではなく、自分の体調・通所頻度・支援内容を診断書に正しく反映してもらうことが大切です。
就労移行支援中の等級判定
就労移行支援は「2年間で一般就職を目指す訓練サービス」です。雇用契約はなく、給与も発生しません(事業所内の作業がある場合は別)。年金影響度は「極小」です。
移行支援中の更新申請のポイント
- 「訓練段階」と評価される:就労移行支援を利用していること自体が、「現状では一般就労困難で訓練が必要」と認識されます
- 体調による出席率の波を診断書・就労状況申立書に正確に反映してもらう
- 就職活動の困難さ(面接で症状が出る、職場見学で疲労困憊など)も具体エピソードで記載
- 移行支援中に就職が決まった場合は、その時点で年金事務所に届け出る必要はないが、次回更新時の判定材料になる
💡 移行支援→A型・一般就労に進んだら更新時はどうなる?
移行支援中の更新は等級維持の事例が多いですが、「移行支援→一般就労」の節目の更新では等級が下がるケースがあります。とくに障害厚生年金3級は、安定して一般就労できるようになると支給停止になることも。一方で、職場で大きな配慮(短時間勤務・業務制限・通院配慮など)を受けている場合は等級維持となるケースも多く、「就職した瞬間に必ず止まる」ものではありません。
更新申請の準備(最重要セクション)
障害年金は一度認定されたら一生もらえる、というものではありません。1〜5年ごとに「障害状態確認届(更新診断書)」の提出が求められます。この更新の準備が、就労支援を利用している方にとって最大のヤマ場です。
更新申請までの流れ
-
1
誕生月の3か月前:日本年金機構から「障害状態確認届」が届く
自宅に診断書様式が郵送されます。提出期限は誕生月末日。届いてから動き出すと診察予約が間に合わないことが多いので、受け取ったらすぐ主治医・支援員に共有しましょう。
-
2
主治医に診断書を依頼(前回の控えを持参)
前回認定時の診断書のコピーを持参し、「現在も同様の状態が続いている」「就労支援を利用しているが支援なしでは継続困難」といった事実を口頭でも伝えます。診断書料は5,000〜10,000円程度。
-
3
事業所から「就労状況に関する申立書」をもらう
A型・B型・移行支援の事業所では、支援員が「就労状況証明書」「就労に関する申立書」を作成してくれることがあります(任意様式)。 記載内容例:勤務日数・時間・支援内容・配慮事項・欠勤頻度・対人関係の課題・指示理解の状況など。診断書の補強資料として一緒に提出すると効果的です。
-
4
診断書の記載内容を確認する
受け取った診断書は、提出前に必ず内容を確認します。実態と異なる記載(例:「通所安定」と書かれているが実際は欠勤多い)があれば、丁寧に医師に修正を依頼しましょう。社労士に事前チェックを依頼するのも有力な選択肢です。
-
5
年金事務所に提出(誕生月末日まで)
診断書+就労状況申立書(任意)を年金事務所に提出。郵送可。提出後の審査は2〜3か月かかり、結果は「次回診断書提出年月のお知らせ」で通知されます。
🙋 診断書記載の工夫:医師にどう伝えるか
診断書を依頼する際、「等級を維持したいので軽く書いてください」と頼むのはNG(医師は事実を書く義務があります)。「実態を正確に書いてほしい」と伝え、以下のような事実を伝えると診断書の精度が上がります。
- 過去3か月の通所日数・欠勤日数
- 家事の自立度(食事準備・掃除・買い物・金銭管理)
- 対人関係で困った具体エピソード
- 服薬の継続状況・副作用
- 支援員からの声かけ頻度・援助内容
等級が下がった/支給停止になった場合の対応
更新審査の結果、想定外に等級が下がった、あるいは「障害状態に該当しない」として支給停止になった場合の選択肢です。
3つの不服申し立て手段
📝
① 審査請求
処分を知った日の翌日から3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に審査請求。診断書再取得・主治医意見の追加が一般的。
⚖️
② 再審査請求
審査請求の決定に不服がある場合、決定書受領後2か月以内に厚労省の社会保険審査会に再審査請求。社労士の関与率が高い段階。
🔁
③ 額改定請求(再申請)
症状が悪化したタイミングで再度等級アップを請求。原則1年経過後から可能(明らかな悪化等の場合は早期請求も)。
支給停止と就労収入のバランスをどう考えるか
| パターン | 収入合計(月) | 備考 |
|---|---|---|
| A型給与のみ(年金停止) | 約 86,752円 | 家賃・食費・通信費を考えると単身生活は厳しい水準 |
| A型給与+障害基礎年金2級 | 約 86,752円+約 68,000円=約 154,752円 | ※2024年度 障害基礎年金2級は年額816,000円(月約68,000円) |
| A型給与+障害厚生年金3級 | 約 86,752円+月約 51,000円〜=約 137,000円〜 | ※障害厚生年金3級は最低保障612,000円/年。報酬比例で増える |
| B型工賃+障害基礎年金2級 | 約 22,649円+約 68,000円=約 90,649円 | 家賃補助制度・グループホーム利用で生活設計を組むことが多い |
出典:障害基礎年金2級は2024年度(令和6年度)月額68,000円(年額816,000円)。日本年金機構「障害年金」(nenkin.go.jp)を基に算出。年度により改定あり。
⚠️ 「等級維持」のためにA型を辞めるべきか
支給停止を恐れてA型を辞める判断は、必ずしも合理的ではありません。働くこと自体が回復・社会復帰につながる側面もあり、年金が3級になっても就労収入と合わせれば生活は成立することが多いためです。
重要なのは「働けるなら働く・難しければ休む・年金は実態に合わせて申請する」という個別最適化の発想。判断に迷ったら年金事務所と社労士に必ず相談してください。
20歳前障害基礎年金の取扱い(所得制限あり)
障害年金は大きく2種類に分けられますが、「20歳前傷病による障害基礎年金」は通常の障害年金と異なる取扱いがあります。これが冒頭で述べた「年金が止まる」誤解の正体のひとつです。
| 通常の障害基礎年金 / 障害厚生年金 | 20歳前障害基礎年金 | |
|---|---|---|
| 対象 | 20歳以降に初診日がある方 | 20歳前に初診日(先天性・幼少期発症など) |
| 保険料納付要件 | あり(直近1年or被保険者期間の2/3) | なし |
| 所得制限 | なし | あり(本人所得が一定額超で半額または全額停止) |
| 就労収入の影響 | 等級判定の参考材料 | 直接的な所得制限あり+等級判定にも影響 |
20歳前障害基礎年金の所得制限ライン(目安)
- 扶養親族なしの場合、本人の前年所得 約370万円超で半額停止/約470万円超で全額停止(目安)
- 扶養親族がいる場合は1人につき38万円ずつ加算(特定扶養親族・障害者・老人扶養親族で加算額異なる)
- 所得=給与収入から給与所得控除を引いた額。A型給与86,752円×12=1,041,024円なら所得は約491,024円となり、所得制限ラインには遠く及ばない
出典:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金」関連ページ(nenkin.go.jp)。所得制限額は年度により改定あり。最新値は年金事務所に確認のこと。
💡 結論:A型・B型程度の収入なら所得制限はまず問題ない
20歳前障害基礎年金を受給中の方が就労支援を利用しても、A型・B型の収入水準では所得制限ラインに達することはまずありません。所得制限が問題になるのは、一般就労で年収400万円超といった高収入のケースです。
ただし、配偶者の収入が合算されるかどうか、扶養親族の数など個別事情で計算が変わるため、初回申請・更新前には必ず年金事務所に確認してください。
配偶者の扶養との関係
結婚していて配偶者の健康保険の扶養に入っている場合、「年収130万円ライン」を超えると扶養から外れる可能性があります。
- 障害年金は非課税所得のため税制上の扶養(103万円ライン)の収入には含まれない
- ただし健康保険の扶養基準(130万円)には障害年金が収入として含まれるのが一般的(保険組合により扱い差あり)
- 例:障害基礎年金2級(年816,000円)+A型年収約104万円=合計約186万円となり、130万円ラインを超え扶養外れの可能性
- 配偶者の保険組合に「障害年金は収入算定に含めるか」を必ず確認
モデルケース3パターン
具体的な状況をイメージできるよう、現場でよく見る3つのモデルケースを示します。あくまで一般論としての参考例で、個別判断は必ず年金事務所・社労士へ。
🅰️
ケース1:A型+障害基礎年金2級
統合失調症の30代男性。A型で週20時間勤務、月給約9万円。障害基礎年金2級(月約68,000円)を受給中。
合計月収:約158,000円
▶ 更新時は「短時間勤務・支援員配慮ありで継続」を診断書に明記。等級2級維持。
🅱️
ケース2:B型+障害基礎年金2級
知的障害の20代女性。B型で週4日通所、月工賃約2万円。障害基礎年金2級を受給。
合計月収:約88,000円+家族同居
▶ B型は「保護的就労」と評価されやすく、等級2級維持の可能性が高い。
🆎
ケース3:移行+障害厚生年金3級
うつ病の40代男性。前職離職後、就労移行支援に通所中。障害厚生年金3級(月約51,000円)を受給。
合計月収:年金約51,000円+失業給付(受給中)
▶ 移行支援は「訓練段階」のため等級維持しやすい。就職後の更新が次の山場。
よくある質問
就労支援を利用したら、障害年金はもらえなくなりますか? ▼
就労支援の利用そのものを理由に、障害年金が止められることはありません。ただし更新時の診断書に「就労状況」が記載され、症状改善・労働能力ありと判断されると等級が下がる可能性はあります。とくに精神障害2級・障害厚生年金3級は要注意です。
A型で月10万円稼いだら、障害基礎年金2級は止まりますか? ▼
収入額そのもので即停止になる仕組みではありません。20歳以降に発症した方の障害基礎年金には所得制限がなく、月10万円程度なら問題になることはほぼありません。ただし更新時に「労働能力あり」と判断されれば3級相当(基礎年金にはないため不支給)になる可能性はあります。一方、20歳前障害基礎年金の場合は所得制限が別途ありますが、月10万円程度ではラインに達しません。
B型なら絶対に等級は変わりませんか? ▼
「絶対」とは言い切れませんが、B型利用は「保護的就労」と評価されやすく、等級維持の事例が多いのは事実です。週5日フルタイムで指導的役割を担うなど特殊な状況がない限り、B型利用が等級引き下げの主要因になることは稀です。
就労移行支援に通っている間は安全ですか? ▼
移行支援は「訓練段階」と認識されるため、利用中の更新で等級が下がる事例は比較的少ないです。注意が必要なのはむしろ「移行支援を経て一般就労に至った後の更新」で、就職後3〜5年経過時点で等級審査が厳しくなることがあります。
更新で等級が下がった場合、すぐに支給停止になりますか? ▼
等級変更の通知を受けてから、原則として翌月分から新しい金額に変わります。納得できない場合は3か月以内に審査請求が可能です。社労士に相談すれば、不服申し立ての見込みや必要な追加証拠を判断してもらえます。
診断書を書いてもらうとき、医師に何を伝えればいいですか? ▼
「軽く書いてほしい」「重く書いてほしい」ではなく、「実態を正確に書いてほしい」と伝えるのが鉄則です。具体的には、過去3か月の通所頻度・欠勤日数、家事の自立度、対人関係で困った具体エピソード、服薬状況・副作用、支援員からの援助内容などを箇条書きで持参するとよいでしょう。事業所の支援員に「就労状況に関する申立書」を作ってもらい、診断書とあわせて医師に共有するのも効果的です。
配偶者の扶養に入っていますが、障害年金とA型給与で外れますか? ▼
健康保険の扶養基準(年収130万円)には、多くの保険組合で障害年金も収入として含めます。障害基礎年金2級(年816,000円)+A型年収100万円程度で合計180万円超となれば、扶養から外れる可能性があります。配偶者の勤務先の健康保険組合に「障害年金は収入算定に含めるか」を必ず確認してください。所得税法上の扶養(103万円ライン)には障害年金は非課税のため含まれません。
等級維持のためにA型を辞めてB型に移るのはアリ? ▼
「年金維持のためだけにA型を辞めB型へ」という判断は慎重に。A型給与とB型工賃の差は月6万円以上あり、3級に下がっても合計収入はA型継続のほうが多いケースもあります。まずは年金事務所・社労士に相談し、ご自身の障害状態・就労実態を踏まえてシミュレーションしてから判断するのが安全です。
まとめ:就労支援と障害年金は併用前提で設計されている
日本の障害福祉制度は、もともと「障害年金で生活基盤を支え、就労支援で社会参加する」という併用を前提に設計されています。「就労支援を使ったら年金が止まる」という単純な仕組みではなく、サービス種別・障害種別・診断書記載・更新タイミングが複雑に絡み合います。
📋 押さえておきたい7つのポイント
- 就労支援と障害年金は原則併用OK。利用そのものを理由に止められることはない
- 影響度マトリクス:移行支援<B型<A型<一般就労の順で等級判定への影響が大きくなる
- A型給与86,752円は更新時に「雇用契約あり・給与あり」として記録されるため要注意
- B型工賃22,649円は「保護的就労」と評価され、等級維持の事例が多い
- 更新申請は診断書+就労状況申立書で実態を正確に伝えることが鍵
- 20歳前障害基礎年金は所得制限あり、ただしA型・B型程度の収入では問題にならない
- 判定は個別事情に強く依存。必ず年金事務所と社労士に相談する
ココトモでは、就労支援の現場で多くの方の年金更新申請をサポートしてきました。「働きたい気持ちはあるけれど、年金が心配で踏み出せない」「A型に通っているけれど次の更新が不安」という方は、まずお住まいの市区町村の障害福祉窓口・年金事務所・通所中の事業所支援員に相談してみてください。一人で抱え込まず、複数の専門家の目を通して判断するのが、もっとも安全で納得感のある選択につながります。
- 全国の就労支援事業所を掲載中!
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ココトモでは、全国の就労移行支援・就労継続支援A型・B型事業所を掲載しています。2万件以上の事業所を都道府県/対応障害/訓練分野などから探せます。
就労支援事業所の一覧はこちら
