就労支援事業所を変えたい時の手順|転所のメリット・デメリットと注意点
edit2026.04.23 visibility26
📌 この記事でわかること
- 就労支援事業所は途中で変えてOK。受給者証は基本的に同じものを継続して使えること
- 「転所」と「いったん退所→新規契約」の違いと、どちらを選ぶべきかの判断基準
- 転所できるケース・できないケースと、2024年A型閉鎖時の特例措置の活用方法
- 転所の手続き全7ステップ(探す→見学→意思表示→相談支援員へ連絡→計画変更→契約解除→新規契約)
- 同じサービス種別での転所と、サービス種別を変える転所(A型→B型 等)の手続き上の違い
- 転所失敗を防ぐ3つのコツと、空白期間(ブランク)を作らないための具体策
「今の事業所、人間関係がしんどい」
「もっと工賃の高いところに移りたい」
「A型からB型に切り替えたいけど、勝手に変えていいの?」
通っているうちに「ここではないかも」と感じる瞬間は、決して珍しいことではありません。実際、就労支援事業所は利用者本人の意思で「転所」できるのが原則です。受給者証も多くの場合は同じものを継続して使えるため、「役所の手続きを最初からやり直す」必要はありません。
一方で、転所先が決まらないまま今の事業所を辞めてしまうと、収入面(工賃・給与)と生活リズムの両方で空白期間(ブランク)が生まれ、再スタートまで時間がかかってしまうこともあります。
この記事では、転所が決まった人・検討している人に向けて、「転所の手続き7ステップ」「転所できる/できないケース」「失敗しない3つのコツ」を、現場視点の注意点とあわせて整理します。サービスの全体像をまだ把握できていない方は、先に 就労支援事業所とは?5サービス完全解説 を読んでから戻ってきていただくとスムーズです。
「転所」と「退所→新規」の違いを最初に押さえる
一口に「事業所を変える」と言っても、実務上は2つのパターンがあります。受給者証の扱い・空白期間・相談支援員の関与度合いがそれぞれ異なるため、まず違いを整理しておきましょう。
| ① 転所 (直接の切り替え) |
② 退所→新規契約 (一度休止して再開) |
|
|---|---|---|
| 受給者証 | 原則そのまま継続使用 | 有効期限内なら継続使用可 (期限切れなら再申請) |
| 空白期間 | 原則ゼロ〜数日 | 数週間〜数か月になることも |
| サービス等利用計画 | 変更(モニタリング・支給決定変更) | 新規作成または見直し |
| 相談支援員の関与 | 強い(事業所間の橋渡し) | 強い(再アセスメント) |
| 向いている人 | 次の事業所が既に決まっている/空白を作りたくない | 体調を整える期間がほしい/じっくり次を探したい |
💡 「転所」は法令上の正式名称ではありません
「転所」は実務上の呼び方で、行政の書類上は「指定特定相談支援事業所によるサービス等利用計画の変更」「支給決定の変更」「契約解除と新規契約」といった手続きの組み合わせで実現されます。役所や相談支援事業所では「事業所を変えたい」と伝えれば通じますので、専門用語を覚える必要はありません。
転所できるケース・できないケース
結論から言うと、多くのケースで転所は可能です。ただし「同じサービス種別の枠が地域に空いていない」「サービス種別を変える際に支給決定の見直しが必要」など、現実的なハードルがある場面もあります。
⭕
転所できる典型ケース
・人間関係や支援方針が合わない
・通勤負担が大きい/引っ越し
・もっと高い工賃・スキルアップを求める
・A型→B型/B型→移行などサービス変更
・通所先の閉鎖・縮小
・体調変化で勤務日数を見直したい
⚠️
注意が必要なケース
・就労移行支援の利用期間(原則2年)を既に使い切っている
・受給者証の有効期限が間近
・相談支援員と長期間連絡が取れていない
・受給日数(支給量)の上限近くまで使っている
🙅
難しい・原則できないケース
・転所先の事業所が定員一杯で受け入れできない
・対象年齢・利用条件を満たさないサービスへの変更
・市区町村が支給決定の変更を認めない場合
(※自治体により取扱いが異なります)
⚠️ 「就労移行支援2年の枠」は転所しても消費される
就労移行支援は原則2年(必要に応じて最長3年)の利用期限が定められています。事業所Aで1年使った後、事業所Bへ転所した場合も、残りの利用可能期間は1年(合算)になります。「転所すると2年がリセットされる」わけではない点に注意してください。A型・B型・就労定着支援には期限はありません(就労定着は別途3年)。
転所のよくある理由TOP10|あなたはどれに当てはまる?
転所の理由は人それぞれですが、現場で多く相談を受ける理由を10項目に整理しました。どれか一つでも当てはまる場合は、転所を「選択肢の一つ」として検討する価値があります。「我慢して通い続ける」ことだけが正解ではありません。
| 順位 | 転所の理由 | 主な解決の方向性 |
|---|---|---|
| 1 | 人間関係(利用者・スタッフ)が合わない | 同種別の別事業所、または別種別へ |
| 2 | 給与・工賃が低すぎる/伸びない | WAMNETで近隣事業所の平均賃金を比較 |
| 3 | 作業内容が単調・スキルが伸びない | カリキュラム重視の事業所へ移行 |
| 4 | 引っ越し・家族の都合で通えなくなった | 転居先の自治体で同種別を探す |
| 5 | A型の負担が重い→B型に切り替えたい | サービス種別の変更(支給決定の変更) |
| 6 | B型から就労移行支援にステップアップしたい | 体調安定が前提。就労選択支援を挟むのも◎ |
| 7 | 支援方針・支援員の対応に不信感 | 相談支援員に状況を共有して再アセス |
| 8 | 事業所が閉鎖・縮小される | 2024年A型問題の特例措置が使える場合あり |
| 9 | 体調変化で短時間勤務に切り替えたい | 柔軟な勤務体系の事業所、またはB型へ |
| 10 | 在宅(テレワーク)対応の事業所を使いたい | ハイブリッド型・在宅型の事業所を検索 |
🙋 「辞めるか続けるか」で迷っている段階の方へ
まだ転所を決めかねている、現状を続けるべきか辞めるべきかで悩んでいるという方は、先に 就労支援事業所が辛い時の対処法 を読んでみてください。本記事は「転所すると決めた後の実務」に焦点を当てています。
転所の手続きフロー|全7ステップで進める
転所の流れは、「次の事業所を見つけてから、今の事業所に伝える」のが鉄則です。今の事業所に先に辞意を伝えて空白期間を作ってしまうと、収入も生活リズムも一度途切れてしまいます。順番を間違えないよう、以下の7ステップで進めましょう。
-
1
転所先(候補)を探す(1〜4週間)
まずは転所先候補を複数リストアップします。WAMNET(独立行政法人福祉医療機構)の事業所検索、自治体の事業所一覧、相談支援事業所からの紹介など、複数ルートで情報収集しましょう。同じサービス種別なら工賃・スキル・通勤しやすさで比較、サービス種別を変える場合はまず「自分にどの種別が合うか」から再検討します。
-
2
見学・体験利用で確かめる(1〜3週間)
候補事業所を最低2〜3か所見学・体験します。今の事業所への不満を解消できるか、雰囲気・支援員との相性、利用者の表情、具体的な仕事内容を必ず自分の目で確認しましょう。事業所選びの細かいチェックポイントは 就労支援事業所の選び方 を参照してください。
-
3
今の事業所にも転所の意思を伝える(1〜2週間前)
転所先がほぼ決まったら、今の事業所のサービス管理責任者に「転所を考えている」と早めに伝えます。雇用契約のあるA型は退職届の提出が必要で、就業規則上の予告期間(多くは2週間〜1か月前)が定められています。引き継ぎ・有給消化・最後の出勤日も合わせて相談しましょう。
-
4
相談支援員に連絡する(同時並行)
サービス等利用計画を作成している相談支援専門員に、転所先・希望日程を共有します。相談支援員は事業所間の橋渡し役で、市区町村への連絡や計画変更の段取りを担ってくれます。セルフプランで利用している方は、自分で市区町村窓口に連絡することになります(自治体により取扱いが異なります)。
-
5
サービス等利用計画の変更/支給決定の変更(1〜4週間)
相談支援員が「サービス等利用計画」を新しい事業所向けに変更します。同じサービス種別なら比較的シンプル、サービス種別を変える場合(A型→B型 等)は市区町村による「支給決定の変更」が必要です。受給者証の支給量や有効期限の見直しも合わせて行われます。
-
6
今の事業所と契約解除(最終出勤日)
最終出勤日に、今の事業所と利用契約の解除手続きを行います。A型は雇用契約解除(退職)と利用契約解除の両方を実施。未払い工賃・給与の精算、源泉徴収票・離職票の受け取り、私物の引き取りを忘れずに。事業所側からは「サービス提供記録」「個別支援計画の写し」をもらえる場合があります(次の事業所での参考資料として有用)。
-
7
新しい事業所と契約・通所スタート
新しい事業所と利用契約(A型は雇用契約も)を締結し、通所開始です。理想は前事業所の最終出勤日翌日〜数日以内のスタート。最初は週2〜3日・短時間から慣らし、新しい環境にゆっくり馴染んでいきましょう。
出典:手続きフローは厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/障害者総合支援法に基づくサービス等利用計画作成の標準的な流れを基に整理。具体的な書類・期間は自治体により取扱いが異なりますので、お住まいの市区町村の障害福祉窓口での確認が確実です。
同じサービス種別での転所(A型→A型/B型→B型)
最も多いパターンが、同じサービス種別の事業所間での転所です。たとえば「A型のC事業所からA型のD事業所へ」「B型のE事業所からB型のF事業所へ」というケース。
手続き上のポイント
- 支給決定の変更は不要なケースが多い(受給者証の「支給するサービス種別」が同じため)
- サービス等利用計画は「事業所名の変更」「曜日・時間の変更」程度の修正で済む
- 受給者証は同じものを継続使用
- 1〜2週間で切り替え可能なケースが多い
選び方のコツ
同種別への転所では、「現事業所の不満点を、次の事業所が解消できるか」を必ず具体的に確認しましょう。
同種別転所で特にチェックすべき5項目
- 工賃・給与の過去1年の平均額と支給日(A型なら最低賃金準拠か)
- 仕事内容のバリエーションとスキルアップ機会(資格取得サポート等)
- 体調不良時の休みやすさ(出席率の目安・在籍継続の柔軟性)
- スタッフ配置(サビ管・支援員1名あたりの利用者数)
- 運営母体の経営安定性(特にA型はWAMNETスコア105点以上推奨)
💡 A型→A型の転所では「2024年問題」を必ず確認
2024年の報酬改定でA型事業所の経営は二極化しました。転所先のA型を選ぶ際は、必ずWAMNETでスコアを確認し、運営母体・生産活動収益・賃金総額のバランスをチェックしましょう。詳しくは 2024年A型大量閉鎖問題 を参照してください。
サービス種別を変える転所(A型→B型/B型→移行 等)
体調や目標の変化に合わせて、サービス種別自体を変える転所もよくあります。この場合は受給者証の支給決定(どのサービスを何時間使えるか)を変更する手続きが必要となり、同種別の転所より時間がかかるのが一般的です。
| 変更パターン | 主な動機 | 手続きの留意点 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|---|
| A型→B型 | 体調が不安定/勤務日数を減らしたい/雇用契約のプレッシャーが重い | 雇用契約の解除(退職)が必要。退職後の失業保険や離職票の取扱いも確認 | 2〜6週間 |
| B型→A型 | 体調が安定し、給与・社会保険のある働き方をしたい | A型の採用面接・選考あり。スコア105点以上の事業所を選ぶ | 4〜8週間 |
| B型→就労移行 | 一般就職を本格的に目指す/2年間で集中訓練 | 移行支援の2年(最長3年)の枠が始まる。体調安定が前提 | 2〜6週間 |
| 就労移行→B型 | 2年内の就職が難しい/体調的に訓練量がきつい | 移行の利用期間が残っていても切替可。再度移行に戻る場合は再申請 | 2〜6週間 |
| 就労移行→A型 | 移行2年で就職に至らず、雇用契約のあるA型へ | A型の選考あり。「移行で身につけたスキル」を活かせる事業所を選ぶ | 4〜8週間 |
A型とB型の違いをもう一度整理したい方は A型とB型の違い も参考になります。種別変更は人生設計にも関わる選択なので、一度立ち止まって相談支援員と方向性を共有することをおすすめします。
⚠️ A型→B型の転所では「給与→工賃」で収入が大きく下がる
A型の平均賃金は月約86,752円、B型の平均工賃は月約22,649円(令和5年度実績)と、収入が3〜4分の1になるケースが多いです。雇用保険・健康保険等の取扱いも変わるため、家計シミュレーションを事前に必ず行いましょう。障害年金・自立支援医療・グループホーム家賃補助などの併用も含め、相談支援員と一緒に試算することをおすすめします。
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)
2024年A型問題で閉鎖された場合の転所|特例措置
2024年3〜9月の間に、全国で約329か所のA型事業所が閉鎖し、約5,000人の利用者が解雇・退職を余儀なくされました(うち約4割がB型へ転換)。事業所側の都合による閉鎖の場合は、通常の転所と異なり市区町村・相談支援事業所が積極的に転所先を斡旋するなどの特例的な対応が取られました。
事業所閉鎖による転所での違い
- 転所先の確保支援:市区町村が地域内の受け入れ可能事業所をリストアップし、利用者に提示
- 支給決定の迅速化:通常1〜2か月かかる支給決定変更を、事情に応じて短縮するケースあり
- サービス種別の変更も柔軟:A型からB型への移行が大半。スキル・体調を再アセスメントし、適切な種別を相談
- 解雇予告手当・離職票:A型の雇用契約解除では労働基準法の保護対象。会社都合退職として失業保険を受けられる場合が多い
🙋 通っていた事業所が閉鎖の噂…どう動く?
閉鎖の正式通知前でも、「経営が不安定そう」と感じたら、早めに相談支援員に相談するのが安全です。受給者証は手元にあるため、転所候補の見学・体験を進めながら様子を見る、という二段構えの動き方ができます。2024年問題の詳細は 2024年A型大量閉鎖問題 をご覧ください。
出典:閉鎖事業所数・解雇者数は厚生労働省 国会答弁・各種報道(共同通信2024年10月/福祉新聞 等)/報酬改定の詳細は厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)
転所のメリット・デメリット|決断する前に整理
転所には大きなメリットがある一方で、見落としがちなデメリットもあります。両方を比べたうえで判断することで、「転所したけど前の方が良かった」という後悔を防げます。
✅ 転所のメリット
- 環境が変わることでストレスが軽減される
- 新しい仕事内容・スキルに挑戦できる
- 工賃・給与のアップが期待できる事業所もある
- A型⇄B型⇄移行のサービス変更で生活リズムを整え直せる
- 新しい支援員・利用者との出会い
- 通勤時間の短縮で体力的に楽になる
- 「合わない場所に居続けるストレス」から解放される
⚠️ 転所のデメリット
- 新しい環境への適応に時間がかかる(数週間〜数か月)
- 手続きの間に空白期間(収入ゼロ)が生じる可能性
- サービス種別の変更で収入が下がるケースも
- 慣れていた人間関係・支援員との別れ
- 就労移行支援は残り利用期間がリセットされない
- 転所先で「やっぱり前のほうが良かった」と感じる可能性
- 履歴上、複数事業所を転々とした記録が残る
失敗しない転所|現場が伝える3つのコツ
数多くの転所事例を見てきた支援員視点から、転所成功率を大きく上げる3つのコツをお伝えします。とてもシンプルですが、実践できる人とできない人で結果が変わります。
① 「次が決まってから今を辞める」を絶対に守る
- 今の事業所を先に辞めてしまうと、空白期間で生活リズム・収入・モチベーションがすべて崩れがち
- 転所先の体験利用→契約日確定→今の事業所に伝えるの順番を守る
- 例外は「ハラスメント・心身の急変」など、今すぐ離れる必要がある場合のみ
② 相談支援員を必ず巻き込む(セルフプランの方は要注意)
- 相談支援専門員は地域の事業所を熟知している第三者。「○○事業所の評判は?」と率直に聞ける貴重な存在
- 事業所間の調整・市区町村への連絡を代行してくれる
- セルフプラン利用中の方は、転所のタイミングで計画相談(相談支援事業所への切替)を検討するのもおすすめ
- 相談支援員の関与の度合いも地域差があり、忙しい地域では返信に1〜2週間かかることも。早めの相談が安全
③ 「転所理由」を言語化してから次を選ぶ
- 「なんとなく合わない」のままでは、次の事業所でも同じ不満が再発しやすい
- 「人間関係」「作業内容」「給与」「通勤」など、不満の中身を3つ以内に絞り、それを解消できる事業所を選ぶ
- 支援員との面談で言語化する/紙に書き出すと整理しやすい
転所先が見つかるまでの期間と、空白期間を作らない方法
転所先決定までの一般的な期間
候補探しから新事業所通所開始までの所要期間は、2週間〜3か月程度が目安です。同種別への転所なら短く、サービス種別を変える転所は長くなる傾向があります。
| パターン | 所要期間の目安 | 主な律速ステップ |
|---|---|---|
| 同種別・同自治体 | 2〜4週間 | 見学・体験/契約調整 |
| 同種別・引っ越し先 | 4〜8週間 | 転居先自治体での相談・候補探し |
| サービス種別変更 | 4〜12週間 | 支給決定の変更/A型なら採用選考 |
| 事業所閉鎖による転所 | 2〜8週間 | 市区町村の斡旋・特例対応で短縮可能 |
空白期間(ブランク)を作らないための4つの工夫
-
1
転所先の「契約日(通所開始日)」を先に固定する
候補事業所と「○月○日から通所開始」を確定してから、今の事業所への退職・契約解除を進める。日程の逆算が空白期間防止の鍵。
-
2
引き継ぎ期間を活用して並行通所する
事業所によっては、最終週に新事業所と並行通所を認めてくれるケースも。受給者証の支給量内で調整可能なら相談する価値あり。
-
3
受給者証の有効期限を事前確認
有効期限が転所手続きの最中に切れると、再申請に1〜2か月かかってしまう。期限が近い場合は更新申請を先に済ませる。
-
4
空白期間が出る場合の家計対策を同時に立てる
A型からB型への転所では収入が下がるため、家賃・光熱費・食費の見直し、自立支援医療・障害年金等の併用を相談支援員と確認。空白期間が出ると工賃・給与に直接影響するため、最低でも1か月分の生活費は手元に確保しておく。
⚠️ 空白期間が長引くと「通所習慣」が崩れやすい
数週間以上、毎日の通所がない状態が続くと、朝起きる・身支度する・外出するというリズムが一気に崩れるのが現場でよく見るパターン。空白が避けられない場合は、地域活動支援センター・ナカポツ・自助グループなど「人と会う場所」を週1〜2回確保しておくと、新事業所への適応がスムーズです。
よくある質問
転所することを今の事業所に伝えるのが気まずいです。どう切り出せばいいですか? ▼
「実は他の事業所への転所を検討していて、相談支援員にも話しています」と、決まった事実として早めに伝えるのが結果的にお互い楽です。「不満」を理由にする必要はなく、「通勤の都合」「家庭の事情」「次のステップに進みたい」など、シンプルな理由で十分です。一人で言いづらい場合は、相談支援員に同席してもらうことも可能です。事業所側も転所の相談には慣れているので、必要以上に身構えなくて大丈夫です。
転所の引き継ぎってどんなことをするのですか? ▼
主には(1)担当作業の引き継ぎ、(2)個別支援計画・サービス提供記録の写しの受け取り、(3)新事業所への情報共有(本人同意のもと)、の3つです。新しい事業所には「これまでの支援で効果的だった配慮」「苦手な作業」などを共有することで、ゼロからのスタートを避けられます。本人が希望しない情報は共有されないので安心してください。
受給者証は新しい事業所でもそのまま使えますか? ▼
同じサービス種別であれば、受給者証は基本的にそのまま継続使用できます。事業所名の変更や支給量の調整が必要な場合は、相談支援員が市区町村への連絡を代行してくれます。サービス種別を変える場合(A型→B型 等)は、受給者証の「支給決定の変更」が必要になり、新しい受給者証が発行されることもあります。具体的な扱いは自治体により異なります。
工賃や給与の精算はどうなりますか? ▼
最終出勤日までの工賃・給与は、通常通り後日支給されます(多くの事業所では翌月15日〜25日頃)。A型は源泉徴収票・離職票も発行されるので、後日郵送してもらえるよう住所を伝えておきましょう。退職金制度を設けている事業所もあります。未払い分が長期間支払われない場合は、相談支援員や労働基準監督署に相談を。
A型を退職してB型に転所すると、失業保険はもらえますか? ▼
A型は雇用保険の対象になっている事業所が多く、加入要件(週20時間以上の勤務など)を満たしていれば、失業保険を受給できる可能性があります。ただし「就職活動を行っていること」が原則のため、すぐにB型に通所開始する場合は受給対象外になることも。退職前にハローワークで条件を確認するのが確実です。
就労移行支援を1年使った後、別の就労移行支援に転所できますか? ▼
転所自体は可能です。ただし、就労移行支援の「原則2年」の利用期間は通算されるため、A事業所で1年使った後はB事業所で残り1年が上限となります。残り期間をどう使うかも含めて、相談支援員と方針を確認してから決めましょう。なお、必要に応じて市区町村の判断で最長3年まで延長されるケースもあります(自治体により異なる)。
転所先が決まらず、ブランクができそうです。どうしたらいいですか? ▼
まず相談支援員に「○月○日までに転所先を決めたい」と期限を共有しましょう。相談支援員は地域の空き状況を把握しているため、選択肢を一緒に広げられます。どうしてもブランクが避けられない場合は、地域活動支援センター・ナカポツ・自助グループなどを併用し、生活リズムを保つ工夫を。一人で抱え込まず、こまめに連絡を取ることがブランクを最小化する最大のコツです。
転所を繰り返すと、就職時に不利になりますか? ▼
就労支援事業所の利用履歴が、一般就職の選考で直接的な不利になることは基本的にありません。ただし、面接で「なぜ転所したか」を聞かれたときに前向きに説明できる準備は必要です。「自分に合う環境を探した結果」「より上のステップに進むため」などポジティブに言語化できれば問題ありません。納得できる転所理由を整理しておけば、むしろ「自分の課題と向き合ってきた経験」としてプラスに伝えることもできます。
まとめ:転所は「逃げ」ではなく「自分に合う環境を選び直す」前向きな選択
就労支援事業所の転所は、利用者の権利として誰でも申請でき、ほとんどの場合スムーズに実現できる選択肢です。「合わない場所に通い続ける」ことが正解ではないように、「すぐに辞めてしまう」ことだけが選択肢でもありません。次の事業所を見つけてから動く、相談支援員を巻き込む、転所理由を言語化する。この3つを押さえれば、空白期間を最小化しながら自分に合う環境へ移ることができます。
📋 転所を決断する前に押さえておきたい6つのこと
- 転所は利用者の権利。受給者証は基本的に同じものを継続使用できる
- 「次が決まる前に今を辞めない」を守ることで空白期間を最小化できる
- 同種別の転所は2〜4週間/サービス種別変更は4〜12週間が目安
- 就労移行支援は残り利用期間が通算されるため、転所のタイミング設計が重要
- A型→B型は収入が大きく下がるため、家計シミュレーションを必ず実施
- 2024年A型閉鎖による転所には市区町村の特例的なサポートが用意されている
転所は決して特別なことではありません。働き方や体調が変わるように、合う場所も変化していくのが自然です。今の事業所が合わないと感じたとき、まずは相談支援員に「転所も視野に入れて考えたい」と伝えるところから始めてみてください。サービスの全体像を再確認したい方は 就労支援事業所とは?5サービス完全解説 、A型とB型のどちらに進むか迷う方は A型とB型の違い も合わせてご覧ください。
- 全国の就労支援事業所を掲載中!
-
ココトモでは、全国の就労移行支援・就労継続支援A型・B型事業所を掲載しています。2万件以上の事業所を都道府県/対応障害/訓練分野などから探せます。
就労支援事業所の一覧はこちら
