GA(ギャンブラーズ・アノニマス)完全ガイド|ギャンブル依存症からの回復・ミーティング参加方法・Gam-Anon

GA(ギャンブラーズ・アノニマス)完全ガイド|ギャンブル依存症からの回復・ミーティング参加方法・Gam-Anon

「パチンコをやめたいのに、給料日のたびにホールへ足が向く」
「夫がスマホで競馬とオンラインカジノを繰り返し、家計が底を尽きた」
「借金が500万円を超え、家族にも嘘を重ねている自分が怖い」

ギャンブル依存症は、しばしば「お金の問題」「だらしなさ」「意志の弱さ」として片づけられがちな病気です。しかし、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類ICD-11では「ギャンブル症(Gambling Disorder)」、米国精神医学会のDSM-5では「ギャンブル障害」と明記された、脳の報酬系の働きが変質するれっきとした医学的な依存症です。

そして、医療と並んで世界中で最大の回復資源となっているのが、1957年9月に米国カリフォルニア州ロサンゼルスで始まった自助グループ「GA(Gamblers Anonymous/ギャンブラーズ・アノニマス)」です。Jim W.という一人の人物の呼びかけから生まれ、AA(アルコホーリクス・アノニマス)の12ステップ・12の伝統を受け継ぎながら、いま世界60以上の国・地域で開かれ、日本にも全国に多数のグループがあります。

この記事では、ココトモが地域の依存症支援・家族会の現場で出会ってきた声をもとに、GAの歴史と仕組み、12ステップと12の伝統、ミーティングの種類と初めての参加方法、家族のための自助グループGam-Anon(ギャマノン)、2018年に成立したギャンブル等依存症対策基本法、専門医療機関、債務整理の相談先まで、公的情報ベースで丁寧にまとめました。ギャンブル依存症は、適切な助けにつながれば回復できる病気です。

📌 この記事でわかること

  • 1957年に米国ロサンゼルスで誕生したGAの歴史と、Jim W.に始まる世界的な広がり
  • ギャンブル依存症が「お金の問題」ではなく「コントロールの病」であるという視点と、ICD-11/DSM-5の医学的位置づけ
  • AAから受け継ぐ12ステップと12の伝統、4種類のミーティング(オープン/クローズド/スピーカー/ステップ・スタディ)
  • 初めてGAミーティングに参加する5ステップと、家族のための自助グループGam-Anonの役割
  • 2018年成立のギャンブル等依存症対策基本法、久里浜医療センターなどの専門医療機関、債務整理の弁護士・司法書士相談
  • パチンコ・スポーツベッティング・家族の3つの体験談、ありがちな誤解5選、オンラインカジノなど新しい問題、FAQ10問まで網羅

GA(ギャンブラーズ・アノニマス)とは|1957年ロサンゼルスでの誕生

GA(Gamblers Anonymous)は、ギャンブルをやめたいと願う人たちが、互いの経験と力と希望を分かち合い、ギャンブルをしないで生きていくことを目指す自助グループです。専門家による治療プログラムではなく、当事者どうしの分かち合いを中核に据えた、世界でもっとも歴史のあるギャンブル依存症の回復共同体です。

1957年9月13日、ロサンゼルスでの第一歩

GAは、1957年9月13日、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで、Jim W.という一人の人物の呼びかけから始まりました。Jim W.は長年ギャンブルに苦しんでいた一人の男性で、すでに先行していたAA(アルコホーリクス・アノニマス)の仕組みを参考に、ギャンブル依存症者のための共同体を立ち上げました。
GAの基本テキストや公式情報では、創設の日を1957年9月13日と記しており、この日が世界のGA運動の起点とされています。発足当初はわずか数名の小さな集まりでしたが、1960年代以降、米国・カナダ・英国・オーストラリアへと急速に広がり、現在では世界60以上の国・地域でミーティングが開かれています。

日本では1989年に最初のミーティング

日本のGAは、1989年(平成元年)に最初のミーティングが開かれたとされ、その後、東京・大阪・名古屋・福岡など全国の主要都市から地方都市へと広がっていきました。現在は「GA日本インフォメーションセンター」が全国の窓口となり、各地のグループ情報・ミーティングスケジュール・連絡先を集約しています。
日本国内では年間を通じて数千回規模のミーティングが開催されており、対面ミーティングのほかに、新型コロナ以降はオンラインミーティングも大きく広がりました。地方在住の方、夜勤・育児で外出しづらい方、まだ会場へ行く勇気が出ない方にとって、オンラインは大きな入り口となっています。

「自分はギャンブラーである」と認めるところから

GAの最大の特徴は、ミーティングの冒頭で、自分の名前と「ギャンブラーです」と名乗ることです。「私は○○、ギャンブラーです」——この一言は、決して自分を貶めるものではなく、「自分の力ではコントロールできない病気を抱えている、ということを認める」第一歩です。
この姿勢が、ギャンブル依存症が「意志の問題」ではなく「病気」であるという理解と固く結びついています。一人で気合いで何とかしようとしてきた長い夜の終わりに、GAの輪のなかでこの言葉を口にしたとき、多くの当事者が初めて「一人ではなかった」と感じると語ります。

出典:GA日本インフォメーションセンター 公開情報/Gamblers Anonymous International Service Office 公開資料/厚生労働省「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」(2019年策定・以降改定)

ギャンブル依存症の現状|「意志の弱さ」ではなく病気として理解する

日本では長く「ギャンブルにのめり込む人=だらしのない人」というイメージが根強く、本人も家族も「恥ずかしいこと」「自分の努力で何とかすべきこと」と抱え込みがちでした。しかし、医学的な位置づけは大きく変わってきています。

ICD-11/DSM-5での位置づけ

分類体系 名称 カテゴリ
ICD-11(WHO国際疾病分類) ギャンブル症(Gambling Disorder) 嗜癖行動による障害(ゲーム症と並ぶ「行動嗜癖」)
DSM-5(米国精神医学会診断基準) ギャンブル障害(Gambling Disorder) 物質関連障害および嗜癖性障害群
DSM-IVまで(旧基準) 病的賭博(Pathological Gambling) 衝動制御障害(現在は再分類)

重要なのは、ICD-11もDSM-5もギャンブルを「行動嗜癖(行動への依存)」として、アルコール・薬物依存と同じ枠組みで扱っている点です。脳の報酬系(ドーパミン回路)に変化が起こり、自分の意思だけではブレーキが効かなくなる——これは、ICD-11で「ゲーム症(Gaming Disorder)」と並んで明記された、明確な医学的疾患です。

日本の有病率推計

日本のギャンブル依存症の有病率については、厚生労働省の委託研究(実施:国立病院機構久里浜医療センター)などにより、複数の調査が行われています。
これらの調査では、生涯のうちに「ギャンブル等依存が疑われる状態」を経験した成人の割合は、おおむね数%台と報告されており、過去1年に限った場合はその数分の一程度に低くなる傾向があります。具体的な数値は調査年度・スクリーニング手法により差があるため、本記事では幅のある表現にとどめます。諸外国と比較して日本は高い水準にあると国際的にも指摘されており、これが2018年の基本法成立につながりました。

出典:厚生労働省「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」/国立病院機構久里浜医療センター 依存症対策全国センター 公開情報/WHO ICD-11/APA DSM-5

AAから受け継ぐ12ステップ|回復のための具体的な道筋

GAの回復プログラムの中核となるのが、12ステップ(The Twelve Steps of Recovery)です。これは、1935年に米国で誕生したAAの12ステップを、ギャンブル依存症向けに翻案したもので、「ステップワーク」と呼ばれる地道な実践を通じて、自分の生き方そのものを見つめ直す道筋です。
宗教ではありませんが、「自分を超えた大きな力(Higher Power)」という表現が含まれます。これは特定の宗教を指すものではなく、各人が自分なりに理解する「自分一人ではない、何か」を意味します。無神論者・無宗教の参加者も、ミーティング仲間・自然・グループそのものを「大きな力」と捉えてプログラムを続けています。

ステップ 要旨(GA日本 公式テキスト準拠の意訳)
1私たちはギャンブルに対し無力であり、生活が破綻していたことを認めた
2自分よりも大きな力が、私たちを健全な状態に戻してくれると信じるようになった
3自分の意志と生き方を、自分なりに理解した大きな力にゆだねる決心をした
4恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸し(モラル・インベントリー)を行った
5自分・大きな力・もう一人の人間に対して、過ちの本質をありのまま認めた
6これらの性格上の欠点を、大きな力に取り除いてもらう準備が完全にできた
7謙虚に、自分の短所を取り除いてくれるように願った
8傷つけた人すべてのリストを作り、その人たちに埋め合わせをする気持ちになった
9その人たちや他の人を傷つけない限り、機会あるごとに直接埋め合わせをした
10自分の棚卸しを続け、間違ったときは、すぐにそれを認めた
11祈りと黙想を通じて、自分なりに理解した大きな力との接触を深めることに努めた
12これらのステップの結果、霊的に目覚め、このメッセージを他のギャンブラーに伝え、すべてのことに、この原理を実行しようと努力した

ステップは順番に取り組むことが推奨されており、多くの場合、すでに長く続けている回復者「スポンサー」と一対一で進めます。すべてのステップを一気に終わらせるものではなく、人生をかけてゆっくり進める道のりです。1日ずつ、ギャンブルをしないでいる——これがGAでもっとも大切にされる合い言葉です。

12の伝統|グループを健全に保つための知恵

12ステップが「個人の回復」のための道筋なら、12の伝統は「グループ全体を健全に保つ」ための原則です。AAが運営の混乱を経て積み上げた知恵を、GAも受け継いでいます。

  • 共同体の福利が最優先——個人の回復は、グループの一体性に支えられている
  • 唯一最高の権威は、グループの良心の中に現れる愛の神(自分なりに理解した大きな力)——リーダーは奉仕者であり、支配者ではない
  • メンバーになるための条件は、ギャンブルをやめたいという願いだけ——年齢・性別・職業・宗教・国籍を問わない
  • 各グループは自治的——他のグループ・GA全体に影響することを除き、自由に運営される
  • グループの第一の目的は、今も苦しんでいるギャンブラーにメッセージを運ぶこと
  • 外部の事業・金銭・名声と提携しない——お金や名声によって本来の目的が損なわれないために
  • すべてのグループは完全に自立すべき——外部からの寄付に頼らず、メンバーの献金で運営する
  • GAは常に職業化されない——本来のメッセージは、報酬ではなく経験から運ばれる
  • 必要に応じてサービス機関や委員会を設けることはできる——ただし、それらは奉仕する側であり指示する側ではない
  • GAは外部の問題に意見を持たない——政治・宗教・カジノ反対運動などに組織として立場を表明しない
  • 広報のあり方は、宣伝よりも惹きつける魅力に基づく——個人としてのアノニミティ(匿名性)を守る
  • アノニミティ(匿名性)は、すべての伝統の霊的基礎——個人ではなく、原則を前面に置く

現代において特に重要なのが、最後の「アノニミティ(匿名性)」です。SNSや動画配信で、ミーティングの様子や他のメンバーの名前・顔・体験を共有することは原則として行わないのがGAの大切なルールです。これは、安心して本音を分かち合える場を守るための、何にも代えがたい仕組みです。

ミーティングの種類4タイプ|目的に合わせた4つの形

GAのミーティングには、大きく分けて4つのタイプがあります。地域・グループによって呼び方や運営方法は少しずつ異なりますが、基本的な構造は世界共通です。

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① オープン・ミーティング

ギャンブルをしない当事者以外でも参加できる、開かれたミーティング。家族・友人・支援者・専門職・研究者・報道関係者なども参加可能。「まずは雰囲気を知りたい」段階の方にもっとも適した入り口

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② クローズド・ミーティング

参加できるのは「ギャンブルをやめたいと願う本人」だけ。家族・支援者は入れない。安心して本音を語り合うための、もっとも中核的なミーティング

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③ スピーカー・ミーティング

回復を続けているメンバーが、自分のストーリー(過去のギャンブル歴・回復への過程・今の生活)を時間をとって語る形式。新しく来た人が「自分にもできるかもしれない」と希望を持つきっかけになる

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④ ステップ・スタディ

12ステップのうち一つを取り上げ、テキストを読み合わせながら自分の経験に当てはめて語り合う。スポンサーとのステップワークと並行して進めることが多い

どのタイプでも共通して大切にされるのは、「言いっぱなし・聞きっぱなし」のルールです。誰かの分かち合いに対して、評価・アドバイス・否定・議論を返すことはしません。ただ、自分の経験を語り、他の人の経験を聴く——この単純なルールが、安心できる場を支えています。

初めてGAミーティングに参加する5ステップ

「行ってみたいけれど、最初の一歩がいちばん怖い」——多くの人がそう言います。ここでは、初めての参加までの流れを5ステップに整理しました。

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    ① GA日本インフォメーションセンターのサイトでミーティングを探す

    公式サイト(gajapan.jp)に全国のミーティングリストが掲載されています。地域・曜日・時間・対面/オンラインで絞り込めます。オープン・ミーティングを最初の候補にすると、家族同伴でも参加できて安心です。電話で連絡先メンバーに事前相談することもできます。

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    ② 開始20〜30分前に会場に着くか、オンラインなら少し早めに接続

    早めに着くと、世話人メンバーが声をかけて簡単な流れを教えてくれます。費用は基本的に無料で、運営献金(任意・100〜500円程度)を入れる箱が回ってくることが多いです。服装も自由で、身分証も不要です。

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    ③ 「○○です、ギャンブラーです」と名乗る(言えなければパスでOK)

    本名でなくニックネームで構いません。話したくなければ「パスします」と伝えるだけで大丈夫です。最初の数回は「ただ座って聴いているだけ」で十分。多くの人が、最初は何も話せずに帰ってきた、と語っています。

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    ④ 終了後の自由な時間で連絡先を聞いておく

    ミーティング後にお茶を飲みながら話す時間(「ミーティング後ミーティング」)がある会も多いです。「ギャンブルしたくなったら電話してね」と連絡先を渡してくれるメンバーがいたら、迷わず受け取りましょう。これが回復の生命線になります。

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    ⑤ 90日間で90回ミーティングに通う(90 in 90)

    GAでは伝統的に「90日間で90回ミーティングに出る」ことが勧められます。多すぎると感じるかもしれませんが、最初は「ギャンブルをしないこと」だけに集中するための、もっとも安全な道筋です。複数のグループを回ってもOKで、自分に合う場所を探しながら通うのが普通です。

GAと「Gam-Anon(ギャマノン)」|家族のための自助グループ

👨‍👩‍👧 Gam-Anon(ギャマノン)とは?

Gam-Anon(ギャマノン)は、ギャンブル依存症の本人を持つ配偶者・親・子ども・恋人・きょうだい・友人など、家族や身近な人のための自助グループです。GAと同じく米国で誕生し、世界各国に支部があり、日本では「ギャマノン日本インフォメーションセンター」が窓口を担っています。
GAが「ギャンブルをやめたい本人」の場であるのに対し、Gam-Anonは「本人ではなく、巻き込まれてきた家族自身の回復」を目的とした場です。

家族自身の回復という視点

ギャンブル依存症の家族は、長い年月のうちに、本人の借金を肩代わりし、嘘に対応し、職場や親族に取り繕い、自分の感情を後回しにしてきたことが多くあります。気づけば家族自身が、不眠・抑うつ・パニック発作・身体症状に苦しんでいる——これは共依存と呼ばれる状態に近づいた姿です。
Gam-Anonは、「本人を治す方法」を教えてくれる場ではありません。むしろ、「本人の問題は本人のもの、家族は家族自身の人生を取り戻す」という視点に立ち戻る場です。家族にも12ステップに似たプログラムがあり、同じ立場の家族どうしで分かち合いを続けるなかで、家族の心が少しずつ呼吸を取り戻していきます。

GAとGam-Anonの関係

GAとGam-Anonは別の組織で、互いに独立して運営されていますが、同じ会場・同じ時間帯に並行して開催される地域も多くあります。本人がGAに出ているあいだ、隣の部屋で家族がGam-Anonに出ている——これは、依存症の自助グループ文化が築いてきた、もっとも美しい光景の一つです。
家族としては、本人がGAにつながるのを待つよりも、家族自身が先にGam-Anonに通い始めるほうが、結果的に状況が動くことが多いと言われます。家族の心が安定し、本人を巻き込みすぎなくなることで、本人が自分の問題と向き合わざるを得なくなるからです。

日本のギャンブル等依存症対策基本法|2018年成立、国・自治体の責務へ

📜 ギャンブル等依存症対策基本法とは

ギャンブル等依存症対策基本法は、2018年7月に成立、同年10月に施行された法律です。日本において初めて、ギャンブル等依存症を国・地方公共団体・関係事業者の責務として対策を講じるべき社会問題と明文化した、画期的な立法です。
対象には公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース)・パチンコ・パチスロが含まれ、IR(統合型リゾート)整備推進法の議論を背景に、国会で超党派の問題意識から成立しました。

基本法が定める柱

  • 国の責務——基本計画の策定、相談・治療・回復支援体制の整備、調査研究、人材育成
  • 地方公共団体の責務——都道府県ごとの「都道府県推進計画」策定の努力義務、地域の相談体制づくり
  • 関係事業者の責務——遊技機メーカー・公営競技運営者などに依存症対策の責任を明記
  • 5月14〜20日「ギャンブル等依存症問題啓発週間」——毎年この期間に全国で集中啓発が行われる
  • 基本計画——2019年に初の基本計画が閣議決定、おおむね3年ごとの見直しが規定されている

基本法によって、「ギャンブル依存症は本人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき公衆衛生課題」という位置づけが明確化されました。自助グループであるGA・Gam-Anonの活動も、この基本計画のなかで「民間団体との連携」として位置づけられ、行政との橋渡しが少しずつ進んでいます。

専門医療機関|久里浜医療センターと全国の依存症治療拠点

GAは医療の代わりではなく、医療と相補的に働く存在です。深刻な抑うつ・自殺念慮・離脱症状・重い借金問題・他の依存症との重複がある場合、まず医療につながることが優先されます。

国立病院機構 久里浜医療センター

神奈川県横須賀市にある独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センターは、日本の依存症医療を長年牽引してきた中核病院です。厚生労働省の依存症対策全国センター機能を担っており、ギャンブル依存症についても、専門外来・入院プログラム・治療プログラム(CBT=認知行動療法ベース)・家族プログラムを提供しています。
また、全国の医療従事者向けの研修拠点でもあり、各地の専門医療機関を養成する役割を果たしています。

全国の「ギャンブル等依存症の専門医療機関」

都道府県ごとに、厚生労働省の基準を満たした「ギャンブル等依存症の専門医療機関」「治療拠点機関」が指定されています。各都道府県の精神保健福祉センターや、依存症対策全国センター(久里浜医療センター内)のサイトに一覧が掲載されています。
医療プログラムは外来通院・集団療法・個人面接・家族教室などが中心で、GA・Gam-Anonへの参加を併行して勧めるクリニックがほとんどです。「医療+自助グループ+家族支援」の三本柱が、現在の標準的な回復支援モデルです。

精神保健福祉センターという公的な相談窓口

各都道府県・政令指定都市には精神保健福祉センターが設置されており、ギャンブル依存症の本人・家族の無料相談を受け付けています。電話・来所相談に加えて、家族教室・本人プログラムを開いているセンターも増えてきました。受診の前段階として、まず公的窓口に電話してみるのも有効な選択肢です。

借金・債務整理の問題|弁護士・司法書士・消費生活相談

⚠️ 借金問題と回復は「同時並行」で扱う

ギャンブル依存症と切り離せないのが多重債務・借金の問題です。重要なのは、本人が借金を完済しても、ギャンブル依存症は治らないこと、そして家族が肩代わりしてもギャンブルは止まらないことです。借金問題は、本人の回復プログラムと並行して、専門家の力で整理することが鉄則です。

債務整理の選択肢

  • 任意整理——弁護士・司法書士が貸金業者と交渉し、将来利息のカット等で返済計画を組み直す
  • 個人再生——裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で返済する手続き
  • 自己破産——裁判所を通じて借金の支払義務を免除してもらう手続き。ギャンブルによる債務は「免責不許可事由」に該当する可能性があるが、裁判所の裁量で免責が認められるケースが多い

相談窓口

  • 日本司法支援センター(法テラス)——所得が一定以下なら無料の法律相談・弁護士費用の立替制度が利用できる
  • 各地の弁護士会・司法書士会の相談センター——多重債務に強い専門家を紹介してもらえる
  • 消費生活センター(消費者ホットライン188)——契約トラブル・悪質な貸付け・違法業者からの取り立てなどの相談先
  • 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター——貸金業者との具体的なトラブルに関する相談窓口

「借金を解決してからGAに行こう」と考える方がいますが、これは順序が逆です。債務整理は弁護士・司法書士に、依存症はGAと医療に——役割を分けて、それぞれの専門家・回復共同体につながることが、もっとも近道です。

体験談|三人の物語

💬 20年のパチンコ歴、最後の借金は800万円(48歳・男性)

「20代から平日夜と週末はパチンコ漬けで、消費者金融6社で借金が800万円を超えました。3度目の妻からの『出ていく』に膝を折ったとき、地域包括の保健師さんに紹介されてGAのオープン会場に座りました。最初の3か月は何も話せず、ただ毎週通うだけ。半年たって初めて自分の名前を名乗れた日、隣の参加者が黙ってお茶を入れてくれました。今は3年半、賭けない一日を続けています」(120字)

💬 スマホ一台で始まったオンライン・スポーツベッティング(32歳・男性)

「テレビでサッカー中継を見ながら、海外ブックメーカーのアプリで賭けるところから始まりました。3年で口座は空になり、暗号資産で穴埋めしようとしてさらに沈みました。ネット検索で見つけたGAのオンラインミーティングに、深夜にカメラを切ったまま参加。同じくスマホ・オンラインで沈んだ世代の声が聴けて、『古い病気の話』ではないと分かったときに肩の力が抜けました」(120字)

💬 「夫を治すため」だった私が、Gam-Anonに通うようになった(45歳・妻)

「夫の競馬と借金を15年隠してきました。夫が会社のお金に手を出しかけたとき、自分が限界だと気づきました。最初に動いたのはGAではなくGam-Anonでした。『夫を治すこと』ではなく『自分を取り戻すこと』が目的だと知ったとき、力みが抜けて、本当の意味で泣けました。半年後、夫が自分でGAに行くと言い出しました。私が私の道を歩き始めたことが、夫の選択を呼んだのだと思います」(120字)

ありがちな誤解5選|「意志の弱さ」ではない

ギャンブル依存症をめぐっては、本人・家族・周囲が陥りやすい誤解がいくつもあります。代表的な5つを整理します。

  • ❌ 意志が弱いからやめられない──ICD-11/DSM-5で位置づけられた医学的な依存症であり、脳の報酬系の働きが変化する病気です。気合いや根性だけでコントロールできないのが特徴であり、専門的な支援が必要です。
  • ❌ 借金さえ返せば治る──借金は依存症が生む「結果」であって「原因」ではありません。家族の肩代わりや一度の完済では、ギャンブルへの渇望はおさまりません。借金は弁護士に、依存症はGAと医療に、と役割を分けるのが鉄則です。
  • ❌ ギャンブル依存症はパチンコだけの問題──競馬・競輪・競艇・オートレース・パチスロ・宝くじ・スポーツベッティング・オンラインカジノ・FXや暗号資産の過度な投機まで、依存対象は多様です。「お金や成果を賭けてスリルを得る行為」全般が対象になりえます。
  • ❌ 強制的にやめさせれば治る──カードを取り上げる・小遣いを管理する等の物理的な制限だけでは長続きせず、家族の負担が増えるだけで本人の回復にはつながりません。本人が自ら「やめたい」と決断するための環境づくりが必要です。
  • ❌ 一度やめられたら、もう大丈夫──回復は一日ずつのプロセスで、いったんやめた人にもスリップ(再発)は起こりえます。だからこそミーティングへの継続的な参加と、家族のGam-Anonでの回復が大切にされます。

オンラインカジノ・ソーシャルゲーム課金など新しい問題

GAが誕生した1957年と現在の依存症の地形は、大きく変わってきました。スマホひとつ・24時間・少額から賭けが続けられる時代になり、新しい入り口の問題が増えています。

オンラインカジノの違法性と依存性

日本国内から海外サーバーのオンラインカジノで賭けを行う行為は、賭博罪(刑法第185条等)に該当しうる違法行為であると、警察庁・消費者庁などが繰り返し注意喚起しています。「合法だと宣伝されていた」「海外のサイトなら大丈夫と聞いた」というのは誤りです。
医学的にも、オンラインカジノはスマホ・24時間・即時決済という性質から、依存リスクが従来のギャンブルより高いと指摘されています。「気軽に始めたつもりが、半年で数百万円沈んだ」という相談が、近年急増しています。

スポーツベッティング・eスポーツベッティング

海外のスポーツベッティング・eスポーツベッティングの広告がSNS・動画配信に表示され、未成年や若い世代の入り口になりつつあります。これも国内で日本人が利用する形は違法であり、依存リスクも高い領域です。

ソーシャルゲームの「ガチャ」と境界線

スマホのソーシャルゲームの「ガチャ課金」が、ギャンブル依存に近い行動嗜癖を生むケースが指摘されています。法的には「ギャンブル」に分類されない場合がありますが、当人にとって生活を破綻させるレベルであれば、依存症の支援対象として扱う動きが進んでいます。ゲーム依存症の自助グループガイドも合わせてお読みください。

よくある質問|GA・ギャンブル依存症Q&A 10問

Q1. GAは宗教団体ですか?お金を取られませんか?

GAは宗教団体ではありません。特定の宗教・宗派・政治団体・営利企業のいずれとも関係を持たず、自治的・非営利の自助グループです。参加費は無料で、運営献金は完全に任意です(100〜500円程度の小銭を箱に入れる形が一般的)。会員登録や強制的な集金、物品販売、入会費・年会費はいっさいありません。

Q2. ミーティングで話したことが外に漏れることはありませんか?

GAはアノニミティ(匿名性)を最大の伝統としています。ミーティング内で聴いた他のメンバーの名前・顔・体験を、外部やSNSで共有することは厳しく禁じられています。これは伝統12として明文化されており、すべてのメンバーが守ることを前提として参加しています。安心して話せる場を守るための、何にも代えがたい仕組みです。

Q3. 借金がまだ大きく残っています。先に解決してからGAに行くべき?

順序が逆です。借金は弁護士・司法書士・法テラスに、依存症はGAと医療に、と役割を分けることが鉄則です。借金が残っているからこそ、ギャンブルへの渇望をいま止めることが何より大切です。法テラスでは所得に応じて無料相談や費用の立替制度が利用できます。同時並行で進めるのが回復への最短ルートです。

Q4. 本人がGAに行きたがりません。家族はどうしたらいい?

まず家族自身がGam-Anonに通い始めることをおすすめします。本人を変えようとし続けるのは、家族の心と体を消耗させます。家族が自分の人生を取り戻していくなかで、本人が「自分の問題と向き合わざるを得ない」状況が自然に生まれることがよくあります。精神保健福祉センターの家族教室も並行して活用すると安心です。

Q5. オンラインミーティングだけでも回復できますか?

コロナ以降、オンラインミーティングだけで長期回復している方も多数います。地方在住・夜勤・育児・対面に強い不安がある方にとって、オンラインは大切な入り口です。可能であれば対面とオンラインを併用すると、「顔の見える仲間」と「いつでもつながれる安心」の両方が得られて、より安定しやすくなります。

Q6. スポンサーは絶対つけないといけませんか?

必須ではありませんが、12ステップを一人で取り組むのは難しいため、ある程度ミーティングに通い慣れた段階で、自分より長く回復を続けているメンバーに「スポンサーをお願いしてもいいですか」と依頼するのが一般的です。最初は焦らず、まず複数の会場に出てみて、自分のストーリーが響く先輩を見つけるところから始めましょう。

Q7. ギャンブル依存症は治るのですか?

糖尿病や高血圧と同じように、「治す」よりも「コントロールしながら付き合う」という考え方が主流です。GAでは「一日ずつ、ギャンブルをしないでいる」ことを目標にします。何年も賭けていなかった人にもスリップ(再発)は起こりうるため、ミーティングへの継続参加が大切にされます。一方で、長期的にギャンブルから離れて生活を取り戻している方も世界中に数多くいます。

Q8. ICD-11の「ギャンブル症」と「ゲーム症」は別物ですか?

はい、ICD-11では「Gambling Disorder(ギャンブル症)」「Gaming Disorder(ゲーム症)」は別々の診断名として並列に記載されており、どちらも「嗜癖行動による障害」の枠組みに入ります。賭けの要素があるかどうかが大きな違いですが、近年は両方が重なる方も増えています。ゲーム依存についてはゲーム依存症の自助グループガイドを参照してください。

Q9. 海外オンラインカジノは本当に違法なのですか?

国内から日本人が海外サーバーのオンラインカジノを利用する行為は、賭博罪(刑法第185条等)に該当しうる違法行為であると、警察庁・消費者庁が繰り返し注意喚起しています。「合法だと宣伝されていた」「海外のサイトだから大丈夫」というのは誤りです。依存リスクも非常に高い領域で、近年GAの相談・参加者でもオンラインからの入り口が急増しています。

Q10. GAと医療は併用していいの?医師に「GAに行きたい」と言うべき?

現在の依存症支援は「医療+自助グループ+家族支援」の三本柱が標準で、専門医療機関の多くがGAやGam-Anonへの参加を積極的に勧めています。主治医にGAに通っていることを伝えると、治療プログラムとの両輪が組みやすくなります。逆に、GA側がメンバーに通院を強く勧めることはありませんが、医療が必要な状態かどうかは精神保健福祉センターや専門医療機関で相談できます。

あわせて読みたい|自助グループと回復の地図

参照元:GA日本インフォメーションセンター(https://www.gajapan.jp/)/Gamblers Anonymous International Service Office 公開資料/ギャマノン日本インフォメーションセンター 公開情報/ギャンブル等依存症対策基本法(2018年7月成立・10月施行)/厚生労働省「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」/独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 依存症対策全国センター 公開情報/WHO ICD-11/American Psychiatric Association DSM-5/日本司法支援センター(法テラス)/消費者庁・警察庁 オンラインカジノに関する注意喚起 公開情報(いずれも2026年5月時点。有病率・グループ数等の数字は調査年度・集計時点により差があります)

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