第五回『障害と生きる』――好きなことを、回復の場所にすること
visibility16 edit2026.06.04
『これまでの工夫と、その先にあったもの』
これまでのコラムでは、
障害特性との付き合い方。
生活を整えること。
考え方を工夫すること。
人との距離感を整えること。
そうしたことについて書いてきました。
どれも私にとって、障害と付き合いながら生きていくための大切な工夫でした。
ただ、それだけでは息が詰まってしまうこともありました。
生活を整えることも、考え方を工夫することも、人との距離感を調整することも大切です。
それでも、毎日をただ耐えるだけでは、心がすり減ってしまうことがありました。
そんな時に支えになったのが、好きなことや安心できる場所でした。
『回復できる時間を持つこと』
私にとって、好きなことは自分を立て直すための時間でもありました。
ゲームをする。
散歩をする。
カフェでお茶を飲む。
水族館や動物園、植物園へ行く。
手芸をする。
文章を書く。
コラムを書く。
人によって、安心できるものは違うと思います。
大切なのは、何をするかではなく、その時間の中で少しでも自分が呼吸しやすくなることだと思っています。
誰かに評価されるためではなく、自分のためだけに過ごす時間。
それは、思っている以上に大切なものだったのだと思います。
『問題を解決するためではなく』
好きなことをしても、現実の問題がすぐになくなるわけではありません。
悩みが消えるわけでもありません。
仕事のこと。
生活のこと。
人間関係のこと。
障害のこと。
そうしたものが、好きなことをしただけで全部解決するわけではありません。
それでも、好きなことをしている時間は、少しだけ悩みから距離を取ることができました。
散歩をしている時。
カフェでお茶を飲んでいる時。
水槽の魚や、動物、植物を眺めている時。
ゲームの世界に入っている時。
手を動かして何かを作っている時。
文章を書いている時。
その時間だけは、少し心が休まることがありました。
問題を解決するためではなく、自分を消耗させすぎないための時間。
私にとって、好きなことはそういう意味を持っていたのだと思います。
『好きなことは、回復の場所だった』
以前の私は、好きなことをする時間に、どこか後ろめたさを感じることもありました。
もっと頑張らなければいけないのではないか。
休んでいる場合ではないのではないか。
そんなふうに考えることもありました。
でも今は、少し違います。
好きなことは、逃げではなく、回復のための場所でもあると思っています。
上手である必要はありません。
誰かに評価される必要もありません。
大きな成果につながらなくてもいいと思います。
少しだけ気持ちが軽くなること。
少しだけ呼吸がしやすくなること。
少しだけ、自分を取り戻せること。
そうした時間を持つことも、障害と付き合いながら生きていくための大切な工夫のひとつなのだと思っています。
『次の工夫へ』
ここまで、
生活を整えること。
考え方を工夫すること。
人との距離感を整えること。
そして、回復できる場所を持つこと。
私なりに続けてきた工夫について書いてきました。
ただ、それだけでは難しい場面もありました。
特に働くことや、人と関わる活動については、「頑張ること」よりも「続けられること」を考える必要がありました。
無理な働き方を続けないこと。
自分に合った環境を探すこと。
支援を受けること。
一人で抱え込まないこと。
そして、人を支える活動も、自分が壊れない範囲で続けること。
次回は、そんな「続けられる働き方や活動の形を探すこと」について書いてみようと思います。
シリーズコラム
■第一回『障害と生きる』――私にとっての、「障害を抱えて生きる」ということ
https://kokotomo.com/745131
■第二回『障害と生きる』――生き延びるために、まず生活を固める
https://kokotomo.com/746483
■第三回『障害と生きる』――考え方を工夫すること
https://kokotomo.com/747544
■第四回『障害と生きる』――人との距離感を整えること
https://kokotomo.com/748259
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