就労定着支援とは?対象・期間(最大3年)・支援内容と利用するコツ
edit2026.04.23 visibility46
📌 この記事でわかること
- 就労定着支援とは何か(移行支援・A型・B型を経て就職した人の「辞めない働き方」を支えるサービス)
- 就職から6か月経過後〜7か月以内に契約する、という独特の開始タイミングの理由
- 支援員は実際に何をしてくれるのか(月1回以上の面談・職場訪問・企業との調整)
- 利用期間は最長3年。1年・2年・3年の段階報酬制で何が変わるか
- 費用・申請手続き・ナカポツやハローワークとの違い・終了後の選択肢
- 「通所していた事業所」と「別事業所」のどちらに依頼すべきか
- 定着支援を受けた場合と受けなかった場合の定着率の差データ
「せっかく就職できたのに、また体調を崩しそう……」
「上司に障害のことをどう説明したらいいか、一人で悩んでしまう」
「訓練していた事業所との関係が切れて、急に心細くなった」
一般就労にたどり着けたものの、就職後に孤立感や不安を抱えてしまう方は少なくありません。実際、障害のある方の離職の多くは就職から1〜3年以内に起こります。そこで登場するのが「就労定着支援」という、文字通り「職場に定着する」ことを目的にしたサービスです。
この記事では、就労定着支援の対象・開始タイミング・支援内容・利用期間・費用・申請方法を、2026年4月時点の最新制度(令和6年度報酬改定後の段階報酬制)に基づいて整理します。さらに、「どの事業所に頼むべきか」「退職しそうなときどうすればいいか」「ナカポツとの違い」まで、現場の支援員視点で解説します。
就労定着支援とは?一言で言うと「就職後の伴走サービス」
就労定着支援とは、就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型・生活介護などを利用して一般就労した方が、職場に定着できるようにサポートする障害福祉サービスです。2018年(平成30年)4月の障害者総合支援法改正で新設され、2024年(令和6年)4月の報酬改定で支援期間に応じた段階報酬制が一段と明確化されました。
支援員(就労定着支援員)が月1回以上、本人と企業の双方に関わりながら、仕事の悩み・人間関係・生活リズム・通院・体調管理など、就職後に浮上するあらゆる課題を一緒に整理してくれます。「悩みを一人で抱え込まない」ための制度、と考えるとイメージしやすいでしょう。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「社会保障審議会(障害者部会)」公開資料(mhlw.go.jp)を基に作成
💡 「就労定着」という言葉の整理
「定着」とは、職場で安定して働き続けられている状態のこと。厚生労働省の資料では就職後1年・2年・3年時点の定着率が公的指標として用いられています。この「3年の壁」を乗り越えるための制度が就労定着支援です。
なぜ2018年に新設されたのか
就労移行支援やA型を経て一般就労した方の定着率は、支援の有無で大きく変わります。厚生労働省の調査では、就労移行支援を経由して就職した方の就職後1年時点の職場定着率は約8割に達する一方、支援を受けずに就職した方は1年以内の離職率が数割高い傾向が示されています。
こうした「就職はゴールではなくスタート」という現実を受けて、就職後の伴走を明文化した福祉サービスとして就労定着支援が2018年に制度化されました。2024年の報酬改定では、長期支援の価値を評価する形で段階報酬制の整理が進み、質の高い定着支援を行う事業所ほど報酬が手厚くなる仕組みになっています。
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)
いつから使える?「就職6か月後から」の独特なルール
就労定着支援の最大の特徴は、就職直後の6か月間は使えないという点です。「就職した翌日から定着支援」というイメージで検索してきた方は、まずここでつまずきます。
⚠️ 覚えておきたい「6か月ルール」
就職から6か月間は、就労移行支援・A型・B型などの元の通所先事業所が「職場定着支援」として無料で直接フォローすることが義務付けられています(厚生労働省が定める基本報酬の算定基準の一部)。その6か月が終わった段階で、ようやく別制度である「就労定着支援」の契約が可能になります。
そして、就職から6か月経過後〜7か月以内に契約しないと利用できない、という明確な「窓」があります。ここを逃すと就労定着支援そのものが使えなくなり、代わりに後述する障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)に相談する流れになります。
-
0〜6か月
就職直後期:元の通所先事業所が「職場定着支援」
就労移行支援やA型・B型の事業所が、就職後6か月間は継続してフォローします。ジョブコーチ的な職場訪問・面談を無料で受けられるのが一般的です。
-
6〜7か月
契約ウィンドウ:就労定着支援の契約タイミング
この時期にサービス等利用計画を見直し、就労定着支援事業所と契約します。市区町村への受給者証変更申請も必要。元の事業所にそのまま依頼するのが最もスムーズですが、別事業所への依頼も可能です(後述)。
-
7か月〜最長3年6か月
就労定着支援期:最長3年(36か月)
月1回以上の面談を軸に、最長3年にわたって伴走支援を受けられます。終了後はナカポツ・ハローワークなどの一般的な相談先へ引き継がれます。
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「社会保障審議会(障害者部会)」公開資料(mhlw.go.jp)を基に作成
対象になるのはどんな人?
就労定着支援を利用できるのは、以下の条件をすべて満たす方です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 一般就労していること | 企業等との雇用契約あり(障害者雇用/一般雇用どちらでも可)。自営・在宅ワークは原則対象外。 |
| ② 前段階のサービス利用歴 | 就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型・生活介護・自立訓練のいずれかを利用して就職したこと。 |
| ③ 就職から6か月を経過 | 就職日から6か月以上経っていること。契約は6か月超〜7か月以内に行う。 |
| ④ 受給者証 | 「就労定着支援」の支給決定を受けた障害福祉サービス受給者証を保有していること。 |
| ⑤ 生活・就労面の支援ニーズがある | 職場の人間関係・体調管理・通勤・生活リズム・家族関係など、就労継続に影響する課題があること。 |
🙋 「ハローワーク経由で直接就職した人」は使えない?
就労移行支援やA型・B型を経ずに、ハローワークや就職エージェント経由で直接就職した方は就労定着支援の対象外です。この場合は、ナカポツ(障害者就業・生活支援センター)や地域障害者職業センターが主な相談窓口になります。
支援内容:支援員は実際に何をしてくれる?
就労定着支援の中核は月1回以上の面談です。ただし「面談だけ」ではなく、職場訪問・関係機関との連絡調整まで含む広い支援が行われます。
🗣️
月1回以上の本人面談
仕事・体調・生活・人間関係など本人が今感じている課題を整理。事業所の相談室や、本人の希望次第でカフェ・自宅近くの場所で行うことも。
🏢
月1回以上の企業訪問・面談
原則、月1回以上は本人の勤務先企業を訪問し、上司や人事と面談。本人の働きぶり・配慮事項・業務量の調整などを確認。
🤝
3者面談(本人+企業+支援員)
双方の意見を整理して、本人が言いづらい配慮事項を支援員が代弁。トラブル時には中立的な立場で調整。
📋
課題整理・目標設定
「半年で業務範囲を広げる」「通院ペースを見直す」など、定期的に小さな目標を設定して振り返りを行う。
🔗
関係機関との連携
ハローワーク・ナカポツ・主治医・訪問看護・グループホームなどと必要に応じて情報共有し、支援を途切れさせない。
🚨
危機介入(退職の危機など)
体調不良・人間関係悪化・退職意向などの緊急時には、休職手続き・部署異動の提案・退職前のクールダウンを支援。
面談で話していいこと・よく話されること
「面談で何を話せばいいか分からない」という相談は多いものです。現場では、以下のような話題が自然に出てきます。
- 上司・同僚との関係(指示の出され方、雑談のしづらさ など)
- 業務量・業務の難易度・期限のプレッシャー
- 通勤の疲労、満員電車、残業の有無
- 体調の波、睡眠、服薬、通院の継続
- 給料の使い方、生活費、一人暮らしの不安
- 家族との関係、グループホームでの生活
- 将来のキャリア(昇給・転職・専門スキル取得)
💡 職場の上司とは何を話す?
企業訪問時、支援員は「本人のプライバシーを守りつつ、働きやすい環境を整えるための情報共有」を行います。具体的には、業務指示の出し方、休憩のとり方、通院日の調整、繁忙期の業務量調整などです。「本人が言っていない症状」を無断で企業に伝えることはありません。何を共有するかは毎回、本人と事前に確認します。
利用期間は最長3年|段階報酬制とは
就労定着支援の利用期間は、契約日から最長3年間(36か月)です。1年目・2年目・3年目で段階的に仕組みが変わる「段階報酬制」が、2024年の令和6年度報酬改定で整理されました。
| 期間 | 支援の中心 | 支援員との関わり方 | 想定される状態 |
|---|---|---|---|
| 1年目 (7〜18か月) |
職場への適応支援 | 月1回以上の面談+月1回の企業訪問。危機介入も多い時期。 | 新しい仕事に慣れる/人間関係の構築/生活リズムの安定 |
| 2年目 (19〜30か月) |
自立度の向上 | 月1回以上の面談。本人が自ら課題を整理できるよう促す。 | 業務範囲の拡大/自分で調整できる課題が増える |
| 3年目 (31〜42か月) |
終了に向けた引き継ぎ | 月1回以上の面談+終了後の相談先を整備。 | ナカポツ等への段階的な移行準備 |
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)を基に作成
💡 1年更新+再延長の仕組み
就労定着支援の支給決定は原則1年ごとの更新です。サービス等利用計画を見直したうえで2年目・3年目の支給決定を受ける運用が一般的。3年を超える延長はできないため、3年目の後半には終了後の相談先を確定させておくのが定石です。
費用はかかる?ほとんどの人が0円
就労定着支援の利用料は、他の障害福祉サービス(就労移行・A型・B型など)と同じ世帯所得区分で決まります。厚生労働省のデータでは、利用者の約9割が月0円で利用しています。
| 世帯所得区分 | 月額上限 |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 住民税非課税世帯 | 0円 |
| 住民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 上記以外 | 37,200円 |
出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp)
🙋 「就職して給料が増えたら自己負担も増える?」
自己負担の判定は本人ではなく世帯(ご家族含む)の所得で行われます。就職して本人収入が上がっても、世帯全体で住民税非課税のままであれば負担は0円のままです。ただし結婚・世帯分離などで判定基準が変わることがあるため、就職後は一度、市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
元の事業所?別事業所?どちらに依頼できるか
就労定着支援は、「通っていた就労移行・A型・B型事業所」と「別の就労定着支援事業所」のどちらにも依頼できます。ただし実務ではメリット・デメリットが明確に分かれるため、以下を参考に選んでみてください。
✅ 通所していた事業所に継続依頼するメリット
- 支援員があなたの特性・得意不得意を深く理解している
- 企業との関係性(採用時の橋渡しなど)がすでにある
- 家族との連絡経路・通院情報などの引き継ぎが不要
- 就職後6か月の「職場定着支援」からの接続がシームレス
- 本人の安心感が高く、面談に心理的ハードルが少ない
⚠️ 別事業所を選ぶ意味もあるケース
- 通所していた事業所に就労定着支援の指定がない
- 引っ越しして、元の事業所が遠方になった
- 元の事業所との相性に不満があった
- 企業とより近い地域の事業所に切り替えたい
- より定着支援に特化した専門事業所を希望する
多くのケースでは「通っていた事業所にそのまま継続依頼する」方がスムーズです。特に就職から6か月間の「職場定着支援」をしてくれた支援員が、そのまま就労定着支援員に移行すると、関係性がほぼ途切れません。迷ったときは、通所時の支援員に「このあと就労定着支援もお願いできますか?」と早めに相談しましょう。
ナカポツ・ハローワーク・ジョブコーチとの違い
就労後の相談先として混同されやすい「就労定着支援」「障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)」「ハローワーク専門援助部門」「ジョブコーチ支援」の違いを整理します。
| 制度 | 利用形態 | 支援の頻度 | 対象者 | 期間 |
|---|---|---|---|---|
| 就労定着支援 | 契約型(受給者証) | 月1回以上の面談+企業訪問 | 移行・A・B等を経た就労者 | 最長3年 |
| ナカポツ (障害者就業・生活支援センター) |
随時相談型 | 必要時の相談(来所・電話) | 障害のある在職者・就職希望者全般 | 期間制限なし |
| ハローワーク 専門援助部門 |
相談・紹介型 | 必要時 | 障害のある求職者・在職者 | 期間制限なし |
| ジョブコーチ支援 | 訪問型(集中期間) | 週数回〜月数回集中 | 職場適応に課題がある就労者 | 1〜8か月程度 |
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/厚生労働省「社会保障審議会(障害者部会)」公開資料(mhlw.go.jp)を基に作成
最大の違いは、就労定着支援は「契約型」・ナカポツは「随時相談型」という点です。就労定着支援は受給者証が必要で、月1回以上の定期面談が義務的に設計されています。一方ナカポツは契約も受給者証もいらず、「困ったときに電話で相談」というスタイル。両者は就労定着支援の3年が終わった後にナカポツへ移行するケースも多く、役割分担ができています。
定着支援を受けた場合・受けなかった場合の差
「そこまでして使う意味はあるの?」と思う方もいるかもしれません。厚生労働省が公表している障害者の職場定着率データを整理すると、就労移行支援と就労定着支援を組み合わせて利用した場合、就職後3年時点の定着率がそうでないケースと比べて明確に高い傾向が示されています。
| 支援の形 | 就職後1年 | 就職後2年 | 就職後3年 |
|---|---|---|---|
| 支援なし(単独就職) | おおむね6〜7割台 | 5〜6割台 | 4〜5割台 |
| 就労移行支援のみ | 8割前後 | 7割前後 | 6割前後 |
| 就労移行+就労定着支援 | 8割台後半 | 7割台後半〜8割 | 7割前後 |
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」掲載資料(障害者の就労支援に関する定着率データ)(mhlw.go.jp)/厚生労働省「社会保障審議会(障害者部会)」公開資料(mhlw.go.jp)を基に作成。数値は公表値を分かりやすく丸めた傾向値であり、対象調査・年度により実数は変動します。
数字だけ見れば「3年後に働き続けている確率が、支援ありの方が2割前後高い」ということです。特に精神障害・発達障害の方は、就職初期に小さな違和感を言語化できるかが長期定着の分かれ目。月1回、専門の支援員と話せる機会があるだけで、退職を思い直したり、部署異動で解決したりするケースが少なくありません。
申請手続き|就職後5〜6か月目に動き出すのが正解
就労定着支援を使うには、サービス等利用計画の見直しと受給者証の支給決定変更が必要です。就職後すぐではなく、就職から5〜6か月目に動き出すと、6か月経過後にスムーズに契約できます。
-
1
元の事業所・相談支援専門員と相談(就職5か月目頃)
就労移行支援等の支援員に「6か月後から就労定着支援を使いたい」と伝えます。相談支援専門員がいる場合は、計画の見直しを依頼。
-
2
サービス等利用計画の見直し
相談支援専門員が、就労定着支援を追加した計画案を作成。セルフプランの方は自分で記載することも可能ですが、初回は専門員に依頼する方が安心です。
-
3
市区町村窓口で支給決定変更申請
障害福祉窓口で、既存の受給者証に「就労定着支援」の支給決定を追加する変更申請。就職を証明する書類(採用証明など)を求められる自治体もあります。
-
4
就労定着支援事業所と契約(就職6か月経過後〜7か月以内)
支給決定が下りたら、就労定着支援事業所と契約。多くは元の事業所と同法人・同事業所。企業にも「今後は就労定着支援として継続支援に入る」ことを説明します。
-
5
月1回以上の面談スタート
初回面談は本人・支援員・企業の3者面談で行うことが多い時期。以後、月1回以上のペースで支援が続きます。
🙋 就職2〜3か月目で「定着が不安」と感じたら?
就職から6か月間は就労定着支援そのものは使えませんが、元の通所先事業所が「職場定着支援」として無料で伴走してくれます。不安を感じた時点で、通っていた移行支援・A型・B型の支援員に連絡すれば、職場訪問や面談を設定してもらえるはずです。「6か月後まで我慢」ではなく、その時点で頼ってよい制度だと覚えておきましょう。
利用するメリット・デメリットを整理
✅ メリット
- 月1回、必ず相談できる固定の伴走者ができる
- 企業との間に中立的な第三者が入るため、言いづらいことが言いやすい
- 退職危機のときに冷静な判断材料を得られる
- 費用はほぼ無料
- 関係機関(ハローワーク・ナカポツ等)との橋渡しをしてくれる
- 定着率(3年時点)が単独就職より高い傾向
⚠️ デメリット・注意点
- 期間は最長3年(延長不可)
- 月1回の面談に時間を確保する必要がある
- 企業訪問に抵抗がある場合、事前に範囲をすり合わせる必要
- 事業所の質・支援員との相性により満足度が変わる
- 就職から7か月を過ぎると契約できない
3年が終わったらどうする?終了後の選択肢
就労定着支援は最長3年で必ず終わります。卒業後の相談先として、主に以下の3ルートがあります。
🏛️
ナカポツへ切り替える
障害者就業・生活支援センターは期間制限なしの随時相談窓口。終了半年前から顔合わせ面談を行うと引き継ぎがスムーズ。
🔁
再度、就労移行支援に戻る
退職して再就職を目指す場合や、転職準備に時間が必要な場合は就労移行支援に戻る選択肢も。再利用には条件あり。
🏢
企業内の障害者雇用支援体制に引き継ぐ
企業によっては産業医・専任カウンセラー・ジョブコーチ(企業在籍型)が配置されており、自社内で継続支援を受けられる場合も。
💡 ナカポツへの引き継ぎは「3年目の後半」に始める
就労定着支援の3年目に入ったら、支援員と一緒にナカポツへの引き継ぎ計画を立てるのが定石です。終了半年前〜3か月前にナカポツの担当者と初回面談を行い、本人・支援員・ナカポツの3者で情報共有しておくと、卒業後の断絶を防げます。
就労定着支援を使いこなす5つのコツ
-
1
就職5か月目に「使うかどうか」を決める
6か月経過後〜7か月以内という窓は意外と短いです。就職5か月目には元の事業所と相談を始めましょう。
-
2
面談で話すテーマをメモしておく
日常の小さな違和感を面談前にメモしておくと、限られた時間で濃い話ができます。「特に問題なし」と答えがちな方ほど、メモが効きます。
-
3
企業に共有する情報の範囲を支援員と事前にすり合わせる
「病気の細かい症状は伝えないでほしい」「通院ペースだけは伝えてほしい」など、共有の境界線は本人が決めます。
-
4
退職を考え始めた時点で必ず相談する
「もう決めてから報告」ではなく「揺らぎ始めた時点」で話すこと。部署異動や業務量調整など、退職以外の打ち手がまだ残っているかもしれません。
-
5
3年目の後半にナカポツと顔合わせ
終了後の「受け皿」を決めてから卒業することが、長期的な定着の最大のコツです。
よくある質問
退職しそうなときはどうしたらいい? ▼
「辞めたい」と頭に浮かんだ時点で、すぐ支援員に連絡してください。面談を前倒しで設定し、企業との3者面談・業務量の調整・部署異動の打診・休職制度の活用などを一緒に検討します。退職を決めてからの相談だと打ち手が限られますが、揺らぎ始めた段階なら選択肢はまだ複数あります。どうしても退職しかない状況でも、支援員が退職のタイミング・次の支援先(就労移行支援への復帰など)まで伴走してくれます。
職場に内緒で支援員に相談できる? ▼
本人面談は職場に知らせず行えます。勤務後や休日に事業所で面談したり、中立的な場所(カフェ・別施設)で会うことも可能です。一方、企業訪問は原則として企業側にも案内されるため完全に「内緒」にはできません。ただし「企業訪問を月1回の義務として最低限にする」「本人が了承した話題だけに限定する」といった調整は、最初の3者面談で決められます。
支援員は職場と何を話しているの? ▼
主に「働きやすさを保つための情報共有」です。業務指示の出し方、休憩のとり方、繁忙期の業務量、通院日の調整、入職時に合意した合理的配慮の履行状況などが典型。本人が伝えてほしくないプライベートな症状や家庭の事情は、事前の合意なしに企業に伝えられることはありません。心配な場合は「今日の企業訪問で何を話すか」を直前に支援員と確認しておきましょう。
最長3年を過ぎたら、もうどこも頼れないの? ▼
いいえ。3年終了後は、障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)・ハローワーク専門援助部門・地域障害者職業センターなどが引き続き相談先になります。ナカポツは期間制限がなく、在職中ずっと使える随時相談窓口です。就労定着支援の3年目の後半から、支援員と一緒にナカポツへの引き継ぎを始めておくと、卒業後の断絶なく相談先を確保できます。
就職から7か月以上経ってしまった場合、もう使えない? ▼
残念ながら、就労定着支援の新規契約は原則として就職後7か月以内に限られます。過ぎてしまった場合は、ナカポツ・地域障害者職業センター・ハローワーク専門援助部門が主要な相談窓口になります。また、現職を一度退職して再度就労移行支援を経由して就職した場合は、次の就職から6か月後に再契約できる余地があります(自治体判断含む)。
在宅勤務・テレワーク中でも就労定着支援は受けられる? ▼
受けられます。本人面談はオンラインで行える事業所が増えています。企業訪問についても、ハイブリッド勤務の場合は「出社日に合わせて訪問」「人事担当との電話面談」で対応するケースが一般的です。完全在宅勤務の方は、企業側のオンライン面談で代替することも制度的に認められています。契約前に、通所予定の就労定着支援事業所にオンライン対応可否を確認しておきましょう。
障害者手帳を取得していないが、診断書ベースで使える? ▼
使える可能性が高いです。就労定着支援は「就労移行支援等を利用して就職した方」が対象であり、障害者手帳の有無そのものは必須要件ではありません。移行支援等を診断書ベースで利用できていた方は、就労定着支援も同様に利用できるのが一般的です。ただし自治体によって判断が異なるため、居住地の障害福祉窓口で確認するのが確実です。
就労移行支援に通っていた事業所と別の法人に依頼できる? ▼
できます。引っ越しや相性の問題などで、通っていた事業所とは別の就労定着支援事業所に依頼するケースは少なくありません。ただし別法人に切り替える場合、企業との関係性や過去の支援履歴を引き継ぐ手間が発生するため、事前に情報共有(支援経過・就職時の配慮事項など)を支援員同士でしっかり行ってもらうのがコツです。
まとめ:就労定着支援は「3年の伴走」で定着率を底上げする制度
就労定着支援は、就労移行支援やA型・B型を経て一般就労にたどり着いた方のための、最長3年間の伴走サービスです。2018年に新設され、2024年の令和6年度報酬改定で段階報酬制が整理され、現在は「質の高い長期伴走」を制度的に後押しする設計になっています。
📋 使う前に押さえておきたい7つのこと
- 対象は就労移行・A型・B型・生活介護・自立訓練を経て一般就労した人
- 就職6か月経過後〜7か月以内に契約(就職直後6か月は元の事業所が無料で伴走)
- 支援は月1回以上の本人面談+月1回以上の企業訪問が基本
- 利用期間は最長3年(36か月)。段階報酬制で長期支援が評価される
- 費用は他の就労支援と同じ所得区分で、約9割の方が0円
- 「通っていた事業所」に継続依頼するのがスムーズ。別事業所も選択可
- 3年終了後はナカポツが主な受け皿。3年目後半から引き継ぎを
「せっかく就職できたのに続かなかった」という経験は、本人にも企業にもつらい結果です。就労定着支援は、そのつらさをできる限り避けるために設計された制度。月1回、誰かと話せる場があるだけで、「一人で抱え込まずに働き続ける」選択肢がぐっと広がります。就職後5か月目に入ったら、通っていた事業所の支援員に一言、「このあとも続けてお願いできますか?」と声をかけてみてください。それだけで、次の3年があなたにとってずっと心強いものになるはずです。
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