就労支援から一般就労を目指すロードマップ|サービス別の就職までの道のり

就労支援から一般就労を目指すロードマップ|サービス別の就職までの道のり

📌 この記事でわかること

  • 「一般就労」の定義と、障害者雇用枠/一般雇用枠(オープン/クローズ)の違い
  • 就労移行支援・A型・B型・就労定着支援、サービス別で一般就労までの距離がどれだけ違うか
  • 就労移行支援ルート/A型ルート/B型ルート、3つの就職までの道のりを比較
  • 一般就労までの4フェーズ(準備→職業能力→就活→就職後)でやるべきToDo
  • 生活リズム・体力・通勤・PCスキル・資格・実習・履歴書・面接・定着、各フェーズの具体策
  • オープン就労/クローズ就労の選び方と、配慮事項の伝え方
  • 数字だけでは見えない、失敗を避ける5つのポイント
  • 全国平均就職率50%前後/A型平均賃金86,752円/B型平均工賃22,649円の意味

「就労支援事業所に通っているけれど、いつか一般就労できるのかな?」
「B型からでも一般就労に進めるって本当?」
「就労移行とA型、どっちのルートが早いの?」

就労支援サービスには複数の種類があり、それぞれ一般就労までの距離や道のりがまったく違います。 しかも「どのサービスを使えば最短か」は本人の体調・スキル・希望する働き方によって変わるため、画一的な正解はありません。

この記事では、就労移行支援・A型・B型・就労定着支援の4サービスを横断して、 一般就労までのロードマップを「サービス別の道のり」と「4フェーズのToDo」という2つの軸で整理します。 全国平均の就職率や賃金データ、ココトモが現場で見てきた成功・失敗パターンも織り交ぜて、 今日からどう動けばいいかが具体的に見えてくるように解説していきます。

💡 前提:この記事の位置づけ

就労支援サービス全体の基礎は 就労支援事業所とは?5サービスの特徴・対象者・費用・選び方を完全解説 、就労移行支援そのものの制度詳細は 就労移行支援とは?2年間の中身・期間延長・就職率の実態まで解説 、就職率の数字の読み方は 就労移行支援の就職率はどのくらい?数字のからくりと事業所比較術 にまとめています。本記事は、それらを踏まえて「一般就労にたどり着くまでの道筋」に特化したロードマップ記事です。

一般就労とは?障害者雇用と一般雇用の違いから整理

「一般就労」という言葉は、福祉サービス(A型・B型など)ではない働き方を指す広い概念です。 具体的には、企業や官公庁と通常の労働契約を結び、労働基準法・最低賃金法・社会保険などの一般的な労働制度の下で働くことを意味します。 一般就労のなかにも、さらに「障害者雇用枠(オープン就労)」「一般雇用枠(一般就労の一般枠)」の2タイプがあります。

障害者雇用枠
(オープン)
一般雇用枠
(オープン)
一般雇用枠
(クローズ)
障害の開示 開示(必須) 開示(任意で開示) 非開示
求人枠 障害者専用の求人 一般求人+個別に開示 一般求人
合理的配慮 受けやすい 企業により差 原則受けにくい
給与水準 一般枠よりやや低め傾向 一般枠と同等 一般枠と同等
定着しやすさ ◎ 最も高い ○ 企業次第 △ 早期離職リスク

障害者雇用制度の運用実態は、厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(mhlw.go.jp)を参照。オープン/クローズの用語は就労支援現場での慣用表現です。

一般就労までの全国平均:就労移行支援の就職率は約50%

厚生労働省の集計によれば、就労移行支援から一般就労へ移行する年間の就職率は全国平均で50%前後です。 就労系障害福祉サービス全体では利用者約45万人のなかで毎年一定数が一般就労へ移行していますが、サービス種別ごとに移行のしやすさは大きく異なります。

就労移行支援の年間就職率(全国平均)

50% 前後

※事業所別には0〜80%超まで分布。集計年度や方法で数値は変動します

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/同ページ掲載の障害福祉サービスからの就職者数等の集計を参照

📋 本記事のロードマップ全体像

  • Step A:サービス別の道のり(移行/A型/B型/定着)を把握する
  • Step B:4フェーズのToDo(準備→職業能力→就活→就職後)で、自分の現在地を確認する
  • Step C:オープン/クローズの選択と、失敗を避ける5ポイントを押さえる

⚠️ 最初に覚えておいてほしいこと

期間・就職率・定着率といった数字は個別事情により大きく異なります。 「〇〇すれば必ず一般就労できる」と断言できる道のりはありません。 本記事の数字はすべて全国平均や傾向であり、自分に当てはめるときは体調・地域・年齢・希望職種を踏まえて解釈してください。

サービス別|一般就労までの距離を比較

同じ「就労支援」と呼ばれるサービスでも、目的が違うため一般就労までの距離もまったく異なります。 まずは4つのサービスを横に並べて、それぞれの「一般就労までのリアルな距離感」を把握しましょう。

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型 就労定着支援
主な目的 一般就労のための訓練 雇用契約下で働く 工賃ベースで体調優先 就職後の職場定着
雇用契約 なし あり(最賃以上) なし なし
一般就労までの距離 最短(6か月〜2年) 中距離(1〜数年) 長距離(2〜数年、多段階) 就職後の併走
全国就職率の目安 約50%(年間) 約20〜30%(年間) 数%(年間) 対象外(就職後の支援)
報酬 なし 月約86,752円(全国平均) 月約22,649円(全国平均) なし
向いている段階 2年以内に就職を目指せる 収入を得ながら就職準備 まず通所と体調安定から 就職後6か月〜3年

出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績/mhlw.go.jp)/「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)。A型・B型からの一般就労率はサービス定着・年度により差があるため、目安として掲載しています。

💡 「最短ルート」は人によって違う

体調が安定していてPCスキルもある程度ある方なら就労移行支援が最短ルート。 体調が不安定で生活リズムから作り直したい方は、B型から段階的にA型・移行へ進むのが結果的に安全で近道になるケースもあります。 「距離が短い=自分に合う」ではなく、今の自分に合うサービスからスタートするのが一般就労までの最短ルートです。 サービス間の違いの詳細は障害者雇用と就労支援の違いもご参照ください。

就労移行支援ルート|最短・標準・延長の3パターン

就労移行支援は、そもそも「一般就労への移行」を目的として設計されたサービスです。 原則2年(最長3年)の利用期間のなかで、訓練・実習・就活・定着までを一気通貫で進めます。 就職までのペースは人により異なりますが、大きく3パターンに分けられます。

最短パターン(6〜12か月で就職)

PCスキルや社会経験があり、体調も比較的安定している方に見られるパターンです。 入所後早期に生活リズムが整い、半年〜1年で企業実習を経て内定へ。クローズではなくオープン就労で、事務職・IT系・特例子会社などに就職する例が多く見られます。

標準パターン(1年半〜2年で就職)

最も多いパターンです。0〜6か月:生活リズム構築/6〜12か月:スキル訓練と資格取得/12〜18か月:実習/18〜24か月:就活と内定という4ステップを踏みます。 精神障害や発達障害で体調の波がある方も、このペースなら無理なく進められるケースが多いです。

延長パターン(2〜3年で就職)

体調悪化や家庭事情で一時中断があった方、内定寸前で入社がずれ込んだ方は、市区町村の支給決定を受けて最長3年まで延長できます。 延長は自動ではなく、具体的な目標と理由を示す必要があります。

  1. 1

    0〜6か月:基礎訓練フェーズ

    週2〜3日の短時間通所からスタートし、生活リズム・通勤訓練・挨拶や報連相などのビジネスマナーを身につけます。 この時期は「通い続けること」自体がゴール。

  2. 2

    6〜12か月:応用訓練・資格フェーズ

    Word/Excel/PowerPointなどのPCスキル、MOS・日商簿記・ITパスポート・Webデザインなどの資格取得に取り組みます。

  3. 3

    12〜18か月:企業実習フェーズ

    提携企業で5日〜2週間の実習を経験。現場の業務内容を体感し、自分の「得意・苦手・配慮事項」が具体化します。

  4. 4

    18〜24か月:就職活動フェーズ

    履歴書・職務経歴書・ナビゲーションブックを作成。ハローワーク専門援助部門と連携し、求人応募・面接練習を進めます。支援員が面接同行するケースも。

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    就職後6か月:継続定着支援

    就職後6か月は元の就労移行支援事業所が無料で定着支援を行います。その後は就労定着支援に切り替えて最長3年継続可能。

A型からの一般就労ルート|働きながら次のステップへ

就労継続支援A型は、雇用契約を結んで最低賃金以上の給与を得ながら働くサービスです。 A型そのものは「働き続ける場」であり、就労移行支援のように「期限付きで一般就労を目指す」設計ではありません。 ただし、A型での就労経験を経て一般就労にステップアップする方も一定数います

A型経由で一般就労する人の典型パターン

  • A型で1〜3年ほど働き、安定した就労実績(職歴)を作ってから、一般枠・障害者雇用枠の求人に応募
  • A型で身につけたPCスキル・事務スキル・接客スキルを武器に転職
  • A型利用中に就労移行支援に切り替え、集中的な就活期間を挟んで就職
  • A型事業所が企業連携・推薦枠を持っている場合、そのルートで直接就職

🙋 A型→移行→一般就労の「二段階ロケット」

A型で給与を得て生活基盤を安定させ、並行して体力・スキルを積み上げたうえで、就労移行支援に移って集中的に就活するパターンは、 体調の波が心配な方にとって「無理なく、かつ確実に」一般就労を目指せる王道です。 A型と就労移行支援の切り替えは、市区町村での支給変更手続きで対応できます。

A型ルートの注意点:2024年問題を踏まえて

2024年の報酬改定で、生産活動収益が賃金総額を下回るA型事業所の経営が急激に厳しくなり、2024年3〜9月の間に329か所が閉鎖、約5,000人の利用者が解雇・退職を余儀なくされました(うち約4割がB型へ転換)。 一般就労を目指す場合でも、通所先のA型が経営的に安定しているかをWAMNETのスコア等で確認しておくと安心です。A型そのものの詳細は就労継続支援A型とはをご覧ください。

出典:閉鎖事業所数・解雇者数は厚生労働省 国会答弁・各種報道(共同通信2024年10月/福祉新聞 等)/「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp

B型からの一般就労ルート|段階を踏んで現実的に進む

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばず、工賃を受け取りながら自分のペースで働くサービスです。 全国平均工賃は月約22,649円(令和5年度実績)と給与水準は低めですが、週1日・1日2時間から通える事業所もあり、体力・体調面での負担が最も少ないのが特徴です。

💡 「B型から直接 一般就労」は可能か?

結論:可能です。ただし全国的な統計では割合として多くはありません。 B型の年間一般就労率は数%程度で推移しており、B型→直接一般就労というルートは少数派です。 より現実的なのは、B型→A型/就労移行支援→一般就労という段階を踏むルートです。

B型利用者の「ステップ事業所」経由パターン

B型のなかにも、作業レベルや時間を段階的に上げていく「ステップアップ型事業所」があります。 例えば軽作業中心から始めて、PC作業・接客業務・企業からの業務委託作業へと負荷を増やし、一定期間で就労移行支援に切り替える──というモデルが典型例です。

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    B型で通所と体調の安定を作る(半年〜1年)

    まずは週2〜3日通えること、通所自体で体調を崩さないことを目指します。この安定こそ、すべての土台です。

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    作業量・作業時間を段階的に増やす(半年〜1年)

    1日4時間→5時間→6時間と少しずつ延ばし、集中力と体力を積み上げます。

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    A型または就労移行支援へステップアップ(半年〜)

    雇用契約下で働く感覚を得たい方はA型、就職活動に本格的に入りたい方は就労移行支援へ切り替え。 B型の詳細や向き不向きは就労継続支援B型とはもご参照ください。

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    一般就労(障害者雇用枠)へ

    移行支援での就活を経て、障害者雇用枠で一般就労。就職後は就労定着支援で3年間併走できます。

⚠️ B型のままで「いつか一般就労」を待たない

B型は期間制限がないため、「そのうち一般就労できるはず」と思いながら、支援計画の見直しがないまま数年が経過するケースも残念ながら存在します。 一般就労を目指すなら、相談支援専門員・事業所と「次のステップに進む時期」を定期的に話し合うことが大切です。

【フェーズ1】準備フェーズ|生活リズム・体力・通勤訓練

ここからはサービス横断で、一般就労までの4フェーズを解説します。 フェーズ1は「働くための土台」を作る時期。見落とされがちですが、ここをおろそかにすると後のすべてが崩れます。

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    生活リズムを整える

    毎日同じ時間に起きて食事をとり、日中活動し、夜に眠る。睡眠・食事・活動の3点セットが安定しないと、就労は続きません。 体調の波があっても、「起床時刻だけは固定する」だけでも効果があります。

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    体力を取り戻す

    長期療養や休職で体力が落ちている方は、通所それ自体が体力トレーニングになります。 併せて、散歩・軽い運動・室内ストレッチなどを習慣化すると、フルタイム就労に耐える体力が育ちます。

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    通勤訓練(満員電車対策含む)

    通勤は「働く」のなかで最も消耗するパートの一つです。ラッシュ時間帯に乗れるか/何駅まで耐えられるかを事業所の支援員と一緒に確認し、 必要なら時差通勤・テレワーク可能な求人を候補にするなど、現実的な戦略を立てます。

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    服薬・通院リズムの安定

    通院を中断したまま就労を目指すのは、長期的に見て遠回りになることが多いです。 主治医と相談しながら、就労までに服薬と通院のリズムを整えておくことが、定着率を大きく左右します。

【フェーズ2】職業能力フェーズ|PCスキル・資格・実習

土台が整ってきたら、次は「企業で通用する具体的なスキル」を身につけるフェーズです。 このフェーズで身についた武器の数が、後の就活フェーズで選べる求人の幅を決めます。

PCスキル:事務系・IT系のベース

  • タイピング:10分で300〜400文字打てると事務職の土俵に乗る
  • Word:ビジネス文書・表・ヘッダー/フッター・差し込み印刷
  • Excel:基本関数(SUM/IF/VLOOKUP/XLOOKUP)/フィルタ/ピボット
  • PowerPoint:簡単な資料作成・図形配置・スライドマスター
  • オンライン会議ツール:Zoom/Teams/Slack/Google Meetの基本操作

資格:選択肢を広げる「武器」

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MOS(Word/Excel)

事務職の書類選考で効果大。一般/エキスパートのレベル選択も可能

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日商簿記3級/2級

経理・総務・一般事務での評価が高い定番資格

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ITパスポート

IT系・バックオフィス職で幅広く評価される国家資格

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Webデザイン・HTML/CSS

在宅ワークと相性のよい実践スキル。ポートフォリオを作れると強い

企業実習:「現場感覚」を手に入れる最強の機会

スキルや資格と同じくらい重要なのが企業実習です。 就労移行支援の多くでは、5日〜2週間程度の実習を複数社経験できます。実習を通して、 「自分が働くイメージ」「苦手な業務」「必要な配慮」を明確にできるのが最大の価値です。 実習先からそのまま採用されるケースもあり、実習は事実上の最大の就職ルートでもあります。

【フェーズ3】就活フェーズ|履歴書・面接・同行支援

スキルと経験が揃ったら、いよいよ就職活動に入ります。 障害者雇用枠の就活は、一般枠とは異なる独自のコツがあり、支援員と一緒に進めるメリットが大きいフェーズです。

① 書類作成:履歴書・職務経歴書・ナビゲーションブック

  • 履歴書:志望動機は「なぜこの会社か」を具体的に。ブランク期間は事実を簡潔に書き、訓練で何をしてきたかを補足する
  • 職務経歴書:経験が少なくても、実習・訓練・アルバイトなどで「できるようになったこと」を記載
  • ナビゲーションブック:自分の特性・得意/苦手・必要な配慮を簡潔にまとめた自己紹介資料。面接で配慮を伝える際に威力を発揮

② 求人探し:ハローワーク専門援助・障害者職業センター・専門求人サイト

  • ハローワーク専門援助部門:障害者向け求人の宝庫。地域の中小企業を中心に豊富
  • 地域障害者職業センター:職業評価・ジョブコーチ派遣が受けられる
  • ナカポツ(障害者就業・生活支援センター):就業と生活を一体で相談できる広域窓口
  • 民間専門求人サイト:特例子会社・テレワーク求人・IT系求人に強み

③ 面接:自己開示と配慮依頼の「伝え方」

障害者雇用枠の面接で評価されるのは、「自分の特性を客観的に把握できているか」「必要な配慮を論理的に説明できるか」「対処法を持っているか」の3点です。 単に「◯◯障害です」と伝えるのではなく、「こういう場面で困ることがありますが、こう対処しています。このような配慮があれば、ここまでパフォーマンスを出せます」とセットで伝えるのが鉄則です。

🙋 面接同行支援を活用する

就労移行支援では、支援員が面接に同行するケースが多くあります。 緊張しやすい方・想定外の質問で頭が真っ白になりやすい方は、同行支援を遠慮なくお願いしましょう。 支援員は事前に企業と打ち合わせし、配慮事項を伝えるサポートもしてくれます。

【フェーズ4】就職後フェーズ|定着支援の活用

内定・入社はゴールではなくスタートです。 就労移行支援経由で一般就労した方のうち約3割が入社1年以内に離職するという推計もあり、「続けること」こそ本当のゴールです。 このフェーズで効いてくるのが、就労定着支援です。

就労移行支援 → 就労定着支援への切り替え

  • 就職後6か月間は、元の就労移行支援事業所が無料で定着支援を継続
  • 6か月を経過した時点で、「就労定着支援」サービスに切り替え(市区町村での支給決定が必要)
  • 就労定着支援は最長3年間、月1回以上の面談・企業との調整・生活相談が受けられる
  • 費用は原則9割以上の方が0円

就労定着支援そのものの詳細は就労定着支援とは?対象・期間・支援内容と就労移行支援との違いで解説しています。

就職後3か月/6か月/1年の節目で起きやすい問題

時期起きやすい問題支援員に相談したいこと
入社〜3か月 業務量の増加/緊張による疲労蓄積 業務量の調整/休憩の取り方
3〜6か月 人間関係の悩み/役割のあいまいさ 上司との面談設定/役割の明確化
6か月〜1年 マンネリ/昇給・評価への不安 評価基準の確認/キャリア相談
1〜3年 業務拡大/配置転換への対応 合理的配慮の再調整

オープン就労/クローズ就労の選択

一般就労を目指すにあたり、多くの方が悩むのが「障害を開示するか、しないか」という選択です。 どちらが正解ということはなく、本人の状態・希望・働き方で最適解は変わります。

✅ オープン就労(障害を開示)

  • 合理的配慮を受けやすい
  • 障害者雇用枠の求人に応募できる
  • 体調悪化時に理解を得やすい
  • 通院・服薬への理解がある
  • 定着率が高い傾向
  • 就労定着支援と連携しやすい

⚠️ クローズ就労(障害を非開示)

  • 一般枠の求人に挑戦できる
  • 給与水準が一般枠と同等
  • 「障害者」というレッテルに悩まない
  • ただし合理的配慮は原則受けにくい
  • 体調悪化・通院で説明に苦労する
  • 早期離職のリスクが相対的に高い

💡 「オープンで始めて、慣れてからクローズ転職」という選択肢も

長期的なキャリアを考えると、最初はオープン就労で配慮を受けながらスキルと実績を積み、数年後にクローズ転職するというルートを取る方もいます。 逆にクローズで始めて消耗し、オープン就労に切り替えるケースも珍しくありません。 どちらを最初に選ぶかは、「続けられるかどうか」を軸に決めるのが現実的です。

失敗を避ける5つのポイント

現場で見てきた「惜しい失敗」は、多くが同じパターンに集約されます。 以下の5つを事前に押さえておくだけで、失敗確率は大きく下がります。

一般就労を目指すうえで避けたい5つの落とし穴

  • ① 「就職率」だけで事業所を選んでしまう:分母の定義・定着率・自分との相性も必ず確認
  • ② 生活リズムが整う前に就活を始める:週5日安定して通えるようになってから就活が鉄則
  • ③ クローズ就労を安易に選ぶ:配慮を受けにくく早期離職リスクが上がる
  • ④ 通院・服薬を中断したまま就職:定着率を最も下げる要因の一つ
  • ⑤ 就職後の定着支援を使わない:月1回の面談だけでも離職リスクが大きく減る

⚠️ 数字だけで判断しない

就職率・定着率・賃金は全国平均・事業所平均の数字であり、自分が当てはまるとは限りません。 個別事情(体調・地域・年齢・希望職種)により大きく異なるため、支援員・相談支援専門員・主治医と対話しながら、自分だけのロードマップを作るのが一番の近道です。

よくある質問

B型から直接、一般就労することは可能ですか?

可能ですが、全国的な統計上は少数派です。B型の年間一般就労率は数%程度で推移しています。より現実的なのは、B型で通所と体調を安定させたうえで、A型や就労移行支援に切り替え、段階を踏んで一般就労を目指すルートです。無理なく、かつ結果的に最短で一般就労にたどり着きやすくなります。

一般就労を目指すには最低どのくらいの期間が必要ですか?

本人の体調とスキルによりますが、就労移行支援ルートなら半年〜2年が目安です。体調が不安定な段階から始める方は、B型で数か月〜1年ほど生活リズムを作り、その後A型または就労移行支援に2年かけて就活するため、合計2〜3年を見込むケースが多くなります。期間は個別事情で大きく異なるため、あくまで目安として考えてください。

40代・50代からでも一般就労できますか?

できます。就労移行支援は原則18歳以上65歳未満が対象で、40代・50代の利用者も多く一般就労に移行しています。ただし若年層と比べて求人数がやや少なくなる傾向はあるため、経験を活かせる職種や、年齢を問わない業種(IT系・事務系・専門職など)を中心に戦略を立てるのが現実的です。

一般就労すると、A型やB型のときより収入は減りますか?

原則として増えるケースが多いです。障害者雇用枠の給与相場は地域・業種により差がありますが、フルタイム勤務ならA型の平均(月約86,752円)やB型の平均(月約22,649円)を上回ることが一般的です。ただし、短時間勤務・パートタイム雇用でスタートする場合は、A型の給与と近い水準になることもあります。収入だけでなく、社会保険・福利厚生の充実も総合的に考慮しましょう。

面接で障害・配慮事項はどう伝えればいいですか?

「特性の説明」「困る場面」「自分での対処法」「企業にお願いしたい配慮」の4点をセットで伝えるのが基本です。例:「ASDの特性で口頭の指示を聞き漏らすことがあります。メモを取りながら確認することで対処していますが、重要な指示は書面やチャットで併用いただけると助かります」のように具体化します。ナビゲーションブックを事前に作成し、面接に持参するとより伝わりやすくなります。

就労移行支援を使わず、いきなり一般就労に応募するのはアリですか?

体調が安定していてスキルも十分な方は、ハローワーク専門援助部門や民間の障害者向け求人サイトで直接就活することも可能です。ただし就労移行支援を経由すると、応募書類の添削・面接同行・企業との調整・就職後の定着支援まで無料で受けられるため、初めての障害者雇用枠応募で不安がある方には活用をおすすめします。

一般就労後、もし続けられなくなったらどうなりますか?

離職後は、就労定着支援を経由して再度就労移行支援を利用し、転職を目指すことができます。就労移行支援は過去に利用していた方でも、合理的理由があれば再支給決定が下りる可能性があります。離職=終わりではなく、「次のステップを考える材料」として扱えば大丈夫です。相談支援専門員にまず相談してみてください。

在宅ワーク(テレワーク)での一般就労は現実的ですか?

現実的です。特にIT系・事務系・Webデザイン系では在宅・ハイブリッド求人が増加しています。通勤の負担が大きい方は、フェーズ2の段階で「在宅でも通用するスキル」(PC操作・オンライン会議・チャットコミュニケーションなど)を意識的に身につけ、在宅可の求人を中心に応募するとよいでしょう。在宅対応の就労移行支援事業所も増えています。

まとめ:一般就労は「サービス × フェーズ」で戦略的に

就労支援から一般就労までの道のりは、「使うサービス」と「今いるフェーズ」の2軸で整理すると戦略が立てやすくなります。 就労移行支援の最短ルートを取れる人もいれば、B型から時間をかけて段階を踏む人もいる。どちらも正解です。大切なのは、 今の自分にとって最も無理のないスタート地点を選び、相談支援専門員・支援員・主治医と対話しながらロードマップを調整していくことです。

📋 一般就労を目指すうえで押さえておきたい7つのこと

  • 「一般就労」は広い概念。障害者雇用枠/一般枠オープン/クローズの違いを理解する
  • 就労移行支援・A型・B型・就労定着支援で、一般就労までの距離は大きく違う
  • 就労移行支援なら最短6か月〜2年。全国平均の年間就職率は約50%前後
  • B型からは段階的ステップアップが現実的。A型・移行を経由するのが王道
  • 一般就労までは4フェーズ(準備→職業能力→就活→就職後)で整理する
  • オープン就労は定着率が高い傾向。クローズは自己管理と割り切りが必要
  • 期間・就職率は個別事情で大きく異なる。数字だけで判断せず、支援員と対話しながら進める

「今の自分はどのフェーズにいるんだろう?」「どのサービスから始めれば?」と迷う方は、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口・相談支援事業所、またはココトモの相談窓口にお気軽にご相談ください。 小さな一歩から、あなたの一般就労までのロードマップは、今日から描き始められます。

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