就労移行支援の訓練プログラム|カリキュラム例と本当に役立つ内容
edit2026.04.23 visibility24
📌 この記事でわかること
- 就労移行支援の訓練を「基本訓練/職業訓練/就活訓練」の3カテゴリで整理
- 2年間で実際にどう積み上がるかが分かるカリキュラム例(前期/後期)
- PCスキル訓練の中身(MOS/ITパスポート/タイピング/簿記/プログラミング)
- SST(コミュニケーション訓練)と職場実習の本当の意味
- 資格取得支援の現実(自費負担・就職への直結度)
- 「役に立つ訓練」と「お茶を濁す訓練」を体験利用で見分けるコツ
- 履歴書・面接練習・企業開拓・ハローワーク同行など就活サポートの内訳
- 精神/発達/知的それぞれの障害特性と相性の良い訓練
「就労移行支援の訓練って、実際に何をするんだろう?」
「カリキュラムを見ても抽象的で、自分に役立つのかイメージできない」
「PCスキルや資格って、本当に就職につながるの?」
パンフレットには「ビジネスマナー」「PCスキル」「コミュニケーション」と並んでいるものの、
実際にどんな粒度で、何が・どこまで・誰に身につくのか、外からは見えにくいのが就労移行支援の訓練です。
この記事では、訓練を①基本訓練/②職業訓練/③就活訓練の3カテゴリで整理し、
2年間のカリキュラム例、PCスキル訓練の具体例、SST(コミュニケーション訓練)の中身、職場実習、資格取得、
そして「役に立つ訓練」と「お茶を濁す訓練」を見分けるチェックポイントまで、
ココトモが現場視点で正直に解説します。
なお、本記事の内容はあくまで一般的・典型的な例であり、提供されるプログラムは事業所により異なります。
実際の選択時には必ず体験利用で確認してください。
就労移行支援の訓練は「3カテゴリ」で整理するとわかりやすい
就労移行支援の訓練内容は事業所の自由設計のため、ホームページを見比べても違いがわかりにくいのが正直なところです。 ただ、現場で行われているプログラムを構成要素に分解すると、おおむね次の3カテゴリに整理できます。 どの事業所も濃淡はあれど、この3つのバランスで2年間を組み立てています。
🌱
① 基本訓練
生活リズム・通所継続・体調管理・ストレスコーピングなど「働くための土台」
💻
② 職業訓練
PC・事務・軽作業・専門スキル(IT/デザイン/簿記など)など「職務遂行に直結する力」
📨
③ 就活訓練
履歴書・職務経歴書・面接練習・企業開拓・職場実習など「就職に直結するアクション」
3カテゴリの内訳と「事業所による差」が出やすいポイント
| カテゴリ | 主な訓練内容 | 事業所差が出やすい点 |
|---|---|---|
| ① 基本訓練 | 通所継続/生活リズム/服薬管理/睡眠改善/障害特性の理解/セルフモニタリング/ストレスケア | 「自己理解ワーク」の質。ワークシート1枚で済ませる事業所と、面談を絡めて深掘りする事業所がある |
| ② 職業訓練 | PC基礎/Word・Excel/タイピング/ビジネスマナー/軽作業/IT・プログラミング/デザイン/経理/実務シミュレーション | 「軽作業中心」の事業所と「PC・専門スキル中心」の事業所で内容が大きく違う |
| ③ 就活訓練 | 履歴書添削/自己分析/面接練習/企業見学/職場実習/合同面接会/ハローワーク同行/障害者雇用枠の理解 | 「実習先の数」「同行支援の手厚さ」「企業開拓力」で大きく差が出る |
💡 訓練の比重は「障害特性」と「就労ブランク」で変わる
長期離職・ひきこもり経験のある方は①基本訓練に時間がかかりますし、 事務職を目指すなら②職業訓練のPCスキルが鍵、 すでにスキルはあって体調も安定している方は③就活訓練を厚めに、というように個別計画書(個別支援計画)で配分が決まります。 パンフレットの「全員一律のカリキュラム」だけを見るのではなく、「自分の状況に合わせて配分を変えてくれるか」を体験時に確認しましょう。
2年間の具体カリキュラム例|前期/後期で何が変わるか
就労移行支援の標準的な利用期間は原則2年(最長3年)で、その2年間を「前期/後期」に分け、4フェーズで段階的に積み上げるのが典型的なカリキュラム設計です。 全体像については就労移行支援とは?2年間の中身・期間延長・就職率の実態まで解説でも触れていますが、 本記事では訓練の中身に踏み込んで4ステップで紹介します。
-
1年目
前期基本訓練フェーズ|「通えること」をまず安定させる(0〜6か月)
まずは週2〜3日・短時間からスタート。生活リズムを整え、通所継続の習慣を作るのが最優先です。 並行して、自分の障害特性を理解する自己分析ワーク、ストレスへの対処法(コーピング)、 基本的なビジネスマナーや簡単なPC操作を学んでいきます。
この時期は「成果より継続」を重視する事業所が良い事業所です。 焦って課題を詰め込むと、体調を崩して通所が止まる原因になります。 -
1年目
後期職業訓練フェーズ|PC・事務・専門スキルを積み上げる(7〜12か月)
通所が安定したら、週4〜5日・長時間へと体力を引き上げ、本格的な職業訓練へ。 Word・Excel・PowerPointの基礎から応用、タイピング、ビジネス文書、メール対応、データ入力など、事務系の核となるスキルを集中的に学びます。 IT・プログラミング・Webデザインなど専門コースを持つ事業所では、ここから本格的な専門訓練に入ります。
この時期に1〜2回の短期実習を経験させてくれる事業所は信頼できます。 「机上の訓練だけで1年過ごす」ところは要注意です。 -
2年目
前期実践訓練フェーズ|模擬就労と職場実習を本格化(13〜18か月)
事業所内で本物の業務を想定した「模擬就労」(事務作業・受発注・電話応対などを通常勤務時間で実施)と、 外部企業での職場実習を組み合わせるフェーズです。 実習先で「強み」「弱み」「合理的配慮の必要性」が浮き彫りになり、 その振り返りをもとに自己理解と職務適性が一気に深まります。
履歴書・職務経歴書の作成にも着手し、就活モードへゆるやかに切り替えていきます。 -
2年目
後期就活フェーズ|求人応募〜内定〜定着準備(19〜24か月)
本格的な就活に入ります。ハローワーク同行、企業見学、合同面接会への参加、 支援員と一緒に行う面接練習、企業との面談調整・職場見学、内定後の労働条件確認など、就職までを伴走してもらえます。 内定後は「就労定着支援」への接続準備(職場との連絡体制づくり、配慮事項の文書化など)を整えて、卒業を迎えます。
⚠️ 「2年フル待機型」の事業所には注意
理想は1.5〜2年で内定〜定着接続まで進むこと。一方で「就活は2年目後半から」「実習は1年目には実施しない」と機械的に決めている事業所もあります。 就活はタイミングが命。体調と本人の意思があれば、1年目からでも実習や応募に動ける柔軟性のある事業所を選ぶのが鉄則です。
PCスキル訓練の実例|MOS・ITパスポート・タイピング・簿記・プログラミング
就労移行支援で最もニーズが高いのがPCスキル訓練です。 事務職・データ入力・経理補助・コールセンター・IT関連職など、障害者雇用枠の中でも採用ボリュームが大きい職種に直結するからです。 代表的な訓練・資格を5つに絞って整理します。
📊
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
Word/Excel/PowerPointの公式資格。事務職の基礎力証明として最も汎用性が高く、就労移行で受験する人が最多。Excel単体だけでも履歴書に書ける
🖥️
ITパスポート
経済産業省所管の国家資格。IT基礎リテラシーを証明でき、IT関連職を狙うなら持っておきたい1枚。座学中心なので体力負担が少なく、ASD・ADHDの方にも人気
⌨️
タイピング訓練
資格ではないが、データ入力職では「分速200打鍵以上」が目安。e-typingなどで毎日計測し、面接で具体的な数字をアピールできるようにする
💴
日商簿記3級/2級
経理補助・事務職を目指す方に有効。3級は独学でも取得可能だが、2年あれば2級まで挑戦できる。経理職への応募幅が一気に広がる
⌘
プログラミング/Webデザイン
IT特化型の事業所では、HTML/CSS/JavaScript/Python/WordPressなどを学べる。在宅勤務の障害者雇用枠との相性が良い
「資格を取れば就職できる」わけではない
資格はあくまで応募資格と書類選考の通過率を底上げする道具です。 特に障害者雇用枠の事務職では、「Excel関数(VLOOKUP・SUMIF)が使える」「タイピングが速い」「指示理解が正確」といった実務スキルのほうが、資格保有よりも評価されることが多くあります。 資格取得を目的化せず、「実務で使える形まで落とし込む」練習を並行してくれる事業所が理想です。
出典:障害者雇用の動向については厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(mhlw.go.jp)/訓練プログラムの内容は事業所により異なります。
SST(コミュニケーション訓練)の中身|ロールプレイで「働く場面」を体験する
SST(Social Skills Training/社会生活技能訓練)は、 対人関係や報連相、感情コントロールなど「働くうえで必要な社会的スキル」を体系的に練習するプログラムです。 特に精神障害・発達障害の方にとって、職場適応の鍵になる訓練として、多くの就労移行支援事業所で導入されています。
SSTで実際に行うテーマの例
| テーマ | 具体的なロールプレイ例 |
|---|---|
| 報連相(報告・連絡・相談) | 「ミスをしたときに上司にどう報告するか」「進捗が遅れている時の相談の切り出し方」 |
| 依頼・断り方 | 「業務量が限界の時に、上司に追加業務を断る/調整を相談する場面」 |
| 謝罪・お礼 | 「自分のミスでフォローしてもらった時の謝罪と感謝の伝え方」 |
| 体調不良の伝え方 | 「朝、体調が悪いときに上司に休みを連絡する電話/メールの表現」 |
| 合理的配慮の伝え方 | 「面接や入社後に、自分の特性と必要な配慮を簡潔に伝える練習」 |
| 雑談・関係構築 | 「休憩時間の会話の入り方/無理せず会話から離れる方法」 |
🙋 SSTは「コミュ力を上げる」訓練ではない
SSTは「明るく社交的になる訓練」ではなく、「働く場面で必要なやり取りを、自分のスタイルで実行できるようにする訓練」です。 苦手な場面を事前にロールプレイで何度も練習しておくことで、本番で過剰に消耗せずにすむのが最大のメリット。 体験利用の際には「SSTは週何回/何分やりますか?」「どんなテーマを扱っていますか?」を必ず確認しましょう。
職場実習の重要性|2年目を待たず1年目から始める意義
就労移行支援の中でも、「就職率」と最も強く相関するプログラムと言われているのが職場実習です。 実際の企業で1日〜数週間就業体験することで、机上の訓練では絶対に得られない情報が一気に集まります。
職場実習で得られる「机上では絶対に得られない情報」
✅ 本人にとってのメリット
- 「実際に1日働く」体力・集中力の現実が分かる
- 苦手な業務/意外と得意な業務が浮き彫りになる
- 通勤時間・職場環境のリアルな相性が分かる
- 「自分が必要とする合理的配慮」が具体化する
- 面接で語れる「実体験」が手に入る
- そのまま採用に繋がるケースもある
⚠️ 受け入れ企業にとってのメリット
- 採用前に本人の働き方を実際に確認できる
- 支援員が間に入るため、双方の不安を減らせる
- 受け入れ後の定着可能性が高い
- 実習からの採用は離職率が低い傾向
1年目から実習を始める意義
一部の事業所では「実習は2年目から」と機械的に決めていますが、これは利用者側にとって損が大きい運用です。 1年目から短期実習を経験することで、以下の好循環が生まれます。
- 早い段階で「自分は何が得意で、何ができないか」が言語化できる
- 1年目の振り返りを2年目の訓練計画に反映できる
- 2年目に複数社の実習を比較検討する余裕が生まれる
- 就活が後ろ倒しにならず、2年フル消化のリスクを避けられる
実習先の探し方
実習先は基本的に事業所が開拓・調整します。「どんな業種の実習先を、どのくらい持っているか」は事業所の実力を測る重要な指標です。 体験利用時に「過去1年で実習先になった企業の業種を教えてください」と尋ねれば、企業開拓力の有無がリアルに見えます。 さらに、本人が希望する業界の実習先を新規開拓してくれるかもチェックポイントです。
資格取得支援の現実|どの資格が就職に役立つか/自費負担の有無
多くの事業所が「資格取得支援あり」と謳っていますが、実際の支援の中身は事業所によって幅があります。 「テキスト代・受験料は自費」「教材は揃っているが講師はいない」など、入ってから「思っていたのと違う」とならないよう、事前確認が重要です。
就職への直結度で選ぶ「3階層」
| 階層 | 代表資格 | 就職への直結度 |
|---|---|---|
| ★★★ 直結度 高 | MOS(Excel/Word)/日商簿記3級/タイピング技能 | 事務職の基礎要件として書類選考通過率を上げる |
| ★★ 直結度 中 | ITパスポート/日商簿記2級/秘書検定/医療事務 | 応募業界が広がる。スキル+実務経験で評価 |
| ★ 直結度 低〜中 | P検/文書処理能力検定/ビジネス能力検定 | 履歴書の充実度には貢献するが、それ単独では評価されにくい |
受験料・テキスト代は誰が負担する?
制度上、就労移行支援の利用料には資格の受験料・テキスト代は含まれていません。 多くの事業所では受験料・テキスト代は自費負担が基本ルールです。 一部の事業所では「合格祝い金として受験料を還元」「テキストは事業所内で貸し出し」など、独自の支援を行っているところもあります。 体験利用時に「受験料は誰が払いますか?」「テキストは購入が必要ですか?」を必ず確認してください。
💡 資格より「実務スキル+実習経験」が強い
障害者雇用枠の事務職では、資格保有だけで自動的に内定に繋がるわけではありません。 「実務でExcelをどう使えるか」「実習でどんな業務をやってきたか」のほうが面接で評価されやすい。 資格は土台。実務シミュレーションと職場実習で実体験を積み上げることを並行してくれる事業所が理想です。
「役立つ訓練」vs「お茶を濁す訓練」見分け方
就労移行支援は事業所ごとに訓練の質が大きく違います。 残念ながら「時間つぶしのような訓練」を続けている事業所も存在します。 体験利用の段階で見極めるための5つのチェックポイントを整理します。
-
1
訓練の「目的」を支援員が一文で説明できるか
見学時にプログラム表を見て「このSSTは何のための訓練ですか?」と聞いてみる。 「報連相を実務で使える表現で言えるようになるための訓練です」と即答できるか、 「皆でやっています」と曖昧な回答かで、訓練設計の質が一発で見えます。
-
2
訓練の成果が「個別に振り返り」されているか
訓練やったきり放置ではなく、個別面談で振り返り、次の課題に繋げているか。 「個別支援計画は半年に1度だけ更新」という事業所より、「月1の振り返り面談で計画を微調整」する事業所のほうが質が高い傾向。
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3
「訓練→実践→フィードバック」のサイクルがあるか
PCスキルを学ぶだけで終わるのではなく、模擬就労や実習で実践→振り返りのサイクルがあるかを確認。 座学とドリルだけで2年が終わる事業所では、就活時に「実体験のなさ」が壁になります。
-
4
利用者の表情とプログラム参加率
見学時に利用者の表情を観察。 全員が机に向かって沈黙、もしくは雑談ばかりで集中していない、といった様子なら、訓練設計に問題がある可能性が高い。 適度な集中とリラックスのバランスが取れているかを見ましょう。
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5
「自由時間」「動画視聴」が異常に多くないか
一部の事業所では、「自由学習」「動画教材視聴」「軽作業の繰り返し」で時間を消費するスタイルが目立ちます。 時間割を見せてもらい、具体的なプログラムが何時間/週入っているかを確認しましょう。 「自由学習」が週の半分以上を占めるなら要注意です。
より体系的な事業所選びのチェックポイントは、 失敗しない就労移行支援の選び方|就職率の数字の裏側まで読み解くで解説しています。
就活サポートの中身|履歴書添削/面接練習/企業開拓/ハローワーク同行
訓練と並ぶ就労移行支援のもう一つの柱が「就活サポート」です。 一般的な就活と違い、障害者雇用枠/オープン就労に特化した支援を受けられるのが最大の特徴。 主な支援項目を整理します。
就活サポートの主な内訳
| 支援項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 自己分析・キャリア整理 | 強み・弱みの整理/障害特性と職務適性のマッチング/「働く上での合理的配慮」の言語化 |
| 履歴書・職務経歴書の添削 | 障害者雇用枠用の自己PR・志望動機の作成/配慮事項の書き方/ブランク期間の説明 |
| 面接練習 | 支援員による模擬面接/録画して振り返り/企業ごとの想定問答/配慮事項の伝え方 |
| 企業開拓・求人紹介 | 地域の障害者雇用枠求人の紹介/事業所と関係のある企業の見学・実習斡旋 |
| ハローワーク同行 | 専門援助部門への同行/求人検索の補助/応募手続きのサポート |
| 合同面接会の引率 | 地域の障害者就職面接会への同行/企業ブースでの会話補助/面接予約の代行 |
| 企業との調整 | 採用面接時の同席/配慮事項の事前共有/入社後の体制づくり |
| 就労定着支援への接続 | 内定後の職場定着支援契約の調整/配慮事項の文書化/3か月目・6か月目フォロー |
🙋 「就職率」だけでなく「定着率」も聞こう
就労移行支援卒業後、就職定着支援へ繋がるのが理想的な流れです。 事業所選びの際には「就職後6か月の定着率」「1年定着率」を必ず質問してください。 就職率の数字が高くても、1年以内に半数が離職している事業所もあります。 就職率と定着率はセットで確認するのが鉄則です。
訓練×障害特性 マッチング|精神/発達/知的別に役立つ訓練
障害特性によって「特に効果が出やすい訓練」は変わります。 以下は一般論ですが、自分の特性と相性の良い訓練が用意されている事業所を選ぶ際の参考にしてください。
精神障害(うつ病・統合失調症・双極性障害など)
- 基本訓練:生活リズムの安定化/服薬・睡眠管理/ストレスコーピング
- セルフモニタリング:体調記録・気分グラフを毎日つけ、波を予測する力を養う
- 復職前提のリワークプログラム:休職中の方は段階的負荷で復帰準備
- 合理的配慮の言語化訓練:「波がある」前提を、職場にどう伝えるかを練習
発達障害(ASD・ADHD・LDなど)
- SST(コミュニケーション訓練):報連相・雑談・依頼/断りなど対人場面の型を学ぶ
- PCスキル+集中環境設計:ASDの方が強みを発揮しやすい事務・IT系を集中訓練
- タスク管理訓練:ADHDの方向けに、ToDo管理/時間管理ツールの使い方を実践
- ジョブマッチング:感覚過敏/対人苦手など特性に合った業種・職場環境を選定
知的障害
- 反復による業務定着訓練:データ入力・軽作業など、手順化された業務を確実にこなす力
- ビジュアル化された手順書:絵・図・写真を使った業務マニュアルの読み取り訓練
- 就職後の支援員伴走:定着支援との接続が手厚い事業所が向く
- 就労選択支援との併用:A型/B型/移行のどれが合うかをアセスメントしてもらう
障害特性別の事業所選びの詳細は就労移行支援の対象者もあわせてご覧ください。
2年で何が変わるか|開始時 vs 卒業時のリアル自己評価
2年間の訓練を経て、利用者は具体的に何が変わるのでしょうか。 現場で見られる「開始時 vs 卒業時」の典型的な変化をチェックリスト形式で整理します。 自分自身が今どの段階にいるかを把握する目安にもなります。
| 項目 | 開始時の典型像 | 卒業時に目指す状態 |
|---|---|---|
| 生活リズム | 就寝・起床時間が不規則 | 平日5日、決まった時間に起きて通える |
| 体力・通所 | 週2〜3日、半日で精一杯 | 週5日・実労6時間以上をこなせる |
| 体調管理 | 波が大きく、自分でも予測できない | 自分の波を予測し、早めに対処できる |
| 障害理解 | 自分の特性を言葉にできない | 強み・弱み・必要な配慮を一文で言える |
| PCスキル | Word・Excelの基本操作が不安 | MOS取得/実務でExcel関数を使える |
| コミュニケーション | 報連相のタイミングが掴めない | 報連相を自分の型でこなせる |
| 就活 | 履歴書・職務経歴書が書けない | 応募書類完成/面接対応/内定獲得 |
| 合理的配慮 | 必要な配慮がわからない | 配慮事項を文書化して企業に伝えられる |
💡 数字で見る「2年の成果」
就労移行支援の全国平均就職率は年50%前後と公表されています。 事業所による差は大きく、10%台の事業所もあれば80%超の事業所もあるのが現実です。 就職率の数字は分母の取り方で大きく変わるため、「過去1年に何人卒業し、何人が就職し、その人たちが今どうしているか」を具体的に質問することが大切です。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/同ページ掲載の障害福祉サービスからの就職者数等の集計を参照
就職率・利用期間の詳細は、 就労移行支援の就職率の実態と 就労移行支援の利用期間もあわせてご覧ください。
よくある質問
就労移行支援の訓練は1日何時間ですか? ▼
標準は1日6時間程度(10時〜16時など)ですが、最初は短時間(1日2〜3時間)からスタートできる事業所が多いです。徐々に体力を上げながら、最終的にはフルタイム勤務に近い時間帯で通うのが一般的なゴール設定です。事業所によって時間枠は異なるため、体験時に必ず確認してください。
PCスキルがなくても利用できますか? ▼
はい、まったく問題ありません。むしろPC初心者から始める方が多く、電源の入れ方・タイピング・Wordの基本操作から段階的に学べるカリキュラムが用意されている事業所がほとんどです。MOSやITパスポートなど、入所後にスキルアップして資格取得まで進む方も少なくありません。
資格取得の費用は誰が負担しますか? ▼
原則として、受験料・テキスト代は自費負担です。就労移行支援の利用料には資格費用は含まれていません。一部の事業所では「合格祝い金」「テキストの貸し出し」などの独自支援を行っているケースもあるため、体験利用の際に確認しましょう。受験料はMOSで1科目1万円前後、簿記3級で2,850円、ITパスポートで7,500円です。
職場実習は必ず行うのですか? ▼
制度上は「必須」ではありませんが、就職率の高い事業所ではほぼ全員が1回以上の実習を経験しています。実習を経験することで、自分の働き方の現実が見えるだけでなく、面接で語れる実体験が手に入ります。「実習に消極的」「実習先がない」といった事業所は、就職実績を上げる仕組みが弱い可能性が高いです。
SSTが苦手でも通えますか? ▼
はい。SSTは「全員参加必須」ではない事業所がほとんどで、本人の体調や苦手感に応じて参加頻度を調整できます。逆に、SSTを少人数制(2〜3人)で実施している事業所もあり、大人数が苦手な方でも取り組みやすい配慮があります。体験時に「SSTは何人で実施しますか?」「参加は強制ですか?」と確認しましょう。
訓練内容は事業所ごとにどのくらい違いますか? ▼
かなり違います。同じ「就労移行支援」の看板でも、IT特化型・事務職向け汎用型・軽作業中心・クリエイティブ系・農福連携型など、事業所の専門性によって毎日の訓練内容は別物です。必ず2〜3か所は見学・体験して、自分の目指す職種・特性に合った訓練を提供している事業所を選んでください。
2年間の訓練で本当に就職できますか? ▼
全国平均の就職率は年50%前後と公表されています。事業所による差は大きく、10%台〜80%超まで分布しています。「2年通えば必ず就職」とは言えませんが、訓練の質が高い事業所を選び、本人が体調管理と訓練に積極的に取り組めば、就職に結びつく可能性は十分にあります。万が一2年で就職に至らなかった場合は、最長3年まで延長できる制度もあります。
在宅(リモート)で訓練を受けられますか? ▼
近年はテレワーク対応の事業所が増えています。完全在宅対応はまだ少数派ですが、週1〜2日は通所する「ハイブリッド型」が広がっています。在宅でPCスキル訓練・Web会議でのSST・オンライン面接練習などを行う事業所もあります。「就労移行支援 在宅 ○○県」などで地域名を絞って検索すると見つけやすいです。
まとめ:訓練の中身を見れば、その事業所の「本気度」が分かる
就労移行支援の訓練は、基本訓練・職業訓練・就活訓練の3カテゴリを、2年間でバランスよく積み上げていくのが基本です。 ただし、その配分・質・実践機会は事業所によって大きく異なるのが実態。 パンフレットの言葉だけで判断せず、必ず体験利用で「自分の目指す職種に役立つ訓練が提供されているか」を確かめてください。
📋 訓練選びで押さえておきたい7つのこと
- 訓練は「基本/職業/就活」の3カテゴリで整理して考える
- 2年間は前期(土台作り)→後期(就活)と段階的に進む
- PCスキル訓練(MOS/ITパスポート/タイピング/簿記)は事務職を目指すなら必須
- SSTは「コミュ力アップ」ではなく「働く場面の型を作る」訓練
- 1年目から職場実習を組める事業所は信頼度が高い
- 資格取得の受験料・テキスト代は原則自費。事前確認を
- 「自由学習」が異常に多い事業所はお茶を濁す訓練の可能性あり
なお、訓練プログラムは事業所により提供内容が異なります。 パンフレット・ホームページの記載だけで判断せず、必ず2〜3か所の体験利用で実際の訓練を体感し、 支援員に「目的」「振り返り」「実践機会」を質問して、自分の目指す働き方に合った事業所を選んでください。
就労支援サービス全体の比較や利用の流れを最初から押さえたい方は、 就労支援事業所とは?5サービスの特徴・対象者・費用・選び方を完全解説もあわせてご覧ください。
- 全国の就労支援事業所を掲載中!
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ココトモでは、全国の就労移行支援・就労継続支援A型・B型事業所を掲載しています。2万件以上の事業所を都道府県/対応障害/訓練分野などから探せます。
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