就労移行支援の就職率はどのくらい?数字のからくりと事業所比較術

就労移行支援の就職率はどのくらい?数字のからくりと事業所比較術

📌 この記事でわかること

  • 就労移行支援の全国平均就職率は約50%前後。その「50%」が何を意味する数字なのか
  • 事業所別では就職率0%が約3割、80%超もあり──極端な分布の実態
  • 厚労省定義/卒業者ベース/在籍者ベース、「就職率」3つの計算方法を比較表で整理
  • 就職率と就職定着率(6ヶ月/1年)はまったく別物。なぜセットで見るべきか
  • 2024年最新データで見る、就労移行支援を取り巻く就職実績の全国動向
  • 「事業所別就職率」を比較する正しい4ステップ(公表値の読み方)
  • 就職率が高い事業所/低い事業所の構造的な違いと見抜き方
  • 就職率の高さは万能ではない理由と、「自分に合う事業所」を優先すべき判断軸

「就労移行支援の就職率って、結局のところどれくらいなの?」
「事業所のサイトで90%って書いてあったけど、本当?」
「就職率が高い事業所を選べば、自分も就職できる?」

就労移行支援の「就職率」は、調べる人を最も混乱させる数字のひとつです。 厚生労働省は全国平均を公表しており、おおむね年50%前後で推移していますが、事業所のパンフレットには80%や90%といった数字が並ぶ。 かと思えば、就職者ゼロの事業所が全体の約3割存在するという調査結果まである──。

結論から言うと、これらの数字はどれも嘘ではありません。 違うのは「分母」「分子」「期間」の取り方であって、定義を理解しないまま比較すると、誤った事業所選びにつながります。 本記事では、就職率の定義・計算方法・全国動向・事業所間ばらつき・正しい比較術を、厚生労働省の公表データと現場の支援員視点で徹底的に整理します。 数字の「読み方」と「使い方」を一緒に身につけていきましょう。

なお、就労移行支援サービス全体の制度や2年間の使い方を知りたい方は、まず 就労移行支援とは?2年間の中身・期間延長・就職率の実態まで解説 をご覧ください。本記事では「就職率という数字そのもの」の理解と比較に絞って解説します。

全国平均は約50%前後|厚労省データで見る就労移行支援の就職率

まず押さえておきたいのは、「就労移行支援の就職率は全国平均で年50%前後」という事実です。 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」に掲載される集計値を基に、近年の動向を整理すると以下のようになります。

就労移行支援|全国平均の就職率(年間)

50% 前後

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」掲載の集計値を基に概算。年度・集計方法により増減あり

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/同ページ掲載の「障害福祉サービスからの就職者数」等の集計を参照

「50%」とは何を分母にした数字なのか

厚生労働省の集計で語られる「全国平均50%前後」は、おおまかに言えば「年度内に就労移行支援を利用した方のうち、一般就労に移行した方の割合」を指します。 重要なのは「年度内に1人の利用者がどう動いたか」を全国で平均した数字ということです。 在籍中ずっと訓練していた方も、途中で退所した方も、就職した方も、すべて分母に入っています。

つまり、この50%という数字は「全国の利用者を集合体として見たときの就職への到達率」であって、 「就労移行支援を2年間使い切った人のうち何%が就職するか」とは別物です。 後者は実はもっと高い水準(卒業者ベースで7〜8割と言われることも)になります。これが「数字のからくり」の入口です。

過去の推移:おおむね横ばい〜やや上昇

厚労省統計によれば、就労移行支援が制度化された当初の就職率は20〜30%台でしたが、 令和に入ってからは50%前後で安定するようになっています。 これは事業所側のノウハウ蓄積、企業側の障害者雇用への理解進展、就労定着支援との連携強化など、複数の要因が絡んだ結果と考えられます。

💡 50%という数字の捉え方

就労移行支援の全国平均50%前後は、「2人に1人が一般就労へ移行できる」と解釈できます。 ハローワーク経由の障害者就職率や、就労支援を使わずに就職活動した場合の成功率と比べれば、相対的にかなり高い水準です。 ただしこれはあくまで「全国の平均」であって、個別の事業所では大きくばらつきます。次章で詳しく見ていきましょう。

事業所別ばらつきの実態|0%から80%超まで極端な分布

全国平均が50%でも、「自分が通う事業所が50%とは限らない」のが就労移行支援の難しさです。 むしろ、就労移行支援の就職率は事業所間のばらつきが極端に大きいことで知られています。

就職者ゼロの事業所が全体の約3割という現実

各種調査・厚労省検討会資料によると、年間を通して就職者が1人も出なかった事業所が、全体の約3割に達するという報告があります。 一方で、年間の就職率が80%を超える事業所も一定数存在します。同じ「就労移行支援」の看板を掲げながら、結果はここまで分かれているのが現実です。

⚠️ 「平均50%」を信じて適当に選ぶリスク

もし入った事業所が「就職者ゼロ」のグループに属していたら、2年間の通所が就職に結びつかないという最悪のシナリオになります。 逆に、就職率の高い事業所を選べば、平均よりずっと高い確率で就職できる可能性があります。 「平均」だけを見て事業所を選ぶのは、ほぼギャンブルに近い行為です。

なぜここまでばらつくのか

就労移行支援は、プログラム内容・支援員の質・企業開拓力・実習機会・対象者層のすべてが事業所ごとに異なります。 特に「企業との接点をどれだけ持っているか」「実習や面接同行を実際にできる支援員がいるか」によって、就職に至るスピードと確率が大きく変わります。 このばらつきが、結果として就職率の極端な分布を生んでいるのです。

就職率帯事業所のおおよその割合傾向
0%(年間就職者ゼロ)約3割新規開所・小規模・企業開拓ノウハウなしの事業所が多い
1〜30%約3割就活支援はあるが企業ネットワークが弱い
30〜60%約2〜3割標準的な就労移行支援の水準
60〜80%超約1割大手チェーンや企業連携が強い特化型事業所

上記は厚生労働省「社会保障審議会(障害者部会)」資料および各種調査研究の傾向を基に概算した目安です。年度・集計方法により実数は変動します(mhlw.go.jp)。

「就職率」の3つの定義|計算方法で数字は2倍以上変わる

ここからが核心です。就労移行支援の就職率には、実は3つの異なる計算方法が混在しており、 どの定義で算出するかによって同じ事業所でも数字が大きく変わります。

定義の名称 分母 分子 出やすい数値 主に使われる場面
① 厚労省定義
(年間就労移行率)
1年間の利用者全員 1年間で一般就労に移行した人数 50%前後 厚労省統計/全国比較で用いられる標準指標
② 卒業者ベース
(卒業時就職率)
2年間使い切って退所した人 そのうち就職した人数 70〜90% 事業所のパンフレットで多用される
③ 在籍者ベース
(在籍中就職率)
年度末時点の在籍者 1年以内に就職した人数 30〜50% 事業所内部の進捗管理

定義①:厚労省定義(年間就労移行率)

厚生労働省が全国平均として公表する数字は、おおむねこの定義に近いものです。 1年間に在籍した利用者全員を分母とし、その中で一般就労へ移行した人数を分子にします。 途中退所者・体調不良で長期休所した方・就職活動に至らなかった方も、すべて分母に含まれるため、事業所側にとって最もシビアな数字です。

定義②:卒業者ベース(最も「盛れる」数字)

事業所のWebサイトやパンフレットに「就職率90%」と書かれている場合、多くはこの定義です。 分母を「2年間使い切って卒業した人」に絞ることで、就職に至らず途中退所した方を母数から外せるため、自然と数字は高くなります。 実態として「就職するつもりがある人だけが2年使い切る」傾向もあり、結果として70〜90%という高めの数字が出やすくなります。 嘘ではありませんが、「全員が達成できる」という意味ではない点に注意が必要です。

定義③:在籍者ベース(事業所内部で使う数字)

年度末時点の在籍者を分母とした、就職活動の「進捗管理」用の数字です。 通常は対外発表されません。事業所が支援員ミーティングや内部評価で使う指標で、 定義①よりは少し高め、定義②よりはずっと低めの値になります。

🙋 数字を見たら「定義」を必ず聞く

事業所の数字を聞くときは「その就職率は、何を分母として算出していますか?」という質問を必ずしましょう。 定義の説明にきちんと答えられる事業所は信頼度が高く、逆に「うちは就職率高いです」「みなさん活躍されています」とふわっと答える事業所は要注意です。

就職率と就職定着率の違い|「就職しても辞める」現実

就職率と並んで重要なのが、「就職定着率」です。これは就職後、何ヶ月(何年)職場に定着できているかを示す数字で、 就職率と必ずセットで確認すべき指標です。

就職率と定着率は別物である

実は、就労移行支援を経由して就職した方の3割程度が、入社1年以内に離職しているという推計があります。 つまり、「就職率80%」を謳う事業所であっても、その内訳が「3ヶ月で辞める就職」ばかりだとしたら、本人にとっての価値は限定的です。

指標意味本人視点での重要度
就職率入社・内定までたどり着いた割合★★★(入口の指標)
6ヶ月定着率就職後6ヶ月時点で在籍している割合★★★★(厚労省加算の評価指標)
1年定着率就職後1年時点で在籍している割合★★★★★(本当に「続く就職」かの目安)
3年定着率就職後3年時点で在籍している割合★★★★★(最も実態を反映する指標)

「就職率60% × 1年定着率90%」 vs 「就職率90% × 1年定着率50%」

数字上だけ見ると後者のほうが派手ですが、実際に1年後に「働き続けている人」の割合を計算すると、 前者は60% × 90% = 54%、後者は90% × 50% = 45%。前者のほうが優れています。 就職率だけで判断すると、本当に大事な「働き続けられる就職」を見逃す可能性があります。

就職定着支援サービスとの連携を含めた詳細は、 就労定着支援とは?対象・期間・支援内容と就労移行支援との違い で取り上げています。あわせてご覧ください。

2024年最新データで見る|就労移行支援を取り巻く動向

令和6年度報酬改定(2024年4月施行)により、就労移行支援は就職定着率に応じて報酬が変動する仕組みがさらに強化されました。 これは、単に「就職させる」だけでなく「定着まで責任を持つ」事業所を評価する方向性です。

令和6年度報酬改定で評価指標がさらにシビアに

  • 就労移行支援の基本報酬は、就職後6ヶ月時点での定着率を基に区分される構造
  • 定着率が低い事業所は基本報酬が下がるため、事業所側にも「数字を盛れない」プレッシャー
  • 2024年4月以降は、特に「定着率実績の公表」が事業所にとって重要に

出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(mhlw.go.jp)/障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料(mhlw.go.jp

2024〜2026年の全国動向

報酬改定後、就労移行支援事業所では「就職率」よりも「就職定着率」を主たる成果指標として打ち出す動きが強まっています。 また、A型事業所の大量閉鎖(2024年3〜9月で329事業所、約5,000人が解雇・退職)の影響で、 A型からの転換組や、A型を見送って就労移行支援を選ぶ方も増加傾向にあります。

💡 「定着率公表」を見る習慣を

2026年現在、優良な就労移行支援事業所は就職率と定着率をセットで公表しています。 Webサイトに「就職率○%/6ヶ月定着率○%/1年定着率○%」と並べて記載されている事業所は信頼度が高い傾向にあります。 逆に「就職率」しか出していない事業所は、定着率が芳しくない可能性も視野に入れておきましょう。

事業所比較の正しい方法|数字を読み解く4ステップ

複数の事業所を見学・比較するときは、就職率の数字を「並べるだけ」ではなく、 以下の4ステップで読み解いていきましょう。

  1. 1

    公表値のソース(出典)を確認する

    そのパーセンテージがどの年度の・どの期間の・誰が集計したデータかを必ず確認します。 「2023年4月〜2024年3月の卒業者ベース」のように具体的に答えられる事業所が信頼できます。 単に「就職率90%」とだけ書かれていて出典が不明な場合は、根拠を質問しましょう。

  2. 2

    定義(分母・分子)を確認する

    先ほどの3定義(厚労省定義/卒業者ベース/在籍者ベース)のうち、どれを採用しているかを確認します。 「卒業者ベース」と聞いたら、「全利用者ベースだと何%になりますか?」と続けて質問するのがベストです。 両方を即答できる事業所はデータを正しく管理しています。

  3. 3

    就職定着率もセットで比較する

    就職率と6ヶ月/1年/3年定着率をセットで開示してもらいます。 定着率の数字を口にできる事業所と、できない事業所では、支援の質が明確に違います。 「定着率はちょっと…」と濁す事業所は、実態が芳しくない可能性が高いです。

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    面談で「具体的な就職事例」を聞く

    数字だけでなく、「直近で就職された方の障害特性/職種/勤務形態/現在の状況」を具体的に聞きましょう。 自分と似た特性の方の就職事例が複数あるかどうかが、自分自身の就職可能性を測る一番の材料になります。 抽象的な成功談しか語れない事業所は要注意です。

これらの質問を「失礼ではないか」と気にする方もいますが、むしろ誠実な姿勢として受け取られるのが普通です。 答えに窮する事業所は、自分自身の支援を分析できていない事業所と言えるため、その時点でリスクを察知できます。 具体的な見学・体験のテクニックは 失敗しない就労移行支援の選び方|就職率の数字の裏側まで読み解く で詳しく解説しています。

就職率が高い事業所の共通点|「ここが違う」3つの構造

全国平均50%を大きく超える就職率を継続的に出している事業所には、共通する構造があります。 パンフレットの数字ではなく、こうした構造があるかを確かめることが、本質的な事業所選びにつながります。

就職率が高い事業所に共通する特徴

  • ① 企業開拓力がある:地域の障害者雇用企業との関係を独自に開拓し、求人情報を「事業所限定」で持っている
  • ② 実習の機会が多い:在籍中に5〜10社で実習を経験できる体制がある(実習=就職の最大ルート)
  • ③ 個別カリキュラムが組める:画一的な集団訓練ではなく、本人の特性・希望職種に合わせて訓練内容を調整できる
  • ④ 支援員一人あたりの利用者数が少ない:1対4〜6程度で、個別支援が機能している
  • ⑤ ハローワーク・障害者職業センター・ナカポツとの連携が密:求人情報や面接同行のルートを複数持っている
  • ⑥ 卒業生コミュニティがある:就職した先輩の事例が常時更新され、生の声が聞ける

「企業開拓力」が就職率を決める最大要因

就労移行支援の支援員にとって、一番重要なスキルは「企業開拓力」と言っても過言ではありません。 地域の中小企業や特例子会社、大手企業の障害者雇用部門と日常的にやりとりし、「次の採用枠が空いたら、まずこの事業所に声をかける」という関係を築けているかどうかで、 利用者の就職スピードと確率は劇的に変わります。

実習や面接同行など、現場のプログラム内容を深く知りたい方は、 就労移行支援の訓練内容を徹底解説|PC・資格・実習・SST も参考にしてください。

就職率が低い事業所の特徴|避けたい「兆候」

逆に、就職率が極端に低い事業所には共通の構造的な弱点があります。見学時に以下の兆候を感じたら、その事業所は慎重に判断しましょう。

✅ 就職率が高い事業所の傾向

  • カリキュラムが個別最適化されている
  • 企業実習が頻繁に組まれている
  • 就職率と定着率を即答できる
  • 支援員が現役の企業開拓担当を兼ねている
  • 卒業生の事例を具体的に語れる

⚠️ 就職率が低い事業所の傾向

  • 「自習中心」で集団指導が少ない
  • 支援員の人数が少なく、個別対応が薄い
  • 企業開拓を行うスタッフがいない
  • 実習先が同じ企業ばかり、または用意されていない
  • 就職実績の質問にあいまいに答える
  • HP・SNSの更新が止まっている

⚠️ 「自習中心」「PC自由演習」だけの事業所に注意

自分のペースでパソコン演習をする時間が長く、支援員からの個別フィードバックが少ない事業所は、就職に直結する力が育ちにくい傾向があります。 就労移行支援は本来、訓練と並んで「就職活動の伴走」「企業との橋渡し」が支援員の重要な役割です。 演習時間の長さよりも、「支援員がどれだけ就職活動に時間を使ってくれるか」を見極めましょう。

就職率の「高さ」が必ずしも自分に合うとは限らない理由

ここまで「就職率の高い事業所を選ぼう」という前提で書いてきましたが、最後に重要なのが 「就職率の高さは万能ではない」という視点です。 数字にとらわれすぎず、最終的には「自分に合うかどうか」を優先する必要があります。

理由①:高い就職率は「特定の就職モデル」に最適化された結果

就職率が突出して高い事業所は、特定の業種・職種・地域に特化したパイプを持っているケースが多いです。 たとえば「IT特化型で、特定のIT企業へ毎年大量に就職実績がある事業所」では、 IT職を希望しない方にとっては必ずしもベストな選択肢ではありません。 自分の希望する業種・働き方と、事業所の「得意ルート」が一致しているかを必ず確認しましょう。

理由②:「ハイペース」が体調と合わないリスク

就職率が高い事業所ほど、カリキュラムのペースが速く、就活までのタイムラインがタイトな傾向があります。 精神疾患・発達特性により体調の波が大きい方にとっては、このペースに乗り切れず、結果的に通所継続が難しくなる場合もあります。 自分の体調や特性に合わせた「無理のないペース」を設計してくれる事業所のほうが、 長期的には就職と定着の両方で良い結果を生みやすいケースが少なくありません。

理由③:合わない事業所での「高い数字」は意味がない

最も大切なのは、「自分が通い続けられる事業所」であることです。 就職率90%の事業所でも、自分が3ヶ月で通えなくなれば、その数字は自分にとってはゼロと同じです。 支援員との相性、雰囲気、立地、プログラム内容など、「2年通っても辛くない」と感じられる事業所を、就職率と並んで重視してください。

💡 数字と相性、両方を見る

理想は「就職率と定着率がそこそこ高く、かつ自分が居心地よく通える事業所」です。 数字だけ、相性だけ、どちらに偏っても2年間を有意義に使えなくなります。 最低3か所は見学・体験して、複数の事業所を比較したうえで判断しましょう。 また、利用期間そのものや延長制度の詳細は 就労移行支援の利用期間|2年・延長・再利用の条件 にまとめています。

よくある質問

就労移行支援の全国平均就職率は本当に50%ですか?

厚生労働省の「障害者の就労支援対策の状況」掲載データに基づくと、就労移行支援の全国平均就職率は近年おおむね50%前後で推移しています。これは「年間の利用者全員」を分母にした場合の数字で、卒業者ベースだと70〜90%まで上がる事業所も珍しくありません。年度や集計方法によって変動するため、最新数値は厚労省公式ページでご確認ください。

「就職率80%」「90%」と書いてある事業所は本当ですか?

多くの場合、嘘ではありません。ただし「卒業者ベース」「就活対象者ベース」など、分母を絞った定義で算出している可能性が高いです。同じ事業所でも厚労省定義(年間利用者全員ベース)で計算すると30〜50%になるケースもあります。見学時に「分母は何ですか?」「全利用者ベースだと何%ですか?」と質問するのが鉄則です。

就職率がゼロの事業所もあるんですか?

厚労省検討会資料や調査研究によると、年間を通して就職者が1人も出ない事業所が全体の約3割存在するという報告があります。新規開所の事業所、企業開拓のノウハウがない事業所、利用者層が重度に偏っている事業所などに多い傾向です。事業所選びで「就職実績ゼロ」を避けるのは最低限のリスク回避です。

就職率と就職定着率はどう違いますか?

就職率は「内定・入社までたどり着いた割合」、就職定着率は「就職後6ヶ月/1年/3年時点で在籍している割合」です。就職率が高くても定着率が低ければ、結局1年後に職場を離れてしまう人が多いということになります。本人視点では、両方をセットで確認することが最も重要です。

就職率は事業所のどこで確認できますか?

事業所のWebサイト・パンフレットに記載されているのが基本です。記載がない場合は、見学時に直接質問してください。優良事業所は就職率・定着率をきちんと開示しています。WAMNET(独立行政法人福祉医療機構)でも一部の事業所情報が公開されています。

就職率の高さだけで事業所を選べばいいですか?

いいえ。就職率は重要な指標のひとつですが、それだけで決めるとリスクがあります。「自分の希望職種と事業所の得意ルートが合っているか」「カリキュラムのペースが体調に合うか」「支援員との相性がよいか」など、複数の視点で総合判断してください。就職率が高くても、自分が通い続けられない事業所では意味がありません。

2024年の報酬改定で就職率の評価はどう変わりましたか?

令和6年度(2024年4月)報酬改定では、就労移行支援の基本報酬が「就職後6ヶ月時点の定着率」を基に区分される構造が強化されました。つまり、就職させるだけでなく「定着まで責任を持つ」事業所が評価される仕組みです。これにより、事業所側も定着率実績を意識せざるを得なくなり、より質の高い支援が広がる方向性が打ち出されています。

就職率の高い事業所のほうが、実習や訓練が厳しくありませんか?

傾向としてはタイトなスケジュールやハイペースなカリキュラムが組まれる事業所が多いです。体調の波が大きい方や、ゆっくり進めたい方には合わない場合もあります。見学時に「自分のペースで進められますか?」「体調が悪いときの対応はどうなりますか?」と必ず質問しましょう。「数字が高い=優しくない」とは限りませんが、ペース感の確認は大切です。

まとめ:就職率は「読み解いて使う」数字

就労移行支援の就職率は、正しく読み解けば事業所選びの強力な武器になりますが、表面的に見るとミスリードを生む厄介な数字でもあります。 数字そのものより、その背後にある「定義」「定着率」「事業所の構造」を理解することが、本質的な判断につながります。

📋 この記事の要点まとめ

  • 就労移行支援の全国平均就職率は約50%前後。事業所別では0%〜80%超まで極端に分布
  • 就職率の定義は「厚労省定義/卒業者ベース/在籍者ベース」の3種類があり、数字は2倍以上変わる
  • 就職率と就職定着率(6ヶ月/1年)はセットで確認。両方そろって初めて意味を持つ
  • 事業所比較は「ソース確認→定義確認→定着率確認→具体事例ヒアリング」の4ステップで
  • 就職率が高い事業所には「企業開拓力/実習機会/個別カリキュラム」の共通構造がある
  • ただし就職率の高さは万能ではなく、自分に合う事業所選びが最優先
  • 就職率は事業所・時期によって大きく変動するため、数字だけで判断しない姿勢が重要

就労移行支援を初めて検討する方は 就労移行支援とは?2年間の中身・期間延長・就職率の実態まで解説 から制度の全体像を、事業所の見学・体験のコツは 失敗しない就労移行支援の選び方|就職率の数字の裏側まで読み解く 、就労支援サービス全体の比較は 就労支援事業所とは?5サービスの特徴・対象者・費用・選び方を完全解説 をあわせてご覧ください。数字と相性の両方を見て、自分にとってベストな事業所を選んでいきましょう。

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