ココトモ相談員の役割は、相談者の友達(=安心できる繋がり)になることです。
心のケアとは孤独のケア
ココトモでは、心のケアとは孤独のケアだと考えています。
ココトモを頼る相談者の多くは一人ぼっちで悩みを抱えており、相談内容はさまざまですが心の根っこには共通して「孤独」があります。
貧困の問題を抱えている方の相談にのる際にまずは貧困自体へのケア(例:住まいの提供、生活保護、など)が必要なように、孤独の問題を抱えている方の相談にのる際にはまずは孤独自体へのケアが必要です。
そのため、孤独をケアすることが心のケアのスタートになります。
(多くの場合それだけでゴールにもなります)
*相談者の7割以上が「安心して相談できる相手が一人もいない」と回答(ココトモアンケート結果より)
彼らが語っているのは、家族の問題であり、キャリアの問題であり、自尊心の問題であり、パートナーシップの問題です。それぞれは別の問題だし、彼らは異なる状況で、異なることに苦しんでいます。
だけど、それらの奥深いところでは、同じ苦しさが響いている。
そう、彼らは「ひとり」になっています。臨床心理士:東畑開人『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』より
孤独をケアするために必要なもの
孤独をケアするために必要なものは安心できる繋がりです。
ただ繋がりがあれば良いのではなく安心できる繋がりが必要です。
周りにどんなに人がいても、自分の気持ちを理解してくれない人や自分のことを大切にしてくれない人しかいなければ人は孤独を感じます。(*)
僕がうつ病になった際、僕の孤独を救ってくれたのは隣で一緒に泣いたり笑ったりしてくれる友達という繋がりでした。
僕にとっては、医者やカウンセラーとの繋がりよりも、友達という対等かつ自然であたたかい繋がりこそが安心できる繋がりでした。
そのためココトモでは『友達として相談にのる』をコンセプトに掲げ、友達という繋がりを提供することを大切にしています(*´`)
*相談者の多くは家族や知人はいるが安心できる繋がりではないため孤独を感じている
ココトモ相談員の役割
ここまでの内容をまとめると、ココトモ相談員の役割は相談者の友達になることです。
- ココトモ相談員の役割
- 相談者の友達になること
相談者と友達になるためには、以下の心構えが必要だと考えています。
- 相談者と友達になる心構え
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- 関心を持つ
- 丁寧に聞く
- 主観的に共感する
- 自己開示をする
- 相手の意思を尊重する
※補足:『相談者と友達になる心構え』参照
ぜひ①~⑤を心がけて相談者さんに接してください(*´`)
相談員の役割は悩みの解決ではない
ここまでに記載したとおり、ココトモ相談員の役割は相談者の友達になることです。
それは言い換えれば、相談員の役割は相談者の悩みを解決することではないとも言えます。
なぜ解決することが目的ではないのか。
その理由の1つに「悩みと向き合うべき主人公は相談員ではなく相談者本人である」ということが挙げられますが、もっと大切で知っておいていただきたい理由があります。
それは、多くの場合、心の回復には長い時間が必要になるということです。
心に深い傷を負っている方ほど回復には時間が必要です。
心理職によるカウンセリングを受けても半年~数年、場合によっては数十年という期間でのケアになることが一般的です。
そのため、僕ら素人が数日話を聞いたぐらいで相談者の抱えてきた悩みや疾患が根本から解決するような奇跡はほぼ起きないんですよね。
そう聞くと心のケアってとても大変そうに感じてしまいますが、時間が必要というのは必ずしも悪いことだけではありません。
どんな傷であっても時間と共に癒えていくという良い側面もあります。
どんなにつらかった失恋も、時間とともに少しずつ悲しみは薄れていきます。
どんなに生きづらかった自分の特性も、時間とともに付き合い方を学んでいきます。
つまり、良くも悪くも心の回復にはゆっくり待つ時間も必要になります。
だけど、、、孤独だと待つ時間に耐えられないことが多いです。
耐えられないから、何かに極度に依存してしまったり、現実逃避のような行動をしてしまったりします。
友達として相談にのるというのは、嵐が過ぎるのを一緒に待ってあげるということなのかもしれません。
一人だと孤独で耐えられない時間も、二人ならあたたかく感じられる。
友達ってそういうものですよね(*´`)
メンタルヘルスケアの初歩にして最終奥義は、時間をかけて何回も会うことです。
心の変化は劇的な一瞬ではなく、見守られながら流れる地味な時間の蓄積で起こるものだからです。
そのために、日本中の支援者が「また会おう」と約束をしつづけています。臨床心理士:東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』より
- 相談マニュアル参考文献
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- 孤独の本質 つながりの力
- 技法以前
- 雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら
- 聞く技術 聞いてもらう技術
- 居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書
- ふつうの相談
- 当事者主動サービスで学ぶピアサポート
- 精神障がいピアサポーター
- ピアスタッフとして働くヒント
- 臨床心理学の倫理を学ぶ
- カウンセラー 専門家としての条件
- こころの葛藤はすべて私の味方だ。
- 人を助けるということ
- 精神分析における境界侵犯 臨床家が守るべき一線
- 傾聴の基本
- ケアする人の対話スキルABCD
- 「死にたい」に現場で向き合う 自殺予防の最前線
- 「死にたい」と言われたら
- 自殺学入門 知っておきたい自殺対策の現状と課題
- いのちの電話を支える
- 電話相談の実際
- プロカウンセラーの共感の技術
- 精神科医はどのように話を聴くのか
- 野の医者は笑う 心の治療とは何か?
- ロジャーズ クライエント中心療法
- カール・ロジャ-ズ入門 自分が自分になるということ
- SNSカウンセリング・ハンドブック
- SNSカウンセリング・ケースブック
- テキストカウンセリング入門
- 遠隔心理支援スキルガイド
- クライシス・カウンセリング
- カウンセリングとは何か
- カウンセリングの話
- 新・カウンセリングの話
- 河合隼雄のカウンセリング教室
- 河合隼雄の"こころ" 教えることは寄り添うこと
- カウンセリングの実際
- 心をはなれて、人はよみがえる
- ころんで学ぶ心理療法
- 「自己発見」の心理学
- 精神科医の本音
- かかわりの途上で
- だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?
- なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない
- 心はどこへ消えた?
- ケアとは何か
- 物語としてのケア
- 社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法
- 望まない孤独
- 「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由
- 臨床のフリコラージュ 心の支援の現在地