国立大学法人 東北大学病院
edit最終更新日:2023.02.27

主な特徴
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消化器疾患
消化器症状が持続するにもかかわらず、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査では異常が見つからないものを機能性消化管障害と呼びます。【過敏性腸症候群】や【機能性ディスペプシア】がその代表です。それだけでなく、機能性便秘、機能性下痢、中枢性腹痛症候群、機能性食道障害など、多くがストレス関連疾患の要素を持っています。慢性に経過するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下する病態です。機能性消化管障害を医療従事者側が比較的軽い病態と考えているのに対し、患者さん側が極めて重大に感じている”unmet medical needs”であることも判っています。機能性消化管障害では、ストレスを受けてから脳機能が変化し、消化管が影響を受ける脳→腸の病態経路があります。それだけでなく、各臓器の信号が脳に伝達されて脳機能が変化する腸→脳の経路が病態形成を担っています。これらの病態は、消化管機能検査と脳機能画像を用いて明らかにできます。このため、機能性消化管障害はストレス関連疾患全般に応用可能なモデル病態と見なされています。これらに対しては、消化管内圧測定、胃電図、バロスタット、マーカー消化管通過時間測定、脳機能画像、遺伝子多型分析、バイオマーカー、計量心理学的評価など、国内で最も充実した評価システムを用いて評価と診断を行っています。治療法としても、薬物療法だけでなく、自律訓練法、交流分析法、認知行動療法、絶食療法を行っています。東北大学病院心療内科の機能性消化管障害に関する診療・研究レベルは世界的に高い評価を得ています。
機能性消化管障害に似ていますが、明瞭な消化管運動異常を示す疾患群には消化管機能検査が必要です。この消化管運動異常症の代表は、【慢性偽性腸閉塞(CIPO)】や【重症便秘】などの小腸・大腸運動異常、【ガストロパレーシス】などの胃運動障害、【食道アカラシア】や【膠原病による食道運動障害】などの食道運動異常などです。治療は、食道アカラシアに対しては、バルーンを用いた食道拡張術を施行しています。これらの疾患群の根本には筋層間神経叢変性などがありますので、外科、内科各科、総合病院と連携します。 -
摂食障害
【神経性やせ症】(拒食症)、【神経性過食症】は、やせている状態を美とみなす社会風潮の影響を受け、思春期の女性が罹患する【摂食障害】です。これらは、急激な栄養低下が生じるか病悩期間が長引くと、横紋筋融解、心不全、腎不全、脳萎縮、骨粗鬆症、骨髄膠様変化、消化管運動異常などが生じ、生命の危険を伴う疾患群です。最近は男性や20代以上の年齢層でも多くなっています。若い女性で食事量が不足し、低体重性の無月経がある時は、神経性やせ症が疑われます。嘔吐を繰り返す、緩下剤や利尿剤を大量に使用する場合、電解質異常から死に至る場合があり、専門的な治療が必要です。心療内科では個々の患者さんにあわせたテーラーメイドの治療を行っています。摂食障害治療支援センターを院内に開設していますのでそちらも参照して下さい。
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不安とうつ
内科疾患に合併した不安とうつは心療内科の適応です。身体症状を伴う不安障害に【パニック障害】があります。パニック障害では、突然心臓が苦しくなる、息が止まりそうになる、全身がふるえるなどの身体症状と共に、死ぬのではないかという強い不安感が出現するパニック発作を繰り返します。このため特定の場所を避ける(広場恐怖)ようになり、行動制限が生じ、遷延化するとうつを合併します。扁桃体の感作がその病態の中心です。 職場や学校で、あるいは対人交流での問題から抑うつ症状を起こした【うつ病】あるいは【うつ状態】であって、自殺の危険性や幻覚・妄想がない場合、心療内科の適応です。うつではしばしばインスリン抵抗性が認められ、一時的に糖尿病のコントロールを悪化させるような変化が起こります。うつでは、視床下部-下垂体-副腎皮質軸の活性化、これを抑制する海馬神経細胞の萎縮、膝下部前帯状回の過活性が生じています。 心療内科では不安やうつに対して、脳内神経伝達物質と神経細胞新生の研究に基づく薬物療法を行います。また、対人交流の調整あるいはストレス対処法の指導などを行い、症状改善をはかります。また、気分の調整のみならず、うつや不安に伴う様々な身体的変化や症状に対して診断および加療を行います。
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治療法
最新の脳科学と臨床薬理学に基づく薬物療法を行います。また、心身医学療法として自律訓練法、交流分析法などを行っています。また、認知行動療法を実施しています。更に、心身症に対する絶食療法は東北大学病院心療内科が開発した心身をリフレッシュする治療法です。絶食を10日間行いますが、これにより、ケトン栄養になってβヒドロキシ酪酸が増加し、それとともに前頭部脳波αパワーが増大し、陽性情動が生じます。この時期に心理療法を併用することにより、持続的認知行動変容に導くものです。適応は過敏性腸症候群が中心であり、禁忌があり、絶食を完遂する一定の自我強度が必要ですので、実施は慎重にしています。
診療時間
時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00〜12:30 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
予約制(月曜から金曜 8:30から17:00まで 祝日を除く) |
住所・アクセス
住所 |
〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1 |
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アクセス・行き方 | 地下鉄 仙台市営地下鉄「仙台」駅より南北線「泉中央」行きに乗車。「北四番丁」駅で下車、徒歩10分。 バス 仙台市営バス「仙台駅前」60番乗り場より「交通局東北大学病院」行に乗車。「交通局東北大学病院前」バス停下車、徒歩5分。 |
院長紹介

院長:冨永 悌二
東北大学病院は1817年(文化14年)に創設された仙台藩医学校を淵源としています。明治に入り、廃藩置県により仙台藩医学校が廃止され、仙台公立病院、県立宮城病院へと変遷を辿りました。節目となる1915年には東北帝国大学医科大学附属医院となり、東北大学病院が誕生いたしました。2015年には開設から百周年を祝賀し、「これからも、共に生きる」をスローガンに、様々な記念事業を行いました。
本院はこれまでの百有余年にわたって、多くの臨床家・教育者を育成し、日本の医学・医療の発展に貢献してまいりました。一方、地域を守ることも大きな使命であり、今後も東北地方における要として地域医療を支えていきたいと考えています。東北地方は、3.11東日本大震災からの復興も道半ばで、高齢化・過疎化がすすみ、解決しなければならない医療課題が集積しています。本院は、限られた医療資源を有効に活用し、様々な革新的技術を積極的に取り入れ、地域の課題解決にむけて力を尽くしています。
東北大学病院は、厚労省から「特定機能病院」に指定されており、高度医療を安全に提供することはもとより、高度医療の開発や研修も使命としています。また、我が国で最初に認定された医療法上の「臨床研究中核病院」の1つであり、国際的水準の臨床研究や創薬、医療機器開発などの推進が望まれています。院内に設置された「臨床研究推進センター」では、総合大学としての強みを活かしながら様々な企業とともに、これら開発に努めています。また2018年、厚生労働省から「がんゲノム医療中核拠点病院」に指定され、院内に設置した「個別化医療センター」を中心に、東北メディカル・メガバンク機構、医学系研究科と密に連携し、がんゲノム医療を適切に提供できるよう努めてまいります。
昨今、医療における安全性や倫理が社会的に注目されるようになりました。医療の安全は高度医療や先進医療ばかりでなく、日々の医療業務のすべてに求められます。本院では、医療安全のための専任の医師、看護師、薬剤師などからなる「医療安全推進室」を中心に、職員の医療安全や倫理教育を行い、一丸となって、日々、安全安心な医療の提供に取り組んでいます。
このように本院は、新たな取り組みを積極的に展開しつつ、安全・安心な医療の提供に力を尽くし、社会から信頼される病院であり続けられるよう一層の努力を続けてまいります。皆様のご理解、ご支援を宜しくお願い申し上げます。
基本情報
施設名 | 国立大学法人 東北大学病院 |
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診療科目 |
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対応疾患 |
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アピール |
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電話番号 | 022717773 |
メールアドレス | shinryonaika@hosp.tohoku.ac.jp |
住所 |
〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1 |
HP | https://www.hosp.tohoku.ac.jp/ |
ブログ | 無し |
SNS | twitter facebook |
備考 |
東北大学病院心療内科 http://square.umin.ac.jp/thkpsm/index.htm |