発達障害向け就労支援|特性別に選ぶサービスと向いている仕事
edit2026.04.23 visibility29
📌 この記事でわかること
- 発達障害の3タイプ(ASD/ADHD/LD)の特性整理と就労支援の使い分け
- タイプ別の「向いている仕事」「向いていない仕事」を率直に比較
- 就労移行支援/A型/B型のうち、発達特性別に選ぶべきサービス
- 発達障害に強い事業所を見抜く5つの特徴(個別ブース・視覚的指示・支援員の理解度など)
- 二次障害(うつ・適応障害)を防ぐメンタル管理と職場での合理的配慮の伝え方
- 大人の発達障害で診断未取得の場合の流れと、手帳なしでも支援を受ける方法
- オープン就労/クローズ就労の選び方とメリット・デメリット
- ASD型/ADHD型/LD型のモデルケース3パターンで活用イメージが分かる
「ASDだから事務向き?ADHDだから営業向き?──そんな単純じゃない」
「就労移行支援を勧められたけど、発達障害の自分に合うのかわからない」
「過去に何度も離職している。同じ失敗を繰り返したくない」
発達障害(ASD・ADHD・LD)は特性の組み合わせと強さに個人差が大きく、「この障害ならこの仕事」と一括りにできるものではありません。
だからこそ、就労支援サービスを選ぶときは「自分のタイプにどう特性が出ているか」「どんな環境なら力を発揮できるか」を整理することが、就職の成功と長く働き続けることの両方の鍵になります。
この記事では、ココトモが発達特性のある方の就労支援に関わってきた現場視点から、
3タイプ別の向いている仕事/サービス選び/二次障害対策/合理的配慮の伝え方/オープン・クローズ判断/モデルケース
まで、2026年最新の制度と公的データをふまえて整理します。
⚠️ 最初に大切なこと
発達障害の特性の出方は個人差が非常に大きく、本記事の「向いている/向いていない仕事」はあくまで一般的な傾向です。 また、診断や支援方針の決定は必ず精神科・心療内科などの専門家と相談してください。 この記事は受診や相談のきっかけ作り、サービス選びの判断材料としてご活用いただくことを目的としています。
発達障害の3タイプを整理|ASD/ADHD/LDの特性
発達障害は、生まれつきの脳機能の違いによって、対人関係・行動・学習などに特性が現れる状態の総称です。 医学的には「神経発達症群」と呼ばれ、就労支援の現場で多く出会うのは次の3タイプ。 多くの方が単独ではなく複数の特性を併せ持っています(例:ASD+ADHDの併存は珍しくありません)。
① ASD(自閉スペクトラム症)
ASD(Autism Spectrum Disorder)は、対人コミュニケーションの困難さとこだわりの強さ・興味の偏りを中核特性とします。 「空気を読むのが苦手」「予定外の変更が極度に苦痛」「特定分野への集中力が突出」など、 強みと困りごとが裏表になっているのが特徴です。
② ADHD(注意欠如・多動症)
ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は、不注意・多動性・衝動性を中核特性とします。 「興味のあることには驚くほど集中できる(過集中)が、興味のないことに取りかかれない」 「忘れ物・ミスが多い」「思いついたら即動きたい」といった現れ方をします。
③ LD/SLD(学習障害/限局性学習症)
LD(Learning Disability)/SLD(Specific Learning Disorder)は、知的発達には大きな遅れがないものの、 「読む」「書く」「計算する」のいずれか特定の能力に著しい困難があるタイプです。 視覚情報処理が得意だが文字読解が困難(読字障害)、聴覚情報の処理が得意(聴覚優位)など、 得意な認知ルートと不得意な認知ルートの差が大きいのが特徴です。
3タイプの特性比較
| ASD | ADHD | LD/SLD | |
|---|---|---|---|
| 中核特性 | コミュニケーションの困難・こだわり | 不注意・多動性・衝動性 | 読み/書き/計算の特定領域困難 |
| 強み | 正確性・継続性・専門性の深掘り | 発想力・行動力・過集中時のスピード | 得意な認知ルートでは高パフォーマンス |
| 困りやすい場面 | 急な変更・雑談・あいまいな指示 | 定型業務・長時間集中・複数同時並行 | 苦手領域の業務(書類作成・暗算など) |
| 環境調整の方向 | ルーチン化・視覚化・静かな環境 | 変化・短時間集中サイクル・タスク分解 | 苦手回避+得意ルートで補完する設計 |
出典:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」(rehab.go.jp/ddis)/厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)を基に作成
💡 「グレーゾーン」も支援対象になる
診断基準は満たさないが特性傾向が強い「発達障害グレーゾーン」の方も、 実際の就労支援現場には多く来所されます。 診断の有無にかかわらず「働きづらさ」がある方は、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談してみるのが入口です。
タイプ別「向いている仕事」「向いていない仕事」
重要な前提として、「ASDだから〇〇職」と決めつけるのは危険です。 同じ診断名でも特性の出方は人によって全く違うため、 あくまで「傾向として相性が良い/悪い領域」として参考にしてください。 本当に大事なのは、自分の強み・苦手・必要な配慮を言語化することです。
| 向いている仕事の傾向 | 向いていない仕事の傾向 | |
|---|---|---|
| ASD |
・データ入力/経理/品質管理 ・プログラマー/テスター ・研究職/専門職 ・倉庫内ピッキング/清掃 ・図書館・アーカイブ業務 |
・予定変更が頻繁な営業 ・接客(クレーム対応含む) ・複数案件を並行で動かす業務 ・あいまいな指示が多い職場 |
| ADHD |
・営業/企画/マーケティング ・クリエイター(デザイン・動画) ・イベント・現場系の仕事 ・救急医療など瞬発力が求められる職 ・短期集中プロジェクト型業務 |
・長時間の細かい数値チェック ・単調なルーチン作業の連続 ・遅刻に厳しすぎる職場 ・複雑な書類整理が必須の業務 |
| LD/SLD ※認知特性で異なる |
・視覚優位:図面業務、デザイン、動画編集、組立、調理 ・聴覚優位:接客、コールセンター(録音支援あり)、通訳補助 ・体感覚優位:身体を使う仕事、製造、農業、清掃 |
・苦手領域に依存した業務 (例:読字困難で大量の文章読解/算数困難で経理伝票) ・サポートツールが一切使えない職場 |
🙋 「合わない仕事」を避ける情報も同じくらい大事
就活では「向いている仕事」を探すだけでなく、「過去に挫折した職場の共通点」を整理することも有効です。 例えば「電話応対が多い職場で消耗した」「上司から指示があいまいで困った」など、 続かなかった理由を言語化すると、次に避けるべき職場像がはっきり見えてきます。
発達障害の方のサービス選び|移行支援/A型/B型の使い分け
発達障害の方が利用できる就労支援サービスは主に3種類。 体調・現在のスキル・目指す働き方によって選ぶのが基本です。 迷ったときは 就労支援事業所のピラー記事 で全体像を確認しておくとイメージしやすくなります。
🎯
就労移行支援
2年間で一般就職を目指す。IT・事務系に強い事業所を選べば、PCスキル・資格・実習・配慮事項の整理まで一気通貫で支援。発達特性のある方の利用が多いサービス。
💼
就労継続支援A型
雇用契約あり、最低賃金以上の給与で働ける。特性配慮型のA型(PC作業・軽作業中心、過度なノルマなし)が、安定収入と働く実感を両立できる選択肢に。
🌱
就労継続支援B型
雇用契約なし、自分のペースで通える。二次障害で消耗してしまった方や、就労ブランクが長く生活リズムから整えたい方にとって、最初のリハビリ的な居場所になる。
タイプ・状態別おすすめサービス
| 状況 | おすすめサービス | 理由 |
|---|---|---|
| 過去に就労経験あり、体調安定。1〜2年で一般就職を目指したい | 就労移行支援 | スキルアップと配慮事項の整理を並行できる |
| 就労経験なし、新卒〜数年以内、まず働く感覚を掴みたい | 就労移行支援またはA型 | 就労選択支援を併用しアセスメントを受けるのも有効 |
| 体調が不安定、二次障害がある、まず通所を続けたい | B型 → 移行 / A型へ段階的に | 無理せず生活リズムを整える時間を取る |
| すでに障害者雇用で就職済み、職場定着に不安 | 就労定着支援 | 就職6か月後から最長3年、職場と支援員が橋渡し |
特に 就労移行支援 は、発達障害の方の利用が最多層の一つです。 PCスキル習得・資格取得・模擬就労を通じて、自分の特性に合った働き方を2年間かけて整える時間が確保できます。 一方、まず生活ペースを取り戻すフェーズなら 就労継続支援B型 から始めるのも合理的な選択です。
発達障害に強い事業所の5つの特徴
同じ「就労移行支援」「A型」「B型」でも、発達特性のある方への支援ノウハウには事業所ごとに大きな差があります。 見学時に次の5点をチェックすると、発達障害の支援に慣れているかが見えてきます。
発達障害支援が手厚い事業所のサイン
- 個別ブース・パーティションがある(聴覚過敏・視覚過敏への配慮)
- 口頭指示に頼らずマニュアル・チェックリストなど視覚的指示が整っている
- ルーチン化された定型業務(PC入力・封入・検品など)が用意されている
- 支援員が発達特性に関する研修を受けている/公認心理師・精神保健福祉士などの専門資格を持つ
- 休憩エリアが個室・半個室で、集団から離れて一息つける
逆に注意したい事業所のサイン
- 「みんなで一緒に同じ作業」を強調しすぎる(個別ニーズを拾えない可能性)
- 口頭指示中心で、聞き返すと不機嫌になる支援員がいる
- 静かに集中できる場所がない、雑音が常時鳴っている
- ルールが厳格すぎて、体調変動への融通が効かない
- 支援員の入れ替わりが激しく、担当が短期間で変わる
💡 「合理的配慮」が日常に組み込まれているかを見る
発達障害支援の質は、「配慮申請しなくても、最初から配慮設計が日常に組み込まれているか」に表れます。 例えば「集合スペースに加えて1人席もある」「指示は口頭+紙の両方で出す」など、 普通にしていれば配慮が当たり前に行き渡る環境かをチェックしてください。
二次障害(うつ・適応障害)への対処|通所中・就職後のメンタル管理
発達障害のある方が就労支援を利用する中で、もっとも警戒すべきなのが二次障害です。 特性そのものではなく、「環境とのミスマッチ」「失敗体験の積み重ね」「自己否定」から うつ病・適応障害・不安障害などを併発するケースは少なくありません。 むしろ、診断のきっかけが二次障害だったという大人の方も多いのが実情です。
二次障害が起きやすいサイン
- 朝、布団から出られない日が増えてきた
- 通所・出勤前に動悸や腹痛・頭痛が頻発する
- 「自分はダメだ」「迷惑をかけている」という思考がループする
- 休日に何もする気力がなく、寝てばかりいる
- 食欲・睡眠リズムが大きく崩れている
通所中の予防策
-
1
「無理な週5日通所」を最初から目標にしない
特に通所開始から半年は週2〜3日・短時間がスタンダード。 頑張りすぎは離脱の最大要因です。
-
2
体調日誌をつけて支援員と共有する
睡眠・気分・服薬・通所時の負担感を簡単に記録し、面談で共有。 客観データがあると無理のない支援計画を組みやすくなります。
-
3
主治医・支援員・家族の三者で情報共有
通所先と医療機関の情報共有が分断されると、過負荷に気付きにくくなります。 家族の許可を得て、必要に応じ三者で連携する体制が安心です。
-
4
「休む基準」を事前に決めておく
「気分の落ち込みが3日続いたら半休」など、具体的なライン設定が重要。 頑張ってから倒れるのではなく、倒れる手前で休むのが回復を早めます。
就職後のメンタル管理
就職してからは、就労定着支援を活用すれば月1回以上の面談で、 上司との関係調整・業務量の見直し・配慮の追加申請などをサポートしてもらえます。 「自分一人で抱え込まず、第三者を間に置く」のが、長く働き続けるための最大のコツです。
⚠️ 二次障害を疑う症状が出たら必ず受診を
強い気分の落ち込み、希死念慮、長期間続く不眠などは、必ず精神科・心療内科を受診してください。 支援員は医療の専門家ではないため、判断や治療は必ず医師と相談しましょう。 自治体の精神保健福祉センターや「いのちの電話」など緊急時の窓口も活用できます。
環境調整リクエスト例|合理的配慮の伝え方
2024年4月から民間企業にも合理的配慮の提供が義務化されました。 就職活動中・就職後を問わず、自分の特性に合わせた環境調整を申請できる仕組みが整っています。 ただし「察してほしい」では伝わりにくいのが現実。具体的な行動レベルで言語化するのがコツです。
ASDの方の合理的配慮リクエスト例
- 指示は口頭+メール(テキスト)でいただきたい
- 業務手順をマニュアル化してほしい
- 急な仕様変更がある場合は30分以上前に予告してほしい
- 雑談・飲み会の参加は強制でなく任意にしてほしい
- 蛍光灯のチラつき・隣席との距離など感覚過敏の配慮を相談したい
ADHDの方の合理的配慮リクエスト例
- タスクは1つずつ・期限を明示して依頼してほしい
- 長時間の連続作業は避け、短時間ブロック+休憩のサイクルを許可してほしい
- 重要な〆切はリマインダー設定や声かけを許可してほしい
- うっかりミス防止のためダブルチェック体制を組んでほしい
- 静かな個別席やノイズキャンセリングイヤホンの使用を許可してほしい
LDの方の合理的配慮リクエスト例
- 長文資料は音声読み上げソフト使用を許可してほしい(読字困難)
- 手書き提出が求められる書類はPCタイピングでの提出を認めてほしい(書字困難)
- 計算業務は電卓・表計算ソフトの常時使用を許可してほしい
- 図解・フローチャートでの業務指示を希望
- 会議内容は議事録の事前共有・録音を希望
🙋 配慮申請は「ナビゲーションブック」にまとめると伝わる
就労移行支援などで作成する「ナビゲーションブック」は、自分の特性・得意・不得意・必要な配慮を1〜数枚にまとめた書類で、 就職活動の面接や入社後の上司・同僚への自己紹介ツールとして活用できます。 「これを読めば自分のことが伝わる」一冊を作っておくと、口頭での説明が苦手な方ほど助けられます。
大人の発達障害で診断未取得の場合|受診と利用の流れ
「子どもの頃に診断を受けたことはないが、大人になって働く中で違和感が強くなった」── そんな大人の方の発達障害相談は近年増加しています。 診断や手帳がなくても就労支援が使えるケースは多いので、「とりあえず動き始める」のが大切です。
診断を受ける流れ
-
1
発達障害に対応した医療機関を探す
一般精神科の中でも「成人発達障害外来」「大人の発達障害」を掲げているクリニックを優先。 各都道府県の発達障害者支援センターに問い合わせれば、地域の対応医療機関を案内してもらえます。
-
2
問診・心理検査の予約
初診は数週間〜数か月待ちのケースも。 診断にはWAIS(成人知能検査)・AQ・CAARSなどの心理検査が用いられます(数日に分けて実施)。
-
3
診断・診断書の発行
結果を踏まえ医師が診断。「障害福祉サービス利用のため」と用途を伝えると、必要な記載のある診断書を発行してもらえます。
-
4
市区町村窓口で受給者証申請
診断書を持って障害福祉窓口で受給者証を申請。 手帳がなくても、診断書ベースで支給決定が下りる自治体は多数あります。
手帳なしでの利用について
精神障害者保健福祉手帳の取得は任意であり、就労支援サービスの利用には必須ではありません。 手帳取得には初診から原則6か月の経過が必要なため、 まずは診断書ベースで就労支援を始め、必要に応じ後から手帳取得という順序でも問題ありません。 詳しい流れは 障害者手帳なしで使える就労支援の解説記事 もあわせてご確認ください。
出典:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」(rehab.go.jp/ddis)/厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp)
💡 診断を受ける/受けないは本人の意思で
診断を受けることへの心理的ハードルは決して低くありません。 「診断されたら自分が変わってしまう気がする」と感じる方もいます。 診断は「困りごとを軽減する手段の1つ」であって、自分を否定するものではありません。 迷ったときは支援センターや相談支援事業所など、利害関係のない第三者に相談してみてください。
就職活動でのオープン/クローズ就労判断
発達障害のある方の就職では、障害を企業に開示するか(オープン就労)/開示しないか(クローズ就労)の判断が大きな分かれ道になります。 どちらが正解という話ではなく、自分の状態と希望に合わせて選ぶのが本筋です。
✅ オープン就労のメリット
- 合理的配慮を受けやすい
- 障害者雇用枠で応募可(採用されやすい)
- 就労定着支援との連携がスムーズ
- 体調・特性を隠さずに済む心理的負担減
- 長く働ける可能性が高まる
⚠️ オープン就労のデメリット
- 給与水準は一般枠より低い傾向
- 業務範囲・昇進機会が限定的なケースあり
- 応募できる求人数が限られる
- 同僚に伝わる範囲のコントロールに気を遣う
✅ クローズ就労のメリット
- 給与・職位の上限が一般並み
- 応募できる求人数が圧倒的に多い
- キャリア構築の自由度が高い
- 障害を「自分の一部」として伝えるかは任意
⚠️ クローズ就労のデメリット
- 合理的配慮を受けにくい
- 体調不良・特性による失敗を理解されにくい
- 早期離職リスクが上がる傾向
- 常に「隠している」心理的疲弊
- 就労定着支援が使いづらいケースあり
判断のポイント
- 過去に同じ理由で離職を繰り返している方 → オープンを検討(同じパターンの再発を避ける)
- 一定の配慮があれば長く働ける確信がある方 → オープンが安心
- 特性が軽度で配慮なしでも対応できる方 → クローズも選択肢に
- 給与・キャリアを最優先したい方 → クローズ+高い自己管理力
- 判断に迷う方 → まずはオープンで応募し、内定後に交渉する道もある
💡 「セミオープン」という選択肢も
最近は「直属の上司・人事だけに伝え、同僚には伝えない」といった 開示範囲を絞るセミオープン就労も広がっています。 就労移行支援の支援員と相談し、自分にとって居心地の良い開示レベルを設計しましょう。
モデルケース3パターン|ASD型/ADHD型/LD型の活用例
発達障害の特性別に、就労支援サービスを活用した3つのモデルケースを紹介します。 あくまで一例であり、個人差が大きいことを前提としてご覧ください。
ケースA|ASD型・元プログラマーのAさん(28歳・男性)
Aさんは大学卒業後にIT企業へ就職したものの、急な仕様変更や雑談中心の社内文化で消耗し、3年で退職。 休職を経てうつ病の診断も受けました。退職後、ASDの診断を受け、就労移行支援(IT特化型)へ通所開始。
- 0〜6か月:週3日の通所で生活リズムを整え、自己理解ワークでASD特性を可視化
- 6〜12か月:プログラミング・テスター訓練、配慮事項を整理したナビゲーションブック作成
- 12〜18か月:障害者雇用枠でIT系のテスター職に応募、内定取得
- 就職後:就労定着支援で月1回面談。仕様変更時の事前通知ルールを上司と合意
ケースB|ADHD型・転職を繰り返してきたBさん(32歳・女性)
Bさんは事務職を中心に転職を5回繰り返し、その都度ケアレスミスや遅刻で評価が下がっていました。 30歳でADHDの診断を受け、自分に合う働き方を模索するため就労移行支援(営業・企画系も扱う事業所)へ。
- 0〜6か月:体調安定と特性理解、過集中の波を体感的に把握
- 6〜12か月:マーケティング・SNS運用の訓練、興味分野での過集中を活かす業務スタイルへ
- 12〜18か月:実習を通じて「定型業務だけの職場は不向き」「変化のある業務が向く」と判明
- 就職:オープン就労でWebマーケティング職に就職。タスク分解とリマインダー活用が許可された
ケースC|LD型・接客で力を発揮するCさん(24歳・男性)
Cさんは小学生のころからの読字障害で、文章を読むのが極端に苦手。 一方で聴覚情報処理が得意・対人コミュニケーションが好きな聴覚優位型。 高校卒業後にA型事業所で軽作業を経験するも合わず、就労移行支援で再出発。
- 0〜6か月:認知特性検査で聴覚優位型と判明。読み上げソフトの活用練習
- 6〜12か月:接客・電話応対のロールプレイ訓練、コミュニケーション力を磨く
- 12〜18か月:飲食店での実習で店舗運営に興味を持つ
- 就職:オープン就労でホテル業界のフロント補助職に就職。マニュアルは音声読み上げで対応
🙋 「自分に近いケース」を出発点にしてOK
モデルケースを見て「自分はこのパターンに近いかも」と感じたら、 まずはその方向で見学・相談を始めてみてください。 実際に動き始めてから「やっぱり違う」と気付くこともよくあります。 「動きながら調整する」のが、発達特性のある方の就活でも王道です。
よくある質問(FAQ)
発達障害の診断がなくても就労支援は使えますか? ▼
多くの自治体で、医師の診断書(「障害福祉サービス利用のため」と明記)があれば手帳なし・確定診断前でも利用できるケースがあります。グレーゾーンの方も含め、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談してみるのが入口です。
ASD・ADHDが併存していますが、サービス選びで気をつけることは? ▼
併存ケースは決して珍しくなく、現場ではむしろ多く出会います。「どちらの特性が今の生活で困りごとを生んでいるか」を整理して、その特性に強い事業所を選ぶのが基本です。例えば「ADHDの不注意で離職を繰り返している」なら、タスク管理サポートが手厚い事業所、「ASDの感覚過敏で消耗している」なら個別ブースのある事業所、といった形です。
大人になってから発達障害の診断を受けました。今から就労支援は遅くないですか? ▼
遅くありません。実際に30代・40代以降で診断を受けて就労移行支援を活用し、再就職に成功する方は年々増えています。むしろ社会人経験があるぶん、自己理解と配慮事項の整理がスムーズに進みやすい側面もあります。年齢で諦めず、まずは見学から動いてみましょう。
事業所内の人間関係に不安があります。発達障害の方が多い事業所の方が安心ですか? ▼
必ずしもそうとは限らず、「同じ特性同士なら自動的に相性が良い」訳ではありません。むしろ大事なのは、事業所が個別ブースや静かな休憩スペースなどを用意し、「無理に集団に溶け込まなくてよい仕組み」を持っているかです。見学時に休憩スペースや席配置を観察してみてください。
合理的配慮を申請したら採用されにくくなりますか? ▼
2024年4月から民間企業も合理的配慮の提供が義務化されており、配慮申請を理由に採用判断を不利にすることは法律上認められません。むしろ、明確に配慮事項を伝えられる候補者は「自己理解が進んでいる」と評価されるケースも多くあります。曖昧に隠して入社後にミスマッチが起きるよりも、最初に開示する方が長期的には双方にとって有益です。
二次障害(うつ)が出てしまい、通所が辛いです。どうすれば? ▼
まず主治医に相談し、必要なら通所頻度を週1〜2日に減らす、一時的に休所する、またはB型事業所に切り替えるなどの選択肢があります。「頑張って通い続ける」ではなく「立て直す時間を取る」のが回復の近道です。事業所の支援員と相談支援専門員にも早めに状況を共有しましょう。
クローズ就労で就職した後にオープンに切り替えることはできますか? ▼
可能ですが、入社後の開示は「契約条件の変更」を伴うため、企業の人事・上司との丁寧な対話が必要になります。手帳を取得して人事と相談する、産業医・産業カウンセラーを介する、就労定着支援を活用するなど、第三者を間に置くとスムーズに進みやすいです。
発達障害の方に在宅・テレワーク就労は向いていますか? ▼
感覚過敏のあるASDの方や、通勤負担が大きいADHDの方には、在宅勤務が大きなメリットになるケースがあります。一方で、自己管理が必要なため、ADHDで時間管理が苦手な方には逆に難しい面も。最近は週1〜2日通勤+週3〜4日在宅の「ハイブリッド型」が増えており、特性に合わせて選べる時代になっています。
まとめ:発達障害の就労支援は「自分の特性を翻訳できる場所」を選ぶ
発達障害(ASD・ADHD・LD)のある方の就労支援は、「障害名で決める」のではなく「自分の特性の出方で選ぶ」のが鉄則です。 同じ診断名でも、得意・不得意・必要な配慮は人それぞれ。だからこそ、 自分の特性を理解し、それを支援員と一緒に「働ける形」に翻訳できる場所を選ぶことが、就職とその後の継続を分ける一番の要素になります。
📋 発達障害の就労支援を活用するためのポイント
- ASD/ADHD/LDの3タイプの特性を整理し、自分の出方を言語化する
- 「向いている仕事」だけでなく「合わなかった仕事の共通点」も振り返る
- 就労移行支援/A型/B型を体調・スキル・目標で使い分ける
- 事業所選びは個別ブース・視覚的指示・支援員の専門性をチェック
- 二次障害の予防のため、無理せず週2〜3日からスタート
- 合理的配慮は具体的な行動レベルでリクエスト
- 診断未取得・手帳なしでも利用可能な自治体は多い
- オープン/クローズ/セミオープンの選択肢を支援員と整理
繰り返しになりますが、発達障害の特性の出方には大きな個人差があり、 本記事の内容はあくまで一般的な傾向です。 診断・治療・支援方針の最終判断は、必ず精神科・心療内科などの専門家や、お住まいの自治体の相談窓口と相談してください。 動き始める一歩目として、まずは無料の見学・体験から検討してみるのがおすすめです。 関連サービスの詳細は ASD向け就労支援・ADHD向け就労支援 もあわせてご覧ください。
- 全国の就労支援事業所を掲載中!
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ココトモでは、全国の就労移行支援・就労継続支援A型・B型事業所を掲載しています。2万件以上の事業所を都道府県/対応障害/訓練分野などから探せます。
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