就労支援事業所の見学・体験利用ガイド|当日の流れと聞くべき質問30選
edit2026.04.23 visibility26
📌 この記事でわかること
- 「見学」「体験利用」「実習」の違いと、なぜ複数事業所を見るべきかの理由
- 申し込みから決定までの6ステップの全体像(所要日数・準備物・当日所要時間まで)
- 当日の服装・持ち物・タイムテーブルと、見学時に観察したい10項目
- 支援員目線で厳選した当日聞くべき質問30選(カテゴリ別)と、答えにくい質問の見抜き方
- 体験利用での過ごし方、5観点×5段階の振り返りシート、複数事業所の比較方法
- やってはいけない見学・体験5パターンと、合わない場合の上手な断り方
「就労支援事業所に見学に行くことになったけれど、何を着て、何を持っていけばいいの?」
「現場で何を質問すれば後悔しないのか、正直よくわからない」
「体験して『なんとなく良さそう』だったけど、本当にここで決めてしまっていいのか不安」
見学・体験利用は、就労支援事業所選びで最も結果を左右する一日です。HPやパンフレットでは絶対にわからない「日々の運営の素の姿」を、現場で確かめられる唯一の機会だからです。
この記事では、ココトモが現場の支援員視点で、申し込みから決定まで/当日の流れ/観察すべき10項目/聞くべき質問30選/断り方・振り返りシートまで、見学・体験利用の実務マニュアルを2026年最新情報でまとめてお届けします。事業所選びの総論については 就労支援事業所の選び方|失敗しないための10チェックポイント も合わせてどうぞ。
見学・体験利用・実習の違いを最初に整理する
「見学に行きます」と言っても、実際にはいくつかの種類があります。事業所によって用語の使い方は微妙に異なりますが、おおむね下表の3段階で考えると整理しやすいです。事業所により対応は異なるため、申し込み時に「これは見学ですか体験ですか」と最初に確認しましょう。
| 見学 | 体験利用 | 実習 | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 事業所の雰囲気・環境を知る | 実際の作業や1日の流れを体感する | 本契約前の最終確認/適性把握 |
| 所要時間の目安 | 30分〜1時間半 | 半日〜1日(複数日のケースも) | 2日〜2週間 |
| 作業参加 | 原則しない(説明と見学のみ) | 軽く参加する | 実際の利用者と同じスケジュールで参加 |
| 受給者証 | 不要 | 原則不要(事業所により要相談) | 不要〜要相談(自治体差あり) |
| 費用 | 無料 | 多くの事業所で無料 | 無料が一般的(昼食実費の場合あり) |
| 適したタイミング | 初回・候補絞り込み段階 | 候補が2〜3に絞れた段階 | 最終判断・契約直前 |
なぜ「複数事業所」を見るべきなのか
1か所しか見ないと、その事業所が「平均的なのか、優れているのか、要注意なのか」を判断する基準が持てません。比較対象がない状態では、たとえ営業的な雰囲気の説明であっても「そういうものか」と納得してしまいがちです。
厚生労働省の公表資料によれば、就労系障害福祉サービスの事業所は全国に約2万か所以上あり、約45万人が利用しています。同じサービス名でも事業所による差は非常に大きいため、最低でも3か所を見学・比較するのが原則です。比較の視点については後段の「複数事業所を比較する方法」で詳しく扱います。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/同ページ掲載の事業所数・利用者数統計を参照
💡 見学=事業所側にとっても「相性確認」の場
見学・体験は、利用者が事業所を「選ぶ」場であると同時に、事業所側も「この方を支援できそうか」を見ている場です。お互いに無理な相性のまま契約に進むのは双方にとって不幸なので、見学に来てくれただけでも事業所は歓迎しています。気負いすぎず、自分の素の状態で参加しましょう。
申し込みから決定までの全6ステップ
一連の流れを最初に俯瞰しておくと、当日の動きが落ち着きます。問い合わせから決定まで、おおむね2週間〜1か月程度を見込んでおくと無理がありません。事業所利用までの全体的な流れは 就労支援事業所の利用申し込みから通所開始までの流れ を参照してください。
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1
問い合わせ(電話・メール・公式フォーム)
候補事業所のHPで連絡先を確認し、「見学を希望しています」と伝えます。電話が苦手な方はメール・問い合わせフォームでも問題ありません。「障害者手帳はないがサービスを検討中」「現在通院中」など、自分の状況を簡潔に伝えると話が早く進みます。複数事業所に同時並行で問い合わせて構いません。
-
2
日程調整・事前ヒアリング
見学日を調整します。事業所側から「現在の状況・目的・通院歴・希望サービス」などを簡単に聞かれることが多いです。日程は平日午前〜昼過ぎが一般的(利用者の活動時間帯のため)。雨天時の交通遅延も想定して、余裕のある日を選びましょう。
-
3
事前準備(質問リスト・持ち物)
後段の「聞くべき質問30選」と「観察ポイント10項目」を印刷またはスマホにメモしておきます。複数事業所を回る場合は、同じ質問リストを使って記録すると比較しやすくなります。家族・相談支援専門員に同行を依頼することも遠慮なくOKです。
-
4
見学・体験当日
5〜10分前に到着し、施設責任者または担当支援員から事業所説明を受けます。施設見学→質疑→(体験の場合)作業参加の流れが一般的。所要時間は見学で1時間前後、体験で半日〜1日です。途中で疲れたら正直に伝えれば早めに切り上げてもらえます。
-
5
振り返り(同日中〜翌日)
記憶が新しいうちに、後段の振り返りシート(5観点×5段階)に記入しましょう。複数事業所を比較する場合は、各事業所同じフォーマットで記録します。同行した家族・相談支援専門員と感想を共有すると、自分一人では気づけなかった視点が得られます。
-
6
決定・お断り・追加体験の連絡
見学・体験から1週間以内を目安に、結果を事業所に連絡します。決める/断る/さらに体験したい、いずれもメール一本で十分。誠実に決断を伝えれば失礼にはなりません。「他と比較して検討中」と正直に伝えるのも問題ありません。お断りの具体的な文例は後段で紹介します。
当日の服装・持ち物・所要時間の目安
服装の基本:きれいめカジュアルでOK
就労支援事業所の見学・体験は、面接ではないのでスーツである必要はありません。むしろ、ふだん通所する場合に近い格好のほうが自然です。次のいずれかなら問題ありません。
- きれいめカジュアル:襟付きシャツ・ブラウス+チノパン・スカート+スニーカー(最も一般的)
- オフィスカジュアル:ジャケット羽織+無地のトップス+パンツ(より丁寧な印象)
- 体験で作業する日:動きやすいトップス+パンツ+スニーカー(事前に「体験あり」か確認)
避けたいのは、過度に露出のある服装、強い香水、サンダルやヒールなど安全性に欠ける靴、派手すぎる色味です。髪・爪が清潔なら基本は十分。事業所によってはアクセサリーの着脱を案内されることもあります。
持ち物チェックリスト
必須
- 筆記用具・メモ帳(スマホメモでも可)
- 質問リスト(後段の30選から自分が気になるものをピック)
- 身分証(運転免許証・マイナンバーカード等)
- 飲み物(夏場は熱中症対策にも)
- 事業所の住所・地図・連絡先(迷ったとき用)
あると便利
- 障害者手帳・受給者証(あれば。なくても見学は可能)
- 診断書・主治医意見書(事前にコピー依頼があった場合)
- お薬手帳(体調が崩れたとき用)
- イヤホン・耳栓(聴覚過敏のある方)
- 羽織もの(冷房が強い事業所もある)
- 体験する場合:着替え・タオル・上履き(事前指示がある場合)
所要時間の目安と1日の流れ(例)
| 時間帯 | 内容 | 所要 |
|---|---|---|
| 到着前 5〜10分 | 事業所周辺の到着確認・トイレなど | ― |
| 0:00〜0:10 | 受付・自己紹介 | 約10分 |
| 0:10〜0:30 | 事業所概要・サービス説明 | 約20分 |
| 0:30〜0:50 | 施設見学(作業スペース・休憩室・トイレなど) | 約20分 |
| 0:50〜1:20 | 質疑応答・個別相談 | 約30分 |
| 1:20〜1:30 | 次回(体験・契約)の案内・解散 | 約10分 |
上は見学のみのケースで合計約1時間半。体験を組み合わせる場合は、これに2〜4時間の作業参加が加わり、半日〜1日コースになります。疲れやすい方は「見学のみで一旦帰宅し、後日体験」のように分割することも可能です。
見学時に観察すべき10項目
質問への答えと同じくらい大切なのが、「現場で目と耳で確かめる情報」です。HPやパンフレットには絶対に出てこない、日常運営の素顔がここに表れます。事業所により対応は異なりますが、以下の10項目は最低限チェックしましょう。
観察ポイント10
- ① 施設の整理整頓:作業スペースが片付いているか、書類が散乱していないか、清掃が行き届いているか
- ② バリアフリーと安全性:通路の幅、避難経路の表示、消火器の配置、危険物の管理
- ③ 利用者の表情:笑顔や雑談があるか、暗い表情で下を向いていないか、緊張感が異常に高くないか
- ④ スタッフの言葉遣い:利用者を名前で呼んでいるか、命令口調・タメ口の不快な使い方をしていないか
- ⑤ スタッフ同士の関係性:自然に会話・連携しているか、ピリピリした雰囲気がないか
- ⑥ 作業内容の実態:HP記載のカリキュラムが本当に実施されているか、誰がどんな作業をしているか
- ⑦ 休憩室・個別ブース:体調が悪くなったとき退避できるスペースがあるか、騒音から離れられるか
- ⑧ トイレ・水回りの清潔感:地味だが事業所の運営姿勢が最もよく出る場所
- ⑨ 掲示物・お知らせの更新日:直近1か月以内の情報が掲示されているか、何か月も前のままになっていないか
- ⑩ 自分の体感(呼吸・緊張):建物に入った瞬間に呼吸が浅くならないか、長居したいか早く帰りたいか
🙋 「直感」も立派な判断材料
「言葉では説明しにくいけれど、なんとなく合わない気がする」という感覚は、無視しないでください。発達障害・精神障害のある方は特に、環境のわずかな違和感に敏感に気づける力を持っています。「呼吸が楽になるか、苦しくなるか」を一つの判断軸にしてOKです。
当日聞くべき質問30選(カテゴリ別)
見学時間は限られているので、事前に「絶対に聞くこと」を絞り込んで持参しましょう。以下はカテゴリ別の30問です。すべてを聞く必要はなく、自分の状況・サービス種別に合わせて10〜15問を選ぶのが現実的です。サービスごとの選び方の詳細は 就労移行支援の選び方、就労継続支援A型の選び方 も参考にしてください。
📈
A. 実績を聞く(5問)
① 過去1年の就職者数の実数は?(移行・A型)
② 就職後1年・3年の定着率は?
③ 平均工賃/平均賃金の月額と過去3年の推移は?
④ 平均利用期間と、卒業/退所の理由内訳は?
⑤ 利用者の障害種別・年齢層の構成比は?
🗓️
B. 日々の運営を聞く(5問)
⑥ 1日の典型的なタイムテーブルを実例で教えてもらえますか?
⑦ 仕事内容は自分で選べますか?ローテーションはありますか?
⑧ 行事・イベント(集団活動)はどのくらいありますか?
⑨ お昼ごはんはどうしていますか(持参/提供/外食)?
⑩ 在宅・テレワーク参加は可能ですか?
👥
C. スタッフ体制を聞く(5問)
⑪ 支援員の資格と配置人数を教えてください
⑫ 利用者と支援員の面談頻度は?担当制ですか?
⑬ スタッフの平均勤続年数・直近1年の離職率は?
⑭ 体調悪化や人間関係のトラブル時、どう対応しますか?
⑮ 主治医・家族との連携はどの程度行いますか?
💰
D. 給与・工賃を聞く(5問)
⑯ A型の場合、給与の計算方式と最低・最高の幅は?
⑰ 昇給の条件・頻度はありますか?
⑱ B型の工賃は時給/出来高/月給のどの方式ですか?
⑲ 賞与・交通費・食事補助の有無は?
⑳ 工賃明細はどのように開示されますか?
📝
E. 契約条件を聞く(5問)
㉑ 体調不良で休む場合の連絡方法・ペナルティは?
㉒ 出席率が下がった場合、契約・雇用にどう影響しますか?
㉓ 通院・主治医面談での遅刻・早退は柔軟に認められますか?
㉔ 退所したい場合の手続きと必要日数は?
㉕ A型の解雇基準・B型の利用終了基準を教えてください
🌱
F. 卒業後を聞く(5問)
㉖ 就職先の業種・職種の傾向は?オープン/クローズの比率は?
㉗ 就労定着支援の連携体制はありますか?
㉘ 卒業生との交流・OB会のような場はありますか?
㉙ 卒業後に再相談したくなった場合、対応してもらえますか?
㉚ 万一、事業所が閉鎖・縮小する場合の対応方針は?
💡 「全部その場で答えられない」のは普通
質問の中には、担当者がその場で即答できないもの(離職率・スコア・閉鎖時対応など)もあります。誠実な事業所は「持ち帰って後日メールでお返事します」と返してくれます。むしろその場で「全部答えられる」と即答する事業所のほうが、数字を盛っている可能性があるくらいです。回答メールが来るかどうか、内容が具体的かどうかも、判断材料にしましょう。
答えにくい質問・困った答えの見抜き方
質問への回答は「内容」と同じくらい「答え方」が重要です。下表の右列のような答えが返ってきたら、その質問について別の事業所と比較したり、後日詳細を再確認するのが安全です。
| 質問内容 | 誠実な答え方の例 | 要注意な答え方 |
|---|---|---|
| 就職率は? | 「過去1年で○名が就職、定着率は1年で○%です」 | 「みなさん活躍されています」「高い実績があります」 |
| 体調不良時の対応は? | 「電話一本でOK、ペナルティはありません。出席率が3か月連続で○%以下になった段階で面談します」 | 「無理せず通ってもらえれば」「気合いで頑張りましょう」 |
| スタッフの離職率は? | 「直近1年で○名が退職しました。理由は出産・転居が中心です」 | 「みんな長く働いてくれています」(数値なし) |
| 工賃・給与の幅は? | 「最低○円〜最高○円、平均○円です。明細はご希望なら開示します」 | 「人によります」「平均的な金額です」 |
| A型のスコアは? | 「○点です。算定根拠も書面でお見せできます」 | 「スコア?特に意識していません」「公表する性質のものではありません」 |
| 退所したいときの手続きは? | 「○日前までにご連絡ください。引き止めはしません」 | 「あまり例がないのでわかりません」「まずは続けてみましょう」 |
| 閉鎖・縮小の予定は? | 「現時点で予定はありません。法人として複数拠点・複数事業を運営しています」 | 「考えたこともありません」(即答せず動揺する/不機嫌になる) |
⚠️ 即時撤退レベルの「困った答え」
- 「契約は今日中に決めてください」と急かしてくる
- 「他の事業所は質が低い」と競合の悪口を言う
- 「研修費」「教材費」などの追加料金を請求してくる
- 体調や障害特性について否定的・差別的な言い方をする
- 他の利用者の個人情報(病名など)をうっかり話してしまう
体験利用での過ごし方とチェックポイント
見学で「ここは候補に残せる」と感じたら、次は体験利用です。1日でも、可能なら2〜3日連続で体験できると、より素の事業所が見えます。体験中の過ごし方を5ステップで整理しました。
-
1
朝の入室時:挨拶と空気感を観察
利用者・スタッフがどんな挨拶を交わしているか、朝礼やラジオ体操などの集団活動はあるか、欠席連絡が淡々と共有されているかを観察しましょう。朝の空気感には、その事業所の文化が最もよく表れます。
-
2
作業参加:自分の特性に合う作業か体感する
実際に手を動かしてみて、「この作業を週5日やれそうか」を体感します。難易度・速度・集中力の必要量・身体的負担を、自分の体調と照らし合わせましょう。複数種類の作業を試させてもらえる事業所もあります。
-
3
休憩時間:他の利用者と話してみる
可能なら他の利用者に「ここに通って何か月/何年ですか」「いいところ・気になるところは何ですか」と聞いてみましょう。スタッフがいない場で出てくる正直な声は何より参考になります。話しかけにくければ、雑談の輪に近い席で耳を傾けるだけでも雰囲気がわかります。
-
4
支援員との個別面談:本音を伝える
多くの体験では、終了前に支援員との個別面談があります。「ここが気になった」「これは続けられそう/続けにくそう」と率直に伝えると、事業所側も合理的配慮の可能性を提案してくれます。「すべて完璧でした」と取り繕う必要はありません。
-
5
帰宅後:当日中に振り返りメモを書く
記憶が新しいうちに、後段の振り返りシートに記入します。「事業所を出た直後の体感」(疲労・気分・また行きたいか)も忘れずメモしましょう。1日経つと印象が薄れてしまうため、当日中の記録が比較で生きてきます。
振り返りシート:5観点×5段階で整理する
各事業所を同じフォーマットで採点すると、複数事業所の比較が一気に楽になります。5観点それぞれ5段階(5=とても良い/4=良い/3=普通/2=気になる/1=合わない)で評価しましょう。
🏠
① 環境(建物・清潔感・通所のしやすさ)
通所時間・乗り換え回数・施設の清潔感・休憩室・バリアフリー・空調などの物理環境。
評価:5・4・3・2・1
👥
② 人(スタッフ・利用者の雰囲気)
支援員の対応・利用者の表情・人間関係・自分との相性。「ここで毎日過ごしたいか」の感覚。
評価:5・4・3・2・1
📋
③ 仕事内容・カリキュラム
作業の種類・難易度・選択の自由度・自分の特性とのマッチ度。「飽きずに続けられそうか」。
評価:5・4・3・2・1
🤝
④ 支援の質と柔軟性
体調不良時の対応・通院との両立・面談頻度・合理的配慮の実例。「困ったときに相談できる安心感があるか」。
評価:5・4・3・2・1
🛡️
⑤ 安心感(運営の安定性・透明性)
運営法人の規模・実績・WAMNETスコア・質問への回答姿勢・契約条件の説明の丁寧さ。
評価:5・4・3・2・1
📝
合計と総評
合計点(25点満点)と、自由記述で「最も良かった点」「最も気になった点」「直感的な合う/合わない」を1行ずつ。
20点以上なら有力候補、15〜19点ならもう一度体験を、14点以下は別事業所を優先するのが目安です。合計点だけでなく「1や2が含まれていないか」も重要。1の項目が1つでもある事業所は、その項目が後々の通所継続を脅かす可能性が高いと考えましょう。
複数事業所を比較する方法(最低3か所推奨)
比較は「同じフォーマット」「同じ質問」「近い時期」の3点を揃えるのがコツです。1社目から1か月以上空くと、最初の事業所の記憶が曖昧になり、最後に見た事業所が良く見える錯覚(「新近効果」)に引きずられます。可能なら2〜3週間以内に3か所を回りましょう。
比較のステップ
①
候補リストを作る
WAMNET・地域の相談支援専門員・口コミ・知人紹介などから5〜7事業所を候補に挙げ、HPで比較して3〜4事業所に絞る
②
同じ質問リスト・振り返りシートを使う
本記事の質問30選から自分用の10〜15問を選び、5観点5段階シートも事業所ごとに同じ枠で記録する
③
2〜3週間以内に集中して回る
体調を見ながら、週1〜2回ペースで見学。3か所目が終わったら、同行者と一緒に総評を書き出す
④
上位2か所で体験利用
合計点上位2か所に絞って、体験利用(できれば複数日)を申し込み、最終比較する
⑤
第三者の意見を聞く
家族・相談支援専門員・主治医など、自分以外の視点で「客観的にどう見えたか」をヒアリング
⑥
1週間置いてから決める
直近の印象に流されすぎないよう、最後の体験から1週間置いて再度シートを見返し、最終決定する
A型・B型・移行支援を横断的に検討する場合は、就労継続支援A型の選び方 や 就労継続支援B型の選び方 も合わせて読むと、サービス特有の比較軸が見えてきます。
やってはいけない見学・体験5パターン
最後によくある「もったいない見学・体験パターン」を5つ紹介します。事前に知っておくだけで防げるものばかりです。
⚠️ 5つの「やってはいけない」
- 1か所だけ見学して即決する:比較対象がないため判断を誤りやすい。最低3か所が原則
- 「お任せします」で質問しない:質問しないと事業所の素顔は見えない。質問リスト持参を必須に
- 「申し訳ない」気持ちで断れない:見学・体験は「断る前提で見比べる」ためのもの。罪悪感を持つ必要はない
- 体調不良なのに無理して参加する:本来の自分の状態で見られないと比較が歪む。延期は遠慮なくOK
- 振り返りメモを書かずに数日経過させる:印象が薄れて比較できなくなる。当日中の記録を絶対化
🙋 上手なお断りの伝え方(文例)
お断りはメール一本で十分です。失礼にならない文例を挙げます。
例1(他事業所に決めた場合):
「先日は見学・体験のお時間をいただきありがとうございました。慎重に検討した結果、別の事業所にて利用を進めることに致しました。丁寧にご説明いただき感謝しております。」
例2(タイミングが合わなかった場合):
「ご対応いただきありがとうございました。現在の体調・通所手段の都合を考えた結果、今回はご縁がなかったとして見送らせていただきます。今後タイミングが合えば改めてご相談させてください。」
キャンセル料を請求されることはありません。事業所側もお断りには慣れていますので、率直に伝えて大丈夫です。
よくある質問
家族や相談支援専門員に同伴してもらってもいいですか? ▼
まったく問題ありません。むしろ第三者の目があるほうが、後で情報を整理しやすくなります。事前に「○名で伺います」と一言伝えておくと、事業所側も準備しやすくなります。一人で行く自信がない場合は遠慮なく頼ってください。
見学や体験の途中で疲れたら、帰ってもいいですか? ▼
もちろん可能です。「少し疲れたので今日はここまでで失礼します」と伝えれば、誠実な事業所はすぐに対応してくれます。むしろ無理に最後までいて体調を崩すほうが、事業所側にも負担になります。体調管理ができる方だという信頼にもつながります。
服装はスーツで行くべきですか? ▼
スーツである必要はありません。きれいめカジュアル(襟付きシャツ+チノパンなど)で十分です。むしろ普段通所する服装に近いほうが、事業所側もあなたの自然な姿を見られます。露出の多い服や派手すぎる色味は避け、清潔感を意識すれば問題ありません。
見学・体験を断りたいときの上手な伝え方は? ▼
メールまたは電話で「他事業所に決めた」「現在の状況では見送る」と簡潔に伝えれば十分です。理由を詳しく説明する必要はなく、「丁寧にご対応いただきありがとうございました」と感謝を添えれば失礼になりません。事業所側もお断りには慣れています。
キャンセル料はかかりますか? ▼
見学・体験のキャンセルでキャンセル料を請求されることは原則ありません。万が一「キャンセル料を支払ってください」と言われた場合は、その時点で要注意な事業所です。市区町村の障害福祉窓口に相談しましょう。
体験利用は受給者証がないとできませんか? ▼
多くの事業所で、受給者証なしでも体験利用ができます。受給者証は本契約・本格通所のタイミングで必要になります。ただし自治体や事業所によって取り扱いが異なるため、申し込み時に「受給者証はまだない」と伝えて確認しましょう。
同じ日に複数の事業所を見学してもいいですか? ▼
可能ですが、おすすめしません。1日に2〜3か所回ると疲労で観察力が落ち、印象も混ざりがちです。1日1か所、間に1〜3日空けて記憶を整理する方が、比較精度が上がります。体調が安定している方なら午前1か所・午後1か所までが現実的な上限です。
体験利用は何日間が理想ですか? ▼
最低でも1日、可能なら3日〜2週間が理想です。1日だけだと「見学者対応モード」が残り、事業所の素の姿が見えにくいためです。週2〜3日の部分体験でも対応している事業所が多く、無料がほとんどです。事業所選びの総論については 就労支援事業所の選び方 も合わせてご覧ください。
まとめ:見学・体験は「比べる前提」で動くと失敗しない
就労支援事業所の見学・体験利用は、HPやパンフレットでは絶対に得られない「現場の素顔」に触れられる、唯一にして最も重要な工程です。事業所により対応は異なりますし、同じ事業所がAさんに最適でもBさんには合わないこともあります。だからこそ、複数事業所を同じ視点で比較することが、後悔しない選択につながります。
📋 見学・体験で押さえる7つの要点
- 見学・体験・実習は段階が違う。目的に応じて使い分ける
- 申し込みから決定まで2週間〜1か月。余裕を持って進める
- 服装はきれいめカジュアルでOK。質問リストとメモは必須
- HPに書いていない「運用の実態」を質問で聞き出す(30選参照)
- 5観点5段階の振り返りシートで複数事業所を比較する
- 最低3か所を2〜3週間以内に回り、上位2か所で体験
- 合わない場合は気兼ねなくお断りしてOK。事業所も慣れている
「見学に行ったらその事業所に決めなければいけない」というプレッシャーは持たなくて大丈夫です。「比べるために行く」と最初から決めておけば、肩の力が抜けて、現場で大切な情報を冷静に拾えます。事業所選びの総論は 就労支援事業所の選び方、サービスの全体像は 就労支援事業所とは?5サービスの特徴・対象者・費用・選び方 も合わせてご覧ください。あなたが納得して通える事業所と出会えることを、ココトモは心から願っています。
- 全国の就労支援事業所を掲載中!
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ココトモでは、全国の就労移行支援・就労継続支援A型・B型事業所を掲載しています。2万件以上の事業所を都道府県/対応障害/訓練分野などから探せます。
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