就労移行支援を利用できる条件|年齢・障害種別・在職中はOK?

就労移行支援を利用できる条件|年齢・障害種別・在職中はOK?

📌 この記事でわかること

  • 就労移行支援を利用できる3つの基本条件(年齢・障害/疾患・就労見込み)の正確な意味
  • 原則18〜65歳未満という年齢ルールの例外(65歳到達時の継続利用・特例)
  • 精神/発達/知的/身体/難病/高次脳機能障害──対象6カテゴリと判断のされ方
  • もっとも質問が多い「在職中・休職中・転職活動中」の利用可否を、原則・特例(H29通知)・自治体差まで詳細整理
  • 会社にバレる/バレない問題と、会社・主治医・自治体への伝え方の実務
  • 障害者手帳なしでも利用できる仕組みと、医師の診断書での申請の流れ
  • 原則「1人2年」の複数回利用が認められるケース・A型B型を経由した再申請パターン
  • 「就労見込みあり」と判定される3つの基準と、向かない人の代替サービス

「就労移行支援を使ってみたいけれど、自分は条件に当てはまるのだろうか」
「いま会社に在籍中なのですが、休職しながらでも通えますか?」
「障害者手帳をまだ取っていないのですが、それでも利用できますか?」

就労移行支援の利用条件は、厚生労働省の制度上は「年齢」「障害/疾患の有無」「就労見込み」の3つだけ、と意外にシンプルです。 ところが実際には、「在職中の利用可否」「手帳なしでの利用」「複数回利用」といった論点で 自治体や事業所ごとに判断が分かれ、ネット上の情報も「OK」「NG」が入り乱れて混乱します。

この記事では、厚労省の公式資料と現場の運用実態の両方をふまえ、利用条件のすべてを「原則」「例外」「自治体差」の3層で整理しました。 在職中利用の可否、手帳なしでの申請、就労見込みの判定基準、複数回利用、申請フローまで、 これ1本で利用条件の全論点が網羅できる構成にしてあります。あなたの状況がどこに当てはまるか、最後まで読めば必ず判断軸が手に入ります。

就労移行支援の利用条件の全体像|公式に求められる3つの要件

まずは制度上の利用条件を整理します。就労移行支援は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、 厚労省告示および各自治体の支給決定基準に従って利用の可否が判断されます。基本要件は3つだけです。

要件内容主な確認資料
① 年齢 原則18歳以上65歳未満(例外あり/後述) 本人確認書類・住民票
② 障害/疾患 身体・知的・精神障害、発達障害、難病、高次脳機能障害等 障害者手帳または医師の診断書/指定難病受給者証
③ 就労見込み 一般企業等への就労を希望し、その見込みがあると判断される サービス等利用計画/主治医意見書/面談

出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/障害者総合支援法および同法に基づく告示・通知を基に整理。最終的な支給決定は市区町村が行います。

💡 「収入条件」「資産条件」はありません

就労移行支援に所得制限・資産要件はありません。世帯所得によって自己負担上限額(月0〜37,200円)が変わるだけで、 実際は約9割が0円で利用しています。「家にお金があるから使えないかも」と心配する必要はありません。 また外国籍の方も在留資格と住民票があれば原則利用可能です(自治体判断)。

制度の位置づけと「働きたい意欲」の重要性

就労移行支援は、「働きたいけれど、いきなり一般就労は難しい方」のための準備サービスとして設計されています。 そのため形式的な要件(年齢・障害/疾患)を満たしていても、本人に「働きたい」「2年で就職を目指したい」という意思がなければ 支給決定が下りないケースもあります。逆に言えば、本人の意思が明確であれば、自治体は前向きに支援するスタンスが基本です。 全体像はピラー記事「就労支援事業所とは?5サービスの完全解説」もあわせてご覧ください。

年齢条件|18歳以上65歳未満が原則、ただし例外あり

就労移行支援は原則18歳以上65歳未満が対象です。とはいえ「18歳の誕生日を1日でも過ぎたら使える」 「65歳の前日まで利用できる」というシンプルなものではなく、上下に例外的な運用があります。

下限:原則18歳以上

就労移行支援は「就労を目指す」サービスのため、満18歳以上が基本です。 ただし特別支援学校の高等部3年生などは、卒業後すぐに通所開始できるよう、 在学中の3年生時点で事前申請・体験利用を進めるケースが一般的です。これは「卒業と同時にスムーズに利用開始するための準備運動」と考えてください。 なお、2025年10月から運用開始された「就労選択支援」も、特別支援学校卒業予定者がアセスメントを受けるルートとして広がりつつあります。

上限:原則65歳未満(ただし継続利用の特例あり)

上限は原則「65歳に達する日の前日まで」ですが、「65歳に達する前から引き続き利用していた方」は 65歳到達後も継続して利用できる扱いがあります。これは介護保険優先原則の例外的扱いで、 通称「みなし支給」「継続利用特例」などと呼ばれます。

🙋 65歳到達と介護保険サービスの関係

65歳になると原則として介護保険サービスが優先されます。ただし、 就労移行支援のように介護保険にない独自サービスや、64歳以前から継続利用している場合は、引き続き障害福祉サービスとしての利用が認められます。 65歳が近い方は、誕生日の3〜6ヶ月前に市区町村窓口へ確認しておくと安心です。

年齢ごとの典型ケース

年齢層典型ケース注意点
18〜22歳 特別支援学校卒業後/高校・大学中退後/専門学校卒後の進路 「就労選択支援」アセスメントを併用すると進路選びに役立つ
23〜34歳 退職後の再就職準備/引きこもり経験後の社会復帰 ボリュームゾーン。求人選択肢も比較的広い
35〜49歳 休職・離職を機にキャリアをリセット/療養後の再出発 事務系・IT系プログラムとの相性が良い
50〜64歳 長期療養後の再就労/障害を機に転職活動 残り利用期間と65歳到達のタイミングを早めに確認

障害条件と「就労見込みあり」の判定|対象6カテゴリ

就労移行支援の対象となる障害・疾患は幅広く、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病・高次脳機能障害の 6つのカテゴリに整理できます。それぞれ申請に使う書類や運用上の特徴が異なります。

障害カテゴリ主な対象例申請に使う書類
精神障害 うつ病、双極性障害、統合失調症、適応障害、不安障害、強迫性障害、PTSD など 精神障害者保健福祉手帳または医師の診断書
発達障害 ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD、LD(学習障害)など 精神障害者保健福祉手帳または医師の診断書
知的障害 軽度・中度・重度の知的障害 療育手帳(自治体名称:愛の手帳・みどりの手帳など)
身体障害 視覚・聴覚・肢体・内部障害(心臓・腎臓・肝臓・呼吸器等) 身体障害者手帳
難病 指定難病(パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、線維筋痛症、慢性疲労症候群 など) 指定難病受給者証または医師の診断書
高次脳機能障害 脳卒中・事故後の記憶障害・注意障害・遂行機能障害など 診断書(精神保健福祉手帳の対象になることも)

「就労見込みあり」と判定される3つの基準

形式的な障害要件を満たしたうえで、市区町村は「2年程度の訓練で就労に至る見込みがあるか」を判断します。 厚労省が一律の数値基準を示しているわけではありませんが、現場運用上は以下の3つの観点で総合判断されるのが一般的です。

  1. 1

    体調が「通所できる」レベルで安定しているか

    急性期で入院・自宅療養中など、通所自体が難しい段階では原則として支給決定が下りにくい傾向です。 目安として主治医から「外出・活動の許可」が出ていること、生活リズムが昼夜逆転していないことなどが見られます。

  2. 2

    通所継続が見込める(最初は週2〜3日でもOK)

    いきなり週5日でなくとも、週2〜3日・1日数時間から始められるかが目安です。 「家から出るのも難しい」段階なら、まずは医療リワーク・地域活動支援センターでの慣らしが優先になることがあります。

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    将来「週20時間以上」の労働意欲・展望があること

    障害者雇用の標準ライン(週20時間以上)での就労を、2年程度の訓練後に目指せるか。 「フルタイムでなくても、ゆくゆくは安定した就労を目指したい」という本人の意欲が重要視されます。

💡 「就労見込み」は「いま就労できる状態」ではない

よくある誤解が「就労見込みありとは、いま就労できる人のことではないか」というもの。 実際は逆で、「いまは就労できないが、訓練を経て就労に近づける見込みがある人」が対象です。 逆に「いますぐ就労できる」状態の方は、ハローワークの職業紹介・障害者就業生活支援センター(ナカポツ)への直接相談のほうが 適しているケースもあります。

在職中・休職中・転職活動中の利用|論点をすべて整理

就労移行支援の利用条件でもっとも質問が多く、もっとも自治体差が大きいのが「在職中の利用可否」です。 結論を先にまとめると、原則は「離職者向け」だが、休職中・退職予定者・特例ケースでは利用が認められることがあります。 順番に整理します。

⚠️ 大前提:自治体・事業所により判断が分かれます

在職中の利用可否は、厚労省通知の解釈と各自治体の運用方針、さらに事業所の受け入れスタンスの3点で大きく変わります。 「A市ではOK、B市では原則NG」「同じ市でも担当者によって回答がブレる」ことが珍しくありません。 このセクションの内容はあくまで一般的な傾向であり、最終判断は必ずお住まいの市区町村窓口・相談支援事業所に確認してください。

原則ルール:就労移行支援は「就労困難な方」のためのサービス

厚労省の制度設計上、就労移行支援は「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者」を対象としており、 原則は離職者・未就労者・特別支援学校卒業予定者などが想定されています。 そのためフルタイムで働きながら通所するような利用は、原則として支給決定が下りません。

例外①:休職中の利用(リワーク的活用)

在職中でも休職している方は、自治体判断で利用が認められるケースがあります。 特に復職を目指して生活リズムを整えたい・職場環境を再設計したい場合の活用は、 医療機関のリワークプログラムと並ぶ選択肢として位置づけられます。

  • 主治医意見書で「就労能力回復のために訓練的活動が望ましい」旨が示されている
  • 復職時期が明確(例:3〜6ヶ月後)または復職困難で離職予定が見えている
  • 休職中で給与が支給停止または傷病手当金受給中

上記のような事情があると、休職中であっても支給決定が下りる可能性が高まります。 ただし「リワーク機能を提供できる事業所」を選ばないと支援内容がかみ合わないため、 見学時に「休職中の方の受け入れ実績はありますか?」と確認しておきましょう。

例外②:退職予定が確定している方(離職日以降の通所)

現在は在職中でも、退職日が確定しており、その後の生活設計を急ぎたい方は、 申請を先行して進め、離職日以降から通所開始するという段取りが組めます。 受給者証申請には1〜2ヶ月かかるため、退職前から動き始めるのは合理的です。

例外③:H29通知に基づく在職者就労移行支援(特例)

平成29年(2017年)の厚労省通知では、一定の条件下で在職中でも就労移行支援を利用できることが整理されました。 主な対象は「就労に必要な知識・能力の向上のため、雇用されている事業所での就労が継続できるよう支援が必要な方」などで、 具体的には以下のようなケースが想定されます。

想定ケース運用イメージ
短時間勤務(週数時間〜10時間程度)の方 残りの時間で就労移行に通所し、より安定した雇用を目指す
障害者雇用枠で短時間就労中で、フルタイム移行を目指す方 業務スキル向上・職場定着支援を並行
復職前後で支援が継続的に必要な方 定着支援とのブリッジ的活用

ただしこの特例は自治体ごとの解釈と運用差が非常に大きく、「H29通知を根拠に申請したが認められなかった」という事例も実際にあります。 特例適用を希望する場合は、主治医意見書・職場の協力姿勢・本人の支援必要性をきちんと言語化して申請するのが鉄則です。

例外④:転職活動中の方(雇用契約継続中だが実質的に就労困難)

在職中で転職活動中、かつ現職場での就労継続が困難(人間関係・体調悪化など)な状況では、 自治体判断で利用が認められることがあります。ただし「転職を機にスキルアップしたい」程度の動機では認められにくく、 主治医・産業医の意見書等で就労困難性を裏付けられるかが鍵となります。

会社にバレる/バレない問題

在職中に就労移行支援を利用する際、もっとも心配されるのが「会社に通所がバレないか」という点です。 結論からいえば、就労移行支援の利用情報が会社に直接通知される仕組みはありません。 ただし以下の注意点があります。

論点原則注意点
会社への通知 市区町村・事業所から会社へ通知される仕組みはなし 守秘義務あり。職員から漏れることは基本ない
住民税 就労移行支援の利用料は所得控除等に直接関係しない 自己負担が0円なら税務上の痕跡はほぼ残らない
健康保険 受給者証や医療費通知から「障害福祉サービス利用」が見えることはほぼない 傷病手当金の申請内容で病名は会社に伝わる場合がある
SNS・知人経由 事業所のSNSやイベント写真に映り込むリスク 事前に「写真NG」を伝えれば配慮してもらえる

🙋 「会社に伝えるべきか」迷ったら

休職中で復職を目指す場合は、会社・産業医に伝えたほうが復職プロセスがスムーズになることが多いです。 逆に、退職を視野に入れている場合や転職活動中の場合は、伝えるかどうかは個別判断。 迷うときは主治医・産業医・社労士・労組などに相談し、自分にとってリスクの少ない選択をしましょう。

在職中利用が難しい場合の代替策

  • 医療リワーク:精神科クリニック・病院が提供する復職支援プログラム。在職中でも利用可
  • 地域障害者職業センターのリワーク支援:休職中の方向けの公的支援(無料)
  • 就労定着支援:すでに就職している方の定着サポート(就職後6ヶ月経過から最長3年)
  • ハローワーク専門援助部門:転職活動中の求人相談・配慮事項の整理

詳しい全体像は「就労移行支援とは?2年間の中身・期間延長・就職率の実態まで解説」もあわせてご参照ください。

障害者手帳なしでの利用|診断書ルートの実際

就労移行支援は障害者手帳が必須ではありません。 精神科・心療内科の医師による診断書、または指定難病受給者証があれば利用できる自治体が大半です。 手帳取得には数ヶ月の審査期間がかかるため、「手帳取得を待たずに通所開始したい」という方には大切な選択肢です。

診断書で利用する場合のポイント

診断書発行を依頼するときのチェック項目

  • 医師に「障害福祉サービス(就労移行支援)利用のための診断書」と明記してもらう
  • 病名・診断時期・現在の症状・就労に関する意見が記載されているか
  • 診断書の有効期限(自治体によって3ヶ月〜1年など差あり)を確認
  • 料金は3,000〜10,000円程度。自立支援医療の対象外(自費)
  • 必要に応じて主治医意見書の様式が指定される自治体もあるため、市区町村窓口で書式を確認

手帳ありと手帳なしの違い

項目手帳あり手帳なし(診断書)
就労移行支援の利用 ○ 利用可 ○ 自治体判断で利用可(多数派)
申請のスピード 比較的スムーズ 診断書取得・自治体確認に時間がかかることあり
就職時の障害者雇用枠応募 ○ 利用可 原則として手帳が必要
各種優遇制度(税・交通等) 手帳級に応じた優遇あり 原則として対象外
更新手続き 2年に1回の更新(精神)等 診断書を定期的に更新

💡 「通所しながら手帳取得」も現実的なルート

就労移行支援には診断書で通所を開始し、通所中に事業所のサポートを受けて手帳取得に進む方も多くいます。 就職活動の段階で障害者雇用枠を狙うなら手帳があったほうが選択肢が広がるため、 事業所と相談しながらタイミングを決めるのがおすすめです。自治体差が大きいため、申請前に必ず窓口確認を。

複数回利用の可否|原則1回・2年だが、再利用パターンは存在する

就労移行支援の利用期間は原則「2年(1人あたり)」で、必要に応じて最長3年まで延長できます。 「2年使い切ったら、もう一生使えないの?」という質問は非常に多いですが、 答えは「ケースによっては再利用が認められる」です。

再利用が認められやすいパターン

再利用パターン認められやすい根拠
① 一般就労後に離職→再チャレンジ 「前回の訓練で就職に至ったが、今回は新たな職種を目指す」など合理的理由
② A型・B型を経由した再申請 A型・B型で就労経験を積んだ後、ステップアップで一般就労を目指す場合
③ 病状・支援ニーズの大きな変化 新たな診断、症状悪化からの回復など、前回利用時と状況が変わった場合
④ 前回利用から相当年数が経過 労働市場・必要スキルが変わっており、再訓練が必要と判断される場合

再利用の可否は市区町村(支給決定権者)の個別判断であり、自動的に「2年使ったら終わり」ではありません。 本人の状況と合理的理由を、相談支援専門員・主治医・前回の事業所の意見書などで裏付けて申請することで、 再支給決定が下りる可能性があります。

🙋 「A型・B型を経由する」という現実的な選択肢

一度就労移行を使ったあと、すぐに再申請すると認められにくい傾向があります。 その場合就労継続支援B型で生活リズム維持・工賃を得ながら次の目標を整理し、数年後に再度就労移行を申請する、というルートを取る方もいます。 A型・B型の違いは「移行と継続の違い」もご覧ください。

申請から通所開始までの手続きフロー

利用条件を満たしていることが分かったら、いよいよ申請手続きです。 トータルで1.5〜3ヶ月程度かかるのが一般的なので、早めに動き始めるのがコツです。

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    市区町村の障害福祉窓口・相談支援事業所に相談

    まずは「就労移行支援を使いたい」と伝え、利用条件・地域の事業所情報・申請手続きの案内をもらいます。 在職中の方・手帳のない方は、この段階で「私のケースで利用可能か」を確認しましょう。

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    事業所の見学・体験利用(最低2〜3か所)

    複数の事業所を見学・体験し、自分に合うか確認します。 選び方の詳細は「失敗しない就労移行支援の選び方」を参照。

  3. 3

    受給者証の申請(所要:1〜2ヶ月)

    市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」を申請。 申請書・診断書または手帳・マイナンバー・身分証などを提出します。 申請後、自治体の調査員による聞き取り調査(アセスメント)が行われます。

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    サービス等利用計画の作成

    相談支援専門員が「どのサービスを、どのくらいの頻度で、どんな目標で利用するか」の計画書を作成します。 自分で作る「セルフプラン」も可能ですが、初回は専門員に依頼するほうがスムーズです。

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    支給決定・受給者証交付・契約・通所開始

    支給決定が下りると受給者証が交付されます。 選んだ事業所と利用契約を結び、通所スタート。最初は週2〜3日・短時間からが王道です。

利用が向かないケースと代替サービス

就労移行支援は万能ではなく、状況によっては他のサービスの方が向いているケースがあります。 無理に利用を始めて期間と労力を消費する前に、代替策を知っておきましょう。

状況 向かない理由 代替サービス
急性期・入院中/自宅療養中 通所が困難で、就労見込み判定が下りにくい 医療機関での治療優先/訪問看護/自立訓練
すぐに収入が必要 就労移行は給与・工賃が出ない 就労継続支援A型(雇用契約あり)
長く自分のペースで働きたい 2年の期限があり「働く場」ではない 就労継続支援B型(期限なし・体調優先)
すでに就職済みで定着が課題 就労移行は就職前提のサービス 就労定着支援(就職後6ヶ月経過から最長3年)
どのサービスが合うか自分で判断できない 合わない事業所選びで2年を消費するリスク 就労選択支援(2025年10月運用開始)でアセスメント
会社復帰を目指している(在職中) 原則は離職者向け、自治体差大 医療リワーク/地域障害者職業センターのリワーク支援
65歳以上で新規利用希望 原則対象外 介護保険サービス/高齢者向け就労支援

💡 迷ったら「就労選択支援」アセスメントが心強い

2025年10月から運用開始された「就労選択支援」は、 就労移行・A型・B型のどれが自分に合うかを専門家とアセスメントするサービスです。 就労移行に申請する前にアセスメントを受けることで、「実はB型のほうが合っていた」など ミスマッチの予防になります。利用条件で迷うときの選択肢として有力です。

よくある質問(FAQ)

在職中(フルタイム勤務)でも就労移行支援は使えますか?

原則としてフルタイム在職中の利用は難しいとされています。ただし休職中・退職予定が確定している方・短時間勤務で実質的に就労困難な方は、自治体判断で認められるケースがあります。可否は自治体・事業所により判断が分かれるため、必ずお住まいの市区町村窓口にご相談ください。

会社に内緒で利用することはできますか?

就労移行支援の利用情報が会社に直接通知される仕組みはありません。守秘義務もあるため、事業所職員から漏れることも基本的にありません。ただし傷病手当金の申請や住民税の特別徴収などで間接的に分かる可能性もゼロではないため、心配な場合は社労士・労組・主治医に相談してから進めるのが安心です。

障害者手帳がなくても利用できますか?

多くの自治体で医師の診断書があれば利用可能です。うつ病・適応障害・ASD・ADHDなど、手帳未取得のまま利用している方も多数います。診断書には「障害福祉サービス利用のため」と明記を依頼してください。最終判断は自治体によるため、市区町村の障害福祉窓口に確認してください。

65歳になったら使えなくなりますか?

新規申請は原則65歳未満ですが、65歳より前から継続利用していた方は引き続き利用が認められる特例があります。65歳が近い方は、誕生日の3〜6ヶ月前に市区町村窓口で介護保険との関係を確認しておきましょう。

過去に就労移行支援を使い切りました。もう一度使えますか?

ケースにより再利用が認められます。就職後の離職、病状の変化、A型・B型を経由した再チャレンジ、相当年数の経過などの合理的理由があれば、市区町村の審査で再支給決定が下りる可能性があります。相談支援専門員と一緒に申請理由を整理して申請してください。

就労見込みがない場合は利用できないのですか?

「いま就労できる」必要はなく、「2年程度の訓練を経て就労に近づける見込み」があれば対象です。体調が「通所できる」レベルで安定し、将来「週20時間以上」の労働意欲があるかが目安。当面の就労が難しい場合は、就労継続支援B型・地域活動支援センター・自立訓練など他の選択肢があります。

主婦(主夫)や自営業者、フリーランスでも利用できますか?

主婦・主夫の方は、家事従事のみで雇用関係にないため、利用条件を満たせば原則として利用可能です。自営業・フリーランスの方は「事業を継続中で生計が成り立っている」場合は就労困難に該当しないと判断されることが多く、利用できないケースがあります。状況により判断が分かれるため、必ず市区町村窓口にご相談ください。

外国籍ですが利用できますか?

在留資格と住民票があれば原則利用可能です。日本語によるコミュニケーションがある程度必要なため、日本語に不安がある場合は、対応可能な事業所を相談支援事業所と一緒に探すのがおすすめです。

まとめ:利用条件は3要件、ただし「在職中」「手帳なし」は自治体差を必ず確認

就労移行支援の利用条件は、制度上は「年齢」「障害/疾患」「就労見込み」のシンプルな3要件です。 一方で在職中利用・手帳なし利用・複数回利用といった論点では自治体・事業所により判断が分かれるため、 最終的には「お住まいの市区町村窓口に確認する」のが必ず必要なステップになります。

📋 利用条件で押さえておきたい7つのポイント

  • 原則18〜65歳未満。65歳到達時の継続利用特例あり
  • 対象は身体・知的・精神・発達障害/難病/高次脳機能障害の6カテゴリ
  • 「就労見込み」は体調安定・通所可能・将来週20時間以上の労働意欲の3観点で総合判断
  • 在職中利用は原則NGだが、休職中・退職予定者・H29通知ケースで例外的に可
  • 障害者手帳なしでも、診断書ルートで多くの自治体が利用可
  • 原則1人2年だが、離職・状況変化・A型B型経由での再申請パターンが存在
  • 在職中利用・手帳なし利用は自治体・事業所により判断が分かれるため、必ず窓口確認を

「自分のケースは利用できるのか」と迷う気持ちが、行動を止めてしまうことが一番もったいないことです。 判断に迷ったら、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口・相談支援事業所、あるいはココトモの相談窓口にお気軽にお問い合わせください。 あわせて「就労移行支援とは?2年間の中身・期間延長・就職率の実態」、 「失敗しない就労移行支援の選び方」、 「移行と継続の違い」、 「就労選択支援とは」もあわせてお読みいただくと、 自分に合うサービス選びがさらにクリアになります。

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