すみれの日記『(ネタバレあり)国宝 喜久雄(東一郎)』
visibility44 edit2025.08.07
喜久雄は、黒川想矢演じる少年時代の時点で既に強く光るものがあった。線は細く色白な身体ですが、眼力があり、今まさに少年の殻を突き破ろうとしてる最中がとても魅力的でした。
任侠の家に産まれ、父は乱闘の最中、喜久雄の目の前で殺された。喜久雄は仇討ちを試みるが失敗。
行く当てもなく、背中に木兎の入れ墨を背負いながら、とある家に引き取られる。
それは、女形として才能を見出された歌舞伎役者の家。
私が驚いたのは、時には痛みを伴うような激しく厳しい、逃げ出したくなってもおかしくない女形の稽古に対し、喜久雄は「楽しい」と彰子に言ったこと。
それは強がりなんかではなく、本心からの言葉だったこと。
大人になるにつれ、どれだけ血の滲むような命を削るかのような努力をしても、「血」の繋がりがないことで報われない葛藤に喜久雄は悩み、苦しむ。
ふと思ったのは、任侠の世界であれば「血」のみならず、血よりも濃い絆というもので結ばれていくのに
歌舞伎の世界は正反対。
「血」の繋がりを思い知らされた。
喉から手が出るほど、喜久雄は半弥の花井の「血」が欲しかった。
(だけど、
喉から手が出るほど、半弥は喜久雄の女形の「才能」が欲しかったんだと思う。)
そのどうしようもない「血」で、のちに絶望、狂奔する生き様は、静かに激しく美しく、目が離せませんでした。
妖艶で、美し過ぎて心を奪われます。
惚れ惚れするとかそんな甘ったるい類ではない、
目と目を合わせると魂を抜かれそうなくらい危うく。
だけどいつ喜久雄が消えてしまうか分からないような儚さもあり、目が離せない。
あの類の「美」をこれから目にする事は簡単ではないだろう。
あれは魂を抜かれそうだと分かっていても
近くにいたらそれでも良い、見たいと思ってしまうだろうな。
今日よかったこと♪
仕事頑張った
読んでくれた人へのメッセージ
ありがとうございました
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