ダー子の心の余白にて、心遊ばせ ✱随時執筆中

私はあの場所に還りたいのだ。

私は声を失った。
無くしたのではない。
失ったのだ。

今でこそ思う。
それは序章でしか過ぎなかったのだ。

これは私の回顧録である。

《序章》

振り返ろう。
当時、私は所謂電話オペレーターなる仕事をしていた。
‘声’の仕事だ。
今思えば前兆はあったのだ。

では前兆とは如何に。
月に一度の割合で、言葉がつかえる。
始まりはそんなものだった。
月に一度というのは、女性の月のものの時期だ。

私は同期に問うた。
このようなものは有るのかと。
同期は答えた。
私もあるよ、と。

私は安堵した。
安堵してしまったのだ。
この時私は気づいていなかった。
言葉がつかえるより、大切な変化を。

それは何だと問われれば。
今にして思うと、これがメインなのだ。
ひとつの会話を終えると、私の身体は明らかに硬直しているのだ。

電話オペレーターという仕事は、生業上穏やかなお客様ばかりでは無い。
当たり前に怒鳴られる、罵倒されるものなのだ。
とはいえ、これは私の物語。
全てにおいて、私が居た場所か外界か。二択しか無いのである。
この二択において、外界とは全く預かり知らぬとことである。誤解なきよう。

 

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