障害者雇用と就労支援の違い|それぞれの仕組み・給与・併用の可否
edit2026.04.23 visibility21
📌 この記事でわかること
- 障害者雇用は「障害者雇用促進法」に基づく企業の雇用制度、就労支援は「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスという根本的な違い
- 6つの軸(根拠法・契約関係・給与工賃・雇用保険・年齢・目的)で一気に違いを比較
- 障害者雇用で働くまでの流れ(手帳取得→ハローワーク→合同面接会→入社)と就労支援を利用するまでの流れ(相談→受給者証→事業所契約)
- 給与・収入の違い:障害者雇用は最低賃金以上/A型も最賃以上/B型は工賃/就労移行支援は原則無給
- 併用はできる?──移行支援利用中のハローワーク登録、A型とクローズ就労、B型から障害者雇用への切り替え…現実的な併用パターン
- どちらを選ぶべきか、3問の判断フローで整理
- ステップアップのつなぎ方(就労支援→障害者雇用→就労定着支援)
- よくある質問8問(手帳は必要?/クローズでも働ける?/掛け持ちは?/辞めても戻れる? など)
「障害者雇用と就労支援って、同じようなものだと思っていた」
「どちらも障害のある人が働くための仕組みだから、違いがよく分からない」
「結局、自分はどちらのルートを使えばいいの?」
障害者雇用と就労支援は、よく混同されますが、制度としてまったく別物です。根拠となる法律も違えば、利用者のポジション(労働者か/福祉サービスの利用者か)も違います。ここを最初に押さえておかないと、「思っていた働き方と違った」「使えるはずの制度を見落としていた」ということが起きかねません。
この記事では、2026年4月時点の最新情報をもとに、障害者雇用と就労支援の違いを6つの軸で比較し、利用までの流れ・給与・併用の可否・ステップアップの繋ぎ方まで整理します。法定雇用率が2.7%(2026年7月以降予定)へ段階的に引き上げられる流れや、就労移行支援・A型・B型との併用関係など、現場の支援員視点で実務的に解説します。
🧭 最初に押さえるべき1点
- 「障害者雇用」は企業に雇用される労働者としてのあなた。「就労支援」は福祉サービスを利用する利用者としてのあなた。立っているポジションが違うため、権利・義務・収入・関わる機関がすべて変わります。
- 障害者雇用と就労支援は対立するものではなく、つなげて使うのが現代的な使い方。就労支援 → 障害者雇用 → 定着支援、という流れが今いちばん多いルートです。
障害者雇用とは|企業が「障害者雇用促進法」に基づいて雇う制度
障害者雇用とは、企業や公的機関が「障害者雇用促進法」に基づいて、障害のある人を労働者として雇用する仕組みのことです。障害者専用の求人枠を設け、障害特性への配慮や合理的配慮を前提に勤務できるのが特徴です。あなたは企業の「社員(労働者)」として、最低賃金以上の給与を受け取り、労働基準法・労災・健康保険・厚生年金・雇用保険の対象となります。
一般就労の中でも、障害を開示して企業の障害者雇用枠に応募する働き方を「オープン就労(障害者雇用)」、障害を開示せず一般枠に応募する働き方を「クローズ就労」と呼ぶこともあります。クローズ就労は法律上の「障害者雇用」には含まれませんが、多くの方が選択肢として比較するため、本記事でも後半で触れます。
法定雇用率という仕組み(2.7%へ向けた段階引き上げ)
障害者雇用を理解するうえで避けて通れないのが「法定雇用率」です。これは、民間企業・国・地方公共団体などが、従業員の一定割合以上の障害者を雇用しなければならないと法律で定めた比率のことを指します。2026年4月時点で民間企業の法定雇用率は2.5%ですが、制度改正により2026年7月以降に2.7%への引き上げが予定されています。直近の推移は以下の通りです。
| 時期 | 民間企業の法定雇用率 | ポイント |
|---|---|---|
| 〜2023年3月 | 2.3% | それまでの基本値 |
| 2024年4月〜 | 2.5% | 段階引き上げの第1段階 |
| 2026年7月〜(予定) | 2.7% | 第2段階。制度改正により変動可能性あり |
出典:厚生労働省「障害者雇用対策」(mhlw.go.jp)/「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(mhlw.go.jp)。法定雇用率は制度改正で変動する可能性があるため、最新値は上記ページで必ず確認してください。
💡 法定雇用率が上がると、利用者にとって何が変わる?
法定雇用率が引き上げられると、企業は障害者雇用枠をさらに増やす必要が出てきます。求人数・雇用機会は全体として増加しやすい環境になる一方、「数だけ満たしたい企業」と「腰を据えて育てたい企業」の差も拡大します。雇用率上昇は追い風ですが、どの企業を選ぶかの目利きはより重要になるという見方が現場では主流です。
特例子会社という選択肢
障害者雇用を検討するうえで知っておきたいのが「特例子会社」という仕組みです。これは、親会社が障害者雇用のために設立した子会社で、一定要件を満たすと親会社の雇用率に合算できるというもの。障害のある人が働きやすいよう設計された環境で、業務内容・設備・支援体制が整えられているケースが多いのが特徴です。大企業のグループでよく見られ、給与・福利厚生は親会社基準に準拠する会社も少なくありません。
「一般の障害者雇用だと配慮が不安」「自分の特性に合うように業務設計された職場で働きたい」という方にとって、特例子会社は有力な選択肢のひとつです。ハローワークや就労移行支援事業所を通じて紹介されるルートが一般的で、直接応募も可能です。
就労支援とは|「障害者総合支援法」に基づく福祉サービス
就労支援とは、「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスのうち、就労に関わるサービスの総称です。利用者は「労働者」ではなく「福祉サービスの利用者」という立ち位置で、市区町村から発行される受給者証を持って事業所に通います。利用料は世帯所得に応じた公費助成があり、実際には約9割の方が0円で利用しています。
2026年4月時点で、就労支援(就労系障害福祉サービス)は大きく4つ+新設1つのサービスで構成されています。
🎯
就労移行支援
一般企業への就職を目指す訓練サービス。原則2年(最長3年)。PCスキル・ビジネスマナー・面接対策など。対価は原則なし。
💼
就労継続支援A型
事業所と雇用契約を結び給与を受け取りながら働く。最低賃金以上・労基法適用・社会保険対象。月平均 約86,752円。
🌱
就労継続支援B型
雇用契約なし・工賃を受け取る福祉的就労。体調優先で通える。月平均 約22,649円。年齢上限なし。
🛟
就労定着支援
就労支援を経て一般就労した方の職場定着をサポート。就職6か月後から最長3年。月1回以上の面談で悩みに伴走。
🧭
就労選択支援(2025.10〜)
自分に合うサービスを専門家と一緒にアセスメント。原則1〜2か月の短期サービスで、方向性を絞る入口として機能。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/「平均工賃(賃金)月額の実績について」令和5年度実績(mhlw.go.jp)/「就労選択支援について」(mhlw.go.jp)を基に作成。B型工賃は令和6年度報酬改定での計算方法変更を反映した修正値。
これら5サービスはいずれも「働く/働く準備をする」に関する福祉支援で、障害者雇用の代わりではなく、障害者雇用に至るまでの道筋・もしくは障害者雇用が難しい方の並行する選択肢として機能します。各サービスの詳細は就労支援事業所とは?5サービスの特徴・対象者・費用・選び方の記事で体系的に解説しています。
違いを決定的に分ける6軸|障害者雇用と就労支援の一覧比較
ここからが本題です。障害者雇用と就労支援の違いを、もっとも重要な6つの軸で整理します。制度を理解するうえで、この6軸を押さえれば十分です。
| 比較軸 | 障害者雇用 | 就労支援(総称) |
|---|---|---|
| ① 根拠法 | 障害者雇用促進法 | 障害者総合支援法(就労系障害福祉サービス) |
| ② 契約関係 | 企業との労働契約(労働者) | 事業所との利用契約(福祉サービスの利用者) ※A型のみ雇用契約あり |
| ③ 給与・工賃 | 最低賃金以上の給与(一般就労と同等水準) | A型:給与(月約8.7万円)/B型:工賃(月約2.3万円)/移行・定着・選択支援:原則なし |
| ④ 雇用保険・社会保険 | 原則加入(週20時間以上などの要件) | A型は条件で加入/B型・移行・定着は原則対象外 |
| ⑤ 対象年齢 | 就業可能年齢(原則18歳以上、上限は企業の定年規定) | 移行・A型:18〜65歳未満/B型:18歳〜上限なし/定着:就職後6か月〜最長3年 |
| ⑥ 目的 | 企業で労働者として継続就業すること | 就労移行:一般就労への訓練/A型・B型:働く場そのものの提供/定着:定着支援/選択:適性の見極め |
出典:厚生労働省「障害者雇用対策」(mhlw.go.jp)/「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)/「平均工賃(賃金)月額の実績について」(mhlw.go.jp)を基に作成。
💡 A型は「就労支援」なのに「雇用契約」がある特殊ポジション
6軸を一気に見るとき、A型の位置取りが分かりにくい点に注意してください。A型は就労支援の一種ですが、利用者は事業所と「雇用契約」を結びます。つまり「福祉サービスの利用者」であると同時に「労働者」でもあるハイブリッドな立ち位置です。給与は最低賃金以上、労基法・雇用保険・社会保険の対象。このため「障害者雇用とA型、何が違うの?」という質問が出るのですが、雇用主が一般企業か福祉事業所かという根本的な違いがあります。詳しくは就労継続支援A型とB型の違いもあわせてご覧ください。
障害者雇用で働くまでの流れ|手帳取得からハローワーク・合同面接会・入社まで
障害者雇用を目指す場合、多くの方が「障害者手帳の取得」から始まります。障害者手帳は、障害者雇用で働くための法的な前提条件です(企業が法定雇用率にカウントするため)。以下は代表的なステップです。
-
1
障害者手帳を取得する
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかを取得します。精神障害の場合、初診日から原則6か月経過が必要など条件があるため、主治医と早めに相談しましょう。手帳申請は市区町村の障害福祉窓口から。
-
2
ハローワーク(専門援助部門)に登録
ハローワークには障害者専用の窓口があります。求職登録後、障害者向け求人の紹介・応募書類添削・面接対策などを受けられます。月1〜2回の定期相談がスタンダードです。
-
3
合同面接会・個別面接に応募
ハローワーク主催の障害者雇用の合同面接会や、企業の個別面接会に応募します。数十社が集まり、1日で複数社と面談できる場は情報収集としても有効です。
-
4
職場実習・トライアル雇用
多くの企業は「いきなり本採用」ではなく、まず数日〜数週間の職場実習やトライアル雇用(有期雇用)で相互適性を見ます。ここで合理的配慮の要望も擦り合わせます。
-
5
内定・入社・就労定着支援の利用
内定・入社後は、就労移行支援事業所を経由した方であれば就労定着支援が使えます。月1回以上の面談で、職場での悩みや配慮の調整を支援員と進めていきます。
このうち「ハローワーク・合同面接会・職場実習」の部分で、就労移行支援事業所の伴走を受けるのが現代的な進め方です。事業所の支援員が同行して面接対策をしたり、企業実習先を開拓してくれたりと、単独で就活するよりもはるかに内定率が高くなる傾向があります。詳しくは就労移行支援とはをあわせてご覧ください。
🙋 手帳なしでも障害者雇用は狙える?
原則として障害者雇用で働くには障害者手帳の取得が前提です(企業が法定雇用率にカウントするため)。手帳がなくても「配慮ありの一般雇用」を希望することは可能ですが、これは障害者雇用ではなくクローズ就労(あるいは開示のある一般雇用)という扱いになります。手帳がない状態で就労支援と一般就労をどう組み合わせるかについては、障害者手帳がなくても使える就労支援もあわせて参考にしてください。
就労支援を利用するまでの流れ|相談から受給者証・事業所契約まで
就労支援は、ハローワークではなく市区町村の障害福祉窓口が入り口です。障害者雇用が「求人を探す」プロセスなのに対し、就労支援は「福祉サービスを受けるための受給者証を取得する」プロセスになります。
-
1
市区町村の障害福祉窓口(または相談支援事業所)に相談
「就労支援を使いたい」と伝え、地域の事業所情報と手続きの流れを案内してもらいます。まず何をすればよいか分からない段階では、ここが最初の連絡先です。
-
2
事業所の見学・体験利用
気になる事業所を複数見学し、雰囲気・仕事内容・支援員の対応を確かめます。体験利用は無料の事業所がほとんど。最低2〜3か所を比較しましょう。
-
3
受給者証の申請(1〜2か月)
市区町村に「障害福祉サービス受給者証」を申請。必要書類は自治体により異なりますが、申請書・手帳または診断書・マイナンバー・身分証などが基本です。審査には1〜2か月かかります。
-
4
サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が、利用者の希望や状況をもとに「どのサービスをどの頻度で利用するか」の計画書を作成します。セルフプラン(自分で作成)も可能です。
-
5
事業所との契約・通所開始
事業所と利用契約(A型は雇用契約)を結び、通所スタート。最初は週2〜3日・短時間からが一般的で、徐々に日数や時間を増やしていきます。
出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(mhlw.go.jp)/「障害者の就労支援対策の状況」(mhlw.go.jp)
💡 障害者雇用の「面接」と就労支援の「見学・体験」は性格が違う
障害者雇用の面接は採用されるかどうかの選考ですが、就労支援の見学・体験は自分が通うか決めるための判断材料です。立場が逆なので、受け身ではなく「こちらが事業所を見極める」視点で臨むのが正解。見学時は複数事業所を回り、支援員の関わり方・他の利用者の表情まで観察しましょう。
給与・収入の違い|障害者雇用・A型・B型・移行支援の金額比較
「実際いくらもらえるのか?」は誰もが気になるところ。ここで4つのサービス(+障害者雇用)の給与・工賃水準を並べます。
| 区分 | 対価の名称 | 水準の目安 | 最低賃金の対象 |
|---|---|---|---|
| 障害者雇用(一般就労) | 給与 | 月10〜25万円程度(地域・職種・勤務時間による) | あり |
| 就労継続支援A型 | 給与 | 月平均 約86,752円(令和5年度) | あり |
| 就労継続支援B型 | 工賃 | 月平均 約22,649円(令和5年度・修正後) | なし |
| 就労移行支援 | 原則なし | 原則無給(実習手当を出す事業所あり) | — |
| 就労定着支援 | 原則なし | 定着のための面談・相談サービス。給与は本業の企業から受け取る | — |
出典:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」(令和5年度実績)(mhlw.go.jp)。障害者雇用の給与水準は地域・職種・勤務時間により大きく異なるため、目安として記載しています。
ざっくりした金額感の並び
障害者雇用 10〜25万円 > A型 8.7万円 > B型 2.3万円 > 移行支援 原則無給
あくまで全国平均・目安であり、個人差・地域差は大きいです
収入面では障害者雇用がもっとも高水準ですが、その代わり「週所定労働時間・通勤・勤怠」など一般労働者としての求められるレベルもあります。A型・B型・移行支援は収入が少ない代わりに、体調管理や訓練を最優先にできるという対価性の違いがあります。
⚠️ 「金額だけで選ばない」が鉄則
「障害者雇用のほうがA型より高いから、無条件で障害者雇用」という選び方は危険です。体調を崩して離職すれば収入はゼロですし、一度離職すると次の雇用先を見つけるまでに時間がかかります。続けられる水準を選ぶというのが、長期的な収入最大化の基本戦略です。
併用は可能か?|障害者雇用×就労支援のリアルな使い分け
「障害者雇用と就労支援、同時には使えないの?」という質問はよく受けます。結論からいうと、目的とサービスによって「できる併用」と「できない併用」がはっきり分かれます。以下、代表的なパターンを整理します。
① 就労移行支援を利用しながらハローワーク登録|これは当たり前の併用
就労移行支援で訓練を受けながら、ハローワーク(専門援助部門)に求職登録して求人を探す──これは併用どころかセット運用が基本です。就労移行支援の支援員もハローワーク同行を前提に動くことが多く、障害者雇用へ至るための標準ルートといっても過言ではありません。
② A型で働きながらクローズ就労をする(副業)|A型の就業規則次第
A型事業所で雇用契約を結んでいる状態で、別途クローズの一般就労を副業として行うのはA型事業所の就業規則次第です。副業禁止規定があれば不可、明示的に認めていれば可能。体調面・勤務時間の管理が難しくなるため、現場的にはあまり推奨されないケースが多いです。
③ B型から障害者雇用にステップアップ|もっとも多い前向きな併用パターン
B型でしばらく通所して生活リズム・作業スキルを身につけた後、障害者雇用で一般企業に就職するルートは、近年増えているパターンです。間に就労移行支援を挟んで、より体系的な就職活動を行うケースも多く見られます(就労移行から一般就労へで詳しく解説)。
④ 障害者雇用で就職した後、就労定着支援を併用|これが現代の定番
障害者雇用で入社した後、就労定着支援を併用して職場定着を図るのは、2026年4月時点で最も一般的な組み合わせです。月1回以上の面談で、職場での悩みや配慮の調整を支援員と進めます。就労定着支援は就職から6か月後〜最長3年まで使える別枠サービスなので、併用の障害はありません。詳しくは就労定着支援とはをご覧ください。
⑤ 同じ日に2つの就労系障害福祉サービスを使う|原則不可
受給者証の仕組み上、同じ日に移行支援とB型を両方使うことは原則できません。「日を分けた併給(月水金=移行支援、火木=B型)」は自治体判断で認めるケースもありますが、例外的です。詳細は就労移行と就労継続の違いもあわせて確認してください。
🙋 併用で大事なのは「目的整理」と「手続きの順番」
複数サービスを併用したい場合、市区町村の相談支援専門員に相談するのが最短ルートです。受給者証のサービス種別更新、雇用契約と利用契約の切替、社会保険の手続きなど、併用には事務的な段取りが必要になるため、支援員に整理してもらうのが確実です。
どちらを選ぶべき?|3問で見える判断フロー
「結局、自分は障害者雇用と就労支援、どちらを使えばいいの?」という疑問に、3問の判断フローで答えます。「今すぐ」ではなく「今の自分」と「3か月後の自分」を見比べながら答えてみてください。
-
Q1
体調はおおむね安定していて、週4〜5日・1日6時間以上働ける見通しがありますか?
YES → 障害者雇用か、A型が視野に入ります。Q2へ
NO → まず就労支援(移行支援・B型)で土台を作る段階。Q3へ -
Q2
就職活動の経験はありますか?/または「求人を自分で探して応募する」ことに抵抗はありませんか?
YES(経験あり/抵抗なし) → 障害者雇用へ直接チャレンジ。ハローワーク登録から開始
NO(経験なし/伴走してほしい) → 先に就労移行支援を利用して、2年かけて就職準備
収入を優先し、選考は避けたい → A型も選択肢に -
Q3
どのくらいのペースで通所できそうですか?
週3日以上・安定して通える → 就労移行支援で2年をかけて段階的に就職を目指す
週1〜2日・短時間から → B型でペースを作り、慣れたら移行支援や障害者雇用へ
どれが合うか決められない → 2025年10月開始の就労選択支援でアセスメントを受ける
💡 「決め打ちしない」が判断の質を上げる
この判断は一度で終わりません。体調・生活・家族状況が変われば、適切な選択肢も変わります。いま就労支援を選んだとしても、半年後に障害者雇用にチャレンジしていい。いま障害者雇用を選んでも、体調を崩したら就労支援に戻っていい。行き来できる制度として捉えるのが、支援現場のスタンダードです。
障害者雇用が向く人/就労支援が向く人
先ほどの判断フローを踏まえて、どんな人がどちらに向くかを整理します。2択のどちらか一方だけで考えず、「今は就労支援、いずれ障害者雇用」というステップ前提でも大丈夫です。
✅ 障害者雇用が向く人
- 体調が概ね安定し、週4〜5日・6時間以上働ける
- 障害者手帳を保有している(または取得予定)
- 最低賃金以上の収入で経済的に自立したい
- 一般就労経験があり、就活のプロセスに抵抗が少ない
- 社会保険・厚生年金・雇用保険に加入したい
- 合理的配慮を活用しながら企業で長く働きたい
- 将来的にキャリアアップ・役職にもチャレンジしたい
🌱 就労支援が向く人
- 体調に波があり、週1〜3日・短時間から始めたい
- 就活経験が少なく、訓練や準備期間が必要
- 手帳をまだ取得していない(診断書で利用可能な場合あり)
- 雇用契約のプレッシャーがない環境でまず通う習慣を作りたい
- 支援員との関係の中で自分の働き方を見つけたい
- 特別支援学校卒業直後で、社会との接点を段階的に作りたい
- 65歳以上で、長く通える居場所型のB型を希望する
🙋 「両方」で使う人が多数派になってきている
実態としては、就労支援を経て障害者雇用で就職し、就労定着支援で伴走を受けるという「両方使いきる」パターンが多数派です。どちらかを選ぶ、ではなく、どちらをどの順番で使うかと考えるのが現代的です。
ステップアップのつなぎ方|就労支援 → 障害者雇用 → 定着支援
もっとも代表的なステップアップルートは「就労支援 → 障害者雇用 → 就労定着支援」です。この一連の流れで、準備→就職→定着の3段階を切れ目なくカバーできます。
-
1
就労移行支援(またはB型)で土台を作る
生活リズム・作業スキル・コミュニケーション・ビジネスマナーなど、働くための基礎を身につけるフェーズ。必要に応じてPCスキル・資格取得にも取り組みます。期間の目安は6か月〜2年。B型からスタートした場合は、慣れてきたら移行支援に切り替える方が多いです。
-
2
障害者雇用で内定・入社
就労移行支援の支援員が同行してハローワーク・合同面接会・企業面接を進めます。職場実習やトライアル雇用を挟むケースが多く、お互いのマッチングを丁寧に見極めてから本採用へ。障害特性・合理的配慮の要望は入社前に擦り合わせておくのが鉄則です。
-
3
就労定着支援で続ける力を育てる
入社から6か月が経過した時点で、就労定着支援の利用がスタート。月1回以上の面談で、仕事の悩み・人間関係の調整・配慮の再交渉などを支援員と一緒に進めます。最長3年まで利用可能。このフェーズで「続けられる力」を育てられるかが、長期的な就労継続の鍵です。
-
4
自立的な就労継続へ
就労定着支援を卒業したあとは、必要に応じて障害者就業・生活支援センター(通称ナカポツ)や地域障害者職業センターに必要時に相談できる窓口を残しつつ、自立的に働き続けるフェーズへ。体調が崩れたら早めに相談に戻れる体制を作っておくのが安心です。
「就労支援 → 障害者雇用 → 定着支援」の合計期間の目安
準備期 6か月〜2年 + 就職活動 1〜6か月 + 定着期 〜3年
個人差が大きいですが、全体で3〜5年かけて「自立的な就労継続」を目指すのが標準的
よくある質問
障害者雇用を利用するのに、障害者手帳は必ず必要ですか? ▼
原則として必要です。企業が法定雇用率にカウントするためには手帳保有が前提になります。ただし「配慮を受けながら一般枠で働く(障害を開示した一般雇用)」という働き方は、手帳がなくても可能です。就労支援は医師の診断書で利用できるケースが多く、手帳なしで福祉サービスを使いながら就職準備をするルートもあります。
障害者手帳を持っていても、クローズ(一般枠)で働くことはできますか? ▼
できます。障害者手帳を持っているかどうかと、障害者雇用枠で応募するかは別の話です。一般枠(クローズ)で応募することは自由で、実際に多くの方がそうしています。ただしクローズ就労は合理的配慮を制度的に要求しづらく、体調悪化のリスクがあるため、自分の特性と職場環境を慎重に見極めることが必要です。
就労支援と障害者雇用を「掛け持ち」することはできますか? ▼
組み合わせによります。障害者雇用で就職したあとに就労定着支援を併用するのは標準的で問題ありません。一方、「A型で雇用契約を結びながら、別で障害者雇用のフルタイム就労」というような同時雇用は、双方の就業規則や労働時間の観点から現実的ではないケースがほとんどです。就労移行支援とハローワーク登録の併用はむしろセット運用で、障害者雇用へ至るための標準ルートです。
障害者雇用を一度辞めたら、就労支援に戻れますか? ▼
戻れます。離職後、市区町村の障害福祉窓口で受給者証のサービス種別を更新すれば、就労移行支援・A型・B型のいずれにも再利用の手続きができます。就労移行支援の2年タイマーは原則累計で消費されますが、状況の大きな変化があった場合などには再度フル2年が支給されるケースもあり、最終判断は市区町村です。
障害者雇用とA型、どちらも「給与あり」ですが、どう違いますか? ▼
最大の違いは雇用主が一般企業か福祉事業所かという点です。障害者雇用は一般企業が雇用主なので、給与水準・昇給・キャリアパスが一般労働市場に近くなります。A型は福祉事業所が雇用主で、最低賃金以上の給与はあるものの、平均は月8.7万円と一般就労より低め。一方で、A型は福祉サービスの枠組みの中なので、支援員の伴走や個別支援計画などのサポートが充実しています。「安定した収入+キャリアアップ重視なら障害者雇用、支援ありで雇用契約の働き方を経験したいならA型」という使い分けが現実的です。
法定雇用率が2.7%に上がると、就職しやすくなりますか? ▼
総量としては求人機会が増えやすい方向に動くと見られています。ただし「数を満たしたい企業」と「本気で育てたい企業」の差は広がりやすく、求人が増える=自分に合う職場が増える、とは限りません。数の増加を追い風として活用しつつ、応募先の合理的配慮・定着率・離職率などを確認する目利きはむしろ重要になります。法定雇用率は制度改正で変動する可能性があるため、最新情報は厚生労働省の公表ページで必ず確認してください。
就労移行支援に通いながら、アルバイトをすることはできますか? ▼
原則として、就労移行支援の利用中は「一般就労に向けた訓練が中心」という建付けのため、フルタイムのアルバイトとの併用は想定されていません。ただし、支援計画の一環として限定的な短時間アルバイト・インターンを認める事業所や自治体もあります。生活費の事情で就労が必要な場合は、B型・A型への切り替えや、ハローワークの求職者支援制度などを支援員と一緒に検討するのが確実です。
障害者雇用で働きながら、就労定着支援以外の就労支援を使うことはできますか? ▼
基本的には難しいです。障害者雇用で就労している期間は、就労移行支援・A型・B型の対象とは見なされないのが原則(これらのサービスは「就労に向けた準備・就労の場の提供」が目的のため)。就労定着支援はこれらのサービスを経て一般就労した方向けの追加サービスなので、併用が可能です。仮に障害者雇用を退職した場合は、改めて就労移行支援・A型・B型の利用が検討対象になります。
まとめ:制度は別物でも、ゴールは「続けられる働き方」でつながっている
障害者雇用と就労支援は、根拠法・契約関係・給与・目的がすべて異なる別々の制度です。しかし、どちらも「障害のある人が自分に合った働き方を見つけ、続けていく」というゴールに向かうための道具であることは共通しています。対立する選択肢ではなく、段階や状況に応じて組み合わせて使うものという視点が、現代的な捉え方です。
制度は頻繁に改正されます。法定雇用率の段階引き上げ、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定、就労選択支援の新設──いずれもここ数年の大きな変化です。最新の厚生労働省情報を定期的に確認しつつ、自分の体調や生活の変化にあわせて使うサービスを選び直す柔軟さが、長期的な就労継続の鍵になります。
📋 この記事の要点まとめ
- 障害者雇用=障害者雇用促進法に基づく企業の雇用制度/就労支援=障害者総合支援法に基づく福祉サービス
- 違いは6軸(根拠法・契約関係・給与工賃・雇用保険・年齢・目的)に整理できる
- 給与水準:障害者雇用 10〜25万円 > A型 8.7万円 > B型 2.3万円 > 移行支援 原則無給
- 法定雇用率は2.3%→2.5%→2.7%(2026年7月以降予定)と段階的に引き上げ。最新値は厚労省公式で確認を
- 併用は「目的整理×手続きの順番」次第。移行→障害者雇用→定着支援の流れが現代の定番
- 決め打ちしない。体調・生活の変化に応じて行き来できる制度として使うのが、長期的に見て最適解に近づく
- 個別事情により選ぶべきサービスは変わります。迷ったら市区町村窓口・相談支援専門員・就労選択支援の相談ルートを活用してください
「自分にはどの制度が合うのか」は、記事の比較表や判断フローだけで完結する問いではありません。体調・家族・経済状況・将来の希望──それらを総合的に見つめたうえで、相談支援専門員や支援員と対話しながら見つけていくものです。まずは気になる就労支援事業所の見学、またはハローワークの障害者窓口への相談から、小さな一歩を踏み出してみてください。
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