のこの日記『情報かいじゅう【物語なのか詩なのか】』

バクバク ザクザク
排水溝の向こう側、何かを食べる音がする
身体をせいいっぱい低くして覗き込むと
それがいた 情報かいじゅうだ

情報かいじゅうは頭の中の情報が好物の
新種のかいじゅうで
排水溝の下だけでなく、消火栓の隙間や
まれに学校のチャイムの奥、時計台
自動販売機の中にも
運が良ければ隣に座ることもあるらしいけど
今のとこ、ぼくはその姿を見たことが一度もない

情報かいじゅうは情報が好物だけど、
中でも"自分に関係ない" "無意味"な
情報がいちばんのお気に入りらしい
ぼくが持たなくてもいい情報
たとえば、来年の天気とか、気温とか、
昔先生から聞いた、先生の先生の話とか、
隣のクラスのざわめき声とか、
うそかほんとか分からない本のこととか…
よく分からないけど、こんな感じ?

そういう情報が頭の中にたまると
人間は無意識に両手で頭を抱えたり、
むねをおさえたりする

そのときを、そいつは常に待っているんだ

あくびをして、呼吸が少しゆっくりになった
そのときを

気まぐれに、目を光らせながら
こちらを見て、大きな口を開けて
1、2、3、4 ごくり
バクバク、ザクザク、がりがり、ごっくん。
小さな角をうれしそうに動かすそれは
あっという間に情報を腹いっぱいたいらげた

でも、情報が食べられてしまった人は
なぜかみんな幸せそうに笑ってる
まるで心のつっかえがなくなったみたいに
ある人は口笛を吹いて
ある人はスキップを踏んで
またある人はおおあくびをしていた

食べられたのに、わらってる
どうしてだろう ふしぎだなぁ
ふしぎだけど、それがおもしろくて
ぼくはますます情報かいじゅうに
ひかれていった

favorite読んでくれた人へのメッセージ

……とさ。(まだ今朝編み出した試作段階)
続くのか否かは神のみぞ知る

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