てこの日記『春耕秋収 ー 其の八 ー 朝焼け』

昨夕から少々出かけていた。最近そこに赴く時より多少早く出たのだが、乗り換えを経てしばらくするとすでに暮れがかっていた。麓の駅についた時にはすっかり宵闇に包まれていた。そうなることはわかっていたので仕方がないが、一応登山となるのでもう少し明るければ・・・などと勝手に思う。更には昨日は朔である。天空が開けていても、いつものお供の月は出ない。もっとも昨日今日に限ってはそれが、好条件なのではあるが。
場所は十五夜の時と同じ。夕刻から上がるのも慣れたものだ。しかし、どうも調子が今ひとつで、若干足取りが重い。とても微妙だが、山頂に上がったときは、いつもより30分ほど時間がかかった位。麓にてすでに宵闇と言いつつ時間的には早く出たので、山頂にいつもよりは早く着く。

風が穏やかだったので、歩いている時には少し汗ばむ感じもあった。山頂でしばらく休むとやはり寒い。いまひとつ調子の方もすっきりとはしないが、何も食さないのもどうかと軽く食事をとることに、荷物が多くなると大変であるので、スーパーで仕入れたおにぎりと水筒のお茶だけ。
やっとのおもいで、山頂まで来たのに麓を見返すと夜景が広がる。それが目的ならそ綺麗ではあるが、もう少しなんとかならないものかと思う。反対側は、閉まっているがビジターセンタの建屋があるのでそちら側もあまり開けた感じではない。
まぁ妥協点。家からもそこそこ離れているが、あまりに遠くというほどでもなく、夕刻からでも安全に上がれて、とりあえず夜空も。

眼が慣れてくると、ちゃんと星が輝いている。ただ遠くにみえる稜線がはっきりしない。どうもその先が天気がよろしくないようだ。一抹の不安はあるが天気自体は大崩は無いようだのでしばらく山頂をうろうろして(山頂は少し広くなっている)、いい感じに星が見えそうなところを探す。
そしてまだ少し浅めの時間だと、お目当ては地平あたりであるので、仮眠を取ることにした。やはり寒い。防寒の準備はしていて、軽く寝付けはしたのだが、青天井の下にいる季節ではないなとあらためて。

時折目覚めては、時間を見たり空を眺めたりの繰り返し。ただ悪い方の予感は的中。ふわっと浮かぶような雲ではなくて、全天を遮るかのような曇り空。降り出すほどにはないが、かと言って風が穏やかなので流れて行ってもくれない。
お目当てが南中する時刻では、暗雲垂れ込めるという感じ。一日を通しては良い天気で、上がってからもしばらくは方角によっては、綺麗は見えていたのに肝心の時刻近くになると残念な感じに。いつも恵まれるとも限らない、今年は数年ぶりの好条件なはずだが仕方がない。普段街明かりで、一等星すら視認するのが困難な所に住まうので星空を拝めただけでも良しとするしかないのか。

一時間天気を確認すると、曇っているのは南中の時間の1,2時間で、その後陽が昇る前しばらくは晴れる予想。予想通りしばらく暗雲に隠れていた星々がちらほらと顔を出す。しかし全天が開けるのには少し時間がかかりそう。期待を込めて夜明け近くまで待つか、普段と違う散歩とするか思案どころだが、結局はまだ明けきらない暗い道を先の山稜に向かっていくことにした。

暗い道を歩いて行くので、普段よりも時間がかかった。その上、調子もまだ戻っていないようなので無理せず、次のピークを踏んで降りることに決めた。途中展望台手前で夜が明けた。寒い辛いだけの山行ではなくて、最後にきちんと早起きの土産を頂いた。

見わたせば 雲居はるかに 雪白し
  富士の高嶺の あけぼのの空    源実朝

favorite読んでくれた人へのメッセージ

察しの良い方ならおわかりでしょう。ふたご座流星群を見てみようかと出かけました。極大は明朝4〜5時頃です。さすがにいつでも平日時間が取れる訳もないので、昨日でかけました。お近くで街明かりがないところであれば早起きいかがでしょうか

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