いじめられっ子が誰かの相談を聞く人間になるまで

「自分のいる環境が全てだと思わないで。世界はもっと広いんだよ。」

これは私が実際に言われたことです。私は、高校生の頃にいじめられて転校した経験があります。転校する前の学校では、毎日のように暴言を吐かれ、廊下を歩けばみんなに笑われ、クラスの前で発表をしたときは誰も拍手をしてくれませんでした。元々は物事をネガティブに考える方ではありませんでしたが、言葉にされることで、まるで本当であるかのように自分の頭の中に入ってきて考えを大きく変えてしまいました。私には存在する価値がないのだと。

今は霧がかかっているだけ

ある日の授業中、私は急に学校を辞めたくなり、作戦を考えました。授業を聞かずルーズリーフに、今までされたこと、言われたこと、今後どうしたいのかを殴り書き始めたのです。最後に「何をしても楽しくない。学校に行きたくない」と書いたことは今でも覚えています。そこから先は記憶が定かではありませんが、話し合いを重ね、無事転校することが決まりました。もちろん未練なんてこれっぽっちもありませんでした。

転校先の学校は本当に自由でした。決められた勉強さえやっていれば、法律内での自由はほとんど認められていたのです。そこで感じたのは、世の中にはいろんな人がいるということ。髪型が派手な人、恥ずかしがり屋な人、会話が成立しない人。薄々感じていたことですが、その時初めて実感したような気がします。そして冒頭の言葉をかけてくれた人とも、その時に出会いました。しかし彼は、同じ学校の人ではありません。日本人でもありません。

学園ドラマの主人公は、思いやりに溢れたスーパーヒーロー

彼は、アメリカのワシントン州シアトルに住む同い年の男の子です。彼の性格を3つ挙げるとするなら、もちろん①優しい②明るい③面白いでしょう。今でこそこのように言えますが、出会った当時はそうとは言いきれませんでした。なぜなら、私のことをいじめてきた同級生にそっくりだと考えていたからです。いつもクラスの中心にいて、みんなから信頼されている、まさに学園ドラマの主人公のような存在。そう考えていました。それ故に私みたいな陰気な人間に嫌悪感を抱いているとすら考えていました。なぜなら私をいじめてきた人間は皆、陽気な人間であったから。

しかし、彼は全く違いました。話してみるととても優しく、私のような人間に対しても思いやりをもって接してくれました。余裕があって寛容で、この人になら自分の過去を語れると本気で考えるようになったのです。

遠くの世界に踏み出すこと

そして私は、彼に全てを話すことを決めました。何を思われても大丈夫な覚悟で、いじめが原因で転校したことを話しました。話が終わった後、真剣に聞いてくれた彼は「そんな環境を変えられて本当によかった。今までよく頑張ったね。でも、自分のいる環境が全てだと思わないで。世界はもっと広いから。それをわかってほしい。」と言ってくれました。私は初めて涙が止まらなくなりました。未練はなかったけど転校することが逃げだと思っていた私にとって、彼の言葉はとても気持ちを軽くさせてくれました。

いじめ→転校から分かったこと

今になってやっとわかったことですが、彼の言っていたことは本当に正しいです。世界は、おそらくあなたが思っているよりずっと広いです。そして、今の世界では辛かったとしても、ある世界では楽しくてしょうがなくなることもあります。「環境を変えること」それはとても勇気のいることですが、一歩踏み出すことで目の前の霧が一気に晴れることもあるのです。それは私の今までの経験が証明してくれました。学校で居場所をなくし、肩身が狭い思いをしていた人間が、新しい居場所を見つけて今ではこうして様々な人の話を聞いています。会話を通して直接影響を与えることまでは考えていませんが、相談者さんが自分を考えるきっかけにする、小さな変化をつくることができたらなと勝手ながら思っています。ものすごく低い確率で生まれてきたからこそ、たった一度の人生をできるだけ楽しく悔いなく生きていただきたいとも。そんなことを考えながら書いていました。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。では。

 

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