母と娘との約50年間の苦悩と戦い

一般的に言われる母親と娘の関係性の理想像は友達感覚な関係性でしょうか。例えば大人になった時でも一緒に服を買いに行ってあれでもない これでもないと楽しく会話をしながら洋服を選んだり、ランチに行って楽しそうにご飯を食べておしゃべりをしたり、一緒にネイルをしたり、雑誌を読んだり…よくあるテレビの1コマですよね。

そういったものを理想として娘が生まれて実際に実行してみてはうまくいかなかったりなんてこともあるのではないでしょうか。

私の場合は物心ついた時から家の中で母が一番強い立ち位置にいて誰も母には逆らえないような状態でした。今で言う毒親といった感じです。母親本人はそんなことは全く意識もしていなくて悪気があってやってるつもりもありませんでした。しかし私からしてみたら結果的には毒親と言われるような母になっていました。全てを否定するつもりはありませんが、家計が苦しく共働きで混雑する交通機関を使って毎日通って仕事をして家に帰れば家事もしなければいけないといったそういった毎日を見ていたら、娘の私としてはまだ小学生の低学年であったにも関わらず何もしないわけにはいきませんでした。

そういった子供時代を過ごし大人になった今でも母親のことは怖い存在として身に染み付いています。一番ひどかった時は私の母親は私にとってこの世界の中で一番怖い人であり 大嫌いと思っていました。

時代の違いがあり今の時代についていけない高齢の母は面倒くさがりになってしまい、細かいことには目をそらし母ができないことが増えてくると必然的に兄よりも娘である私に助けを求めてきます。それはそれで普通なのかもしれませんが、長男である兄に対しては一切関知せず兄は好きなように生きています。一方 うつ病を抱えて治療中にもかかわらず私は力仕事も何でも頼まれて断るに断れないという幼少期の頃からの 親からの圧力のもとの癖というものがいまだに取れず何でも引き受けて母の満足に答えてきました。

それがいつのまにか当たり前となっていてお手伝いをしても要望に応えてもいつしかありがとうの言葉もなくなってきました。力仕事などなぜ兄に頼まないのと聞いた時に無言でした。母としては長男に頼れない、もしくは頼らない、何かがあるのでしょうが私としては限度というものがあり限度が超えた時に私自身が今までで一番と言ってもいいほど心身ともに最悪な状態になってしまいました。

母と娘 という関係性は娘というものは頼れるものでありお願いをするのも娘の方が言いやすいという風潮があるような気がしますが、皆さんはどう思いますか?80代の母にはその風潮が当たり前のように感覚的にあるようで お手伝いを私が拒めばただではすみません笑

そういう関係性が50数年続いて私が完全に壊れてしまってそれから微妙な関係になり私もいい加減このままではいけないと言いたいことを言うようにしなければいけないと思い勇気を出してやっとの思いで50数年かけて母親に対して物が言えるようになりました。

その高くて分厚い壁を超えた時にやっと母との新たな関係性が築けてきています。ただ 80数年生きてきた母にとってはそう簡単に考え方を変えることも捉え方を変えることも簡単なことではありません。そうなればやはり私が変わるしかありません。それでも言いたいことが言い合えるようになった今では以前よりも母と娘として付き合いやすくなったのは確かです。

言葉に出すこと会話することの大切さがこういう時に出てくると思います。しかしそういったことが難しいという方は多いと思うのです。難しくてうまくできないから関係性がそのまま継続されてどちらかが苦しい思いをしたり辛い思いをして自分自身の意見や思いを自分の中に閉じ込めていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

私自身がそうでしたから。

できないことを無理に押し付けるつもりはありません。私も50数年かけてやっと超えられた壁です。高くて分厚くてコンクリートのような硬い冷たい壁でした。

中にはこういった壁に向き合ってあがいたり壁を叩いてみたり見上げてみたりしてらっしゃる方もいるのではないかと思うのです。

親子関係と一言で言っても色々な関係性があります。私の場合は母と娘ということになりますが、理想的でドラマにあるような母と娘友達のような母娘関係は夢のまた夢です。それでもこの年齢でやっと本音が言い合えることが何よりも嬉しく 私自身も成長できたことが何よりの救いです。これから本当の意味での親孝行をしていきたいなと考えています。そして長年苦労してきた母にお礼を言いたいと思っています。

今現在は、母にはいつまでも元気で長生きしてほしいと願っています。

 

 

 

 

 

 

 

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