martsunの日記『ドライフラワー』
visibility105 edit2023.08.03
自然って、美しいよなあって思う。夕暮れ時、遠くにかかる雲とか。ベランダで風に揺れている、鉢に植えた木の葉が、光に透けてる感じとか。人間は自然の美を見習って、太古の昔から絵を描いたり、彫刻を掘ったりしてきたけど、結局自然の美しさには敵わない。
でも、心から笑っている人の顔は美しいと思う。今、この一瞬に満足する人の笑顔には、どんな絶景にも勝る美しさがある。
そんな笑顔を見かけるたびに、いつも寂しくなる。自分がそんなふうに笑ったのは、いつだろうか。もしかしたら一度もないかも。あるいは、記憶にないほど幼い頃だったか。
受け入れられないかもという不安がない混ぜになった笑顔。僕ばかりではあるまい。今の時代は、そんな笑顔に満ちている。
レンブラントの絵画より美しいもの。例えば、カーテンの隙間から差し込む朝の陽差し、床に揺れるカーテンの影。列車の窓越しに見る深緑の山並。冬の教室から見る、新雪に覆われた校庭。
一番美しいものは、実はタダでその辺に転がっている、と、子供の頃から感じていた。神様は公平だな、と、なんとなく思っていた。でも、笑顔だけはタダではない。その一瞬だけでも幸せでなければ、本当の笑顔は咲かない。だけど、幸せは公平に与えられてはいない。ない人は、自分で見つけるのだ。
本物の笑顔が生きた花なら、作り笑いはドライフラワー。
幸せはどこにあるのだろう?
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