てこの日記『春耕秋収 - 其の十二 続・七夕 ー 2』

山頂から展望台までの道、山頂の広場からすぐに階段を下っていく。日中であればさほど問題ないが、ライトで足元を照らして行くとなると、足取りも重く短い距離に結構な時間がかかる。降りきったところで、探求路を経由して元来た麓に戻る道と、奥の山稜に向かう分岐がある。案内板はあるがこれとて闇に沈んでいる。手前にちょっとしたピークがあるので、その巻道が左右にあって、日中でも少しわかりにくいのだ。ましてや暗闇の中、幾度か通った道とはいえもう少しわかりやすくはならないものかといつも思う。

降りきったところから最初のピークをさけて、右側の巻道を行く。巻き道もしばらくは、緩い下りだ。降りきってしばらくは、森の中をいくので空の様子はつかめず。これも日中ならさして問題にならないはずだが、先が見通しにくい。足取りこそ、少しマシにはなってはいたが、歩足もあがらず。夜は長いので、諦め混じりでゆっくりと行く。

山頂までの参道と違い、ここには灯りはない。しばらく進むと、少し空が開けた先に、赤銅色の灯りが見える。「月? だよな」。時折見え隠れする、それを目指してゆっくりながら確実に歩みを進める。いくら状態がよろしくなくとも、工程の中では長いわけでもない。さりとて分岐での案内の参考コースタイムには、程遠く遅かったが……。

展望台の手前で少し開けた場所がある、休息のできる場所だ。そこから山頂まではもう一息なので、休まずあとにした。程なく展望台へ。登山道の右側に東屋があるが天気は崩れそうにはないので、青天井の展望台の方に進む。
展望台は観光地のそれと似て、少しせり出すように舞台のような空間が広がる。そちらの方に行って腰を落とした。

この日、少し雲は広がっている。ちぎれ雲、はぐれ雲と違い、薄く天を覆う感じの雲である。全天を覆い尽くすほどではなく方角によっては開けているので、十分星は眺められた。しかし星影は限られてしまっていたか。展望のその先というより、奥の山稜に向かう道の方角に、先程まで見え隠れしていた赤銅色の月が浮かぶ。土曜が「しちせき」ならば九日目、上限にやや満たぬが、ほぼ弓張の月。もう三日月(クレッセントムーン)とも呼べぬ感じか。
右手側の空が少し開けていて、しばらく座してそちらを見上げていたが、麓から来たとなるとそこそこ歩いている。シュラフカバーを広げて中に籠もり、寝転がって天空を見上げるようにした。

七夕や流星群と謳いながら、天球図もコンパスも持ち合わせない。星空観察ではなく、時節にかこつけて夜空を見上げに来ただけなのである。それでいいのだと思う、多かれ少なかれ日々が何かにつけて、忙しないのだ。ただただ夜空に煌めく灯りを眺めているだけの時間があったとて、構わないと思うから。
とはいえ、そろそろ頃合いかと時間を確認して、その後天を見渡したのだが、放射点付近は(流星のもととなるチリの粒は、平行に飛び込んでくるそうで、地上から見ると放射点から四方八方に広がるように流れるそう。そしてその方角にある星座を指して○○流星群などと呼ぶ。)まだ雲がかっていた。

また条件は良くないのかなどと思いつつも、ぼんやりと眺め続けると一瞬ひときわ輝きを増すように光を放ち、慌てて追うように見るとそこからずーっと流れていった。条件が良いと、1時間で40個程見ることができるそうだ(肉眼でどれだけ視認できるかはわからないけど)。しかしこの流星群と私の相性は少々悪いらしい。あまり好条件に恵まれたことはない。

今宵、確実に先程のそれと知れるような、光の矢が放たれ視認できたのは2,3個であったか。

favorite読んでくれた人へのメッセージ

条件良く見られた方は、おられるのだろうか。この日この時間は、日本海側に達していはずだが、台風が東北地方を襲っていた。時期的に直接の影響はないところでも、いつも最初からすっきりと晴れ渡ったという印象がない。夏の星空なので、外にいてもさほど問題もなく、むしろ心地よかったりもするが、天候だけには、いつも恵まれないのかと思ったり。
(けして、荒天だったわけではないのだけどね)

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