雪コの日記『孤独死した父の亡骸(3/4)』
visibility10 edit2025.12.07
父の亡骸を見るのは心底怖かったように思う。
もう2、3年もあの人に会っていないのだから。それに孤独死した人間はどんな表情をしてるのか想像すると恐ろしさがこみ上げてくる。
しかしいざ見るとなんという事はなかった。
孤独に悶え苦しむ男の顔を思い浮かべていたが実際はただ眠ってるみたいで楽しそうとも苦しそうともいえないといった具合だ。
ただ頬はこけ、痩せ細ってる印象を受けた。
ああこれが最期まで逃げ続けた人間の末路なのだと悟った。
普通の人なら亡骸を見たら少しは同情するのだろう。家族も泣いていたのだし。
けれど私の感情はどこか周りとは違うのかもしれない。
それを見て一切泣けなかった。
それよりもずっと冷たい、冷めた眼差しで亡骸を見ていたように思う。
まるでサイコパスな狂人のようでそんな自分が可哀想に思うのだけどそれを同情する気にはなれなかった。
だけど負の感情ばかりではない。
今まで私達家族の為に働いてくれたことには感謝している。子供の頃の父は怖かったけど父としての役目を果たそうとしてくれたように思う。
父に対しては感謝と軽蔑両方の想いがある。
決して感謝する事があっても軽蔑がなくなる事はない。
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