ちょっと楽に生きるために――欲求の土台(マズローとアルダファー)

はじめに

「もっと成長したい」
「誰かの役に立ちたい」
「自分らしく生きたい」

そのように思うことがあるかと思います。

けれど、その一方で、体調が整っていなかったり、生活が不安定だったり、人間関係で消耗していたりすると、その願いに向かうこと自体が苦しくなることもあったりしますよね。

気持ちは前に進みたいのに、体や心がついてこない。
そんなとき、自分の努力が足りないように感じてしまうこともあるかもしれません。

でも、もしかするとそれは、努力不足ではなく、土台が揺れている状態なのかもしれません。

人間の欲求(マズローの欲求5段階説)

人間の欲求について考える理論の一つに、マズローの欲求5段階説があります。

マズローは、人の欲求を大きく5つの段階に分けました。

まず、食事や睡眠など、生きるために必要な「生理的欲求」
次に、安全な環境や安定した生活を求める「安全の欲求」
その上に、人とつながりたい、所属したいという「社会的欲求」
さらに、認められたい、尊重されたいという「承認欲求」
そして最後に、自分らしく能力を発揮したいという「自己実現欲求」があります。

この考え方は、下の段階の欲求がある程度満たされることで、上の段階の欲求に向かいやすくなる、というものです。
※自己実現欲求が一番上の段階の欲求、生理的欲求が一番下の欲求になります。

もちろん、現実の人間は、そんなにきれいな階段のようには進みません。

生活が苦しい中でも、人とのつながりを求めることはあります。
体調が万全でなくても、誰かの役に立ちたいと思うこともあります。
安心が十分でなくても、成長したいという気持ちは出てきます。

人間の欲求(ERG理論)

そこで、もう少し現実に近い考え方として、アルダファーのERG理論があります。

ERG理論では、人の欲求を3つに分けます。

Eは、Existence。
存在欲求です。

これは、食事、睡眠、健康、お金、住まい、仕事の安定など、生きるための安心に関わる欲求です。

Rは、Relatedness。
関係欲求です。

これは、人とつながりたい、受け入れられたい、安心できる関係を持ちたい、認められたいという欲求です。

Gは、Growth。
成長欲求です。

これは、自分の力を伸ばしたい、意味のあることをしたい、誰かの役に立ちたい、自分らしく成長したいという欲求です。

マズローの考え方と似ている部分もありますが、ERG理論では、欲求は一つずつ順番に出てくるものではなく、同時に存在すると考えます。

たとえば、生活を整えたいというEの欲求と、誰かとつながりたいというRの欲求と、成長したいというGの欲求が、同時に心の中にあることがあります。

これはとても自然なことだと思います。

「まず生活を整えなきゃ」と思いながらも、人とのつながりがほしくなる。
「今は休んだ方がいい」と分かっていても、誰かの役に立ちたいと思ってしまう。
「自分を大切にしたい」と思いながらも、成長できていない自分に焦ってしまう。

そういうことは、きっと多くの人にあるのではないでしょうか。

大切なこと

ただ、ここで大切なのは、低い欲求を満たすことは、低レベルなことではないということです。

睡眠を整える。
食事をとる。
安全な場所で休む。
お金や仕事の不安を少し減らす。
無理な人間関係から距離をとる。

こうしたことは、ただの「現実的な作業」ではなく、自分が次の欲求に向かうための土台作りでもあります。

存在欲求があまりにも揺れていると、人との関係に向き合う余裕は減ってしまいます。

体が疲れきっているときに、人の言葉を深く受け止めるのは難しくなります。
生活の不安が強いときに、安心して誰かと関わるのも難しくなります。

そして、関係欲求が満たされないまま成長欲求だけを追いかけると、苦しくなることもあります。

誰かの役に立ちたい。
自分を成長させたい。
意味のあることをしたい。

その気持ちはとても大切です。

でも、自分がまったく受け止められていない感覚のまま、人を受け止めようとし続けると、心が削れてしまうことがあります。

だから、Eをある程度整える。
その上で、Rを少し満たす。
そして、Gに向かっていく。

この順番は、現実を生きるうえで、とても大切なのだと思います。

ただし、それは「Eが完璧になってからRへ」「Rが完璧になってからGへ」という意味ではありません。

完璧を待っていたら、いつまでも動けなくなってしまうこともあります。

大事なのは、ある程度です。

ある程度眠れている。
ある程度食べられている。
ある程度生活が回っている。
ある程度安心できる人や場所がある。
ある程度、自分の気持ちを受け止めてもらえる。

その「ある程度」があるだけで、人は少しだけ前に進みやすくなります。

逆に、成長しようとして苦しくなったときは、EやRに戻ってもいいのだと思います。

それは後退ではありません。

疲れたら休む。
不安定になったら生活を整える。
孤独が強くなったら、安心できる関係に戻る。
傷ついたら、無理に前へ進まず、自分を守る。

そうやって土台に戻ることは、また進むための補給なのだと思います。

最後に

人は、成長だけでは生きていけません。

安心も必要です。
つながりも必要です。
休息も必要です。
受け止めてもらうことも必要です。

だから、もし今、成長できていないように感じたり、誰かの役に立てていないように感じたりしても、まずは自分の土台を整えることから始めていいのだと思います。

低次の欲求を満たすことは、低い場所にとどまることではありません。

安心して上の欲求に向かうための、必要な準備です。

生きることを整える。
関係を整える。
その上で、成長に向かう。

その順番を、自分に許してあげてもいいのかもしれません。

ココトモメンバーたちと交流しよう♪

ココトモメンバーたちと交流するための『メンバーのお部屋』掲示板ができました。気になるメンバーと気軽にお話することができます。ぜひ色んなメンバーのお部屋に遊びに行ってみてください♪

メンバーのお部屋はこちら
keyboard_arrow_up