人に頼ることが苦手

人は一人で生きていくことはできないと、頭ではわかっているつもりでも、人に助けを求めるのが苦手な人も少なくありません。

人に頼むくらいなら自分でやってしまったほうが楽だ、そうやって一人で抱え込んだ結果、イライラし、疲れ切ってしまうこともあります。

そもそも人間は、本能的に「助け合いながら生きてきた」生き物です。単独で戦うのではなく、集団で、しかもコミュニケーションをとった連携プレーで大型の獣を倒してきたのです。だから、逆に言うと単独では非常に弱い。このような「助け合うことが前提」のプログラムが、私たちの本能には備わっています。なのに、どうして素直に人に頼ることができないのでしょう。

その背景には私たちが幼いころに身につけた「子どもの心の強さ」が関係しています。日本人の精神風土には、農耕社会の考え方が色濃く影響しています。田植えも稲刈りもみんなで作業し、収穫を待つまでの期間も長い。その間、集団は一人ひとりが「ちゃんと努力しているか、さぼっていないか」を常にチェックし合います。達成した結果より、人に迷惑をかけなかったことが評価される社会に出ていく子どもに向かって、大人は一人でがんばれ、逃げるな、と成長期に言い続けます。

その一方で、厳しい現実社会では、一人では生きていけないし、頼り合うことも大切です。「一人でがんばる」と「ピンチでは助けを求める」のバランスを、かつての日本では大家族や地域社会のつながりの中で自然に学ぶことができていました。しかし、現代社会ではそのような経験が極端に減り、助け合いの良さを実感したり、謙虚さを学ぶ機会が失われています。

 

○落ち込みから浮き上がるときが「変わりどき」になる。

子どもの心の強さでがんばってきた人は、人に迷惑をかけない自分、逃げない自分が好きです。ただ、問題なのは、そういう人はトラブルに直面すると弱い、ということ。なぜなら、人に頼ることが苦手だからです。

いざ人に頼ろうとしても、相手がうまくやってくれるか不安だし、「自分は逃げているのではないか」と罪悪感を覚えてしまいます。本当は周囲と助け合ったほうがよほど大きな力になるのに、なかなか一歩が踏み出せないのです。

状況に応じて上手に人に頼り、サポートを求められることこが大人の心の強さ」です。とはいえ、頭でわかっても実行するのはなかなか難しい。自分が自信をつけてきたやり方を手放すには、勇気が必要だからです。ましてや、疲れ切って気持ちもダウンしているときには、チャレンジする気力もわかないでしょう。しかし、ちょっと元気が出たときこそチャンスです。

人間には「変わりどき」があり、そのタイミングこそ、すごくしんどかった時期から浮上し始めたときなのです。

 

○「人に頼ろう」と素直に思える人は、窮地に強い人。

やっぱり一人だと苦しかったなあ、という生々しい記憶があるうちに、「大人の心の強さを身につける修行だ」と思って、小さいことから始めてみるといいでしょう。誰にも頼らずがんばってきた人が、他人にものごとを頼むのは苦痛を伴うでしょう。説明するくらいなら自分でやりたい、と思うでしょうが、一人では必ず、行き詰まるときがきます。

たとえば、ネットにつながっていないパソコンは「スタンド・アローン」と呼ばれます。その名の通り、自立している感じはありますが、ネットにつないだパソコンと比べるとその能力はきわめて限定されてしまいます。確かに、パソコンをネットにつなぐのは、最初は面倒くさいもの。しかし、LAN、プロバイダー、と1個1個クリアすれば、なんとかネットにつなげられるものです。それと同じと考えてください。

 

ちょっと元気が復活したときであれば、人に頼んだ結果が自分の思い通りでなくても、それほど落胆や負担を感じずに対処することができるでしょう。

小さなサポートを頼む経験を繰り返すうちに、頼むことでかえっていろいろなことがうまく回ることに気づき、素直にお礼の気持ちを伝える爽快感を得られるなど、いいところもたくさんあると肌で感じられるはずです。

 

つらくなったら、誰かに頼ればいい。そう素直に思える人は、本当のところで窮地に強い人なのです。

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