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ただ話を聞いてほしい
20代後半
女性
悪夢から逃れられない
429 edit2023.03.30
中学校の頃、自分を虐めていた主犯格の子が、幸せそうに笑っている夢。
もう十年以上前の事で、自分の気持ちだって整理ついて来たと思っていた。思い出すこともなかったし、仮に思い出してもぼんやり薄らとしていて、『記憶にない』状態とほぼ変わらない。悲しかった気持ちも悔しかった気持ちも、全て片付いたと。そう、思っていた。
夢の彼女は笑っていた。
愛し、愛され、結婚し、子供も出来たのだと、嬉しそうにしていた。
私は飛び起きた。
最初は何がどうなったのか本当にわからなかったけれど、整理していくうちに何故か涙が流れ始めた。
苦しかった。悔しかった。
自分が人生と時間と心をかけて呪った気持ちは、何一つ届いていなかったのだと、そう思った。
自分は弱いのだろうか? いいや。弱くなんてない。
あの頃は負けてしまったが、今は自分の心を殺す術も、偽る術も持っている。
人を傷つける言葉だって知っているし、彼女の心を破壊する方法だって知っている。
愛し愛される人などいないが、今の自分に誇りもあるし、幸せだと胸を張って言える。
それでも、溢れてくるこの感情は、一体何なのだろうか。
何度考えても、名前を付けようとしても、正体を探る事は出来ない。
観念して押し殺そうと、無かった事にしてしまおうとしても、無意識に体が不調を訴えてきてしまう。心よりも先に体が壊れてしまう。
私は、どうしたらいいのだろう。
また時間が解決するのだろうか。
どれくらいの時間を、こんなどうでもいい事に費やさないといけないのだろうか。
私には立ち止まっている時間など、微塵もないのに。
次から次へと問題は降りかかり、それに一つずつ対処をしていかなければいけないのに。
この感情を、どうやって処理すればいいのだろうか。
もう恨みも憎しみも、彼女たちへ持ち合わせて等いないのに。
過去なんて全て丸ごと、忘れてしまったのに。
ただただ……静かに生きたいだけなのに。
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